イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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突然のサブタイぱろでーネタだぜ。(サブタイのネタパクりは別に初ではないんですけどね)





第113話 嘘と真実は話しよう

 

 

小猫side

 

 

 

イリナ「······何、よ、これ······は」

 

グリゼルダ「······なるほど。はぐれの堕天使に手を貸したから追放されたと聞いたことがありましたがあれは真っ赤な嘘·······『復讐』······これが教会の闇······」

 

 

一夜明けた翌日。申請していた資料を借りることが出来たイリナ先輩は、駒王の教会で資料を手に取っていた。天界に保存されている資料を人間界に持ってきて大丈夫なのか、とロスヴァイセさんは尋ねていたが、どうやら()()()そちらも許可が降りたらしい。

 

 

顔を青くしたイリナ先輩とシスター・グリゼルダは資料から手を離した。2人の顔色から、良くないことが記述されていたのは分かるが······

 

 

リアス「イリナさん、それは私達が見ることは可能なのかしら?」

 

それを見た部長は割と大変なことを口にした。私や朱乃さん、裕斗先輩も驚いた。当然だ。天界の資料を悪魔が見るのだし。

 

イリナ「だ、大丈夫よ。情報を外に漏らさなければだけど······」

 

どうやら、大丈夫なようだ。そう簡単にいくものではないと思うのだが······

 

リアス「ありがとう。少し失礼するわね」

 

()()()()()()()()()()()()()()イリナ先輩を尻目に、部長は資料を手に取る。資料をパラパラ捲っていく内に、部長の眉間には皺が寄っていき、資料を持つ手にも力が入っていた。

 

資料からクシャッという音が聞こえたが、部長はそれに構わずに叫んだ。

 

リアス「どういうこと······? 前任者は教会とのいざこざで退任した筈じゃなかったの······!?」

 

前任者······? 部長の前任者と言うと、この町の管理者のことだろうか。

 

イリナ「リアスさん······?」

 

リアス「ッ······ごめんなさい。少し取り乱したわ。でもイリナさん、一つ思いついたことがあるわ。()()()()()()()()()()()()()()に一人、心当たりが出来たのだけれど」

 

この事件を知っている人物······?

 

 

···········そう言えば、数日前ヴァーリはこの事件をギャー君と姉様に知らせるな、と忠告してきた。口ぶりからして、何かしら知っている可能性はかなり高い。

 

裕斗「······もしかして、ヴァーリのことですか? 部長」

 

裕斗先輩も私と同様の考えだったらしく、部長に尋ねた。

 

リアス「その考えも間違ってはいないわ。ただ、彼よりも事件に詳しいとしか思えない人がいるでしょう?」

 

小猫「それって······」

 

頭の中に、アホ毛がぴょこぴょこする男の人が思い浮かんだ。

 

リアス「そうよ。比企谷 八幡。『堕天魔』と称された彼が、管理者である私にすら気付かれずにこの街に滞在していた彼が事件に関与していたとは考えにくい。

······小猫、黒歌と連絡が取れるかしら?」

 

部長は私に尋ねる。一応、姉様の携帯の番号なら登録してある。尤も、ヴァーリの発言から考えるにいい手ではないように思えてしまうが······

 

私が頷くと、部長は続ける。

 

リアス「ヴァーリの発言が本当だとしたら、増々関与していた可能性が高いわ。ヴァーリは伝えるなとは言っていたけれど、八幡とのアポイントメントを取るだけなら、ダメとは言われてないわ」

 

それは限りなくクロに近いグレーでは······

裕斗先輩なんかは苦笑いしていた。

 

リアス「······小猫、黒歌と連絡は取れる?」

 

小猫「······大丈夫です」

 

話し合えたあの日、番号の交換はしていたが、よもやこんなことに使うなんて思ってもみなかった。

 

リアス「イリナさん、八幡に会いましょう。話を聞けば、何かしら分かるかもしれないわ」

 

イリナ先輩は、それに頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、一夜明けた翌日。

 

 

驚くことに、八幡先輩の予定が合ったらしく、次の日に会えることとなっていた。兵藤家の応接室に呼ぶことになった。

 

 

姉様には、特訓をつけてもらいたいからとそれっぽいことを言って何とか誤魔化したのだが、八幡先輩は一人で来ると言ったらしい。

 

何故一人なのか······おそらくヴァーリのあの言葉が理由なのだろうが、そもそも何故ギャー君と姉様に伝えてはならないと言ったのかが分からない。

 

 

姉様は分からないけど、当時10歳のギャー君が関わっているわけがないし······

 

 

 

八幡「よぉイッセー······で、俺に聞きたいことってのは何なんだ? あまり詳しい話は聞いてないんだが」

 

八幡先輩はイッセー先輩に軽く挨拶しつつ、兵藤家の応接室に入った。ここには、ギャー君以外のグレモリー眷属とイリナ先輩がいる。逆に、シスター・グリゼルダは予定が合わなかった。

 

 

八幡先輩は応接室のソファに座ると、頬杖をついて、返答を待つ体制が入った。いつにも増して気怠そうなのは、突然のことだからなのか······

 

イリナ「実は──────」

 

 

 

 

 

 

事情をあらまし説明し終えると、八幡先輩は口からこぼす。

 

 

八幡「八重垣正臣、ねぇ······」

 

イリナ「何か知ってるの!?」

 

イリナ先輩が食い気味に詰め寄るが、その答えはやはりと言うかなんというか、あまりいいものではなかった。

 

八幡「さぁな。精々、この町の前任者とやらかした末に罷免されたことぐらいしか知らんな」

 

リアス「あまり関わっていなかったと?」

 

部長は疑わしげに八幡先輩を見つめるが、先輩は身じろぎ一つせず、気怠そうに返す。

 

八幡「あのなぁ······俺が全部知ってるとか思ったら大間違いだ。()()()()()()()関わらないに決まってるだろうが。お前らと会ったのだってただの偶然だろ。どの道、サーゼクスの頼みで会うことにはなったのかもしれないがな」

 

イリナ「で、でも、ヴァーリ···さんは、何か知ってるような感じだったし······」

 

イリナ先輩は必死に食い下がる。何か、ほんの僅かでも手掛かりになる情報があるかもしれないと信じて。

 

八幡「? ヴァーリが何て言ったんだ?」

 

『鬼』という単語を疑問に思ったのか、先輩は聞き返した。

 

普通、家族のことを鬼と呼んだりしないと思うのだが······私達には彼の考えは、見当もつかなかった。

 

イリナ「······この件を伝えたら鬼になる、って。その『鬼』って言うのが何のことかも分からなかったんだけど······」

 

八幡「······(『鬼』、ねぇ······もう少しまともな)(例えはなかった)(んかい)

 

イリナ「? ······何て言った?」

 

先輩は一瞬何かを呟いたような気がしたが、声が小さすぎてその場の誰も聞き取れなかった。

 

八幡「いや、思わず出ちまった独り言だ。ま、俺にも何でヴァーリがんなこと言ったかよく分からんが、普通は家族を鬼なんて呼ばねぇだろ? ま、帰ったらとりあえず聞いてみるわ」

 

イリナ「う、うん」

 

先輩は()()()()()()()()()()()()言う。

 

八幡「ともかくだ。俺達もその件に関しては一応調べてはいるが、何分最近の例の事件によって発覚したことで、調査を始めたのは最近でな。さっき言った以上の情報は、ほとんど掴めちゃいないんだよ。で、ヴァーリが実際に調査してる内の一人ってわけだ。俺もしてるがな。

俺は別でやることがあってヴァーリほど調査に時間かけられないからな。基本的に情報はあいつの方が早い」

 

全体を見渡すように言った後、先輩は立ち上がった。彼は忙しいと聞くし、やることがまだあるのだろう。

 

イリナ「······いいの。簡単に分かることなら、パパはそもそもあんな目に遭わないから。それだけ事情が入り組んでるってことは理解出来てる」

 

八幡「······そうか。悪かったな、俺も事情に()()()()()()

 

イリナ「ううん!! そんなことない。忙しいのにありがとうございます」

 

八幡「あぁ······じゃあ、俺は失礼するよ。邪魔したな」

 

そう言うと、八幡先輩は応接室から退室した。

 

 

·······一瞬、八幡先輩の目が退室する瞬間にだけ険しくなったような気がした。

 

 

 

リアス「······その、ごめんなさいイリナさん。私が言い出したことなのに」

 

申し訳なさそうに部長は謝る。

 

イリナ「いいんです。半分ダメ元みたいなものだし······」

 

 

 

その時、室内に携帯電話に着信音が鳴り響く。曲はイリナ先輩が気に入っていたという、とある女性歌手の歌だった。以前聞いたことがあったが、割と耳に残っていた。

 

イリナ先輩がそれを手に取り、耳に当てる。

 

イリナ「······本当ですか!!!? 良かった······パパッ·······!! ああ、はいっ!! すぐにでも向かいます!! ···············はい、はいっ、分かりました!!」

さっきまでとは打って変わって、一転してイリナ先輩は笑顔になった。今までの表情は全て嘘なのではないか、と思えるほどに。

 

イッセー「イリナ? どうしたんだ?」

 

イッセー先輩に聞かれると、イリナ先輩は嬉しそうに言う。

 

イリナ「パパが······パパがね」

 

イッセー「お、おじさんが······?」

 

イリナ「パパの意識が戻った、って!!」

 

意識が戻った······!! つまり、魔剣に当てられたという呪いに打ち勝ったということだ。

 

そのことに一番に反応したのは、やはりイッセー先輩だった。

 

イッセー「本当か!? 良かったなイリナ!!」

 

イリナ「うん!! ······それと、協力してくれた皆もパパに会いに来てもらいたいの」

 

リアス「それは天界に、ということ? 悪魔が天界に入るなんて聞いたこともないけど······」

 

あ、悪魔である私達が天界に······? 天使が冥界に来るよりも遥かに大事な気がするが······

 

イリナ「特例で許可されたんだそうです!! これから迎えが来るって!!」

 

リアス「迎えが来る······私達まで昇天しような勢いね」

 

イリナ「大丈夫です。特殊なアイテムを使えば、ですけど。特別に支給されるそうです」

 

イッセー「すげぇ!! 俺達が天界に······!!」

 

 

 

この時、私達はまだ甘く考えていた。いや、無知だったと言えば正しいだろうか────

 

 

とりあえず、いやらしい想像をしていたイッセー先輩の脇腹を抓っておいた。

 

 

 

小猫sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「······ったく、更に面倒なことになりそうだな。分かってはいたが······はぁ」

 

 

 


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