▲月=日
状況が落ち着いたので再開。
まずあの日、何があったのかを書こうと思う。
俺達は火星の後継者と決着をつけるべく、ワープやボソンジャンプで火星へと強襲をかけた。
最終通告をするも無視された為、武力制圧に乗り出した訳だ。
あちらも負けじと持てる戦力を全部出してきたのだろう。
北辰六人衆や積尸気は勿論、旧式であるマジンやテツジン、バッタまでも大量に展開してきた。数は正義である。
しかし残念ながらこっちはみんな一騎当千と言っていいメンバーが揃ったスパロボチームである。北辰六人衆以外の相手に負ける気はまるでしなかった。
俺も旋風寺財閥で作ってもらった新型武装もといブーストハンマーを装備してぶんぶんバッタを撃退してたし。
実際このまま何事もなければこちらの勝ちであったのだが予想外の乱入者達が現れたのだ。
ドラゴンである。
アルゼナル周辺にしか出ないと思っていたあのドラゴン達が火星に現れたのだ。しかもデカブツばっかりで。
この登場には火星の後継者達もびびっていた模様。
見境なしに暴れるドラゴン達のせいで三つ巴となってしまったが、ドラゴン達はアンジュやサリア達が向かい、撃退に成功していたのだが更にここで追加メンバーの到着。
ガーディムである。
先日現れた指揮官の男、グーリーも来ておりソウジさんとハイスピードバトルを繰り広げていた。
という感じで火星は四つ巴の大決戦という有様になってしまった訳である。
だけどさっきも書いたが、こっちも戦力アップに成功していたおかげで、最初はドラゴンを撃退。
次にソウジさんがグーリーを叩き落してガーディムを撃退。
そして北辰をアキトさんが倒して、火星の後継者終了のお知らせと言った所だ。
所がここからが問題だ。
火星の後継者は演算ユニットを持っていなかった。
これには俺も!?状態である。
原作だと持っていた筈なのに持っていない?訳が分からない。話によれば回収に失敗したとかなんとか。うーん、一体何があったんだ?
そんな時にまさかのドラゴン達が再び現れたのだ。しかもさっき撃退した以上の数を揃えて。
ドラゴンの群れの中にパラメイルが一機いたようだが、そちらを気にしている余裕はすぐになくなった。
何せ黒いヴィルキスが六機も現れたのだから。
敵か味方か分からない状態に加えて、俺はメタ知識と知っている事があったからすぐに正体がなんとなく気づいていたがそれを気にする余裕はない。
加えて歌が聞こえてきた。
そこからの黒いヴィルキスからの攻撃に、全員が容赦なく晒されてしまいしっちゃかめっちゃかな状態になってしまった。
そしてドラゴンの攻撃も入って、大ピンチに陥ってしまった。
撤退しようにも無数のドラゴンの群れによる無差別攻撃、黒いヴィルキスの攻撃を彼等のちょうど真ん中で受けてしまった俺達は撤退する事もままらなかった。
なかったんだが、ここで女性の声と共に空間が歪み転移させられてしまったのだ。
そう、赤い地球に……。
▲月@日
昨日の続きだが、俺達は転移させられた。演算システムと一体化していたユリカさんの手によって赤い地球へと。
こっちはまさかのハサウェイ達の世界である。
そして目の前には戦闘状態に陥っていた地球連邦とネオ・ジオンがいたのだが、そこにまさかのガミラス襲来である。
地球連邦とネオ・ジオンを横から撃破してこっちに襲い掛かってきたのだ。
つーか、どうしてお前等がいるんだよ、と思ったが次元断層脱出時にこっちを味方ごと撃って来た連中だと判明。
そうなるとあの時、俺達が舞人達の世界に飛ばされたあの時にこっちに飛ばされていたのか、あいつら。
状況を掴む為に離脱しようと思っていたんだがガミラスとなれば話は別である。というかこっちの世界にまで迷惑をかける訳にもいかないし、応戦決定である。
んでガミラスは木星帝国のMSを出してきたのだが、その先頭にクロスボーン・ガンダムX2があったのだ。
ええええ!?って感じである。しかもパイロットは変わらずザビーネである。お前、死んだんじゃなかったのかと言いたくなったわ!
なんというかクロボンのパイロットって死ぬような状況になっても生きて帰って来るのがお約束なんですかね……?
しかしこう言うのもあれだが、戦力がパワーアップした今のメンバーならガミラスが相手でも問題なく撃退に成功してしまった。
いやー、ヤマトの火力は勿論だがナデシコBのグラビティブラストも強いし、ピンポイントでこっちを援護してくれるトゥアハー・デ・ダナンとプトレマイオス2改もいい仕事をしてくれる。
加えてマイトガインやザンボット3、ダイターン3みたいなスーパーロボット達もいるから突破は割と余裕だった。
そんな若干余裕のある戦場だったが、キンケドゥさんのX0VSザビーネのX2は凄まじい戦いだった。
機体は変わったがお互い手の内が分かっているライバル同士の戦いは、余人が割り込む余裕がないレベルだったよ。
まぁ、ガミラスが不利になったのを分かると撤退してくれたが。
うーん、ザビーネも生きているとは思わなかった。クロボン本編の最終決戦に何があったのやら。
で、戦闘後にようやく落ち着いて会話できたのだが一部空気が悪くなってしまった。
まぁ、転移直後だししょうがないか。
俺からすれば二回目所か三回目だしなんとかなるって。
って言ったら全員、ばっとこちらを見てきた。えっ、お前何言ってんの?って感じである。
あー、そういえばチトセとソウジさん以外に俺が転移者って事を話してなかったっけ。
そっちの説明にも時間がかかってしまったわ……。
ヴィヴィアンからは楽しそーって言われたし、まぁ、確かに楽しいのかもしれないな。
▲月?日
状況確認。
俺達が飛ばされた世界をそれぞれ新正暦世界、西暦世界、宇宙世紀世界と呼称する事になった。ヤマト世界は新正暦世界である。
で、今いるのがハサウェイやジュドー達の世界こと宇宙世紀世界。どうやらここもカオスのようである。
宇宙世紀ガンダムが中心なのは間違いないがフルメタに加えて、チェンゲとマジンガーが混じっている世界のようである。そして俺が危惧していたものもいたようだ。
それ即ちエヴァンゲリオン。セカンドインパクトという災害、そこから発生した赤い海。
どう考えてもヱヴァンゲリヲン新劇場版の方である。色々なフラグが立ってて怖いんだけどぉ!
しかしこちらの世界もどうも時間の流れが微妙に違うようだ。
俺の知っている歴史なら1年戦争終結後、7年後にティターンズが台頭しているがこちらでは13年とだいぶ違っている。
そのせいかZ、ZZ、CCAが短い期間で一気に発生しているようだ。
大体の状況説明が終わった後、次の俺達の行動についてだがテッサ艦長は連邦の良心であるロンド・ベルに接触する事を進めてきたが沖田艦長はこの世界の状況確認の為、独自行動を取る事になった。
スメラギさんも言っていたがこのメンバーが丸ごと、戦争に巻き込まれると色々とまずいしな。
という事で状況確認、そして補給の為に赤い地球へと降りる事になった俺達であった。
▲月<日
赤い地球……話には聞いていたが悲しい場所である。
生き物さえ住んでいない赤い海。海が干上がったヤマト世界の地球も相当だがこちらも酷い場所である。
加えて地球人同士の戦争で滅びそうとなれば、話したがらないのも当然か。
しかし真田副長がかなめと宗介を見て何か呟いていた。あの二人がどうかしたのだろうか?
▲月>日
この世界からの連邦軍から救援要請が入った。
駆けつけてみれば、そこにいたのはネェル・アーガマでありユニコーンガンダムである。
UCかと思ったがそれだけで終わらないのがスパロボ世界クオリティと言うべきか。
まさかのジェリドとヴァースキ大尉もといヤザンがいたのである。お前等も生きてたのか!?
色々な意味で凄い状況だが、ネオ・ジオンもまさかガミラスと組んでるとは思わなかった。
これは沖田艦長も激おこ案件である。
参戦した俺達だけど、無理なく撃退。そう簡単に負ける訳にはいかない。
こうしてロンド・ベルと合流。
悲しくも三つ目の世界でも俺達は戦いの渦に巻き込まれるようだ。
ヴィヴィアンに色々な世界を見るのは楽しい、と言ったが戦争に巻き込まれるのは悲しいものだ。
▲月<日
今日はみんなと街に来てみたが酷い有様である。
ガイン達も言っていたが完全に死んでしまっているようだ。
主要都市ですらこの状況に近いとなると、末期状態と言ってもいいかもしれない。
これを見ると西暦世界って平和な方だったんだなぁ。
▲月$日
いきなりだが地球連邦と戦闘になった。
まぁ、その、なんだ、スパロボ的にはいつもの事である。
連邦軍総司令部の部隊であるGハウンドから俺達異世界の部隊を引き渡せとの命令。
オットー艦長が突っぱねてくれたがネェル・アーガマに乗り込んでいたエコーズが艦を掌握。こっちに命令に従うように言ってきたのだ。
まぁ、肝心のダグザ中佐は乗り気じゃなかったようでアンジュと沖田艦長の言葉に反応し、バナージ達によって心を動かされたようで拘束を解いてくれた。やっぱりいい人である。
結局、戦闘になったがそこで援軍としてラー・カイラムとプル&プルツーに加えてカミーユとファまで駆けつけてくれた。
プルとプルツーは生きてたのか!であるがもう今更である。Gハウンドにブラン・ブルタークまでいるし。
しかしカミーユとファはどうやらロンド・ベルの一員ではなく独自行動を取っているようだがどういう事なんだろうか?
ジェリド、ヤザン、ブランの三人は確かに強かったがカミーユやジュドーに押さえ込まれていた為、余裕とは言わないが勝利。
困難な道のりになるが、大丈夫だろう。うん。
しかしカミーユとファは一体どうしたんだろうか?
アムロさん達の呼びかけを無視して去って行ってしまった。
また会える事を願っているような言葉を残していったから、これが別れという訳でもないようだ。
彼等の道と俺達の道が重なる日が来るのを願うだけである。
戦闘後の俺達は補給の為、ミスリルの基地であるメリダ島に向かう事になった。そこで少しでも休めるといいんだけどなぁ。
ああ、そうだ。千歳はどうしてるだろうか。
こうして世界の壁に挟まれていると分かると、無性に会いたくなる。
……千歳に会いたいなぁ。
如月千歳は何処かの戦艦の中にいた。
(多分、宇宙かな……?)
病院で拘束されてから、意識を失い五感を奪われた状態で運ばれていたがこの足が浮くような感覚は宇宙に違いない。
今は目を隠され、両手を拘束されてしまっているがそれぐらいは理解できていた。
暫く歩かされた後、何処かの部屋に入るとようやく目隠しを外された。
「ふむ、ようやくご対面と言った所かな」
「……貴方は」
目の前にいるのは白い服を来た初老の男。豪華……と言っていいか分からないが中央の椅子に座っている事から、この部屋の主であるのは間違いないだろう。
その横に似たような服を着た金髪の女が秘書のように立っているのも判断材料だ。
「ようこそキサラギ・チトセ。私はアールフォルツ・ローム・ハルハラス。超文明ガーディム、第8艦隊司令官である」
「……」
「ふむ。嫌われたようだな。が、まぁどうでもいい話だ」
返事をしない千歳の態度にどうでもいいような様子を見せるアールフォルツ。
その様子に顔を顰める千歳。
口遊びなどではなく、本当に千歳に興味がないようなのだ。
ならば何故自分を拉致したのかが理解できない。
前に翔から火星の後継者に転移者として狙われた事があると聞いていた為、自分を拉致したのは火星の後継者だと思っていたのだが違うようだ。
しかしガーディムとは一体……?
「さて、本題に入るとしよう。君達はイスカンダルを信じているのかね?」
「……?」
イスカンダルと言えば、自分達の地球に救いの手を伸ばしてくれたあのイスカンダルなのだろうか?
「君達、テロン人、ああ地球人だったかね。それは母星を救う為、イスカンダルに向けてあのヤマトという艦で出発した」
「……ええ、そうよ」
このまま口を閉ざす事も出来たが、イスカンダルの事を何か知っている様子を見て口を開く。
もしかして自分達が知りえない情報を知っているのだろうか。
「騙されている。と言ったら信じるかね?」
「え……?」
「これを見たまえ」
アールフォルツの言葉に驚くと同時に後ろのモニターに何かの映像が映し出される。
それは……。
「波動砲……の光……?」
ヤマトに搭載されている波動砲と同じ光が宇宙を貫き一つの星を撃ち貫いている様子であった。
その破壊力を知っている以上、貫かれた星の末路もすぐに理解できた。
次の瞬間に、大爆発を起こして宇宙の藻屑と消える星。
これは……いったいなんだと言うのだ。
「これが我がガーディムの星の末路だ」
「えっ、貴方達の星……?」
まさかの発言に驚愕する。
超文明と名乗っている彼等が母星を失っているとは思わなかったのだ。
「そう。あの忌々しいイスカンダル。奴等は我が星に攻め込み、あの武器を持って星を破壊したのだ」
「……!」
ここで騙されている、という発言をようやく理解した。
この映像が本当に本物ならば、あの救済は嘘の可能性が高いという事だ。
「君達の星は救われない」
その事実を目の前の男は突きつけてくる。
地球が救われない。
汚染されたあの地球はそのまま朽ちて行くのだと言われたのだ。
「だが我々にはそれを救う術がある」
そして目の前に出されるのは大きな飴。
自分達なら地球を救えるだと。
だから……。
「貴方達に手を貸せ、と」
「話が早くて助かる。そう、その通りだ」
「……」
イスカンダルは星を救わず破壊する者達。だから地球は救われない。
だが正体不明のこいつらに手を貸せば地球は救われる。
それは甘い誘惑。そして大きな毒である。
そんな誘惑に惹かれている自分がいる事にも気がついた。
「さて、返答を聞かせてもらおう」
だけど。
「断るわ」
「ほう。母星を見捨てるのかね?」
如月千歳は断った。
その誘惑を断ち切ったのである。
「それでも……私は信じている」
思い返すヤマトの旅路。
共に旅をした仲間達の事を。
折れそうになった自分を救ってくれた彼の事を。
「だから私は貴方達には手を貸さない。私はヤマトと共にイスカンダルに行くわ」
それが答えであった。
それを聞いたアールフォルツは。
「そうか」
心底どうでもいいと言った表情で答えた。
「ジェイミー一等武官」
「はい」
アールフォルツが次に声をかけたのは横に侍らせていた女であった。
女もまた淡々とした様子で答える。
「それの扱いはお前に任せる」
「お任せください」
まるで物の扱いを任せるような声色に悪寒が走る。
駄目だ、逃げなくては。
だが千歳が体を動かす前に、回りに待機していた女達が拘束してくる。
最初から分かっていた事だ。
ここは敵の拠点。逃げる術は……ない。
「さぁ、調教の時間よ」
「は、離して……!」
それでも逃げなければならない。
この目の前に立った女は間違いなく自分にろくでもない事をしてくるのだと、勘が告げているのだから。
「安心して。目が覚めれば貴女もまた立派なガーディム人となれるのだから」
嫌だ。
そんなものになりたくない。
「さぁ、眠りなさい」
「……!」
首筋に走る衝撃。
目の前が黒に染まっていく。
――ああ。
ソウジさん、ナイン、ロッティ、ヴェルト……ショウ。
ごめんなさい、もう……会えないかもしれません。
ごめんなさいショウ。貴方に告げる答えを返せないかもしれません。
……ごめんなさい。
全て黒に染まり、意識は暗い闇の底へと沈んで行った。