イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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第26話 リアス・グレモリーの眷属、塔城小猫(後編)

 

 

 

黒歌「······久しぶりね、白音」

 

物言わないもう1人の自分(自分の幻影)を倒した塔城が次に対峙したのは、実姉の黒歌だった。

 

小猫「どうして、黒歌姉様が······」

 

八幡「ここは俺の創った空間の中だ。俺の思った通りのことが出来る」

 

小猫「······なら、なんで······!!」

 

自分で分かりきってるくせに、と思った。全く、何で黒歌はこんな回りくどいやり方してるんだか。

 

八幡「お前が自分と向き合うためだ。ここで黒歌の幻影を倒して自分と向き合え。お前が受けるべき本当の修行だ」

 

いくら逃げようともそれは一時的なものにすぎない。逃げ続けたら、いつからこいつはオカ研メンバーといれなくなり、逃避願望と罪悪感にすり潰されるだろう。

 

小猫「わた、私は、い、イヤ······」

 

白音に向かって歩み寄る黒歌に対して、白音は後ずさる。

黒歌「帰ろう白音。あなたはお姉ちゃんと同じ力をその身に宿してる。逃げるなんて無理よ」

黒歌が白音の目の前に来て、手を差し出す。

 

黒歌「あなたと私は本質的に同じ。あの人達をいつか傷付ける」

 

小猫「っ······やめて······」

 

白音の体が震え出す。

 

黒歌「お願いだから、認めて。白音は逃げられないのよ」

 

白音の表情は恐怖に呑まれる。一方の黒歌も、顔には出していないものの内心かなり辛い筈だ。

 

小猫「嫌、で、す······」

 

塔城は頭を抱えて座り込んだ。

 

黒歌「あなたは白音。塔城小猫じゃない」

 

小猫「······!!」

 

塔城の震えが止まり、頭を上げて黒歌を睨みつける。

 

小猫「······違うい、ます

 

黒歌「違わないわ」

小猫「違う違う違う!! ········私は塔城小猫!!リアス・グレモリー様の『戦車』!! 私はあなたとは違う!!」

 

塔城から獣耳と尻尾が出る。

 

黒歌「その姿で? 結局同じ穴のムジナでしかないわ」

 

小猫「そんなことない······私は姉様とは違う!!」

 

塔城が仙術で攻撃する。至近距離から攻撃をもろに食らった黒歌の体がボヤけ始める。

 

黒歌「いつか······迎えに行くわ······」

 

小猫「······私は、負けません。姉様を、乗り越えます」

 

それを最後に黒歌の体は霧散するかのように完全に消えた。

 

 

·······頑張ったな、2人とも。

 

 

 

 

 

小猫「どうして先輩は······あんなことを?」

 

黒歌が消えたあと、俺達は元いた場所(グレモリー邸のジム)に戻った。

 

八幡「·····特に大した理由じゃねえよ。お前がいつまでも姉という存在に縛りつけられてたから、それを解き放っただけだ。少しは吹っ切れただろ?」

 

······それに、(白音)を憂う(黒歌)を見てて辛かったからだ。俺のような想いは、黒歌にも白音にもさせてやりたくない。

 

小猫「······はい」

 

出来れば、和解させてやれれば良かったが、いきなりでは無理だ。誤解もまた一つの(こたえ)。解くには相応の時間がかかる。

 

八幡「一つ言っておくぞ。塔城小猫、お前の力は人を傷付けるためのものじゃない。力ってのは、ただあるだけだ。力の見方は、使う奴次第だ。いい意味でも悪い意味でも、な。それだけは心の片隅に置いとけ」

 

小猫「······はい」

 

仙術は、使い方では相当危険な部類に入る。だが、使いこなせれば白音にとっちゃこれ以上ない力だろうよ。

 

小猫「先輩······ありがとうございました」

 

八幡「そうか。今日はもう休め。疲れただろ?」

 

小猫「······はい」

 

塔城はジムから出て行った。少しは吹っ切れただろう。出なきゃ、辛いのを堪えて出てきたあいつが可哀想だ。

 

 

 

八幡「······見てたのか」

 

扉が開き、クルルとギャスパーが入ってくる。クルルばっかりずるい、と思った俺は悪くない。······違うか。違うな。

 

クルル「ただいま」

 

八幡「おうおかえり」

 

ギャスパー「お父様······小猫ちゃん────白音は大丈夫なんですか?」

 

ギャスパーが恐る恐る聞いてくる。

 

八幡「どうだろうな······でも、多分大丈夫だな」

 

ギャスパー「どうして分かるんですか?」

 

八幡「そうだな······俺も感覚的な所だから上手く言えないが······うし、これから聞きに行くか」

 

魔法陣を出し、ジャンプの準備をする。

 

ギャスパー「これからですか?······久しぶりですけど」

 

クルル「最近八幡しか会ってないからね」

 

八幡「そりゃ悪かったな。お前も会いたかったよな」

 

ギャスパー「そ、そういうわけじゃ」

 

八幡「ギャスパーにだけ聞いたんじゃないぞ?」

 

ギャスパー·······顔真っ赤にしちゃって。

 

ギャスパー「あっ······な、なんでもありません!!」

 

クルル「ふふっ」

 

クルルは、抱き着きたいぐらい可愛いとか思ってるだろうな。何故か、って。そら、俺が思ってるんだし。

 

八幡「じゃあ行くか」

 

クルル「ギャスパーも会いたがってるしね」

 

ギャスパー「お、お母様!!?」

 

ギャスパーにしてみれば、あいつは姉みたいな存在かもしれんな。でも、久しぶりに会うわけだし、双方にとってもなんか刺激になるかもしれない。

 

八幡「ほら、行くぞ」

 

ギャスパー「は、はい!!」

 

俺達は魔法陣でジャンプした。

 

 

 

 

 

 

八幡「よ、さっきぶり」

 

ギャスパー「······その、お久しぶりです」

 

ギャスパーの目が輝いている(頬は若干赤らんでいる)。お前大好きだったもんな、こいつ。暇さえあればずうっと一緒にいたし。

 

クルル「久しぶりだね」

 

俺達はある場所にジャンプした。うちの領の、俺と眷属が密会する洞窟であり、人払いの結界が常に張られている。眷属以外で入ったことがある(入れる)のはギャスパー、ヴァーリ、それともう一人だけである。

 

「······待ちくたびれたわよ」

 

そこには黒歌が先に来ていた。

 

黒歌「ギャスパー、久しぶりね。封印は解けたのね······元気にしてた?」

 

ギャスパー「······はい。黒歌さんもお元気そうで、良かったです」

 

色々言いたいこともあるだろう。

 

八幡「······にしても、お前がやりたいって言い出したことだけど、あんな回りくどいやり方しなくても良かったろ」

 

先程の黒歌、白音には幻術まがいのものだと言ったがあれは本物の黒歌である。霧散するように見せたのは幻術まがいのものだと思わせるためだ。

 

黒歌「これも白音のためだもの。結果的に白音が少しは自分を受け入れたからよかったと思うわ」

 

終わりよければ全てよし、じゃねえからな?

 

八幡「かなり危険な方法だと思うんだが」

 

黒歌「······他に方法が思い付かなかったのよ」

 

黒歌は、俺から視線を逸らす。

 

八幡「はぁ。もうちょい考えろよ」

 

黒歌「あでっ」

 

黒歌にデコピンを食らわす。別に痛くないだろ。

 

黒歌「酷い!!」

 

八幡「自業自得だ」

 

別に、余計に警戒されるようなことをする必要はなかったろ。確かに、今のままじゃ誤解を解くこと自体結構大変ではありそうだが······全く、妙な所で不器用発揮しやがって。

 

黒歌「もっと酷いっ!?」

 

ギャスパー「お父様、落ち着きましょうよ······」

 

八幡「そうだな」

 

黒歌「変わり身がっ!!」

 

もうちょい安全な策はあるだろ·······全部こいつが焚き付けて、自分を見直させるって感じだが、今回そばにいたのは俺だぞ? 塔城が本格的に自分を見失ったらどうするつもりだったのか。黒歌は、白音が変わる切っ掛けになると信じていたのか。

 

まぁ黒歌本人が知っていれば、それでいいか。

 

 

八幡「······じゃあ俺とクルルは帰るわ。黒歌、後で俺の魔力探ってギャスパー送って来て」

 

黒歌「りょ〜かい」

 

クルル「ギャスパー、しっかりやるのよ?」

 

ギャスパー「うええっ!!? お、お父様!? お母様!?」

 

俺とクルルは魔法陣でジャンプした。

 

 

 

 

八幡「·········ギャスパーも変わってんなぁ」

 

魔法陣でジャンプした先はグレモリー邸の俺達用の客間。ここはサーゼクス達に内緒で、俺と、クルルを始めとする眷属以外のみに効く魔力の感知阻害の結界を掛けてある。

 

クルル「私達も大して変わらないでしょ」

 

八幡「まあ結局黒歌の案に乗ったわけだしな」

 

この点で、結局黒歌と同じだと思うしかないか。

 

 

 

八幡「······早かったな」

 

ギャスパーと黒歌が魔法陣でジャンプして戻って来た。早くね?俺は一晩やそこら帰って来ないのかと思ってた。余談だが、俺や俺の眷属の中では、黒歌とギャスパーが2人だけであの洞窟内にいる時は絶対に邪魔をしない決まりになっている。

 

ギャスパー「もう、お父様もお母様も置いてくなんて酷いですよ」

 

黒歌「いや~私は嬉しかったけどね」

 

クルル「何て言われたの?」

 

俺も気になるな。

 

黒歌「えっとね、僕は黒歌さんのことg「いくらお父様とお母様でも駄目ですよ!?」ちぇ~」

 

なんて言ったのか気になって仕方なかったが、聞こうとしたら、黒歌の口をギャスパーが塞いでしまった。

 

八幡「ま、いつか聞かせてくれよ。それで? なんて返事したんだよ」

 

黒歌「ギャスパーが一人前になったら、こっちから行かせてもらうわ。その時は、ガンガン行くにゃん」

 

ギャスパーが微妙に苦笑いをしていたが、これは、攻められる前に攻めるタイプだな。

 

でも、黒歌も、ギャスパーのこともちゃんと考えてて俺としては一安心だ。比企谷家は安泰だな。

 

八幡「そうだな、それが一番いいんじゃないか?」

 

早いとこギャスパーを鍛えてやらんと。黒歌も割りとモテるからな。基本的に黙ってれば、だけど。

 

 

 

 

 

翌日。

 

 

 

小猫「······おはようございます。比企谷先輩」

 

八幡「よお塔城。少しはスッキリしたか?」

 

本人としても、まだ踏ん切りのつかないことが多いだろう。時間はいくらでもあるわけだし、悩み抜いて答えを見つけてくれればいい。

 

 

小猫「······はい。あくまでも姉様は姉様で、私は私です。だから、私はリアス部長の『戦車』の塔城小猫です」

 

八幡「······そうか。少なくとも、今それが言えたんなら、昨日は無駄じゃなかったな」

 

小猫「はい」

 

······これで、やっと一歩進めたな。白音。

 

八幡「なら、今日からは接近戦の特訓に加えて仙術の特訓を行う」

 

小猫「······先輩は仙術も使えるんですか?」

 

これが、俺がトレーナーになった理由。俺とクルルは、須弥山で修行していた時期がある。ウチに来たばかりの黒歌にも手解きしたりもした。

 

八幡「ああ。ある程度はカマクラに教わった」

 

嘘を多めに混ぜて話す。カマクラは猫又だから疑われることはないだろう。それに、今黒歌のことを教えると昨日が丸っと無駄になる。また取り乱されては、やり直しどころかマイナスからのリスタートだ。

 

小猫「カマクラ······先輩の使い魔でしたよね?」

 

八幡「ああ。お出でカマクラ」

 

カマクラを呼び出す。出て来た場所は俺の頭の上。因みに、ディネは俺の肩に座ってる状態で出て来る。ホント可愛い。あいつにも少しは見習って欲しい。この可愛さを。······無理か。

 

小猫「可愛い······」

 

カマクラは俺の頭から飛び降りると、白音の肩に飛び乗る。俺より歳上なのに、妙に可愛く見えるのはなんでなんだろうな······

 

 

八幡「残りの2週間。俺とカマクラでお前に仙術を叩き込む。覚悟しとけよ?」

 

小猫「······はい!!」

 

 

 

 






裏幕:ギャスパーと黒歌


八幡とクルルが若いもんにどうのこうのとか考えてますよな表情で、先に転移していった直後。


ギャスパー「······えっと、その······」

ギャスパーは、八幡とクルルがいきなりいなくなって少し慌てている。可愛い。

黒歌「ギャスパー······」

大丈夫? と声をかけようとした時、何かを決心したような表情になって私を見つめてきた。
にしても、ギャスパーの瞳って真紅で綺麗ね。引き込まれそうよ。

ギャスパー「······僕は、黒歌さんのことが好きです」

分かっていた。ギャスパーが私に無自覚でも好きだって思っていてくれたこと。そりゃ、私を助けてくれたのはギャスパーだし、私だって、この子のことが大好きだ。歳はちょっと離れてるけど·····

でも、誰にも文句は言わせないわ。

黒歌「!! ······ふふっ」

ギャスパー「ふぇっ!? 黒歌さん!?」

私がギャスパーを抱き締めると、ギャスパーは一瞬慌てたけど、すぐに抱き締め返してきた。

今は、私のが10センチくらい背は高いけど、多分すぐに追い抜かれちゃうんだろう。男の子だし。男子三日会わざればーなんてよく言われてる。
ヴァーリも、最初会った時は私より背がちっちゃかったけど一瞬で追い抜いてやるとか息巻いてたから適当に相槌打ってたら、本当に一瞬で抜きやがったし。
······まぁ多分、この子もそう。この子を見下ろせるのも今だけだと思うとちょっと残念だけど、かっこよくなってくれるのは嬉しい。

黒歌「ギャスパーがもっと一人前になったら私から行かせてもらうわ」

でも、今はまだ、それだけ。ギャスパーが、あのことをちゃんと乗り越えて、それでも私を見てくれるなら、その時は、私が全力を出して、全力の本気の本気でギャスパーを攻め落としてやるわ。

ギャスパー「······はい。出来るだけ待たせません、黒歌さん」

だから、私も、早く強くなって、乗り越えていかないと·······



黒歌「うん。待ってるわ、ギャスパー。


·······さ、2人の所に戻ろ?」

ギャスパー「戻りましょうか」


───────────────────




ヴァレリーはギャスパーの幼馴染みポジではなくしました(そこまで続けてればだけど)。※あくまでも二次創作です。



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