イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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第132話 ミッドナイト・サン⑨

 

 

八幡「黒歌!! 黒歌!!」

 

黒歌を抱えつつ、コマチから距離を取る。

 

コマチとの戦闘中に突如飛んできた黒歌は、体中傷だらけで、気絶していた。戦闘服もボロボロ。

 

 

気配を探ると、こっちに近寄ってくる者が3、4······5人か。内3人が悪魔で、一人がドラゴン、最後の一人は···死神(グリム・リッパー)

耄碌骸骨の回し者め······!!

 

俺よりも息が上がっているコマチは、左肩を押さえながら、その場を動かない。休ませる時間をくれたやるのは癪だが、気絶した黒歌をどっかに連れていかないと俺も危ない。

 

 

八幡「悪いなコマチ。一旦休戦といこうか」

 

コマチ「待て!! ······クッ!!」

 

フロアの地面を足でぶち抜いて人が余裕で通れるくらいの穴を開け、舞い上がった埃に乗じて、複数トラップを仕掛けながらその場を離れる。

 

俺が今いるのが6階。黒歌は1階に向かうはずなのにここにいるってことは、戦闘でこっちまで追い詰められたのか。黒歌を追い詰めるなら、魔王連れて来るぐらいしなきゃだが······邪龍か、クソ骸骨のとこの木っ端かだな。あの骨が自ら出て来たりはしないだろ。

 

上には行けないな······勝永、束、シフラが司令室2つを確保して、ヴァーリはゴミ(リゼヴィム)と交戦中。ジンも足を止めさせられた。クルルはアジ・ダハーカと、ギャスパーはロキと交戦中。美猴は1階に辿り着いて、ミカとヴァルブルガはディオドラ達の保護へ。

クロウならアポプス撃破後は遊撃に回ったから合流出来るか? 片目で、視界の4割真っ暗なら俺よりは、少なくとも安心出来る。

 

幸い、前に黒歌に渡した()()のおかげで、黒歌の傷はもう塞がり始めている。ただ、気絶している以上誰かが守らなければ。俺が出来ないのが辛いところだ。コマチはすぐに俺に追いついてくるだろうし。

 

八幡「クロウ、応答を頼む」

 

耳に着けたインカムでクロウに連絡を取る。

 

クロウ『······こちらクロウ。八幡か、聞こえている』

 

八幡「なら良かった。合流出来るか? 場所は······そうだな。5階の北西で」

 

お、トラップが予想通り発動した。黒歌を追って来たやつの内2人が光の矢で串刺しになった。他の3人も、閃光と爆音のトラップで暫く動けないだろ。コマチも。

 

クロウ『了解した。おそらく、俺の方が近い』

 

八幡「助かる」

 

戦闘を回避しながら走り、音を立てないように床を切り裂いて5階へ。爆音のトラップが予想以上の効果を発揮してるな。ここらにいたヤツらが軒並み向こうに行った。

 

 

······にしても、俺達が突入してから、迎撃してくる奴が妙に少なかったな。ヤツらはご丁寧に、俺達に宣戦布告までしてきたのだ。人員の大部分が出払ってるとかそんな都合がいいわけがない。

陽動の俺達は引っかからなかったで終わるが、捕虜の方も司令室の方も気味悪いほどに警備が薄かった。いくらなんでも、ヴァルブルガのリークとは数が合わない。裏切った? アイツが二重スパイだった? いや、それならもっと他にも偽の情報を細かく混ぜてくるはず。

 

狙いは黒歌か······? あの計画は潰したが、確かに、他に継承されている可能性はあった······と考えるしかないな。木っ端の死神がいる点を考えると、ハーデスのクソが噛んでるな。

 

 

クロウ「······八幡」

 

5階に降りて少しした所でクロウと合流する。クロウもクロウで、アポプスとの戦闘を無傷で切り抜けるのは無理だったようだが、俺よりは遥かに軽傷だ。

 

八幡「悪いクロウ。頼まれてくれ」

 

クロウ「······分かった。お前、その目はどうした」

 

抱えていた黒歌をそっとクロウに預ける。

 

八幡「コマチにやられた。アレは今黒歌が持ってるし、神経にまでダメージがいってるしで、暫く片目の生活だ······今はいい。黒歌を。今フリーなのがクロウしかいないしな」

 

クロウ「気にするな。だが、あとで一杯付き合え。お前がアルコール全般を苦手にしていることなど知るか」

 

俺が缶ビール2本で顔真っ赤になるくらい酒に弱いの知ってるくせにこいつは······

 

八幡「あいよ。それくらいなら安いもんだよ······じゃあ俺は戻る。黒歌は、頼んだ」

 

そう告げて、元来た道を引き返す。6階に戻って少しした所でさっきのトラップに引っかからなかった3人とカチ合う。案の定ただの雑魚だった。ギリ致命傷にならない傷を負わせて失神させ、そのまま少し離れた所で左肩を押さえながら俺を追っていたであろうコマチを蹴り飛ばす。

 

 

 

 

八幡「ようコマチ。さっきは逃げて悪かったな。さて、続きといこうか?」

 

 

 

八幡sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

 

 

ヴァーリ「───禁手化(バランスブレイク)

 

背中の白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)が外れ、浮遊しながら俺の両サイドまで浮遊して来ると、カシャカシャと有機的な音を立てながら変形していく。

 

リゼヴィム「へぇ······亜種禁手か。ま、俺相手にゃ全身鎧(プレート・アーマー)は悪手か。いい判断じゃねぇの?」

 

ヴァーリ「言っていろ。その減らず口をぐちゃぐちゃにして二度と開けないようにしてやる」

 

一対の光翼が変形を終えると、右手側が特殊な形をしたバスターソード。左手側が大型の角張ったフォルムを持つソードシールド。また、その両方が、斬ってよし撃ってよしのフェザーと呼称する遠隔誘導兵装を各6基ずつ搭載したキャリアでもある。

そして、攻撃力を削がずに、全てが魔法でかなり厚くコーティングされている。つまり、魔法が剥がされない限り、神器無効化(セイクリッド・ギア・キャンセラー)を持つリゼヴィムに神器での攻撃が可能となる。ただ、半減や吸収まではおそらく通らない。

 

──『白銀龍の極光天破(エンピレオ・ディバイダー)

 

今の俺にはまだ至高天(エンピレオ)の名前は役不足であると言わざるを得ないが、名付けたクロウに、いずれその名に恥じぬ高みへと到れることを期待されていると思えば嬉しくもあった。

 

 

リゼヴィム「はっ。そんなんでおじいちゃんを楽しませられるのかねぇぇ?」

 

ヴァーリ「そんなことはどうでもいい。お前を殺せれば······俺の勝ちだ!!」

 

リゼヴィムは俺に多数の魔力の束を撃ってくるが、高速で飛行するソードシールドで防ぎ切る。今までは誰かとの試験運用でしか使ったことがなかった奥の手だが、実践運用も十分に可能だとこれで分かった。

 

魔力の束をバレルロールで避け、避けきれないものはソードシールドで防ぎながら、バスターソードでリゼヴィムを攻撃する。何回か攻撃していくうちに、掠り傷であるが攻撃が届いた······!!

 

リゼヴィム「チッ······無効化を封じたか。でもそれだけじゃぁなぁ!!」

 

追撃をかけようとしてリゼヴィムにカウンターをかまされるが、そのまま足を掴んで地面に投げる。リゼヴィムの胸にバスターソードを突き立てようとするが、リゼヴィムはすぐさま避けて、バスターソードは地面に突き立ってクレーターを作るに留まる。

 

舞い上がった埃を突き抜けてその場を離れようとするリゼヴィムを追って、剣を向ける。

 

ヴァーリ「フェザー!!」

 

バスターソードの柄頭に接続されていた6基のフェザーが、手前から順に2基ずつ刀身に合体して、巨大な()()を形作る。

 

ヴァーリ「食らえッ!!」

 

先端に合体している2基のフェザーが開き、そこから極太の魔力を放つ。

 

リゼヴィム「んのやろっ!!?」

 

回避しようとするリゼヴィムに、砲口をずらして、強引に直撃させる。

 

魔力の放出を止め、即座に追撃をかける。開いていたフェザーが閉じ、両刃の巨大なバスターソードになる。

 

リゼヴィム「今のは中々じゃねぇか······っとでも言うと思ったか!?」

 

リゼヴィムは12枚の翼で砲撃を防御しており、所々血が噴き出してはいたものの、致命傷にはほど遠い。

とはいえ、ダメージは通っている。俺は半減も吸収も使用していないし、今の砲撃も俺の魔力を圧縮して放っただけなのだから当然と言えば当然だが。

 

禁手化しているものの、俺の身体能力の底上げのみに留めている。その分、禁手化のリソースを全て身体能力強化に割り振っているから、通常時より大幅に身体能力を強化出来ている。リゼヴィムの無効化がどこまで有効なのかは知らないが、それに対応する策を要すれば、そもそも知る必要がない。

 

全長5m弱のバスターソードを振り下ろしつつ、覆っている魔法を更に強化。

 

再びフェザーを分離してオールレンジ攻撃を行いつつ、ソードシールド側のフェザーで魔力の塊を放ちながらバスターソードで斬り掛かる。バスターソードがリゼヴィムの腕を掠めると同時に、リゼヴィムを蹴り落とす。

 

リゼヴィム「ぐぉっ······!!」

 

ヴァーリ「がふっ······!!」

 

と、同時にリゼヴィムに魔力弾の接射を食らい、俺は天井に叩きつけられる。

 

リゼヴィムは無数に並ぶコフィンの一つに突っ込み、そのままコフィンを壊す。コフィンの中の比企谷小町と同じ姿をした少女は、ドサリと床に倒れる。それでも少女は目を覚ますことはなく、リゼヴィムが雑に片腕を掴んで別のコフィンに寄り掛からせた。

 

アルビオン『······ヴァーリ。どうやら、ここにいる少女は全て、魂の宿らない人形(クローン)のようだ』

 

────と言うと?

 

アルビオン『所詮、比企谷小町の肉体をコピーしただけの抜け殻だということだ。女の腹から生まれて個の生命として成長しない限り、魂は発生しない。ついでに、今比企谷八幡が戦っているのは、どこぞから引っ張ってきた誰かの魂を入れられたものである可能性が高い』

 

────本人ではなくてか?

 

アルビオン『あぁ。太古から死者の蘇生が研究されながら、極々一部の者以外にそれに成功したことがないのは、天国や地獄、冥府のように簡単に呼び戻せない所にその魂があるからだ』

 

なるほど。では、何故リゼヴィムはクローンをいくつも作り出している? 神の中に、リゼヴィムに協力する者がいるからか?

 

 

その考察をする間もなく、高速で飛んできたリゼヴィムの蹴りをバスターソードを盾にして防ぎ、魔力を纏って貫かんとしてくる12の翼を、ソードシールドに搭載されたフェザーも全て分離しつつ、フェザー11基と、ソードシールドで防ぐ。

 

そのまま両手足と全ての翼を使うリゼヴィムの攻撃をなんとか防ぐ。12の翼を加えた、圧倒的な手数のコンビネーションは強力だ。バスターソードもある以上、こちらは内に入り込まれれば圧倒的に不利。取り回しのいいものに変形させてくれる暇など与えてくれない。

 

ヴァーリ「くっ······」

 

リゼヴィムの近接能力を侮っていた。生まれ持った能力だけの男ならば、という想定は甘かった。

 

だが。

だからどうした─────

 

 

 

俺の頬をリゼヴィムの右腕が陥没させる直前。

 

 

リゼヴィムの背後から飛来した白銀の魔力が、リゼヴィムの右腕を消し飛ばし、焼き切った。

 

 

 

 

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