イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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限定公開がぁぁ! シンフォギアの限定公開が終わっているぅぅぅ!(無知並感)





第145話 泣き声

あの時の俺は、クルルを信じられなかった。お袋が死に、小町が死に、親父も殺された。その殺害の実行犯───後々ウリエルのシンパだと分かった───を瞬殺したクルルの顔が、悦に浸ったまま飛ばされた顔と重なった。最初はそこまで酷くなかったはずだが、ある時から急に、毎日のように夢でクルルに殺されるようになって、そんなことが続けば、そりゃあクルルが怖くなる。俺そん時12だかのガキだし。

 

 

それよりも、その時ヴェネラナさんに言われた言葉が俺にとって大きかった。

 

······なんであの人が俺の母親じゃないんだろうな。今思えば、お袋よりよっぽど母ちゃんしてた。

 

ルシフェル《ひどいわ》

 

 

 

 

 

 

ヴェネラナ『八幡君。何故そうクルルを遠ざけるのか、聞きます。包み隠さず言いなさい』

 

俺を見下ろす目は、厳しかった。

 

八幡『え······』

 

サーゼクス『言ったらどうなんだ八幡』

 

サーゼクスも半分呆れ始めていて、俺にはいよいよもって逃げ場がなかった。

 

八幡『······あの時のクルルが、その、怖くて······』

 

『『怖い?』』

 

うっすら憶えてる限りじゃ、泣くのを堪えてた記憶がある。ガキの頃の話だ。なんで堪えようとしてたのかまでは覚えてない。

 

八幡『アイツが······親父達を殺したやつの目と、クルルの目が重なって見えるんだ。だから、その···』

 

サーゼクス『なんで······! 八幡にはそんな風に見えるのか?!』

 

サーゼクスが本気で怒ったのは、多分その時が初めてだった気がする。そのあと言われたな。家族じゃないみたいだ、って。そう言ったっきり、サーゼクスは部屋を出た。そのあとクルルと話してたらしいが、その内容は知らない。

 

ヴェネラナ『······はぁ。八幡君、良くお聞きなさい』

 

八幡『······はい』

 

ヴェネラナ『今の貴方には分からないでしょうけど、クルルは毎日泣いているんですよ』

 

八幡『クルルが、泣いて······?』

 

ヴェネラナ『部屋が同じでもクルルのが先に起きてれば······はぁ。分からないか······』

 

勿論、俺はそんなこと知らなかった。部屋は一緒だったが、食事の時以外は顔を合わせないようにしていた。俺はグレモリーの図書館に逃げ込んでて、部屋に戻る時に必ずのようにクルルと鉢合わせしては喚き散らしてサーゼクスに引き摺られるを繰り返してた。

 

ヴェネラナ『貴方の気持ちも分かります。八幡君の性格なら、あの天使とクルルの目が重なることもあるでしょう。ですが。クルルが泣いているということだけは知っておきなさい。

 

······クルルを家族と思うかどうかは八幡君の勝手でも、クルルに護られているのよ。貴方は』

 

 

言い切ったヴェネラナさんは仕事に戻っていった。

 

クルルが様子を見にくるまで、取り残された俺だけがひたすら泣き続けていた。

 

 

 

 

八幡sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

 

 

一夏達に回収された俺と『刃狗(スラッシュ・ドッグ)』のメンバーは、サングィネムにあるウチの本邸に運びこまれた。何故かは考えるまでもないが、ウチは軍事的に籠城出来るほど設備が整っている。医療設備だって最新のものがある。掃除が行き届いていなければ確実に埃を被っている代物だが。

 

 

一通りのメディカルチェックを終わらせて、俺はラヴィニアと医務室のベッドがある部屋に戻ってきていた。この部屋は、昔は束が在勤してたらしいが、今は束の作った無人機が管理しているため、実質無人の部屋だ。

 

ラヴィニア「ヴァー君、どうするのです。ここまで来てしまった以上······」

 

ラヴィニアは、困惑を隠そうともせずに俺を問い詰めてくる。彼女の優しさが悲しい、痛い。

 

ヴァーリ「分かってる。分かっている······」

 

母さんを殺す。殺す───殺せるのか? 今の母さんは、素の再生能力だけで父さんの治癒魔法全てを上回っている。それこそ封印前のア・ドライグ・ゴッホの炎でもない限り、殺すのは不可能に近い。

ということは、そういった回復力を大幅に減衰、或いは無効化させる手がある。

 

母さんの再生能力は、父さんと違って先天的なものらしいから、元をたどれば666(トライヘキサ)のものなんだろう。アレに効くものがなんなのか、検討もつかない。殺すより封印する方が楽なタイプだと遥かに思うが。

 

······兎も角、四鎌童子はラヴィニアに仕掛けた魔法を辿ってこちらに来るはずだ。クソ、情報が筒抜けだから下手なことを喋れない。

 

 

ヴァーリ「八方塞がりだな······」

 

ラヴィニア「ヴァー君······」

 

 

今のラヴィニアは、四鎌童子に生かされているだけだ。俺の動き一つ言葉一つで、簡単に木っ端微塵だ。それに、奴が交渉を守る保証も最初から無い。こんな時、父さんだったら迷いなく四鎌童子を殺しにかかるだろうが、俺にはそこまでの覚悟も力もない。

 

だから、せめて。

 

ヴァーリ「······聞いてくれラヴィニア」

 

 

 

 

 

 

ドアがノックされ、母さんが入ってくる。

 

クルル「調子はどう?」

 

 

 

······刻限だな。

 

 

ヴァーリ「悪いな。母さん」

 

屋敷に張られている結界。強力な防壁と、魔法的な干渉を尽く跳ね返す役割を兼ねるものが、100を超える数張られている。よしんばすり抜けて侵入出来ても、内側からだろうが破壊はほぼ不可能た。

 

でも、侵入者ではない俺なら干渉は難しいことではない。

 

クルル「結界に穴が······ヴァーリ、アンタ何をや────」

 

 

次の瞬間には、母さんの右腕が丸ごと切り落とされていた。

 

クルル「ぐぅあっ······!?」

 

 

結界の穴に乗じて転移で侵入した四鎌童子が、俺の前に降り立った。

 

その手には、ラッパかブブゼラのような楽器が握られていた。

 

 

四鎌童子「宣言通りだ。無に帰る準備の時間はくれてやっただろう」

 

クルル「四鎌童子······!」

 

 

 

ヴァーリsideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡side

 

 

ヴァーリの安否が確認されて2時間経った。メディカルチェックも終わった頃だろう。

 

 

 

美猴「なぁ、ずっと聞きたかったんだけどよ」

 

美猴は、執務室のソファに座って、缶ビールを呷った。ここ俺の執務室なんだけど。お前だけじゃないけど、冷蔵庫に勝手になんか入れんのやめてくんない。特に束だけど。

 

八幡「何だ。てか、待機中だろお前。酒飲むなよ」

 

美猴「ノンアルだっつの。だいたい、ヴァーリ帰ってきたのに、なんで俺っちの待機命令解除されねぇの?」

 

そう言いながら、ソファに浅く腰掛けた美猴はグビりと酒(よく見たら梅酒だった)をまた一口呷った。

 

······そういや、桃花と束の待機先に解除したんだった。 束は美猴と対面してるソファに寝転がってゲームやってるけど。

やべ、5徹で頭働かなくなってる。書類作るのになんでこんな時間かかってんだ俺。

とっとと終わらして寝よ······

 

八幡「悪ぃ、俺のミスだわ」

 

美猴「ダイジョブかよそんなんで。んでよ」

 

八幡「あぁ、何だっけ?」

 

美猴「気になってたんだけど、八幡よぅ、なんで黒歌拾ったのよ。アイツ、お前を殺すために調整されてたんだろ」

 

スマホでゲームしてた束の目が一瞬だけ美猴に向いた。それもすぐに、画面に視線を戻して画面を連打し始めた。

 

八幡「今更かよ」

 

黒歌拾ったの自体何年前だと·······

 

美猴は飲み切った缶をテーブルに置いて続けた。

 

美猴「黒歌の時は聞かないでおこうと思ったけど、白音がどーたらで、気になっちまったんだよ」

 

拾った理由にまでは興味持ってないのかと思ってたが、気を遣ってたのか。全然気付かなかった。

 

八幡「お前資料見ただろ? 黒歌と白音は、俺を殺すための強化実験体で俺のDNA使って、その上ただの試験体扱いでデータが取れたらポイ······なぁ。流石に放っとけなかったんだよ。まぁ、あいつには暫く術掛けてたけどな」

 

美猴「ほっとけないの基準が低いねぃ。八幡は、そんなんでよく寝首を搔かれなかったもんだわ」

 

美猴は片手で2本目を開けると、一気に飲み干した。缶を壁のゴミ箱に放り込み、立ち上がった。

 

八幡「蓋凹むし、残ったの飛び散るから投げ入れるのやめろ」

 

美猴「ダイジョブだって。んじゃ、俺っちは一旦帰るわ。やっぱ家の方が······ん?!」

 

 

美猴が声を上げた瞬間、俺の眠気は吹き飛んで、束は飛び起きた。

 

 

結界が破られた。それも内側から······!

 

 

束「侵入された······! いつの間に!?」

 

 

 

八幡sideout

 

 

 

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