イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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何とか(強引に)クリフォト抗争編を終わらせられたので、新章いきます。でも、作者は戦闘回ばっか書いてて疲れたので今回は日常(はしやすめ)回です。

さてさて、作者は思い付きで広めた風呂敷を畳めるのか······? いや、無理であろう。
ご期待(なさらないで)ください!!




第137話

 

 

ヴァーリside

 

 

ラヴィニア「久しぶりなのですヴァーくん。聞いたのですよ? 『クリフォト攻略戦』では大活躍だったと」

 

ヴァーリ「ありがとう、にしても耳が早いな。さ、上がってくれ」

 

ラヴィニア「お邪魔するのです」

 

 

······クリフォトの本拠地を奇襲してから四日。帰還した強襲部隊の皆がそれぞれ事後処理に追われている中、俺は、療養という名目で仕事を取り上げられ、安静にしているようキツく言い渡されていた。

黒歌とギャスパーはまだ入院中だが、俺はもう怪我も治ったというのに。

 

 

 

 

 ───あの後、投降したアジ・ダハーカは北欧に引き渡し、作業の引き継ぎを済ませて俺達は撤収した。その後、666······さんを元の肉体に戻したり、束とシフラが回収したデータを片っ端から洗ったり等々、事後処理が山積みになっていた。

 

悲しいことに、()()()()()()()()()()状況は少ししか好転しなかったが。

 

 

 

手伝うのすら禁止されて歯痒い中、サングィネムの屋敷にいた俺に、ラヴィニアが尋ねてきた。

 

 

ヴァーリ「······しかし、急にどうしたんだラヴィニア。『刃狗(スラッシュ・ドッグ)』も忙しい時期だろう? 俺に会いに来て大丈夫だったのか?」

 

廊下の奥から覗いていた黒歌を手で追い払い、自室に案内する。

 

ラヴィニア「なんとか休暇が取れたのですよ。ですから、折角なのでヴァーくんに会いに来たのです」

 

······文脈が繋がっていないような気もするが、ラヴィニアだし別段気にすることでもないだろう。

にしても、無理に俺に会いに来なくてもいいだろうに。彼女はどちらかと言えばマイペースではあるが、仕事にストレスを感じない人間などまずいない。ゆっくり心と体を癒して欲しいものだが······

 

と、普段は戦闘以外ではあまり話しかけてこないアルビオンが、珍しくこんなタイミングで話しかけてきた。

 

『······そろそろ恍けるのもやめたらどうだ、ヴァーリ。ラヴィニアがお前目当てでここに来ているのが分かっているのだ。話は早いだろう? 何を悩む』

 

 

────余計なお世話だ、アルビオン。

確かに、この手でリセヴィムは倒した。だが、俺にはまだ足りないんだよ。

 

 

それに、まだ()()()()()()()()()だろう。

 

 

アルビオンは、この偏屈が、と言うとつまらなそうに奥に戻っていった。ああ、そうとも。俺は偏屈だよ。

 

 

ラヴィニア「ヴァーくん?」

 

ヴァーリ「何でもないさ、ラヴィニア」

 

 

ラヴィニアにコーヒーを振舞った後、サングィネムの都市部に出てみようという事になった。

 

 

 

 

 

 

ヴァーリ「······ここが、百夜孤児院。母さんが設立した孤児院で、冥界で最大の孤児院なんだ」

 

ラヴィニア「おぉ~。いつも通り過ぎるだけでしたが、よくよく見ると大きいですね」

 

ヴァーリ「位相を少し歪めて場所を確保しているからね。でなければ、こんな都市部でこの大きさの建物を新規で造るなんて無理さ」

 

空に浮かせている建造物も結構あるが······子どもの遊び場には些か危険だ。以前、観光客の子どもが落ちそうになった事件があったらしいしな。

 

ヴァーリ「見学していくか?」

 

ラヴィニア「是非お願いするのです。ヴァーくん、凄い楽しそうですよ?」

 

そうか? そう尋ねるのも野望な気がした。人からでないと見えないものも、多いのだろう。

 

 

 

「あー、ヴァーリおじさんだー!!」

 

孤児院内の施設を案内していると、子ども達が移動しているのにカチ合ったのか、10人くらいの子ども達に見つかってしまった。

 

ヴァーリ「やぁ、久しぶりだね。元気にしていたか?」

 

おじさん、と呼ばれるのも俺と10歳も差のある子からしたら20前後の男なんておじさんと大差ないだろう。と、強引に納得している。強引に納得した。というか、おにいさん呼びさせるのに失敗したのだが。

 

流石に、カルナにおじさん呼ばわりされるのは避けたいところではある。

 

「いや、聞いてよおじさん。ユウがさー」

 

なんて言う金髪の男の子(ミカ)に、黒髪の男の子(ユウ)が反論する。

 

「おいミカ!! 余計なこと言うな!!」

 

と、茶髪の女の子(アカネ)がユウを押し退ける。

 

「じゃあわたしが代わりに言うね、ユウ」

 

「やめろアカネぇ!!」

······うん元気そうで何よりだ。

 

 

ラヴィニア「元気ですね」

 

ヴァーリ「······まぁね」

 

これが、母さんが目指していた────

 

と、女の子らしく一番目敏いアカネが、ラヴィニアに目を付ける。

 

「ねぇおじさん、この綺麗な人だれ? おじさんの恋人?」

 

ラヴィニア「こッ······」

 

流石年頃の女の子、この手の話題大好きだな。そう言えば、父さんも前に浮気がどうのこうの聞かれたとか笑ってたな。週刊誌のガセネタを真に受けてしまったらしいが。

 

顔を赤らめるラヴィニアを出来るだけ気にしないようにして、アカネに言う。

 

ヴァーリ「違うよアカネ。この綺麗な人は俺の友人さ」

 

───と言うと、アカネは目を細めて

 

アカネ「ふぅ~ん·····カルナちゃんまだチャン······オホン、なんでもないよ!! 綺麗な人だから、おじさんが身内自慢しに来たのかと思ったとかないよ!!」

 

カルナの名前を出して何か言った時咳払いして、あからさまな弁明をした。

 

ヴァーリ「? そうか」

 

······カルナ、アカネに何を話した? というか、凄い弁明だな。

 

 

ラヴィニア「き、綺麗な人······」

 

 

その後、子ども達の好奇心をあしらい、施設の案内を済ませた後、街をぶらぶらすることになった。

 

 

 

 

 

 

市内を歩いている途中、偶々通りかかった喫茶店で軽い昼食を取ることにした。店主とは知り合いで、店を気に入ったため偶に一人で寄るが、誰かと入ったのは初めてだった。

 

 

ラヴィニア「······ヴァーくんは、子どもの相手にも慣れてるのですね。意外です」

 

ヴァーリ「そうか? ······カルナも、あのくらいだからかな。自然に慣れたさ。大変であることには変わりないが」

 

正直、毎回言い逃······付き合うのは疲れはするが、イヤな疲れではない。大人にはない純粋な部分を見ていると、自然と癒される。

 

 

ヴァーリ「それより、良かったのか? 嫌なら言ってくれ」

 

あのあと、お互いの服を一着ずつ買い、ブックカバーを贈って······まぁ、傍目から見たら確かにデートだな。ラヴィニアが本音ではどう思っているのか、確信が持てないが。

 

 

ラヴィニア「大丈夫ですよ。あのくらいの子ども達のバイタリティには驚きましたけど······楽しいのです。ヴァーくん」

 

そう言って笑うラヴィニアを見て、溜飲が下がる。彼女の気を害していたらどうしようかと······

 

ヴァーリ「······なら、良かった」

 

 

 

 

 

 

 

その後も遊び倒して、日が傾き出しそろそろ時間が迫る中、俺達は、ある場所に訪れていた。

 

 

ラヴィニア「────ここは······」

 

ヴァーリ「······ここは、サングィネムを一望出来るんだ」

 

ロープウェイで麓から20分で頂上まで上がることが出来る小さな山。この山はほとんど人が来ないため、俺達を除いて周囲に人はいない。

 

 

燃え上がる空が世界を照らす。宙を浮遊する建造物群が夕焼けの炎に照らされて、不思議な───綺麗な景色を作り出していた。

 

ヴァーリ「この山は、展望台を老朽化で取り壊して以降人が来なくなってね。でも、この景色は変わらなかった。所謂穴場なんだ」

 

 

独りよがり、かも、しれないが。俺はこの景色をラヴィニアに見て欲しかった。昔、母さんに教えてもらった───あの時はまだ展望台があったが───この景色は、一種の俺の救いでもあった。ゴミのような世界しか知らなかった俺に、この景色が、世界の広さを教えてくれた。

 

ヴァーリ「ラヴィニア、俺に────ッ!!」

 

 お前のことを────そう、言いかけて口を噤んだ。

 

 

 

 

ラヴィニア「······ヴァーくん、もう遅いのです。私には、もう、ヴァーくんに好きと言うことも、ヴァーくんの想いに応えることも出来ないのです」

 

 彼女は、泣いていた────。

 

 

 

ヴァーリ「ラヴィ、ニ、ア? どうし────そういうことか」

 

何故、彼女が泣いているのか────?

 

 

  その答えはすぐにわかった。

 

 

ヴァーリ「······しかし、これはどういうことだ。答えろ────

 

 

 

────幾瀬鳶雄ッ!!」

 

 

 

鳶雄「······すまないヴァーリ。抵抗は、しないでくれ。お前を殺したくはない」

 

 

刃狗(スラッシュ・ドッグ)』のリーダー、幾瀬(いくせ)鳶雄(とびお)が、俺の頭に拳銃を突き付けていた。

 

 

 

ヴァーリsideout

 

 

 

 

第137話 俺の愛した(ひと)/私の愛した(ひと)

 

 

 

────ヴァーリ、敵の手に墜ちる。

 

 

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