イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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大変遅れてしまい申し訳ございませんでした。作者このところ忙しくてですね······(言い訳)

まぁほぼテスト勉強とFGOだったんですけど。


最近ネタが尽きてきてるせいで辛い······やっぱり思い付きで書き始めると後が大変······



第102話 幕間:独白

 

 

 

 

八幡side

 

 

 

クルル『八幡は······こんな(わたし)でも、一緒にいてくれるの······?』

 

 

 

クルルにプロポーズした時。クルルにこんなことを言われた。俺は、クルルじゃないと嫌だ。俺はクルルがずっと側にいて欲しいんだ、と言ったっけか。子供みたいな言い分だが、それは今でも変わらない。それは俺という存在が完全に消滅しても変わらないだろう。

 

 

クルル『······本当に?』

 

 

八幡『当たり前だろ。嘘言うわけないっての』

 

 

恋人になって一年くらい経ってからのことだったか·······その時はまだ俺は領を持っていなかったため、幼少期を過ごしたグレモリー領に戻って、戦争の事後処理をしていたサーゼクスやセラフォルーの手伝いをしていた。

 

この時、サーゼクスを魔王として輩出したために後継ぎがいなくなったグレモリー家に養子として入って次期当主になってみないか、という話をヴェネラナさんから持ち掛けられていたりもする。結局、それは政治的な問題で立ち消え、リアス・グレモリーが生まれるまでは分家の一人に仮決定となったのだが。

 

 

八幡『······もう一度言わせてもらうけど、俺がクルルの隣にいてもいいか?』

 

 

クルル『八幡───そんなの、当たり前じゃない······!!』

 

 

 

俺が在るのはクルルがいたからだ。クルルがいなければ俺はあの時お袋や親父、小町と一緒に殺されていただろうし、仮に助かっていたとしても、復讐に走って何処とも知れぬような場所で果てていただろう。

 

 

故に俺がクルルを裏切るようなことはしない。仮に、他の誰がクルルを裏切ろうとも、俺はクルルから命を貰ったのだから───

 

 

 

八幡sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クルルside

 

 

 

四鎌童子『────お前のせいで·······!!』

 

 

 

私はさっきの戦闘での最中四鎌童子が口にしたことが頭の中で堂々巡りを繰り返していた。

 

 

────ルシフェル様はまだ隠していることがある。

 

 

これだけは疑いようがない。四鎌童子が嘘をついた可能性も捨てきれないが、あのタイミングであの表情が演技だったとしたら敵ながら大したものだ。敵でなければ普通に賞賛している。

 

何せ、後少しで私が首を刈ろうとした時に出た言葉だ。だが、命欲しさに出任せを言ったようには見えなかった。四鎌童子が私に刃を向ける理由は、『憎悪』。この一点だけだったから。

 

 

 

四鎌童子は自分が私の父の姉だと言った。やはりルシフェル様の話と噛み合わない。ルシフェル様は、私は母の手一つで育てられた、と言っていた。

 

私は物心ついた時には『帝ノ月』にいたから、赤ん坊の時に死別したと言うなら辻褄が合うが······それならルシフェル様が、私の父に会ったことはないと語ったことは嘘になる。

 

 

ならばルシフェル様の嘘はどこから────

 

 

 

八幡「······()···()·······クルル!!」

 

クルル「······え?」

 

八幡「え? って······大丈夫か?」

 

気付いたら八幡が目の前におり、私の肩を掴んで揺すっていた。

 

私は休んでいるよう言われて先にホテルに戻っていた。八幡は私を先にホテルに送ってから、ギャスパーや黒歌、それにヴァーリや今回待機していたクロウ達に休むよう言って、それから一人吸血鬼側の事後処理に混ざっていた。

 

八幡が戻って来た、ということは作業が一段落ついたのだろう。

 

 

クルル「···えぇ。ごめんなさい、ちょっと混乱してて······」

 

深呼吸して精神を落ち着かせる。仙術もリラックス効果があるがそれは他者に対してのもので、使用者への効果はほぼない。そも、仙術は使用者の精神状態に大きく左右されるものなので、今の私が使えば逆効果になり得る。

 

深呼吸で落ち着きを何とか取り戻した私だったが、八幡の次の一言で再び平静でいられなくなる。

 

八幡「······もしかして、いやもしかしなくても四鎌童子のことか?」

 

クルル「ッ!! 四鎌童子は自分のことを───」

 

私の言葉を遮って、八幡が口にした。

 

八幡「クルルの叔母······」

 

クルル「······!?」

 

その言葉で完全に平静を保てなくなり、私は八幡の胸ぐらを掴んで押し倒していた。

 

クルル「知っていたの······!!!?」

 

八幡「グッ······いや、俺もさっき知った。アシェラに手伝ってもらって何とかお袋から聞き出せた」

 

八幡が呻き声を出すが、何とか落ち着きを取り戻した。

 

クルル「······そう。義兄さんが······」

 

私は掴んでいた手を離して、立ち上がった。八幡は頭をさすりながら立ち上がる。私が押し倒した時に打ったようだ。私はやりすぎたらしい。

 

クルル「······ごめんなさい八幡。取り乱しすぎたわ」

 

八幡「いや、俺も軽率だった。すまん」

 

私が謝ったのに、結局八幡の方が申し訳なさそうにしていた。

 

 

八幡「それは単に俺が謝るべきだと思っただけだよ」

 

やはり私の考えることは八幡に筒抜けらしい。八幡はベッドに腰掛けると、自分の横を叩いた。座れ、ということらしい。素直に頷いて座ると、八幡は嘆息して更に口を開いた。

 

八幡「······クルルには全部話すよ。まぁ隠そうとしても無駄だが」

 

 

 

 

私は、自分という存在がどういうものなのかを改めて知ることになった。

 

 

クルルsideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒歌side

 

 

ヴァーリ「······どうかしたのか?」

 

黒歌「ん〜、ちょっといい?」

 

ヴァーリ「まぁいいが」

 

黒歌「おじゃましま〜す」

 

 

 

『クリフォト』の馬鹿共が帰り際にばら撒いていったドラゴンもどきの鎮圧が終了して暫し経った頃。私は一人ヴァーリに割り当てられた部屋を訪ねていた。

 

ヴァレリーがギャスパーと一対一で話したいことがあるらしく、部屋を抜けて来たのだが、偶々隣の部屋がヴァーリの部屋だったのでここにいようと思ったのだ。ヴァーリは何故かコーヒーに関して(厳密に言えばコーヒー豆とかカカオ豆とか···)は矢鱈凝っているので、久々に飲んで一息つこうと思っただけである。

 

 

ヴァーリ「······どうして態々俺の部屋に? 黒歌の部屋は隣だろう?」

 

ヴァーリはコーヒーを淹れながら聞いてくる。

 

黒歌「ヴァレリーがギャスパーと2人で話したいんだって。白音が何処に泊まってるのかも聞き逃しちゃったから他に行くとこも思い付かなかったし。後はコーヒー淹れてもらおうかなっと」

 

ヴァーリ「後者が本音な気がしないでもないが······まぁコーヒーくらい出すさ」

 

尚、私に八幡とクルルの部屋に行く勇気はない。あの2人は2人っきりになった時のイチャつきっぷりがヤバい。偶々目にした時は、私でも見ているだけで砂糖が······

 

ヴァーリ「······ヴァレリーについて父さんと母さんは何か言ってたか?」

 

ヴァーリが両手に1個ずつマグカップを持って椅子に座る。片方を私の前に置き、もう片方はテーブルに置かずに口を付けた。

 

黒歌「今のところは特には。ギャスパーに任せるくらいしか言ってないにゃん」

それは何となく予想してた通りだけど······すんなり行くかしらねぇ。

 

ヴァーリ「······そうか。まぁギャスパーがどうするかは分かっているんだろう?」

 

黒歌「もちろん」

 

 

 

ふーふーしながらヴァーリが淹れてくれたコーヒーを飲む。私もコーヒー淹れることはあるけど······こいつに勝つのは無理だわ。何でだろ······

 

ヴァーリ「相変わらず猫舌なんだな」

 

ヴァーリがテーブルにマグカップを置いて言ってくる。

 

黒歌「あちっ···仕方ないでしょ。私猫だし」

 

ヴァーリ「その理論でいくと父さんはどうなる······」

 

黒歌「そんなん知らないわよ」

 

八幡は私より猫舌だったりする。だからコーヒーが冷めるまで待っていたりするが、ヴァーリは淹れたてを飲ませたいらしい。淹れたてが一番美味しいのは同感。熱くてほとんど飲めないけど。

 

 

 

 

 

ヴァーリ「······ずっと気になっていたんだが······」

 

黒歌「何よ」

 

やっと普通にコーヒーが飲めるようになってきた時。ヴァーリは不意に呟いた。

 

ヴァーリ「黒歌は2人を父母と呼ばないんだな」

 

黒歌「············」

 

 

確かに、私は2人のことを親として認識していると思う。今ある居場所は八幡がくれたものだし、戦闘技術も八幡を初めとした皆が鍛えてくれた。家事とか教養とかはクルルに教えてもらった。私にとっては白音以外に初めて寄り添ってくれた人達······

 

でも·······

 

黒歌「未だに私はギャスパーに話せてない······」

 

 

私はギャスパーに話していないことがいくつかある。ギャスパーは、私と白音は両親を事故で失った()()()知らない。

 

私は未だに怖がっている。本当のことを話したら、ギャスパーが離れていくのではないのかと。頭では分かっている。ギャスパーが私を拒絶するこもなんて有り得ないことくらい。

 

実際、私が成り行きで八幡の眷属になった時に事に関わっていた面子は知っているし、ヴァーリは以前偶々知ることになった。それでも皆私にも分け隔てなく接してくれている。ギャスパーだってきっと変わらずに接してくれるのは分かっている筈なのに······

 

ヴァーリ「······そうか。すまない、今のは軽率だった」

 

ヴァーリは目を伏せて言う。

 

黒歌「別にいいわよ。私の思い過ごしなんだし······」

私は少しでも早くこの空気を払拭したくて強引に話を切りたかった。

 

 

あの2人を親と呼ばない理由······それは私は八幡とクルルを、父と、母と、呼ぶことに負い目を感じてしまうから。ギャスパーに話せて、初めて皆と家族になれると思ったから······

 

 

ヴァーリ「······まぁ、ギャスパーも何となくだが察している筈だ。黒歌が話してくれるのを待っているよ」

 

黒歌「······うん」

 

そこで、ヴァーリは何かに気付いたのか部屋のドアに目を向けた。

 

ヴァーリ「···と王子様が迎えに来たぞ」

 

気配を探れば、ギャスパーがすぐそこまで来ていた。話は終わったらしい。

 

黒歌「ん。ありがと。コーヒーごちそうさま」

 

ちょうどコーヒーも飲み終わったのでここいらでお暇しよう。

 

ヴァーリ「ああ。お粗末さま」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギャスパー「······お兄様と何か話してたの?」

 

黒歌「·······別に大したことは何も話してないにゃん。ただギャスパー可愛いなぁ〜って2人して言ってただけ」

 

ギャスパー「可愛いって······僕もうそんな歳じゃないんだけど······」

 

黒歌「アハハ、ごめんごめん。つい本音が」

 

 

まだ、話せそうにない。でも、いつか覚悟を決めなきゃ。きっとギャスパーも待っているんだから。

 

 

 

黒歌sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァーリ『······ああそうだ。一つだけ言おうと思ったことがあったんだった』

 

黒歌『······?』

 

ヴァーリ『黒歌、最初は俺も姉さんもそうだった。話すことが怖かった。話したら拒絶されるのではないかと。またあの場所(くるしみ)に逆戻りしてしまうんじゃないかと。

 

だが、あの2人は変わらず俺を、姉さんを愛してくれた。血が繋がっていないのに。父親が誰かも分からないカルナだって、あの2人は何事もなかったかのように抱き上げてくれた。

 

俺が自分の境遇をギャスパーに話した時、ギャスパーはこう言った。自分も同じだ、と。自分も最初はお父様とお母様が······あとお兄様も怖かった、と』

 

黒歌『そんなことが······』

 

ヴァーリ『ああ。最初から本音を吐露出来る奴なんていないさ。お互いを理解して信じ合うには膨大な時間がかかる。黒歌、今すぐの必要はない。いつか、必ず、でいいんだ』

 

 

黒歌『······そう。ヴァーリ、ありがと。少し楽になったわ』

 

ヴァーリ『ならよかった。俺の話が意味を持つならそれで十分だ』

 

 

 






24巻読みました。

ストラーダ猊下強すぎだろ···········あれで人間なのか?


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