●月@日
今日は新事実が判明した。
ヴァングレイに喋るOSが搭載されていた事なんだが、なんと俺とソウジさんとチトセの三人がヤマトに乗り込む原因になった命令書を送ったのはこいつだという事が判明したのだ。
どうしてこんな事をしたのかは喋ってくれなかったが、特に害はないようだ。解体するとか言われなくて良かったなと思う。
所が他にも出発して少ししてから新しい問題が浮上した。
一つはベルナデット密航事件。そういえば特技でしたね、密航……。
なんでも木星帝国が何を求めて外宇宙に旅立ったのかを知りたく、ヤマトに乗り込んだとの事。ベラさんも手伝ったとか。結局、主計科に配属となり収まった。
で、本命は土星の衛星であるエンケラドゥスの南極付近から救難信号が発せられていたのか。
上の人達で会議をした結果、揉めたみたいだがヤマトのコンデンサが損傷していた為、その物資調達を兼ねて向かう事になったみたいだ。
無事な人がいるといいな……。
●月?日
グ ロ イ。
まさかのインベーダーだよ!アイエエエ!チェンゲ混じってるー!?
古代戦術長は救難信号の艦に向かうようなので、護衛ついでにゲシュペンストで同行したがすっごいキモイ怪物に襲われる羽目になってしまった。ガミラス兵?適当に蹴散らしたよ。
戦術長達を逃がしたのはいいものの、キモグロイ連中がわんさか出てきたのでどうしたもんかと思ったがそこで援軍が来てくれた。
なんとブラックゲッター!山本三尉のコスモゼロの事を忘れる程のインパクトだよ!
戦術長達はコスモゼロに乗って貰って脱出してもらった後、ブラックゲッターと共闘してインベーダーと戦っていたのだが更なる増援祭りでさすがに焦る。
しかしこっちも更なる援軍。まさかのグレートマジンガー!
プロ!戦闘のプロじゃないか!偉大な勇者かもしれないけど!
ていうかどうしてここにグレートマジンガーがいるんだよ。俺は大根RUNに陥ったよ、ほんと。
その後、採掘場に現れたガミラスを蹴散らしたヤマトが駆けつけて、インベーダーを全滅させる事に成功したのだが、ほんと疲れたわ……。
……そしてグレートのパイロットの鉄也さんが記憶喪失だったり、竜馬さん達が平行世界の住人とかどんだけなんだよ、ここ。
●月<日
正式に竜馬さんと鉄也さんがヤマトに同行、航空隊に配属される事になった。
どうやら竜馬さんは時間と空間を越えた直後にやってきたようだ。鉄也さんは……記憶喪失なのでさっぱりだ。Zなのかカイザーなのかも分からない。何があったんだろ。
しかし並行世界の存在が証明されている事は知らなかった。俺がどうしてこの世界にやってきたのかももしかしたら分かるかもしれない。
時間がある時でいいからヴェルトや真田副長に色々と話を聞いてみる事にしよう。
そして次の目的地が決まったようだ。
目標は冥王星。ガミラスの前線基地を攻撃するようだ。
前線基地となれば敵の抵抗も激しくなるだろう。
機動兵器とヤマトによる連帯戦術の事もあるし、新入り二人と一緒に連帯訓練をしなければ……。
●月>日
特訓マジ、厳しい。
いやぁ、竜馬さんと鉄也さんに鍛えて貰ったのだが回りがドン引きしかねない程、激しいものだった。
ちゃんとこっちのスペックを見て手加減して貰えたのだが、それでもボッコボコにされてしまった。
俺は正規の訓練を一切受けてないからこれぐらいやらないと大変だ。
まぁ、竜馬さんから筋はいいと言われた事だけは良かった、うん。
●月¥日
初っ端からガミラスに痛い先制攻撃を受けてしまった。こっちが気がつく前に攻撃してくるとかロングレンジすぎるだろ。
しかも死角に入ったのにも関わらず攻撃を受け続けてるはめになった。
おかげでヤマトは損傷。海に沈没してしまった、偽装だけど。
艦長の咄嗟の判断で、俺達機動部隊は出撃する事になった。敵基地に奇襲を仕掛ける為だ。
その判断は見事に成功。その際に活躍したのがヴァングレイに搭載されてるOSで、彼女が敵のロングレンジ座標の位置を確認。
ヤマトが攻撃して破壊に成功したのだ。しかも誘爆して基地本体も壊滅状態。一石二鳥である。
脱出した敵戦艦一隻を逃がしてしまったが、他はきっちり壊滅させたから、これで地球に遊星爆弾が落ちる事はないだろう。
それだけで一安心である。
しかし木星帝国がガミラスについてるとは思わなかったな。
地球を捨てた地球人。なんだか悲しい響きである。
そういえば出撃前は表情が固かったソウジさんとチトセが若干、柔らかくなっていたのに気がついた。
きっと二人にも何かの理由があって、今回の一戦で何かしらの区切りがついたのだろう。
良かった良かった。
◎月○日
冥王星の基地を叩いてから数日。
古代戦術長と竜馬さん達の間で何かあったのか、敵基地に向かって出撃していった。
何かあったんだろうかと思ったけど、現れたインベーダーを撃退してきただけのようだ。
だが戦術長や竜馬さん、鉄也さんの間からは何か信頼関係のようなものが見えた気がした。
きっといい事があったのだろう。
◎月●日
遂に太陽系外縁部に差し掛かった。まぁ、イスカンダルへの旅からすると本当に一歩ぐらいの距離なんだろうけど、地球人にとっては大きな一歩である。
そろそろ地球との通信ができる限界距離に近づいてるという事で通信許可が下りた。
俺に肉親はいないが、世話になったニコラ研究所に連絡を取る事にした。
教授からは「無事に帰ってきなさい。旅の話を楽しみにしてるわ」と言われた。相変わらずだったけど元気そうで良かったな。
それに加えて太陽系赤道祭が開催された。
昔から船が赤道を通過する時に行われるものだと言う。ご馳走が並んだので美味しく頂かせてもらった。
何故か原田衛生士がそっち系のお店で見られるようなメイド服を来てやってきていた。ご馳走様です。
まぁ、酒癖は酷そうだったので近づかなかったけど。
うん、これからの旅も頑張ろう。
◎月◎日
ワープした先で襲撃を受けた。
敵はどうやら先日、冥王星にいた部隊だと言う。こっちを追ってきたようだ。
しかもとんでもない事にガスのような何かを撒かれ、接触すれば分解。
かと言ってよければ、恒星に突っ込まざるをえない状況に陥るとは思わなかった。
慌てた俺達と違って、艦長は冷静だった。まさか恒星に最大戦速で突っ込むとは……。
俺達は捨て身で追撃してくるガミラスを迎撃。熱さで気が狂いそうになったわ。
しかもワープによる敵援軍……と思ったんだが来たのはまさかのガンダム!
ダブルオークアンタとラファエルガンダム。まさかのソレスタルビーイングで刹那とティエリアだよ!
しかしどういう状況なんだ、これ?あの二機という事は劇場版なんだろうけど、クアンタとラファエルが並んだ事はない。
という事は何かしらのスパロボ補正的な何かでクアンタの完成が早まったのだろうか?
で、戦闘はというと。大火力攻撃が可能な二人が加わってくれたおかげでだいぶ戦線が楽になった。
最終的に恒星のフレアを波動砲でぶち抜いて、脱出に成功した。
敵はそのまま飲み込まれて散っていってしまったようだが。
あー、今日も無事に生き残れた。
◎月△日
話を聞くと刹那とティエリアの二人もまた別の並行世界からやってきたようだ。
うーん、並行世界多すぎじゃね、ここ。まぁ、俺が言うのも今更か。
二人も協力してくれるという事で戦力がまた増えたぞ!
後で、二人に頼んでガンダムを見せてもらおう。
しかし刹那がこっちをじっと見ていたような気がするがなんだったのだろうか?
◎月▲日
今日は機動部隊のみんなと色々と話をしたが、別世界でもガンダムはやっぱり重要なポジジョンだという。
この世界ではスーパーロボット扱いだが、刹那の世界ではどうやら違うようだ。
うーん、もしかして刹那世界も純粋なガンダムOO世界という訳ではないのかな。もしかしたら普通にゲッターやグレートみたいなスーパーロボットがいるのかもしれない。
もっと話を聞きたかったのだが、敵の追撃をかわす為に長距離ワープを行うようだ。その間、俺達は警戒態勢で待機。
何事もなければいいなぁ。
◎月▽日
フラグ乙。
ワープした先は次元の狭間、宇宙船が沈むサルガッソーとか洒落にならないんじゃが。
えっ、あっ、何?ガミラス?使者?
◎月▼日
ガミラスの艦も次元の狭間に捕らわれており、協力して脱出する事になった。
チトセ達は信じられないようであったが、俺は……信じていいと思っていた。
まぁ、先日の特攻があったから、当初は半信半疑であったが、その気ならさっさと攻撃を仕掛けてもおかしくはないと思ったのだ。
そんな事を話していたら、加藤隊長達に色々と言われてしまった。チトセも暗い表情で出ていってしまうし。
俺は色々考えた結果、追いかける事にした。
チトセをあんな顔のままにしたくはないからな。
ソウジさんも行って来いって言ってくれたし。
ゲシュペンストのコックピットにいたチトセと話をした。
話の内容は……うん、ここに書く事ではないな。
これは俺の胸の中にしまっておこう。
ただチトセの表情が少しだけ晴れやかになった事だけをこちらに残しておく。
◎月□日
問題発生中。
状況が判明次第、記述を再開する。
刹那・F・セイエイは始めて彼を見た時から違和感を感じていた。
「どうした刹那」
「ティエリア……」
二人の眼前には格納庫に納められている機動兵器達が並んでいる。
そんな中、自分達のガンダムを熱心に見ている彼――高坂翔がいた。
何でもガンダムに興味があり、別世界のガンダムであるクアンタとラファエルを見学したいという事で許可したという事だ。
特に問題行動を起こす事もなく色々な角度から二機のMSを見ている姿は、大好きな物を見つけた子供のようにも見える。
「彼、ショウに何かあったのか?」
「……」
「刹那……?」
ティエリアの声に反応する事もなくじっとショウの後姿を見続けている刹那。
そんな刹那の様子は何処かおかしい。
このヤマトに来てから何かあったのだろうかと思うが、ショウとの接触は許可を貰いにきたほんの僅かだ。
二人の間に何かあったとは考え難かった。
「ティエリアは何か感じないか?」
「……?」
ようやく口を開いたと思ったら聞こえてきたのはそんな刹那の言葉。
何か、とは何だろうか。
「いや、僕は何も感じないが……」
少なくとも脳量子波は感じられない。
ショウよりはトビアとキンケドゥ、彼等二人の方がはっきりと感じられる程だ。
だが刹那は何かを感じ取っているのだろう。
「刹那、彼から何か感じているのか?」
「俺にもわからない……。だが何か……」
上手く言葉に出来ないのか、説明しようとして再び口ごもる。
だがイノベイドであるティエリアと違って、イノベイターである刹那には何か感じられるのだろう。
「刹那、無理に話さなくてもいい。君の中で整理がついたら話してくれればいいさ」
「すまない、ティエリア」
「ああ、構わない。警戒は必要か?」
あの様子を見た感じ、敵とは思えないが警戒が必要かもしれない。
だがそんなティエリアの考えを払拭するように、刹那は首を横に降った。
「いや、必要ない。そういう悪意を感じている訳ではない」
むしろ、何かしらの好意を感じられる程だと刹那は言う。
ティエリアはそれを聞いてそうか、とだけ答えた。
願わくば刹那の言う通り、彼が味方であればいいと思った。
「……だが何だ、彼から感じる違和感は」
一人になった刹那がそう呟く。
その小さい呟きは、誰にも聞かれる事なく消えていくのであった。