イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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第36話 『無限』は何を望む

 

 

 

八幡「·······っていうわけだ」

 

「·······なるほど。やっとあの息苦しいところから出れますよ」

 

八幡「·····旧魔王派ってのはそんなに息苦しいのか?」

 

「はい。口を開けば『真の魔王』だの『偽物』だのと。僕も一応純血ではありますが、そこまで興味はありませんので。理解もしようとは思いませんし」

 

八幡「そうか········ヴァーリ達はもう抜ける」

 

「僕も抜けますよ。もういる意味がなくなりましたし」

 

八幡「分かった。お前の眷属は大丈夫か?」

 

「はい。何かあった場合転移出来るネックレスを作っていただきました」

 

八幡「ああ·····あいつに頼んだのか」

 

「はい。しかし彼女は凄いですね。そう言えば、頼まれた物が出来たから送っといたと言っていましたよ」

 

八幡「あいつ、俺に言わずにお前に言ったのかよ。まぁ分かった。報告ご苦労さん」

 

「お言葉には及びませんよ」

 

 

 

 

 

 

 

『百夜孤児院』を訪ねた翌日。

 

 

俺は眷属の一人に作成を依頼していた物を受け取りに、屋敷にある専用のラボにいた。

 

「おっ、来たね〜」

 

八幡「······出来てるって聞いてな」

 

「ここにあるよ」

 

じゃじゃ〜んなんて言って、被せていた布を思い切り取った。

 

 

「······にしても、堕天使総督も侮れないね〜。これは凄いよ」

 

机の上に置かれていた紙束をバシバシと叩く。

 

俺は、三大勢力の会談の時にミカエルから、アザゼルが堕天した時天界に置いてった神器研究の資料を受け取った。それをこいつに渡して試験的に製造出来ないか頼んでいた。

 

 

八幡「へぇ······お前がそこまで言うとはな」

 

「ちょっと? はーくんは束さんをなんだと思ってんのさ。凄いと思えば、束さんも普通に褒めるよ?」

 

篠ノ之 束。うちの『兵士』だが研究員として眷属入りしており、一応非戦闘員。ただ、美猴よりは確実に強い。そして俺をはーくんと呼ぶ。というか、だいたいのやつにアダ名を付けている。

 

あと、お前はその褒めるのラインが高すぎるんだよ。

 

 

八幡「いやお前自分の頭から螺子が数十本弾け飛んだとか言ってなかったっけ?」

 

束「いや自虐だよ?」

 

八幡「······ああ。それもそうか」

 

自虐だったのか······素で言ってんのかと思ってたわ。

 

束「今の間は!?」

 

八幡「悪い悪い。ちょっと巫山戯ただけだよ」

 

分かってるっつの。冗談だってことは。

 

束「趣味が悪いな~もう」

 

八幡「······にしても、凄いな。設計図よりいい出来じゃねえか?」

 

話を戻すべく、一番手前にあったやたら凝ったデザインの剣を手に取ってみる。

 

束「······話逸らしたね。まいいや。堕天使総督(アザゼル)の資料で不備だった所を束さんの技術で手直ししたから一部資料と違うからねー」

 

八幡「あいよ」

 

にしても、『|閃光と暗黒の龍絶刀《ブレイザー・シャイニング・オア・ダークネス・サムライソード》』か。アザゼルのやつネーミングセンスねえな。だから『閃光と暗黒の龍絶剣 総督』とか言われんだろ。

 

ミカエルがこれの資料を渡してきた時は凄かった。笑い転げるのをぎりぎりで我慢してた感じだ。

 

束「はーくんそれどーすんの?」

 

八幡「ん?とりあえず『閃光と暗黒の龍絶刀(コレ)』はアザゼルを弄りつつ、俺が使うかな。昨日渡したあの日本刀の代わりにでもしようかと。それ以外はうちのやつが持っててもしょうがないし······そうだな、ソーナの眷属にでも渡してテスト運用でもしてもらうか。レーティングゲームには流石に間に合わんが」

 

 

束「あー、グレモリー眷属に比べて戦力で劣るもんね。火力に関しちゃ、グレモリー側の運が良かったんだろうけどねぇ」

 

スパッと言うな。まあ間違っちゃいないし。

 

八幡「ああ。セラフォルーにも頼まれたっちゃ頼まれたしな。」

 

束「ふ〜ん」

 

因みに、この資料だが──アザゼルの預かり知らぬことだが──俺以外にも、サーゼクスやセラフォルーにも渡されていたりする。これを受け取った時、サーゼクスとセラフォルーは苦笑いしていた。ミカエルが和平の証の一つとか言っていたが、絶対あいつはアザゼルを弄りたいだけだ。

 

 

 

 

 

束から試作品を受け取った翌日。俺はクルル、ギャスパーと共に、眷属達と打ち合わせに使う洞窟に訪れていた。今はヴァーリが来るのを待っている。

 

クルル「······もう殆ど諦めかけてたのよ」

 

クルルが呟く。遠い目をして、嘆くような声色で。「ギャスパー達がいるのにね、諦められなかった」と堪えるように言って、顔を下げた。

 

 

ギャスパー「お母様·······」

 

クルル「誰にも対処出来なくて、どうしようもないのかなって」

 

八幡「·······でも、最後まで諦めなかっただろ」

 

ギャスパー「そうです!! こうして対処法が見付かったんですよ。お母様が諦めてたらこうはなりませんでした」

 

ギャスパーが言うと、クルルは一瞬だけ驚いたあとギャスパーを抱き締めた。

 

クルル「うん······ありがとう八幡、ギャスパー」

 

ギャスパー「どうってことないです。それに······いいじゃないですか」

 

八幡「······俺からも、ありがとなギャスパー」

 

 

もう完全に諦めていたら、ヴァーリもオーフィスに頼むなんてことはしなかっただろう。ヴァーリはクルルが望まないことなんかしないだろうしな。当然、ヴァーリ以外のヴァーリチームも、うちの眷属達も。それだけクルルへの信頼は厚い。俺以上だ。クルルナシには、俺が存在しなかったしな。

 

だから、クルルが耐えてきたことを側で見続けてきた身としては、頑張ったの一言だ。

 

正直なことを言えば、子供が出来ないクルルのためにオーフェリアやヴァーリ、ギャスパーを引き取ったところもある。それは皆分かっていることで、それでも着いてきてくれてここまでしてくれている。

 

 

 

 

ヴァーリ「······遅くなって悪い。オーフィスを連れてきた」

 

その場に魔法陣が展開し、ヴァーリの声が響く。

 

魔法陣から出てきたのは、ヴァーリとその隣にいる幼女。おそらく、今のオーフィスだろう。

 

オーフィス「·····ハチマン、クルル、久しい」

 

そのオーラは、俺とは比ぶべくもないほどのものだ。一つ間違えば、消し飛ばされかねない。

 

八幡「ああ······久しぶりだな」

 

クルル「そうね。久しぶりね」

 

ギャスパー「こ、この人が、オーフィス······!!」

 

オーフィスと会ったのは戦争が始まる少し前。俺とクルルの魔力を察知して暇つぶしに来たらしい。その時は老人のような風貌だったが、今は小学校上がりたてみたいな幼女の姿だ。こいつからして見れば容姿や性別なんて何の意味も成さない。

 

オーフィス「我を呼び出した·······何故?」

 

首をコテンと傾げながら、オーフィスは言う。

 

八幡「交渉したいんだ、オーフィス」

 

オーフィス「······交渉?」

 

 

八幡「クルルの······クルルの体に入り込んだドラゴンの魔力を取り除いて欲しい」

 

オーフィス「······分かった。我、クルルの中に根付くドライグのオーラを除去出来る。ただし·····」

 

八幡「静寂を得るためにグレートレッドを倒すのに協力する、か?」

 

ヴァーリ達から散々話は聞いてきた。ヴァーリ達が見てきた限りではそれ以外見当たらないらしい。まあ基本的に興味というものが殆どないならそれもそうかと思う。

 

だから、俺達はオーフィスの言葉に驚愕した。

 

 

 

 

 

オーフィス「······違う。それもそうだけど、条件にはならない。ハチマンとクルルでもグレートレッドには勝てない」

 

「「「「······?」」」」

オーフィスの言葉に、俺達は首を傾げる。

 

······俺達がグレートレッドに勝てないことなんか百も承知だが他に何があるのか。次元の狭間の静寂が恋しいのではなかったのか?

 

オーフィス「今の我、次元の狭間に帰れない。我、居場所がない。次元の狭間に帰れないなら静寂を得ることは不可能」

 

······なるほど。そう考えたのか。なら何を望まれるのか。俺には想像がつかない。ノスタルジーに引き摺られているのかと、俺は思っていたが······

 

オーフィス「我、居場所を望む。ヴァーリ、さっき仲間と『禍の団』を抜けた。我、ヴァーリと話して今まで孤独だったことを知った。ヴァーリ······我の話し相手。ヴァーリがいなくなればまた孤独に戻る。我、もう孤独に戻りたくない」

 

ヴァーリ「オー、フィス······」

 

こいつが望むのは孤独を抜け出すことか······

 

ウチにも人間に感化されて昔よりかなり柔和になったやつがいるが、それに近い······のか?

 

ヴァーリ「オーフィス」

 

オーフィス「何?」

 

ヴァーリが、一歩前に出る。

 

ヴァーリ「話し相手くらいいくらでもする。だから、頼む。力を貸してくれ」

 

オーフィス「······母さん? 母親?」

 

オーフィスがクルルを指差して言う。

 

ヴァーリ「ああ、母さんだ。だから頼む」

 

八幡「オーフィス、頼む」

 

ギャスパー「お、お願いします!!」

 

俺達は頭を下げる。

 

······はぁ。ヴァーリに任せっぱなしだなぁ······俺。

 

 

オーフィスは俺達を見て十秒程黙ったあと───

 

オーフィス「·······分かった」

 

と一言だけ言った後、クルルの胸に右手を翳した。すると、数秒間クルルの体とオーフィスの右手がぼんやりと光った。

 

オーフィス「終わった」

 

すぐその光は消えた。オーフィスが手を下ろすと同時にヴァーリが尋ねた。オーフィスはそれに答えた。

 

ヴァーリ「もう、終わったのか······?」

 

オーフィス「ん。ついでに、体内で傷付いてた部分も治した」

 

 

───嬉しすぎる予想外の答えとともに。

 

 

クルル「本当に······?」

 

オーフィス「······我嘘つかない。信用出来ないなら、自分で確かめるといい」

 

八幡「······ありがとうオーフィス。どう礼をしたらいいか分からないくらいだ」

 

クルルは、生殖機能の停止と、一部の臓器が部分的に不全になっていた。それも治ったということだ。どう礼をしろというのか分からない。

 

それくらい俺達には嬉しかった。

 

オーフィス「礼は我の居場所がいい」

 

そして、オーフィスは最初に言ったように、居場所を望んだ。

 

 

クルル「ありがとうオーフィス、ヴァーリ。八幡とギャスパーも」

 

クルルは嬉し涙を流しながら言った。

 

クルル「ねえオーフィス」

 

オーフィス「······?」

 

クルル「家に来る?」

 

お礼としてオーフィスの新たな居場所への誘いを。

 

オーフィス「······クルルの家?」

 

クルル「そうよ。そして、その家はヴァーリの家でもあるわ」

 

オーフィス「······なら我、クルルの家に行く。断る理由ない」

 

クルル「そう。ようこそオーフィス」

 

そして、俺達は魔法陣で家まで転移しようとしたが、

 

ヴァーリ「······どうしたオーフィス?」

 

ヴァーリが不思議そうにオーフィスに尋ねた。見ると、オーフィスはヴァーリの服の袖をちょこんと摘んでいた。

 

オーフィス「······とりあえず、我、ヴァーリを居場所にする」

 

ヴァーリ「そ、そうか······」

 

八幡「オーフィス、転移するが大丈夫か?」

 

オーフィス「問題ない」

 

 

 

 

そう言って俺達はオーフィスを連れて家まで転移した。冥界にあるうちの屋敷だ。ヴァーリ達も『禍の団』を抜けたのなら暫くはゆっくりしていたいだろうし、ここにはティア以外にもドラゴンがいるので大丈夫だろう。

······あいつにも伝えとくか。

 

オーフィス「······ここがクルルやヴァーリの家?」

 

クルル「そうね。ここ以外にもあるけど」

 

八幡「そう言えば、オーフィスの部屋はどうする? 部屋ならかなり余ってるから、好きに使ってくれて構わないが」

 

流石に寝る場所(睡眠が必要なのか分からないが)とか部屋の一つも必要だろう。

それ以外にも、何かしら望むだろうし。

 

オーフィス「部屋······なら、我、ヴァーリと一緒の部屋でいい」

 

返ってきた答えから、ヴァーリは相当オーフィスに好かれていることが分かった。息子がそこまでオーフィスに懐かれてるとは······喜んだ方がいい、のか?

 

ヴァーリ「······え?」

 

八幡「······随分オーフィスに好かれたなヴァーリ」

 

ヴァーリ「そ、そうなのか······?」

 

ヴァーリにとっても想像の斜め上を突っ込まれたらしく、らしくなく混乱していた。

 

オーフィス「我、ヴァーリが好き?」

 

八幡「······さあな。自分で好きだと思うんならそれは好きってことでいいんだと思うぞ」

 

オーフィス「? ······なら、我、ヴァーリ好き?」

 

どうやら、グレートレッドに追い出されるまでずっと次元の狭間で、静寂の中にいたオーフィスには分からないようだ。

 

八幡「俺にはオーフィスがヴァーリをどう捉えるかなんて分からないが······ゆっくり考えればいいだろ。お前は『無限』。ヴァーリは『有限』ではあるが、悪魔とのハーフだ。時間ならあるだろ」

 

オーフィス「ん······我そうする」

 

そうして、オーフィスが家に住むことになった。

 

 

その翌日、クルルの体からドラゴンの魔力が完全に取り除かれたことで、体の全ての機能、つまり生殖機能が完全に回復させられることが明らかになった。抱き合って、泣いて喜んだ。

 

 

 

 

 

又、俺の眷属になっているティアともう一人(・・・・)(人ではないが)のドラゴンを見てオーフィスが無表情で驚いたのと、その2人がオーフィスを見て過去に例がないほど驚いたのは別の話だ。

 

 

 

 

オーフィス「······神格?」

ヴァーリ「オーフィス、どうかしたか?」

 

オーフィス「気のせい?······なんでもない」

 

ヴァーリ「?······そうか」

 

 

───そして、オーフィスが感じた感覚の正体が明らかになるのはまだ暫く先の話だ。

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

オマケ

 

八幡「·······そういやオーフィス」

 

オーフィス「?」

 

八幡「何でお前『禍の団』なんかに手を貸したんだ?」

 

オーフィス「······グレートレッドを倒すの、手伝ってくれるって言った」

 

八幡「グレートレッドに勝算がある奴がいたのか?」

 

オーフィス「··········いない。クルルやハチマンの方がまだマシ」

 

八幡「ならこれからどうするんだ?」

 

オーフィス「ん······我、『禍の団』抜ける。あそこ、もう利用価値ない」

 

 




この話、本作を書き出した時から1、2を争うくらい書きたかった話です(最初考えてたのとは若干違う感じになったけど)。

オーフィスは原作より若干物分りがよくなってます。知識はないけど頭の回転は早い。みたいな。



八幡の眷属更新

『王』
比企谷八幡(俺ガイルより)


『女王』
クルル・ツェペシ(終わりのセラフより)


『戦車』
メリオダス(七つの大罪より)
※駒2つ消費


『騎士』
ティアマット(原作キャラ)

???(原作キャラ)


『僧侶』
四条 桃花(魔法戦争より)

黒歌(原作キャラ)


『兵士』
毛利勝永(ムシブギョーより)
※駒2つ消費

三日月・オーガス(機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズより)

篠ノ之 束(IS〈インフィニット・ストラトス〉より)

美猴(原作キャラ)

???(原作キャラ)



八幡のもう一人の『騎士』はある程度想像ついてる人もいるかと。

『兵士』の最後の一人は、八幡の眷属で一番の新入り。原作キャラだけど、今作では原作とは別人と化してるかも(まだ話書いてない)。


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