イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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第136話 ミッドナイト・サン⑬

 

クルルside

 

 

クルル「がぁぁぁああぁッ!!」

 

雄叫びを放ちながら無我夢中で剣を振り、魔法を放つ。

 

アジ・ダハーカ「はっはっはっ、いいねぇ。そういうの!!」

 

アジ・ダハーカは万にも及ぶ禁術で、私を攻撃する。回避は不可能だ。

 

 

······八幡なら、これに禁術をぶつけ返して相殺するだろう。メリオダスなら、全反撃(フルカウンター)で全て跳ね返すかもしれない。ティアやクロウなら、持ち前のスピードとパワーで反撃しながら掻い潜れるかもしれない。

 

 

でも、私にはどれも出来ない。だから、オーラを全方位に放って全て消し飛ばした。

 

アジ・ダハーカ「マジかよ······!! 俺以上のバケモノってか? なぁ? 最ッ高(サイッコウ)だなぁおい!! クルル・ツェペシィィィィィィ!!」

 

クルル「お前をぉぉ!!」

 

阿朱羅丸(あしゅらまる)が、禁術と防御の魔法陣ごとアジ・ダハーカの右腕を切り飛ばす。と同時に、禁術が私の左足を吹き飛ばした。

 

お互いに距離を取り、私のオーラの砲撃と、アジ・ダハーカの禁術の弾幕のせめぎ合いが再び始まる。

 

その間に、私が持ち前の再生能力で左足を元に戻すと同時に、アジ・ダハーカも禁術で右腕を再生させていた。

 

 

明らかに敵のが上手。出し惜しみはする余裕がないし、そんな余裕与えてくれない。

 

クルル「食、らえ······!!」

 

特大の槍を作り、それを連射する。私が出来る最大の攻撃。悪魔の陣営を軽く半壊させる自信がある。それを、アジ・ダハーカは禁術をぶつけて相殺していく。

 

私がその弾幕の隙間を縫うように懐に入り込んで刀を振るえば、アジ・ダハーカは魔法で剣を作り出して応戦する。アジ・ダハーカの禁術が勢いを増したら、オーラで消し飛ばしながら、私が使える禁術で反撃する。

 

 

クルル「もっと力を寄越せ、阿朱羅丸!!」

 

アシェラ『やめろクルル!! これ以上は危険だ!!』

 

阿朱羅丸に宿る義兄の制止を振り切り、強引に力を引きずり出す。

 

クルル「やるのよ!! 私が死んだら義兄さん達だって消滅すんのよ!?」

 

アシェラ『あぁぁもうッ······!! 分かったよ!! 一月ぐらい筋肉痛で悶えてろ!! 僕も悶えてやるから!!』

 

義兄さんがそう言うと、私の体が更に軽くなった気がした。

 

力を。力を。力を。力を。

 

······壊れた心が死なない程度に、私達の限界まで力を引き出す。普段、無意識が掛けてるリミッターも全部取っ払って、刀を振るう。

 

 

クルル「()ぅああぁぁぁぁあああ!!!」

 

限界まで引き上げられた身体能力で、アジ・ダハーカが張った禁術の弾幕の中を突き進む。

 

 

右足に穴が開く。気にしていられない。

 

左腕が吹き飛ぶ。構うものか。

 

右耳が消し飛ぶ。それがどうした。

 

 

クルル「ぅおおぉぉぉぉああぁぁぁぁッッ!!」

 

アジ・ダハーカ「やべ······!!」

 

アジ・ダハーカの右腕と右足を、一太刀で切り落とす。

 

クルル「まだぁッ!!」

 

アジ・ダハーカの禁術に頭部を少し吹っ飛ばされる。

 

クルル「グァッ······まだっ、アンタを殺して······私は生きるッ!!」

 

アジ・ダハーカ「ごふぅっ······!!」

 

 

······阿朱羅丸が、アジ・ダハーカの胸を貫いた。

 

クルル「まだ、私には帰らなきゃいけない所が······!!」

 

 

もう一撃······!! まだアジ・ダハーカは······!!

 

 

だが、無常にも私の体はアジ・ダハーカを貫いた体勢のまま動かない。魔法で外から動かそうにも、それすら出来ない。

 

クルル「グッ······わた、し、には······」

 

意識が薄れていく。

 

ダメよ、今意識を失ったら······死·······

 

 

アジ・ダハーカ「······今回は、どうやら俺の負けだ。楽しかったぜ」

 

 

一瞬だけ右腕が引っ張られた気がしたけど、そのまま、私の意識は闇に墜ちていった。

 

 

 

アジ・ダハーカ「······投降しようにも、これじゃあな······」

 

 

 

クルルsideout

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡side

 

 

 

八幡「────鍵?」

 

コマチ······の肉体の666さんは、そう言った。

 

コマチ「······そう、『鍵』だ。まぁ、便宜上そう呼んでいるだけで、実際には別の名前があるんだろうが。ルシフェルが一度だけそう言っていたんだよ」

 

······まーたお袋絡みか。まぁお袋の残滓が俺の中にあった以上、分かってはいたことだ。

 

八幡「名前は問題じゃないですけど、その『鍵』ってのは?」

 

コマチ「······今、直接情報を送ろう。知る限り、だが────」

 

 

666さんが言う限りには、彼女の言う『鍵』とは、『聖書の神(ヤハウェ)』が作った物らしい。

 

お袋が『鍵』と呼んだのは、それが()()()()()()鍵───ファクターであるからだという。何とも傍迷惑な話だ。

 

 

生前、ヤハウェとかいうのは、自身の支配地域を広げ、自分の信奉者を増やすため、あることを行った。

 

 

────天使、堕天使、悪魔の創造。人間を模した3つの種族を自ら作り出し、敢えて種族間の戦争を起こした。

 

 

『悪魔』という解りやすい『悪』を作り出すことで、信者にできそうな人間にわかり易く頼りやすいもの(=ヤハウェ)を意識させた。

 

『堕天使』という『(堕天の)システム』を作り出すことで、働きアリの法則の如く自身に反感をもつ者を天界から排除させつつ、天使の団結意識を高めた。

 

また、堕天使が人間を魅力するために情欲的な肉体になりやすいのも、天使が欲を抱くと堕天するようになるのも、悪魔に倫理観が欠如した、欲に忠実的な精神になるのも···········全て神が仕組んだこと、であるらしい。

 

更には、ルシフェルが堕天すること、アザゼルが堕天して『神の子を見張る者(グリゴリ)』を組織して天界、悪魔に宣戦布告して冥界に侵攻することも、ヤハウェの仕組んだことであったらしい。

 

この仕組みを利用することで、西暦初め、急速に領域を広げながら、キリスト教の信者を獲得。それがマンネリ化し始めると、ムハンマドを利用してイスラム教を成立させ、別の方向からも信者を獲得した。

 

 

そして、ゼロサムゲームを続けることで、他種族に対する敵対意識を保たせる。

 

 

そして、肝心の『鍵』というのは、そのゼロサムゲームが二度と戻らないほど完全に崩壊した時、世界を滅ぼ(リセット)し、一からやり直すためのシステムであるという。

 

詳細な数は定かではないが、少なくとも『鍵』は20個以上あり、それが全て

 

 

傍迷惑どころの話ではない。他所の神話の100億倍はクソみたいなヤローだ。

 

 

コマチ「······君には、ルシフェルの残滓が混ざっているな。『鍵』は、宿()()が消滅しても、余程のことがない限り別の誰かに移るようになっている。ルシフェルの死とともに、息子である八幡君に移ったのだろう」

 

俺の膝に頭を預けていた666さんは、痛みに耐えながら、起き上がる。

 

コマチ「······そして、我にも『鍵』が宿っている。おそらく······死ねばクルルに移るだろう」

 

悔しさで顔を顰めながら、666さんは言う。

 

コマチ「情けない話だ······最後に娘に遺すのが、娘を危険兵器にすることだなんて······母親失格だよ」

 

八幡「そんなことは······ないでしょうに」

 

666さんに、治癒の魔法をかけながら言う。

 

コマチ「そう······かな? ところで、君は何をしている」

 

八幡「何って、治癒ですけど。俺がやったんですから、せめて俺が治すのは当たり前でしょ」

 

俺が切り飛ばした腕までは流石に治らないな······元の肉体に魂を戻せれば······

 

八幡「もう敵対心もなさそうですし······それに、貴女、ここで俺に殺される気ですよね? 俺は絶対にやりませんよ。というかクルルに会うチャンスなのに、あいつ何も言わない気ですか。曲がりなりにも俺も親なんで。少しは分かるんですよ」

 

一息で言い切って息を吐くと、666さんは笑って言った。

 

コマチ「······降参だよ、八幡君」

 

八幡「そりゃどうも。俺も、殺さずに済むなら殺しませんよ」

 

人を殺すことが出来るやつでも普通はそうなるだろう。殺したくはないが、最悪殺す気ではいた。結局、出来なかったがな。

 

コマチ「それと、半ば筋違いなことではあるが、一つ頼み事をしてもいいかな?」

 

八幡「もちろんですよ。それでその頼み事ってのは────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「────で、お前は投降するんで、いいんだな? アジ・ダハーカ」

 

全戦闘が終了して30分後。

 

俺の前には、闇の鎖(グレイプニル)で拘束され膝を付いたアジ・ダハーカがいた。大怪我を負ったクルル、ギャスパー、黒歌は即刻ICU行き。クロウとジンも、すぐに病院で検査に行かせた。クロウもかなりの重傷だったしな。本人は不服だったが。

 

666さんは、コマチとして、死体を偽造してサングィネムの屋敷の束の研究所へ。あそこは、存在を知らないと絶対に入れないようになってるしな。

 

ディオドラやフェリア達その眷属含め、酷い扱いを受けていた捕虜達も即刻病院に。ただ、人数が結構いたから十箇所に別れて運ばせたが。

 

 

······それにしても、前に黒歌に譲ったアレが本来の性能を発揮してないな。アレは、ちゃんと発動すれば、半身が消し飛んでも数分で回復出来る筈なんだが。

 

 

アジ・ダハーカ「まぁな。クルル・ツェペシはああなっちまったが、本気でもう一回戦いてぇしな。しかも、俺も無茶な復活の影響で、暫くは戦闘に支障が出そうだしな。何にせよ、ここでクロウの奴に殺されるのがもったいないと思ったわけだ」

 

アジ・ダハーカは当たり前だと言うように語る。

 

······あんな大怪我させたクセに、それか!! これだから、クロウん家以外の邪龍は嫌なんだ。自分が戦うこと以外の何にも関心を持たない。そういう奴ほど、戦闘で被害は出すし、情報を漏らしやがる。

 

 

八幡「······あぁ、そうかよ。もういい黙ってろ」

 

クソが······俺が666さんと話してる間に、クルルはあんな辛い思いをしてたとは······666さんじゃないが、俺は旦那失格もいいところだ。

 

はぁ······クルルの目が覚めた時、どんな顔して会えってんだよ。

 

 

とにかく、俺達ももう帰投だ。事後処理は北欧神話が請け負ったし、もうここに俺達がいる意味もない。後は、そのうち行われるであろう一連の事情説明と、捕虜だった人達が日常生活に戻れるような支援するくらいか。

 

······黒歌を追ってた奴らは、先にヴァーリが連行したし。あいつも負傷してた筈だが、自分で治療していた。あいつ、あんなに魔法使えるようになって······お父さん嬉しい。きっと、ラヴィニアの影響だろうな。

 

 

八幡「束、俺達も帰投するぞ。これから、やることが山積みだ。お前にも働いてもらうからな」

 

束には、コンピュータ関連でまだやってもらうことがあったため、最後まで残ってもらっていた。

 

束「······りょーかい。でもはーくん、言っとくけど束さんはそういうの専門外なんだからね?」

 

アジ・ダハーカの拘束を限界まで強めながら、転移の魔法陣を展開する。

 

アジ・ダハーカ「······痛ぇんだけど」

 

八幡「投降した奴は黙ってろ」

······戦闘が終わったことに対する爽快感や安堵感など、ない。戦争なんだから当たり前だが、クルルのことだけでもブチ切れそうだが、それ抜きでも悪魔滅ぼしたくなるぐらいに理性が吹き飛びそうなんだよ。

 

 

 

束「はーくん······」

 

八幡「······あぁ、分かってるよ。とにかく、帰投するぞ。働いてもらうとは言ったが、戻ったらデータの整理だけやって、お前も休んでくれ。後は俺が出来る仕事だから」

 

束「モチそうするけど······はーくんも休みなよ? 最近のはーくんは働きすぎ」

 

八幡「······分かってる。分かってるけど、なんかやってないと落ち着けなさそうなんだよ······!!」

 

束「······ま〜、気持ちは分かるんだけどさ。無理しないでね? 束さんも、ガラにもなく心配しちゃうし」

 

八幡「······はぁ。束、悪いな」

 

 

 

 

八幡sideout

 

 





ミッドナイト・サンは一応これで終わりです。ただ、ここからはシリアス120%の回が一気に増えます。日常回少しずつ増量していきたいんですけど、それで誤魔化し効くのかな·······?(今考えてる新章のストーリーは)

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