イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~ 作:シャルルヤ·ハプティズム
アシェラside
今から約700年前。
その当時、僕は『帝ノ月』と呼ばれる、対人外の異能集団に所属していた。僕はその集団のNo.3として活動していた。
そんなある日のことだ。天使最強の女と謳われる女性が僕に接触を図ってきたのは。
アシェラsideout
ルシフェルside
私は目の前でスヤスヤ眠っている幼子を見て溜め息を吐く。
彼女はクルル・ゼクスタ。『
『ルシフェル······この子に罪はない。ルシフェル、貴女を1人の女性と見込んで、この子を頼みたい』
私にクルルを託した、グレートレッドと同等の力を持つ女性の言葉が頭を過ぎる。
彼女は、神と私達
ここは聖書勢力の力が及ばない領土にある、人間界のとある街に秘密で作った私の隠れ家。
クルルを匿った私は、天界から抜け出してこの場にいた。
······さて、この子をどうするべきだろうか。私が堕天して、
まだ準備が整っていない。今堕天すれば、神が簡単に私の場所を探し出してしまう。それだけは避けなければならない。悪魔である時宗は間違いなく消されてしまうし、最凶の力を受け継いだ彼女は、危険視されてどんな仕打ちを受けるか分かったものではない。
そこで、私は対人外の集団がここから程近い所に拠点を置いていることを思い出し、早速接触を図った。
ルシフェルsideout
アシェラside
『帝ノ月』に接触を図ってきた、目の前の金髪の女性······名をルシフェルという。かの有名な天使長ルシフェルだ。
先日、僕らの組織に接触を図りたいという者がいた。指定された場所に向かうと、彼女はいた。そこはヨーロッパの片田舎の民家だ。
アシェラ「······で、あの有名な天使長様が人間である僕達に何の用かな? しかも子連れとはね。これはまた驚いたよ」
後ろに立っている、僕の直属の部下(敬語使わないほどには生意気だけど)、
ルシフェル「この娘は私の友人の娘よ······単刀直入に言わせてもらうわ。この娘を貴方の組織で預かって欲しい」
天使長ルシフェルは、隣りにいる淡い桃色の髪をした女の子の頭を撫でながら言う。
······こんなちっちゃい女の子をうちで育てろと? 何の冗談だ? いや、態々こうして来てまで冗談を言う奴なんかいないか。
グレン「······どんな冗談だ?」
深夜「いや僕に言わないで欲しいんだけど」
部下2人も突然のことに驚いているようだ。
ルシフェル「別に、無理にとは言わないわ。ただ、さっき渡した資料を見て、事情だけでも理解してくれるならありがたいけど」
先程渡された資料をペラペラ捲ってみる。
······ふむふむ。なるほど。そこの女の子は人外(しかもこの世界で最強クラス)と人間とのハーフで、天使長ルシフェルのところの神に見付かれば、間違いなく殺されてしまうと。
ルシフェル「······無理かしら?」
アシェラ「うんいいよ。その娘はうちで育てよう」
このままほっとくのも罪悪感があるし、訓練を積ませればうちの組織の戦力にもなる。うちは対人外の組織だけど、うちでは人間に害を成す奴が殲滅対象だから、悪意に染まってないこの娘は対象外だ。
グレン・深夜「「えっ本気?」」
アシェラ「本気だよ?」
······そこまで驚くこともないだろうに。こいつらときたら。
ルシフェル「······なら良かった。この子を頼むわ。あと、これはこの子の養育費ということで。急だったからこれしか用意出来なかったけど」
そう言って、小さな麻袋を渡してくる。中には金貨が数十枚ほど。
アシェラ「十分だね。この子が大人になるまで甘やかしても余裕でお釣りがくる。まぁその娘はやれるだけやってみるよ。それでいいだろう?」
ルシフェル「······そうね」
天使長ルシフェルはそれに満足したように帰って行った。
グレン「······おい本気か?」
部下のグレンが再度聞いてくる。
アシェラ「さっきも言ったろ? 言っとくけど、これは決定事項だからね。文句は絶対に言えないと思っときなよ」
深夜「グレン、もうアシェラに何言っても無駄だと思うよ」
深夜は諦めたようにグレンに言う。君達僕を何だと思ってるんだ。これでも上司だぞ。
その時、ルシフェルから預かった女の子······クルルが話し掛けてくる。この子、ルシフェルが渡してきた資料が正しければ、まだ5歳だ。
クルル「······ねえおにいちゃん。パパとママは?」
う〜ん。いきなりそう来たか······取り敢えず、ここは誤魔化しておくべきかな。
アシェラ「君のパパとママはね、お仕事で遠くに行っちゃったんだ。だから、帰ってくるまで僕が君の面倒をみてあげるよ。よろしくね」
クルル「うん!」
可愛かったので、取り敢えず頭を撫でておいた。
グレン「······おい、此処に幼女誑かしてる奴がいるぞ」ヒソヒソ
深夜「そうだね······これはアシェラについてちょっと······いや、本格的に考え直すべき事案だね」ヒソヒソ
アシェラ「おっと手が滑った」
僕の
グレン・深夜「「グエッ」」
アシェラ「······馬鹿やってないで帰るよ。君達が口外しないなら、そこの資料見てもいいから」
僕がそう言うと、深夜が机の上に置いてた資料を手に取る。
深夜「痛たたた······えっ? アシェラ、これ本当なんだよね?」
深夜が後頭部を擦りながら聞いてくる。
アシェラ「ルシフェルが嘘をついていなければそうなるね。まぁあの感じからして、彼女は嘘をついてはいないと思うけど」
深夜「いや······これが本当だったら、天使長ルシフェルは神に刃向かってることになるよ?」
グレン「これは······天使長はとんでもないもの置いてきやがったな」
グレンも深夜が持つ資料を覗き込みながら言う。
アシェラ「だから神の力が及ばないこんなちっちゃな組織に預けたんだよ」
グレン「······それもそうだな」
そうして、僕はクルルの保護者となった。
ルシフェルからクルルを預かった僕は、取り敢えず『帝ノ月』に連れて帰った。
「······おいアシェラ。そのガキは誰だ?」
最初にあったのは、同僚の柊
アシェラ「知人から預かって欲しいって頼まれたんだよ」
資料をその場にいなかった者に見せるかは後で決めよう。
暮人「どうするんだ」
アシェラ「何言ってるんだ。僕が面倒見るに決まってるだろう」
暮人「そうか」
そう言って、暮人は持っていた書類に目を通した。因みに、クルルは暮人が怖かったのか知らないけど、僕の後ろに隠れていた。
深夜「······暮人兄さんに言わなくていいの?」
深夜が小声で聞いてくる。
アシェラ「ちょっと様子を見るよ。暮人辺りは真っ先に利用しようとして、何するか分かんないし。僕はそこまでしようとは流石に思わないよ」
深夜「それで大丈夫なのかなぁ···」
アシェラ「まぁ何かあったら、君達を道ずれにするだけだよ」
悪戯っぽく笑って言ってみる。
深夜・グレン「「······えっ」」
おお、面白いように反応するなぁ。
アシェラ「冗談だよ冗談。責任は当然僕が取るさ。それに、暮人も僕の保護下にあるこの娘に手出ししないと思うよ」
グレン「それ本当に大丈夫なのか·····?」
その後、クルルの身分を隠すために、僕と同じツェペシ姓を名乗らせることにした。
因みに、ツェペシ姓は、『串刺し公』として知られるヴラド3世とは何の関係もない。
その後、クルルは『帝ノ月』の面々に囲まれながら何事もなく育っていった。子供の面倒を見るなんて初めてだったけど、組織には普通に女性が所属していたことが幸いだった。
驚いたのは、暮人が普通に接していた事だった。こいつ周りにいる奴全員を道具としてしか見てないと思ってたが実は違うのか、と思った。グレンや深夜が、飛び出るんじゃないかってくらい目を見開いていたのは言うまでもない。
クルルのことは最初は正直言って、戦力に使えるとしか考えていなかった。でも、クルルが成長するのを間近で見ていく内に、その考えは180度変わった。クルルが笑っていられるようにする、という目標が出来た。
仕事の合間とは言え、クルルには一応とはいえ自衛のために戦闘技術は叩き込んだし、力が暴走しないようにオーラの制御も教えたけど、戦闘に駆り出すことはしなかった。クルルが出なくても何とかなっていたから、態々駆り出す必要もなかった。
僕としては、頑として出したくなかったので。
『帝ノ月』はあくまで、仕事の依頼があった場合に動くまでなので、毎日戦闘に駆り出されるわけでもない。それで良いと思っていた。そして、戦闘が終われば仲間との束の間の安穏を過ごせると思っていた。
グレン「······動ける奴は怪我人を連れて逃げろ!!
「ッ!!······グレン様もお早く!!」
グレンが光に反射して真紅に輝く『
暮人「······轟け『
暮人の持つ緑色に輝く刀が強烈な電撃を帯びる。
アシェラ「······っくそ。なんだあの女······バケモノめ······」
クルル「兄さん······?」
アシェラ「逃げるんだクルル。このままじゃ全滅する。逃げるだけの力は与えたつもりだ」
クルル「兄さん達も一緒に······!!」
アシェラ「無理だ。僕達にあと出来るのは、君を逃がすくらいだ」
「······逃がすとでも?」
アシェラ「黙れバケモノ······剣よ。血を吸え」
右手に持つ日本刀から伸びる茨のような蔦が腕に巻き付き、腕から流れる血を吸っていく。刀身が血の色に染まっていく。
『鬼呪装備』は完膚なきまでに破壊されてしまった。僕のもう一つの武器を持ち、女に対峙する。
深夜「······『
「······あら、久しぶりね『白虎丸』」
深夜の持つ銃剣から、白い虎のような弾が撃ち出される。女は手刀を軽く横に振るだけで弾を打ち消した。
深夜「······え~、冗談でしょ······」
グレン「憑依しろ『
グレンが禍々しいオーラを纏う。
そして、深夜の援護を受け、3人同時に女に斬りかかった。
クルル「······兄さん······!! 兄さん!!」
死を悟った僕は自分に刀を突き刺す。
女を瀕死に追い込んだものの、僕達も致命傷を免れることは出来なかった。
僕に出来る最後のことだ。僕は『鬼呪装備』となって、クルルを守ろう。
アシェラ「クルル······ありがとう」
そして僕は刀に吸い込まれていく。
クルル「兄、さん······? 兄さん!! 兄さぁぁぁぁん!!」
ああ······意識が遠のいていく。
クルル······大丈夫だよ。僕は君の傍にいるよ。
ここで、僕の人間としての人生は完全に終わりを迎えた。
「······はぁ···はぁ····ふ、ふふふ。君、は、生かして、おいて、あげ、る。『世界の最果ての地』、で、待って、いる。私、の、名は─────」
······その日、『帝ノ月』は襲撃を受けた。襲撃してきたのは、天使のような羽を複数対持つ女がたった1人。『帝ノ月』はその日、たった1人の女によって壊滅した。
生存者クルル1人を残して。
ある者は『鬼呪装備』の中に。ある者は形も残らず消滅した。
あの女は何故『世界の最果ての地』でクルルを待つと言ったのか。そもそも、あの女はいったい何者なのか。未だ真相は闇の中だ。
アシェラsideout
八幡side
義兄さんから語られた言葉を俺は考えていた。『世界の最果ての地』·······お袋から教えられた、クルルの母親である
だが、その女はいったい誰なんだ? 何故『帝ノ月』を襲撃する必要があった?
クルル「··············」
アシェラ「クルル、もう一度言うけど君の父親は人間で、君の母親は『
八幡「······お袋は義兄さんの言う女のことを何か知ってるんじゃないか?」
お袋なら何か知っているのかもしれない。俺は、お袋のお陰で『ミーミルの泉』の水を飲んだから、知識量ならオーディンのじいさんと同等。だが、それはあくまで全知というわけではない。
お袋が持っていた知識も一部受け継がれてはいたが、該当するものは無かった。
クルル「······ッ。あの女は······自分は『
『四鎌童子』·······? 誰だ······?
ルシフェル《『四鎌童子』·······!!? そんな······あいつは消滅した筈······!!》
八幡「お袋、『四鎌童子』ってのは誰だ?」
ルシフェル《『四鎌童子』は······かつて、
八幡「なっ······!!?」
そんなサマエルみたいな奴がまだいたのか······!?
しかも、存在を抹消されたサマエルと違い、存在を消滅された······?
存在を完全に隠匿する『抹消』とは違い、存在を消滅された······まさか、サマエルより危険なのだろうか?
ルシフェル《クルル、貴女はどうしたい? 『世界の最果ての地』で今も待っているかもしれない『四鎌童子』を倒しに行き、母親に会いに行く。それとも、666······母親を諦め、この話を無かったことにする》
そうか······会いに行かないという選択肢だってある。それに、今も『四鎌童子』ってのが生きているとも限らない。
クルル「私は······母に会いに行きます。必要ならば『四鎌童子』を倒す」
お袋の問に、クルルは決意を決めてそう答える。
ルシフェル《そう······気を付けなさい。『四鎌童子』は666を認知しているわ。もしかしたら、貴方達に差し向ける可能性だってある。今の貴女達は、大抵の洗脳程度なら解除出来る。多少強引になるかもしれないけどね。
でも、それが出来なかった場合、クルル、貴女はどうする? 666が暴走すれば、間違いなく世界が滅ぶわ》
クルル「そうなった場合は······私は······母を······」
クルルはお袋に答えられない。母親と敵対なんて簡単に出来るわけがない。いくら物心つく前に生き別れた母親だとしても、だ。
だが、クルルはすぐに答えを出した。
クルル「母を······私の手で······やります」
ルシフェル《······そう。ごめんなさいクルル。私は貴女から奪うことしかしてこなくて······》
お袋はクルルの返答に涙ながらに謝った。
俺はクルルに何か与えられただろうか······
クルル「違いますルシフェル様。私はルシフェル様から十分すぎるくらい貰いました。ルシフェル様がいなければ、私は兄さんとも八幡とも会えませんでした。それだけで十分です」
クルル······
アシェラ「クルル······」
ルシフェル《ありがとう······ありがとうクルル······そうね。私が出来る唯一のこと······『世界の最果ての地』への行き方を教えるわ》
そして、3日後。俺達は『世界の最果ての地』へ向かった。
クルルもう原作の面影ないな······(後悔はしていない)
補足説明
・
本作において、鬼呪装備は『鬼』が宿る前は《終わりのセラフ》原作における、吸血鬼達が持つ一級装備である。
これは『鬼呪装備』の研究段階で偶然出来た代物。
現存する物はクルルが全て契約して所有している。
尚、本作において、クルルが持つ武器は大抵『鬼呪装備』である。
キャラ設定
アシェラ・ツェペシ
クルルの義兄。ルシフェルからクルルを預かった。
『四鎌童子』との戦闘で、死に掛けた際に少しでもクルルの力になるため、自ら『鬼呪装備』となる。実は、クルルを預かった時には既に『鬼』一歩手前まで来ていた。何時でも『鬼』になれるようにしていたため。
現在は『
生前はアシェラの直属の部下だった。『黒鬼』の『鬼呪装備』であり、かつての恋人が宿る『
尚、『真昼ノ夜』には、現在2人の『鬼』が宿っており、名前が『
『紅ノ月』とも八幡は契約を交わしている。ただし、2人揃って八幡を弄るため、八幡が使ったのは過去数回のみ。
グレンと同じく、アシェラ直属の部下だった。『黒鬼』の『鬼呪装備』の『
『四鎌童子』との戦闘で死に掛けた際に、グレンに同じく、『白虎丸』に引きずり込まれた。ただし、名前は変わらず。
『鬼呪装備』の中では扱いやすいタイプのため、一時期オーフェリアに自衛用として持たせようか、と八幡とクルルは考えたが、オーフェリアは戦闘自体出来ないので結局ボツになった。
生前のアシェラの同僚(アシェラは『帝ノ月』のNo.3だったため、同僚は暮人しかいなかった)。『黒鬼』の『鬼呪装備』である、『
尚、彼も『雷鳴鬼』に『鬼呪装備』の中に引きずり込まれたが、その際理由は不明だが、暮人の従者である
クルル・ゼクスタというクルルの旧姓は、6の英語(six)を文字っただけです。