イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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第120話 クリティカルドリーム

 

 

 

八幡side

 

 

 

八幡「······なんでこうなったんだろうな」

 

目の前で悠然と俺を睨み続けるコマチを見て、独りごちる。

 

コマチ「······知らない。コマチはアンタなんか知らない」

 

誰かの仇のようなものを見る目で俺を睨む。お前の目に、俺はどう映ってるだろうな。

 

八幡「そうか······そうなんだな」

 

ただ、流石に、目の前で言われるとクるもんがあるな······多分、俺やお袋、親父のこともクルルのことも、小さい頃一緒に遊んだサーゼクスやセラのことも、もう覚えてない。覚えていればこんなことは、いや······

 

 

 

······きっと、俺の妹だった小町はもういない。死んだんだ。ほんとに······

なんだ。もう何百年と前のことをこんなに引き摺って。情けない。

 

 

割り切れよ。向こうは俺を殺す気でかかって来てる。この後に及んで戸惑っているようなら、俺は死ぬぞ?

 

 

コマチはー人呟く。

 

コマチ「······コマチはアンタを倒す。そうすれば、またおねえちゃんが撫でてくれる」

 

······?

話が噛み合ってない、か。向こうは聞き耳持たずだから当たり前か。

 

······でも。せめてこれぐらいは聞いておきたい。俺の憂いを断つためにも。

 

八幡「······一つ聞かせてくれよ。お前の······お前に家族はいるか? 信じることの出来る人はいるか?」

 

コマチ「······」

 

コマチは何も答えない。代わりに、臨戦態勢に入った。

 

 

そのまま、俺とコマチの戦いは火蓋を切った。

 

 

 

八幡sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

束side

 

 

 

四鎌童子を追い詰めた束さんの背後に魔法陣が展開する。四鎌童子の髪を離して振り返り、神器の銃を向ける。

 

 

「おおっとぉ? いきなりの熱烈な歓迎感謝するぜ」

 

魔法陣から現れたのは、黒を基調としたラフな格好した男。束さんの記憶が正しければ、こいつは······

 

束「······『魔源の禁龍(ディアボリズム・サウザンド・ドラゴン)』アジ・ダハーカ」

 

アジ・ダハーカ「へぇ。もう俺のことが知れ渡ってんのか。しっかりしてんな堕天魔は」

 

クーくんに並ぶ邪龍がご登場ときたか······束さんが相手するのは荷が重いかな。というか無理。いくらなんでもティアちゃんと同等以上はねぇ······

 

束「一応聞こっか。何しに来た?」

 

逃げるのは······向こうが見逃してくれない限りほぼ無理。戦闘になったらまず束さんじゃ太刀打ち出来ない。でもメリーが来てくれればいける······のかな?

 

アジ・ダハーカ「ん? あぁ、そこの女の回収だ。リゼ公から頼まれてな。回収の必要があるんか知らんが」

 

戦闘目的じゃない······なら、下手に手を出さない方が身のためそうかな。

 

束「ふぅん······なら、勝手に持っていきなよ」

 

そのままの姿勢で四鎌童子から離れる。銃はまだ下ろさない。

 

アジ・ダハーカ「おぉよ。そうさせてもらうわ」

 

アジ・ダハーカは四鎌童子を片手でひょいと抱えると、魔法陣を展開する。

 

 

ほんとに来た理由がこれだけ······? 今考えても仕方ないけど。でもやっぱ、それだけとは考えられないなぁ······リスクがデカすぎる。

 

 

そして、アジ・ダハーカと抱えられている四鎌童子が光に包まれる。と、アジ・ダハーカが口を開いた。

 

アジ・ダハーカ「···あ、そうそう。『堕天魔』に伝言だ。『次が最後だ』───嬢ちゃんもなんとなくでも意味は分かるだろ」

 

そう言い残し、アジ・ダハーカは魔法陣の光に消えた。

 

 

束「次で最後······ね」

 

次で最後······今までの戦闘は『クリフォト』の組織の規模から考えると小競り合いに近い。

······次は全面戦争を仕掛けるという腹積もり?

 

 

束「······あ、もすもすひねもすー? 束さんだよー。メリー、聞こえてる?」

 

 

 

束sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギャスパーside

 

 

 

ギャスパー「お前、なんでそのことを知ってる······!!?」

 

僕は驚愕と困惑に襲われていた。

 

 

『ダメ、ギャーちゃん。あんまり自分を責めないで? 父様の支配を跳ね除けることが出来なかったわたしが悪いの。だから······泣かないで』

 

 

今はもういないあの人の声が脳内でフラッシュバックしてくる。一番、思い出したくなかった記憶だ。そして、忘れてはならない記憶だ。

それをどうしてこいつが知っている······!!?

 

リゼヴィム「おいおい忘れたんか? ロキは今こっち側だぜ?」

 

ギャスパー「······ッ」

 

悪神ロキはあの人の······ヘルさんの父親でもある。だったら知っててもおかしくはない······?

 

そうだ。それなら、僕を狙ったこと全てに辻褄が合う。

 

リゼヴィム「あの悪神様も変わっててなぁ。のうのうと暮らしてるギャスパーきゅん達をぶっコロしたいんだと。『神々の黄昏(ラグナロク)』がどうのこうのと宣ってても、結局は娘殺して息子と孫奪った八幡君達が赦せないだけじゃねぇの? おじちゃんは面白けりゃどっちだっていいけどなぁ〜」

 

 

だったら、僕やお父様がハティとスコルにしていることは、洗脳、になるのか······? ·······ハティとスコルがヘルさんと仲悪かったわけでもない。

僕はそんなつもりじゃ······

 

······それとも、僕は報いを受けるべきなのか······?

 

 

その時、僕の肩を誰かが叩いた。

 

ヴァーリ「······待たせてしまったな、ギャスパー。ここからは俺が受け持とう」

 

ギャスパー「お兄、様······?」

 

振り返ると、そこにはお兄様がいた。

 

ヴァーリ「あぁ。ギャスパー、お前は間違ってない。あの時は、ああでもしないとお前と黒歌が危なかった」

 

ギャスパー「······」

 

 

本当に間違ってないと言えるのか······? 僕が殺したのは事実なのに······?

 

 

お兄様は何も言えない僕から視線を奴に移す。

 

 

ヴァーリ「·······選手交代だ。やっと会えたなリゼヴィム」

 

リゼヴィム「おぉ、態々お前から出張って来てくれるなんて思わなかったぜヴァーリ。随分殺気立ってるじゃねぇか」

 

瞬間、両者の姿が消える。

 

 

ドゴッ!!

 

お兄様と奴は拳をぶつけ合い始める。

 

リゼヴィム「うおほっ♪ 随分強くなったじゃねぇか。神器だけの軟弱野郎で終わると思ってたぜ」

 

ヴァーリ「勝手にそう思っていろ······!!」

 

お兄様が背負い投げを掛け、奴は地面に手をついてお兄様の胴を足で挟み、背負い投げの勢いを利用して地面に叩きつけようとする。

 

お兄様は奴の両足を強引に振り払い、魔力弾を叩き込もうとするが、奴は退りつつオーラを纏って全て払い除けた。

 

 

······とそこで、胸の内ポケットに入れていたインカムが小刻みに振動し始めたので、耳に着ける。

 

ギャスパー「······はい」

 

メリオダス『おっ、繋がった! ギャスパー、聞こえるか?』

 

インカムのスピーカーから聞こえたのはメリオダスさんの声。確か、束さんと共に屋敷で待機だ。

 

ギャスパー「はい、聞こえます」

 

メリオダス『ヴァーリがそっちに向かった。もういるか?』

 

ギャスパー「はい。既に······戦闘中です」

 

ダメだ······さっきのがどうしても頭から離れない。今は事態の把握を······

あれ? 通信オペレーターは束さんでは?

 

ギャスパー「あの、束さんはどうしたんですか?」

 

メリオダス『あぁ。束は、屋敷に忍び込んで来た奴と戦闘してた。束の頼みで俺が代わりにオペレーターやることになったんだ。と言っても、束が戻ってくるまでだけどな』

 

忍び込んで来た······こっちは陽動だったのか?

 

ギャスパー「分かりました」

 

そこで、通信を切る。

 

 

リゼヴィム「いや〜、()()()で来ただけなのにこんなにいいモン見れるとはねぇ」

 

ヴァーリ「ついでだと······?」

 

お兄様と奴が蹴り交え、お兄様も奴も距離を取る。

 

リゼヴィム「おぉよ。元々、八重垣のガキがここに襲撃仕掛けるのに乗じて、量産型の邪龍のテストするだけのつもりだったんだがなぁ。俺の母親────つまりアダムの前妻であるリリスだが、なんかある度に口にしてたのを思い出したのさ。『神の目を盗んで、ある物を隠してやった』ってな。あひゃひゃひゃ、まぁ実際にあったわけだが」

 

そう言うと、奴は懐から何かを取り出す。パッと見何かの果実に見えるが·······あんな果実があるのか?

 

リゼヴィム「これは『生命の実』。お前さんらも知っての通り、聖書に出てくるパライソに生えた木になる実だ」

 

『生命の実』······? いったい何に使う気だ?

 

リゼヴィム「まぁ干からびてたんでさっき聖杯使って復活させたんだけどねっ♪ 今回天界を襲わせた量産型の邪龍はこの『生命の実』から供給されるエネルギーで復活しててな。逆説的にエネルギーを取り出せるかのテストでもあるわけだ」

 

······聖杯か。ヴァレリーから奪った聖杯でそんなくだらないことを。それはヴァレリーに返してもらう!!

 

 

と、奴は僕を見て言う。

 

リゼヴィム「おおっと? なんだか知らんがギャスパーきゅんやる気再燃? ああ、これね。亜種の『幽世の聖杯(セフィロト・グラール)』の内の一つ」

 

ヴァーリ「リゼヴィム、貴様が邪龍擬きで何をしたいかなど興味はない。だが、それは奪還させてもらう」

 

リゼヴィム「へぇ? ヴァーリまでこれに執着を見せるときたか。益々手放したくなくなった·······が」

 

その時、奴の背後に魔法陣が展開する(ひらく)

 

リゼヴィム「今日はここまでだ。タイムオーバーでな、ここでお前らと全力戦闘してもいいが、そこまでするメリットがここではないんだわ」

 

魔法陣からは、四鎌童子を抱えた男が現れる。確か、お父様はルーマニアでグレンデル以外の邪龍と接触した······肌が褐色でもないし、あれが『魔源の禁龍』アジ・ダハーカと見て間違いない。

 

ヴァーリ「どういうことだ······?」

 

奴の意図が掴めない僕達を見て、奴は言う。

 

 

リゼヴィム「······次が本当の最後だ。場所は冥府ヘル。俺達『クリフォト』は逃げも隠れもしない。さぁ、『堕天魔』と『クリフォト』で全面戦争と洒落こもうや」

 

そう言って、奴は回収されて魔法陣の光に消えた───。

 

 

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