イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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第133話 ミッドナイト・サン⑩

 

 

 

リゼヴィムの背後に潜ませておいたフェザーが、リゼヴィムの右腕を消し飛ばす。

 

リゼヴィム「······がぁ!?」

 

ヴァーリ「取った!!」

 

リゼヴィムが痛みで一瞬で怯んだ隙を突き、バスターソードで袈裟に斬り下ろす。そのままの勢いで新しくできた傷を抉るように蹴り飛ばし、次いでバスターソードを投擲しリゼヴィムの腹に突き刺した。

 

神器無効化が発動したのか、バスターソードは塵のように消えていくが、できた傷は塞がらない。

 

リゼヴィム「ごぽっ······」

 

リゼヴィムは塊のような血を吐き出して、飛行を維持出来なくなったのか墜落する。

今なら、リゼヴィムはダメージで動けまい。

 

新しいバスターソードを出現させ、12枚のフェザー全てを合体させる。9m近くあるバスターソードは切先が先程同様に開き、そこに俺の魔力を注ぎ込む。

砲口となった切先がスパークを発しながら、蓄積限界を超えて漏出する魔力で光り出す。

 

ヴァーリ「終わりだ。リゼヴィム」

 

砲口から放たれる極大の魔力は、あっという間にリゼヴィムの体を覆い尽くし、周囲のコフィン諸共消し飛ばしていった。

 

 

注ぎ込んだ魔力も尽き、この空間を照らしていた白銀も姿を消す。

 

ヴァーリ「ふぅ······」

 

息を吐き、禁手を解除する────

 

 

『クリフォト』の首魁、リゼヴィム・リヴァン・ルシファー。聖書に記されたリリン。悪魔の母リリスと、旧魔王ルシファーの息子。忌々しい、認めたくもないが、血縁上俺の祖父だったクソ野郎。

 

たった今、奴の命は俺の手で絶たれる。俺も姉さんもカルナも、ルシファーという血族として生きていくつもりは毛頭ない。ここで、ルシファーという御家は滅びる。

俺の勝ちだ。もう······姉さんが苦しまずに済む。旧ルシファー、その影に怯え続けてきた姉さんが、今度こそ苦しまずに生きられるようになる。

 

ヴァーリ「······だから、大人しく死を受け入れろ(滅びを認めろ)

 

リゼヴィム「ヴァーリ・ルシファァァァァアアア!!!」

 

禁手を解除する────と見せかけてもう一度バスターソードを現出させると、背後から俺に魔力の雨を浴びせようとしていたリゼヴィムの首を貫く。

 

リゼヴィム「カッ·······」

 

バスターソードを一度振って、日本刀に纏わりついた血を払うようにリゼヴィムを宙に放ると、柄頭に連結していたフェザーが刀身に合体し巨大な砲身を形作る。

 

ヴァーリ「終わりだ······このクソ野郎がッ!!!」

 

 

······今度こそ、リゼヴィムというクソ野郎は消滅という末路に堕ちた。

 

 

ヴァーリ「···········そして、さようなら。ヒトとしての尊厳を踏み躙られた少女達よ」

 

リゼヴィムを消し飛ばしたそのままに砲口を向けたのは、コフィンの中で眠る比企谷小町と同じ貌をもつ無数の少女達。

 

ヴァーリ「今度は平和の中で生まれることが出来るよう、願っている」

 

 

白銀の閃光は、俺の視界を奪った─────。

 

 

 

 

ヴァーリsideout

 

 

 

 

 

 

 

クルルside

 

 

 

私「······これ、は、私が······」

 

アジ・ダハーカ「分かったろ? これは─────」

 

 

眼前の屍の山に、私の膝は崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

その、数分前。

 

 

 

クルル「······墜ちろ!!」

 

地面に万を越す魔法陣を展開した私は、上空に私が展開した10倍以上の魔法陣を展開するアジ・ダハーカを魔の鎖(グレイプニル)で引きずり下ろそうと足に絡みつける。

 

アジ・ダハーカ「ハッ!! いいねぇ、こういうのを待ってたんだよ。こんなのはスラエータオナと殺り合った時以来だぜ!! だが残念だな───」

 

アジ・ダハーカは魔法で鎖を簡単に引きちぎり、私に無数の魔法を飛ばしてくる。阿朱羅丸で強化(ブースト)を掛けた私は、魔法を避け、切り払い、禁術に禁術をぶつけて弾幕を掻い潜り肉薄する。

 

クルル「取った···!!」

 

アジ・ダハーカ「いいや!!」

 

幻術で、一瞬だけ自分を複製して全方位から貫かんとするも複製は全て消し飛ばされ、逆に同じ手を使われてクリフォトの拠点の外壁に叩き付けられた。

 

······魔法じゃどう足掻いても上回るのは無理か······!!

 

アジ・ダハーカ「残念でならねぇ。嬢ちゃんは次世代のスラエータオナになれる逸材だったんだけどよ······これも、リゼヴィムの坊っちゃんとの契約なんだわ。恨むなとは言わんが、諦めてくれな」

 

すぐ様体勢を立て直して距離を取ろうとした瞬間、私の周りに展開された魔法陣から鎖が伸びてきて、両手足と首をギャリギャリと締め上げられる。

 

クルル「あ、ぐ······!!」

 

その鎖は、魔の鎖を遥かに越す強度でまるでビクともしない。

更に、アジ・ダハーカは私の足元にもう一つ一際大きな魔法陣を展開した。

 

これ、ゾロアスターの魔法陣······しまっ────

 

私の意識は底なし沼に沈んでいく。

 

 

アジ・ダハーカ「······嬢ちゃんがこれに耐え切ったら、続きを楽しもうぜ? 生き地獄への無力さに耐え切れたら、だけどな」

 

アジ・ダハーカが言葉を発していたのかどうかも、私には分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クルル「······ん、ぐ。わた、し、は······」

 

痺れる体に無知を打って強引に立ち上がる。

 

? ······地面が変な感しょ───

 

クルル「───ッ」

 

私が踏んでいたものは······人の骸。否。私の足元だけではない。見渡す限り、死体。死体の大地と言わんばかりの数の死体。

 

死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体。

むせ返るような血の匂いに、全て吐き出して楽になってしまいたくなる。

 

そして、その死体の溢れ返る野原──野原と言っていいのか分からないが──で視界に捉えた。見えた。見えてしまった。

 

クルル「ヴァーリ······!!」

 

綺麗な銀髪。私の愛しい、大好きな······

 

これ以上遺体を踏まないように、魔法で浮遊しながらヴァーリの下に急ぐ。

 

クルル「ヴァーリ、聞こえ───そんな······」

 

目に光はなく、呼吸もしておらず。死後硬直が始まっていた。そしてよく見れば、ヴァーリは────ラヴィニアに覆い被さるように力尽きていた。そのラヴィニアも、もう······

 

クルル「なんなのよ、これ······」

 

見渡す限り死体だらけ。呼吸を躊躇うほどの血の匂い。空は画用紙にぶちまけた血のよう。これは幻術だ。幻術であって欲しい。幻術でないと私は······

 

私の隣に、この世界を見せている張本人が姿を現す。

 

アジ・ダハーカ「······ここは、太古の未来にして、待ち受ける過去。夢想であって現実であり、虚像でなければ実像でもない」

 

クルル「ふざけやがっ────」

 

その時、私の耳に爆発音が届く。ここから200mくらい離れた所で、もうもうと粉塵が舞い上がっていた。

 

アジ・ダハーカ「行って実際に見てみろよ。これは、お前の精神を疲弊させるためだけに俺がテキトーに見せてる幻術じゃねぇ」

 

殴りかかってもすり抜けるだけだったために、今攻撃しても無駄だと判断して、渋々粉塵の舞い上がる場所に向かった。幻術であると分かっていながらも、何故か、ただの偽物だと決めつけることが出来なかった。

 

 

 

 

粉塵はもうもうと空に上がっている。爆発音が何度も響き、中心で何が起きているのかは伺い知ることが出来ない。

ここでは、私の能力がほとんど封じられているに等しく、自前の亜空間へのアクセスすら出来なかった。

 

······と、一段と大きな爆発音が周囲を轟くと、舞い上がっていた粉塵が丸ごと吹き飛ばされ中心が露になった。

 

 

そこにいたのは、血だらけのメリオダスとボロボロの私。メリオダスは阿朱羅丸を握っており、私は輝くオーラを放つ槍を握っていた。

 

メリオダス『······答えろ、クルル!! なんでエリザベスを殺した!?』

 

メリオダスの背後には、結界に守られるようにして倒れている彼の妻と、事切れた彼女を護るように立つ、彼が経営している酒場の残飯処理騎士団団長が。

 

そこに幽鬼のように佇む『私』は何も答えない。

 

メリオダス『あいつが何をした!! お前に一度でも攻撃なんてしたことなかっただろうが!!』

 

よく見れば、残飯処理騎士団団長ことホークの足元には、柄だけになった彼の愛用の短剣と、魔剣が散乱していた。だから、メリオダスは阿朱羅丸を握っているらしいということだけは分かった。

 

アジ・ダハーカ「先に言っとくが、声掛けようとしても無駄だぜ? ここは俺の展開した幻術ではあるが、この映像(ヴィジョン)は俺が作ったものじゃない。俺もお前も、ただ外から()()()()()()だけだ」

 

意味が、分からない······理解出来ない。何故、メリオダスと敵対している? 何故彼女を殺した?

 

私の疑問など知ったこっちゃないとばかりに、メリオダスはそこにいる『私』を攻撃する。と、次の瞬間、メリオダスの首から血が吹き出たかと思うと、阿朱羅丸諸共メリオダスの体は塵のように消し飛んだ。

 

そん、な······いったい、何が、何が······?

 

アジ・ダハーカ「ここは可能性の世界。いつか迎えたかもしれなかった、或いはこれから待ち受けるかもしれない可能性の世界だ」

 

メリオダスの張っていた結界が解けたのか、ホークとエリザベスの亡骸を守っていた結界が溶けるように消える。

 

ホーク『······お前、本当に壊れちまったんだな───』

 

『私』は、一人と一匹を跡形も残らず消し飛ばした。

 

 

クルル「······なんだこれは、答えろアジ・ダハーカッ······!!」

 

アジ・ダハーカ「······破滅だ。無数に存在する破滅の可能性の一つを俺とお前は覗いていんのさ。そら、まだあるぜ?」

 

と、空間がヴゥンと揺れたかと思うと、今度は、また別の場所にいた。

 

 

どこかは分からないが、そこには、先ほどとは打って変わって何かに怯える『私』と、クロウとティアがいた。

 

クルル『ふ、2人とも、どうした、のよ。なんか、変、よ?』

 

後ずさる『私』に対し、クロウとティアは毅然と構えている。

 

クロウ『······自分の旦那を捻り潰しておいてよく言う』

 

ティア『貴女は壊れたのよ、クルル······』

 

クルル『わ、私はっ。壊れてなんか······!!』

 

『私』が、背を向けて逃げ出そうとする瞬間。

 

ティア『さよなら』

 

『私』は、先程のメリオダスのように跡形もなく消えた。

 

 

アジ・ダハーカ「こんなんほんの一部だ。まだまだ付き合ってもらうぜ? 廃人になったら······ま、俺が殺してやるよ」

 

 

 

 

 

 

美猴『······あぁクソ。俺っちが最後かよ』

 

美猴の首をへし折った。

 

 

 

三日月『······お前は、死んでいいヤツだ』

 

三日月のメイスに叩き潰された。

 

 

 

束『お前が!! お前がいっくんを殺した!! お前がぁぁぁああ!!!』

 

束の心臓を握り潰した。

 

 

 

勝永『せめて、安らかにお眠りください。我がもう一人の主よ』

 

勝永の刀に真っ二つにされた。

 

 

 

ディオドラ『クルル様!! 正気に戻ってください!! 貴女はまだ戻れるはずです!!』

 

ディオドラを串刺しにした。

 

 

 

桃花『貴女はもう、誰にも助けられません』

 

桃花の魔法で消し飛ばされた。

 

 

 

ジン『ここまで、みたいだ、シフラ······今から、いく······から』

 

ジンを八つ裂きにした。

 

 

 

ヴァーリ『返せっ······!! カルナとラヴィニアを返せ!! クルル・ツェペシ!!』

 

ヴァーリを焼き殺した。

 

 

 

黒歌『返して·····白音とギャスパーを返してよ!!』

 

黒歌の二丁拳銃に蜂の巣にされた。

 

 

 

 

 

 

八幡『······クルル。愛してる』

 

最後まで手を伸ばそうとした八幡を切り刻んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クルル「······あ。あぁぁッ······!!」

 

何かが、ガラガラと音を立てて崩れ落ちたような気がした。

 

 

 

クルルsideout

 

 





クルルは気付けませんでしたが、幻術の最初の場面でヴァーリはラヴィニアに覆いかぶさっていましたがそのラヴィニアは生後4ヶ月の赤ちゃんを庇うようにして倒れていたという裏設定が······
(誰の子かは想像におまかせ)

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