⑧ 小町の懺悔
アタシ達の出ていった後のコテージの中で…
「 雪ノ下さんと葉山さんには正直、失望しました…
死ぬ覚悟の苺ちゃんに貴方達の態度はなんですか? 偉そうに文句だけ言って… 今、貴方達は何してるんですか? お兄ちゃんが言ってましたよ…
『 苺は天才だ 』
って、その気になれば個人ランキングA級一位だって夢じゃない、そう言ってました
でも、それはスタミナ切れの心配がないトリオン体での話であって気持ちアタシより小さい苺ちゃんがどれだけ鍛えたってスタミナなんて早々身に付くものじゃないですよね? 」
そう小町ちゃんに言われて
「 ボーダーだから「 これ、ボーダーの仕事じゃないですよね? 相手は近界民じゃないしそもそもボーダーって軍でも警察でもはないんですよ?
雪乃さんと葉山さんのお二人の立場なら知らない訳ないはずですっ! 」 」
団子の言葉を遮りそう叫ぶ小町ちゃんに
「 え、それじゃあボーダーって一体ナンなのさ? 」
そう三浦に聞かれた小町ちゃんは
「 ボーダーはあくまで民間企業でしかないし職種は警備会社みたいなもの… 対近界民の
『 ランク戦をネットで公開してるから一種の格闘技団体とも言える 』
ってお兄ちゃんは、苦笑いしながらそう言ってましたけどね…
だからボーダーの隊員の人達は自衛隊や警察の人みたく公務員…って訳じゃないんです
隊員の人達、苺ちゃんも民間人なんですよ? 黒トリガー持ちなだけで
だのに苺ちゃんが生き残るために言った事、すべき事も小学生を落ち着かせることも何もしてないじゃないですか? 」
そう言われて三浦が
「 なのに、なんでそんなあの子はそんなボーダーに入ったんよ? 」
その小町ちゃんにとっ一番ツラい質問に
「 小町のせい、なんです… 小町が苺ちゃんの最後の居場所を潰したから… 居られなくしちゃったから
正直言って小町、あの頃は結構苺ちゃんを恨んでましたから… 苺ちゃんがあの時転ばなきゃ… そもそも苺ちゃんがアタシ達の法事出席を望まなかったらお父さんは死ななかったしお母さんも片足を失わなかった
そう思っちゃうのをどうしても止められなかったんですよね… 」
過去を振り返りながら話す小町ちゃんは更に
「 苺ちゃんもその事を苦にして、最初はお母さんに引き取られるのを断って三門の施設に入るの一点張りだったそうです
だけど、苺ちゃんには三門にも居場所は無かった… いいえ、三門の方こそ居場所が何処にもなかったんですよ
当時、三門ではまことしやかに 『 トリオン量子の高い子が狙われ、側に居た者はその巻き添えで襲われたらしいって… 』
そんな噂が流れたそうで、今でもボーダー最高の数値のトリオン量子の苺ちゃんは当然、当時の三門の人達の恨みを相当に買っていました
憎しみの象徴みたいになっちゃたから三門にもいられなくなっちゃってたんですよね…
でもですよ? その噂が本当だとしてもそれって苺ちゃんが悪いんでしょうか?
もちろん、その当時は小町もお兄ちゃんもそんな事は全然教えてもらってなくて… だからつい友達言っちゃったんですよね
小町達のお父さんが死んだのは苺ちゃんのせい、みたいなことを… そこから先は言わなくてもわかりますよね? 」
泣きそうな顔しながら懺悔のように話を続ける小町ちゃんは
「 あの時、小町達のお父さんが苺ちゃんの目の前で死んじゃって… 黒トリガー手に荒れ狂っていた苺ちゃんを落ち着かせて助けてくれてからはずっと苺ちゃんにボーダー入りを勧めてくれていた忍田さんって人
あの人はその事態を予見していて、苺ちゃんをずっと心配してたんでしょうね… そして居場所を失った苺ちゃんは忍田さんの誘いを受け入れて学校には通わず
夢だったマジシャンの修行も欠かさずにしていたそうですし
ボーダー本部でボーダー修行の傍らに勉強や料理とか色々学んでスッゴいチートな子になっちゃったんですよね
一人で留学して、知らない国で一人で勉強してたって聞いてます
元々、対人関係に難のあった苺ちゃんを更に人嫌いさせちゃいましたから…
今は帰国して日本の中学にも一応在籍してるけどアメリカの大学院生、鉱物学の博士号も持ってるんですよ
まぁ、苺ちゃんが持ってる黒トリガーがあってこそ可能な事なんですけどね?
だから苺ちゃんはもう日本を離れ、戦いから離れても生きていけるけど比企谷家に対する負い目に縛られ通う必要の無い中学にも通ってる
近界民に対してなら… 苺ちゃんも相当恨みを持ってるから近界民相手なら戦う理由はあるけどこの戦いに命を掛ける理由は…
やっぱり小町に対する負い目だけでちょっとルールを破ってトリガーを起動すれば… トリオン体になれば怪我しないのにそれすらしないで死を口にした
前にお兄ちゃんに言われたんですよね
『 苺は死を望んでいる 』
って… だから何度も… そう何度も遠征には参加してるし防衛任務も常に先頭を切って突っ込んでるって…
そんな苺ちゃんの何がわかるんですか? 小町だって理解してあげられ… いえ、理解しようとしなかったのにですよ? 」
そう言われて
「 戸部、消火器集めておきな… あーしは姫菜と発煙灯とトイレの消臭スプレーが柑橘系の香りだったから集めてくるから結衣と小町ちゃんだっけ? 小学生達を見守ってろし 」
そう言って駆け出したそうです
この世界ではA級のランク戦とB級は視聴者の要望があった試合はネット公開されていると言う設定です