イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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第103話 幕間:続、独白《強がり》

 

 

 

ギャスパーside

 

 

 

ギャスパー「······遅くなってごめん。久しぶりだね、ヴァレリー」

 

ヴァレリー「ええ、久しぶり、ギャスパー」

 

ヴァレリーが2人だけで話したいことがある、というので申し訳なく黒歌さんには一旦外に出てもらい、2人で対面して備え付けのテーブルを挟んで椅子に座った。

 

ヴァレリー「······朧気だけどずっと見てたわ。強くなったのね、ギャスパー」

 

ギャスパー「うん。少しはね······僕も護りたい人が出来たから」

 

今日、ロキを撃退しリゼヴィム(ゴミ)と戦闘をしたわけだけど、戦果は思わしくなかった。ロキには逃げられるし、奴にはほとんど攻撃を与えられなかった。その上、暴走しかけた。あの時お母様が来なければ間違いなくルーマニアを吹き飛ばしていた。

 

ヴァレリー「それって、黒歌さん?」

 

ギャスパー「······うん」

 

大好きな人。一生隣にいて欲しい、というのは流石に僕の思い上がりかもしれないけど。

 

 

ヴァレリー「······ギャスパー、私ね。貴方には謝らないといけないと思ってるの」

 

ヴァレリーは唐突にそう言った。そして、その目には強い後悔が現れていた。

 

ギャスパー「何で······?」

 

困惑する僕に、ヴァレリーは続けた。

 

ヴァレリー「私ね、心の奥底でずっと言っていたの。気付いて、助けて──ギャスパー、って。私、嬉しかったわ。ギャスパーが助けに来てくれた。私の願いが叶ったんだって。でも······」

 

ギャスパー「ヴァレリー、僕は······」

 

ヴァレリーが次に何を言おうとしてるのか···いや、ヴァレリーが()()僕に対してどう感じているか、僕は分かっている。だから言葉で表すしか······

 

ヴァレリー「分かってるわ。でも、思ってしまうの。ギャスパーには今の生活があるでしょう? そこに今まで居なかった私は───異物なんじゃないか、って。分かってるのよ、ギャスパーが私のために遠い国から来てくれたことは。でも、ギャスパーには家族がいて、好きな人がいて······」

 

ギャスパー「······ヴァレリー」

 

僕は考えが甘かった。今の僕とヴァレリーでは自分が置かれている状況が全く違う。人は皆それぞれ価値観が違うのだから、他者の見方は当然人それぞれ。

 

僕は、ヴァレリーが新しい生活をすんなり受け入れられるものだとばかり思っていた。突然違う環境に身を置くことになれば、困惑するのは当たり前だ。自分が邪魔者なのではないか、と勘繰ることだってある。

 

 

自分がそうだったじゃないか······

 

 

ヴァレリー「······ギャスパー?」

 

僕は立ち上がり、ヴァレリーの隣に行くと、ヴァレリーを自分に抱き寄せた。

 

ギャスパー「······ごめんヴァレリー、君のことちゃんと考えられてなかった」

 

ヴァレリー「ギャスパー·······」

 

ギャスパー「僕は······ヴァレリーのことも好きだよ。ヴァレリーは自分のこと邪魔者扱いしてたけど、僕の初めての家族はヴァレリーで、今でもそうだよ」

 

でなかったら、こんな所まで来ない。どういう意味で好きなのか、と言えば家族としてllikeなのだと思うけど。

 

 

 

·······家族を、家族が好きでもなんでもないなんて、そんなの悲しすぎる。だからこれからは───

 

ヴァレリー「っ······ありがとうギャスパー。何だか、うじうじしていた自分が可笑しくなってきたわ」

 

ギャスパー「······うん。それなら良かった」

 

 

ヴァレリーから離れてまた椅子に座ると、ヴァレリーは僕の頬にそっと手を触れた。

 

ヴァレリー「ふふふっ、よく見たら昔と全く変わってないわ」

 

ギャスパー「それはそれで思うところあるんだけど······」

 

昔と比べたら、力もついたし身長も伸び······た筈。

 

 

ヴァレリー「ごめんなさい。音が変わってないな、って思ったのよ。

·······ギャスパー、私はまた貴方のお姉ちゃんでいれる?」

 

ギャスパー「もちろん。ヴァレリー、これからもよろしく。

······これからは姉さんって、読んだ方がいいかな」

 

あっ、でもお姉様との区別はどうしようかな。お姉様と姉さんで区別? でもそれ何か変だし·······名前を前に置いた方がいいのか······

 

ヴァレリー「あら、呼んでくれるの?」

 

 

ギャスパー「······姉さん」

 

まぁ······それを考えるのは後でいいかな。今は取り敢えず姉さんと呼ぼう。半分冗談みたいなつもりだったけど。

 

······って、これ言ってみると以外と慣れないし、思ったより恥ずかしい······

 

ヴァレリー「ギャスパー······!!」

 

ギャスパー「んぐっ」

 

何故か感極まったヴァレリー······姉さんに抱きしめられた。テーブルを挟んでだから首がっ!!

 

ギャスパー「いだだっ!! ヴァレリー、首!! 首!!」

 

ヴァレリー「あら、ごめんなさいね」

 

お、折れるかと思った······折れても大したことないけど。

 

ギャスパー「ちょっと勘弁してよヴァレリー······流石に痛いって今の」

 

涙目で首を擦る。

 

ヴァレリー「あら? 姉さん呼びは?」

 

ギャスパー「話聞いてないし······姉さん」

 

 

······あ、そろそろ黒歌さん呼びに行こうかな。まだヴァレリーが話したいことがあるなら別だけど。

 

 

ちなみに、ヴァレリー······じゃなかった。姉さんは満足したみたいだけど、このくだりを黒歌さんを呼びに行くまでに後2回繰り返した。首が痛い······

 

ギャスパーsideout

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

 

 

ギャスパーの迎えが来て黒歌が帰った後、俺は父さんと母さんの部屋に来ていた。

 

理由は······色々あるが、目下相談するべきなのは、ユーグリット・ルキフグスと名乗った俺を襲撃した男のこと。それに······奴から『コマチ』と呼ばれていた少女のこと。

 

 

ヴァーリ「父さん、入っても······どうかしたのか?」

 

何やら、こちらの部屋は重苦しい空気で満ちていた。まさかこんな所で夫婦喧嘩になったわけでもあるまいし···

 

八幡「······ああ、いや何でもない。入っていいぞ」

 

ヴァーリ「あ、ああ······」

 

 

······心做しか2人とも表情が暗いな······来るタイミングを何か間違えたのだろうか?

 

 

八幡「······んでヴァーリ、態々どうしたんだ?」

 

ヴァーリ「ああ」

 

俺が指を鳴らすと亜空間に閉じ込めておいたユーグリット・ルキフグスがこの場に現れた。無論、何をするか分からないため気絶させてある。それに、『魔の鎖(グレイプニル)』による拘束も抜かりない。

 

ヴァーリ「······先ほどこの男に襲撃された。この男、ユーグリット・ルキフグスと名乗ったんだが······父さん、ルキフグスは『殲滅女王(クイーン・オブ・ディバウア)』を残して滅んだのではなかったか?」

 

『サングィネム』にあるうちのデータベースでもそうなっていた。2人が何らかのデータの隠蔽を図るとは思えない。これと言ったメリットがない。情報の偽装ということに関してはデメリットならあるが。

 

ユーグリット・ルキフグスというのは三竦みの戦争で戦争時行方不明扱いになって死亡したことになっている、グレイフィア・ルキフグスの実弟だ。

 

八幡「ユーグリット······確かグレイフィアの弟だったな。俺も生で見るのは始めてで、死亡したことしか知らなかった。確か、二天龍の争いに巻き込まれて行方不明になった筈なんだが······」

 

父さんがクルルはどうだ?、と母さんにも尋ねたところ、母さんも首を横に振るだけだった。

 

行方不明の原因が二天龍か。二天龍を封じた父さんと敵対し、そのうちの白龍皇の神器(セイクリッド・ギア)を宿した俺に、レプリカの赤龍帝の神器を持って俺に奇襲をかける······自分や俺達への皮肉なのか、過去やらを払拭したかったのかどうかは分からない。意趣返しかもしれない。

 

ヴァーリ「······日本に戻ってから、アジュカに引き渡そうと思うのだが」

 

魔王の中で一番信用出来るのは、ディオドラの兄であるということを加味してもアジュカだ。サーゼクス・ルシファーやセラフォルー・レヴィアタンは全く信用に足らないわけではない。父さんや母さんの旧知の仲だしな。だが、俺は今ひとつ現魔王ルシファーとレヴィアタンを信用出来ない。尤も、アスモデウスは全く信用など出来ないのだが。

 

八幡「······ああ。分かった」

 

 

俺はこの男に襲撃を受けたこと、この男がレプリカの赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を所持していたことを話した。

 

 

 

そして、『コマチ』と呼ばれた少女と戦闘があったこと、その少女が母さんの母親である666(トライヘキサ)とほとんど同質の力を持ち、揮っていたことを······

 

 

クルル「3年前のあの事件の時、あのゴミが墓を掘り返した······!?」

 

八幡「······小町が······」

 

 

憤りを見せる母さんとは反対に、父さんは悲痛な面持ちだった。

 

 

 

その後、俺は細かい報告を済ませると、早々と2人の部屋を跡にした。

 

 

何となく、俺はこの部屋に居づらさを感じてしまっていた。父さんと母さんの間に流れる雰囲気に妙な居心地の悪さを感じていたのだ。いつもなら夫婦の邪魔をしたくない、といったものが今は全くの逆の意味で。そしてそれはギャスパーや黒歌も同じだった。一緒に帰国したヴァレリーも、その雰囲気を何となく感じていたようだった。

 

 

俺やギャスパー、黒歌がその原因を知ったのは、俺達が帰国して数日経ってからのことだった。

 

 

ヴァーリsideout

 

 





時系列的に言うと
102話→103話→101話です。

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