イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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皆様あけましておめでとうございます。この駄文が如き作品は1歳歳をとりました(旧暦は1月1日で1歳年を取ります······まちがってたらごめんネ!!)。





第105話 幕間:ヴァレリーという少女

 

 

 

 

ヴァレリーside

 

 

 

 

どうも皆さん初めまして。ヴァレリー・ツェペシュと申します。突然ですが、少し昔話をさせてください。あまり良いものではないのですが。

 

 

私は元々ルーマニアの吸血鬼領でツェペシュ家当主と人間の母の間に生まれました。物心つく前から年下の従兄弟のギャスパーと一緒にいましたから、本当の姉弟のように可愛がっていました。

 

本当に可愛いんですよ。今でもですけれど。あ、それを言うとギャスパーに姉さん呼びされなくなってしまうので複雑なところです。ギャスパーは反抗期なのでしょうか······いえ、きっと照れ屋さんなのでしょう。

 

 

話を戻します。私は、私、人間の母、ギャスパーの3人で暮らしていました。人間である母とハーフである私とギャスパー。周りから差別されることも多々あり、飽きるほど辛い経験はしました。それでも、母とギャスパーがいて私は幸せでした。

 

母が病死するまでは────

 

 

 

 

 

 

偶々アイルランドから妹(ギャスパーのお母様)とルーマニアに旅行に訪れていた際運悪く吸血鬼に拉致され2人とも慰み者とされました。そして、私とギャスパーが生まれます。

 

元々あまり体が丈夫ではなかった母。ただでさえ気候が厳しいルーマニアの僻地で私を生み、私と、生後間もなくして母親が亡くなったギャスパーを差別や偏見に耐えらながら女手一つで育てていました。その心労は計り知れないものです。

 

 

無理が祟り、母は病を患ってしまいます。きっと今の医療技術なら治療出来たものでしょう······しかし、母は禄な治療も受けられずに亡くなりました。

私は子供ながらにして絶望の淵に立たされました。私もギャスパーも子供。私は当時8歳、ギャスパーは5歳でした。母が亡くなった時のことは今でも鮮明に覚えています。子供ながらに、二度と母が目を覚まさないことを理解したことを。

 

 

 

母が亡くなった次の日。空腹に耐え凌ぐしかなかった私達のもとに、数人の男性が訪れました。

ここから私達の本当の絶望が始まりました。

 

 

 

私達は突如数人の男性によりツェペシュの本城に連れてこられました。何故連れてこられたか分からない私とギャスパー。私の服をちょこんと掴んでいたギャスパーは眠い目を擦っていました。

 

そして、そこにはツェペシュの当主でいました。私の血の繋がった父親です。その人は言いました。『お前達の力は危険だ。我々で管理する、と』

 

私は自分に不思議な力──神器(セイクリッド・ギア)が宿っていることを自覚していました。どうやら、遊んでいた時ギャスパーの怪我を神器で治したことを目撃されていたようなのです。

 

 

 

 

 

 

────私達はお城の地下に幽閉されました。そこには、私達以外にも何人か同年代くらいの子がいました。

 

 

お城の地下に幽閉された私達は、道具として扱われました。管理なんて建前。首輪に手枷に足枷を繋いでストレスの発散に使われたのです。日夜暴力を受けていました。ギャスパーは多分知らなかったでしょうが、時には性的な暴力も······

 

 

 

そんな日々が2年近く続き、肉体的にも精神的にも限界だった私はルーマニアからの脱出を企てました。

 

最後の力を振り絞って、何度も計画を練りました。必死に、誰にも悟られないように。

 

 

 

 

結果、計画は成功しました。()()()()()()ツェペシュの城下町の外まで逃がすことに成功したのです。私が計画していたのは自分の脱出計画ではありません。ギャスパーを脱出させる計画です。

 

 

そして、ギャスパーが吹雪の中に姿を消した直後、私は捕まり、再びあのお城の地下に幽閉されました。それから暫くは、記憶があやふやでほとんど思い出せません。

 

 

 

 

 

 

 

再び記憶がはっきりするようになったのはつい最近。私が玉座につくようになってからです。

 

 

マリウスお兄様は私に言いました。私が玉座につき、吸血鬼を統べる王となれば、差別や偏見のない、誰も傷つくことのない国になると。私はそれを信じて行動しました。私は本当は分かっていたのです。差別や偏見がない世界も誰も傷つくことのない世界も夢物語でしかないと。

私はそれでも精一杯王としてルーマニアをよくしたい、と思いました。王として国を納めれば、どこにいるかも分からないギャスパーの耳に届くかもしれない。そう思って────

 

 

裏で何が起きていたのかなどつゆほども知らずに·······

 

 

 

 

 

ある日、レジヴェムという銀髪の初老の男性がマリウスお兄様を訪ねてきました。話を聞くと、お兄様の神器の研究に協力しているそうです。その人はティリネという金髪の女性と、コマチという黒い髪の女の子を連れていました。家族だとか。

 

 

レジヴェムさんは、私が持つ神器に、強い興味を持っていました。なんでも私の神器は神滅具(ロンギヌス)の一つである『幽世の聖杯(セフィロト・グラール)』であるらしく、データを取らせて欲しいと言いました。

 

私は拒否する理由もなく協力することにしました。この頃からです。自分の意識が突然ぼやけたり、死んだ方々と会話が出来るようになったのは。レジヴェムさんによると、それは王としての責任感から疲れているからだそうです。幻視、幻聴だそうです。

 

 

 

 

そうしてレジヴェムさんがルーマニアに滞在するようになって2ヶ月ほど経った頃。

 

 

なんと、ギャスパーが私に会いに来てくれたのです!!

 

 

······ギャスパーを脱出させてから7年が経っていました。あの頃のちっちゃくて可愛かったギャスパーは、成長して落ち着いた雰囲気を持っていました。

 

 

 

嬉しかった───私の行動が無駄にならなかったのだと、嬉しかった。ただ、ギャスパーは1人だけで来たわけではありません。ギャスパーは、特に隣にいた綺麗な黒髪の女性に全幅の信頼をよせているように感じていました。それが少しだけ······ほんの少しだけ寂しく感じました。

 

それでも、嬉しかったのは本当ですよ?

 

ですが、ギャスパーは私を見て一瞬だけ悲しい表情をしました。その時は私が王となったことに困惑したのだろう、と思いました。

 

 

 

 

遅れて来たギャスパーの''今の’’お父様とお母様である八幡さんとクルルさんとも出会いました。カーミラのお城に訪れていたそうです。

 

マリウスお兄様にお話したところ、お二人ともお話をする機会を設けていただきました。

 

 

 

お二人は私が知らないギャスパーのことをお話してくださいました。お二人にはギャスパー以外にも娘さんと息子さんがいるらしく、お孫さんもいるそうです。

 

そのお二人をギャスパーが姉と、兄と呼んでいること。お孫さん──カルナちゃんというそうです──とよく遊んでいること。

 

そして、最初に会った時ギャスパーの隣にいた黒髪の女性──黒歌さんは、ギャスパーの恋人なのだそうです。

 

当たり前ですが、全て私の知らないことです。

 

私は───寂しかった。淋しかった。ギャスパーが私の知らない、全く違う場所にいることを知ってしまった。私は、王として、ギャスパーがいつ帰って来ても笑えるような国にしようと私なりに頑張ったつもりだった。

でも、ギャスパーは新たに居場所を見つけた。もう新しい家族がいる。

 

 

きっと、もう、古い家族(わたし)はいらない───

 

 

 

少し考えれば、ギャスパーがルーマニアに来る理由が私以外にないことは分かった筈なのですが、何故かその時は全くその可能性に行き着きませんでした。

 

 

 

 

ギャスパー達がルーマニアに滞在して3日ほど経った日。私はマリウスお兄様に呼ばれて、ツェペシュのお城の地下の祭儀場に行きました。

 

私の神器のデータを研究に使うようで、広い場所が必要だそうです。

 

私は置いてある寝台に寝ます。どうやら、神器未発動時の波長のデータを取るのだそうです。

 

 

そして、私を囲むように魔法陣が展開します。その時でした。私の躯を激痛が走りました。

 

 

何らかのミスなのか。マリウスお兄様に術式を止めるよう助けを求めようとしても、助けて、という言葉を発せませんでした。激痛は増々強くなっていきます。

 

 

そして、何とかマリウスお兄様に顔を向けた時、私は全てを悟りました。

 

マリウスお兄様は────笑っていました。

 

 

騙されていた───それだけはすぐに分かりました。この人は私から神器を抜き出すつもりなのだ。神器を抜き取られれば、例外なく所有者は死にます。

 

神器とはごく稀に人が生まれながらにして持つ、()()宿った特別な異能。何らかの要因で抜き取られれば、所有者の魂は崩壊してしまいます。

 

 

既に声が枯れた喉から、最後にギャスパーの名前を呼びました。そしたら、ギャスパーに呼ばれた気がしました。それ以降の記憶はありません。ですが、何故か温もりを感じました。

 

 

 

 

次に意識を取り戻した時、私はギャスパーの恋人である黒歌さんに何故か膝枕されていました。

 

段々と意識がはっきりしてきて、ギャスパーと黒歌さんが何か話しているのが分かりました。ただ、ギャスパーにどう接していいか分からず、黒歌さんに寝たフリがバレた時も咄嗟に恋人の邪魔をしたくない、と誤魔化してしまいました。

 

 

 

その後、私の身柄はギャスパー預かりとなり、ギャスパーと共に日本に行くことになりました。その直前、私はギャスパーに自分の本音を全て吐き出しました。自分はギャスパーといていいのか、邪魔者───異物ではないか、と。でも、それは杞憂に終わりました。

 

ギャスパーは私を受け入れてくれました。今は姉さん呼びは照れてしまってなかなかしてくれませんが、してくれれば嬉しいものです。実は、ルーマニアで母、私、ギャスパーの3人で住んでいた時は基本姉さん呼びでした。

 

 

 

 

 

───これからの生活には割と不安なのですが、これだけは言いたいのです。

 

 

ギャスパー、ありがとう。私を助けてくれて。

 

 

 

ヴァレリーsideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギャスパー「······ヴァレリー、買い物行くよ?」

 

ヴァレリー「あら、もうそんな時間?」

 

ギャスパー「うん。ヴァレリーの服とか日用品買いに行かなきゃ。余裕あった方がいいよ」

 

ヴァレリー「分かったわ。行きましょう、ギャスパー」

 

ギャスパー「だね。行こっか、ヴァレリー」

 

 

 

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