イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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第68話 レーティングゲーム⑧

 

 

ナウド『······初戦を制したのはグレモリーチーム!! 次の試合はどうなるのでしょうか!!』

 

実況が観客を煽る中、裕斗先輩が魔法陣から帰ってきた。同じくして、結界が薄れて外部から見えるようになる。

 

そして、サイラオーグさんと部長が再びダイスを振る。

 

出た目はサイラオーグさんが4、部長が6。合計は10だ。

 

ナウド『今回の合計は10!! 両チーム、10までなら選手を出せることになります。もちろん、複数の選手の出場もOKです!!』

 

部長は誰でいくだろう。ゼノヴィア先輩はまだ出ないだろうから、『戦車(ルーク)』+『戦車』か、或いは『戦車』+『僧侶(ビショップ)』のどちらかか。

 

リアス「······ここは手堅くいきましょう。ロスヴァイセ、サポートに小猫。2人にお願いするわね」

 

『戦車』+『戦車』か······まぁ『女王(クイーン)』のクイーシャさんでも出て来ない限りは、油断しなければ大丈夫だろう。

 

ロスヴァイセ「分かりました」

 

小猫「·······了解」

 

小猫ちゃんも一見無口だけど気合が入ってる。ただ、ロスヴァイセさんはまだしも、小猫ちゃんは心配だ······

 

 

 

2人が魔法陣で転送された先は、薄暗い神殿だった。あちこちに巨大な柱が立っていて、祭壇もある。天井は一部崩れており、そこからは月明かりが射し込んでいた。

 

 

サイラオーグさん側から転送されたのも2人だ。軽鎧(ライト・アーマー)に身を包み、帯剣している金髪の男性──『騎士(ナイト)』のリーバン・クロセルさんと、3m近い身長の大男──『戦車』のガンドマ・バラムさん。

 

クロセルは、断絶した元72柱の一角だ。その末裔をサイラオーグさんはスカウトしたのだろう。

 

ナウド『サイラオーグ選手の眷属、リーバン・クロセル選手は、断絶したクロセル家の末裔です!!』

 

断絶したといは言え、何らかの形で血を継ぐ者が生きている場合がある。大抵は、人間界に行き場を求めそのまま住み着いたなどだ。

 

『第2試合、開始して下さい!!』

 

審判(アービター)が試合開始を告げる。

 

小猫『······相手が相手なので、最初から本気で行きます』

 

小猫ちゃんは呟いて、全員に闘気を纏う。同時に、二又の尻尾と猫耳が生える。

 

『猫又モードレベル2』。仙術により、全身に闘気を纏うことで一時的にパワーを爆発させる。暴走の危険性も出来る限り取り払ったらしい。

 

黒歌さんはこれを見て興奮しているに違いない。

 

ああ······今日寝る時は、一晩中(白音)自慢を黒歌さんに聞かされるに違いない。多分一睡も出来ないだろうなぁ······睡眠は諦めよう。

 

 

小猫ちゃんは素早く飛び出し、ガンドマさんの顔面に一撃入れる。が、パッと見のダメージは入っていない。それでも、仙術で体内の気を乱している筈だ。

 

ガンドマ『······ぬぅんっ!!』

 

ガンドマさんが腕を横に薙ぐ。それだけで空気が震える。小猫ちゃんはそれを素早く避け、その背後からロスヴァイセさんが魔法を繰り出す。

 

多属性の魔法を同時に放つが、ガンドマさんの体に目立ったダメージはない。相当防御力が高いらしい。僕だったら、あの防御力は突破出来るかな?

 

その時、ロスヴァイセさんとその周囲が突然ぶれ出す。その時、ロスヴァイセさんが膝を付いた。同時に、周囲の床が何かに押し潰されたかのように凹んでいった。

 

リーバンさんは『魔眼の生む枷(グラビティ・ジェイル)』という重力を操る神器(セイクリッド・ギア)を持っている。

 

リーバン『······隙アリだお姉さん』

 

リーバンさんが双眸を光らせながら言う。

 

ロスヴァイセ『······重力の能力』

 

ロスヴァイセさんは足元に魔法陣を展開しようとしたが、先んじて、リーバンさんが手元に魔法陣を展開して、ロスヴァイセさんの足元を凍らせた。

 

ロスヴァイセ『······そう言えば、魔法剣士でもありましたね!!』

 

リーバンさんが剣を抜いて向かってくる。ロスヴァイセさんは不敵な笑みを浮かべた。リーバンさんが剣を手元で遊ばぜながら言う。

 

リーバン『·····俺はクロセルと人間の魔法使いの混血の混血でね!! 序に剣術も得意だ!! 重力の方は『魔眼の生む枷』!! 重力を操る神器さ!!』

 

部長がイヤホンマイクを通じて、神器のロスヴァイセさんに注意を促す。

 

『魔眼の生む枷』は僕の『停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)』に近いが、重力を操るという能力で見れば、単なる停止能力より使い勝手がいい。

 

やりようによっては、重力のベクトルを操作するだけで敵の体をバラバラにすることも出来る筈だ。

 

 

横では、小猫ちゃんがガンドマさんの攻撃を掻い潜りながら攻撃を加えていた。一方のガンドマさんは、神殿の柱を引っこ抜いて、軽々と振り回していた。速くはないが、当たれば相応のダメージは覚悟する必要があるだろう。

 

ロスヴァイセ『······クロセルの神器は、アザゼル総督からも伺っています。視線を媒介にする神器は弱点も分かりやすい!!』

 

ロスヴァイセさんが震える手で、手元に魔法陣を展開させた。閃光が周囲を照らす。

 

リーバン『甘いぜお姉さん!! 鏡よ!!』

 

リーバンさんが手元に鏡を出現させ、閃光を防ごうとする。

 

ロスヴァイセ『······そちらこそ甘いですよっ!!』

 

ロスヴァイセさんが手元の魔法陣をいっそう輝かせる。すると、鏡に反射した閃光がガンドマさんに当たる。

 

閃光が止んだ時、リーバンさんの重力操作を食らっていたのはガンドマさんだった。あの魔法は相互転移の魔法だったのだ。

 

裕斗「上手い!! 最初から反射されることを読んだ上での転移!!」

 

裕斗先輩がロスヴァイセさんに賛辞を送る。

 

ロスヴァイセ『小猫さん!! 攻撃はもう通っていますか!?』

 

小猫『······はい。もう魔法に対する防御力が展開出来ないほどには、あの人のオーラと内部の気を乱しました』

 

あれ······この感じはマズそうだ······

 

ロスヴァイセ『了解です!! フルバースト!! 2人とも食らいなさい!!』

 

ロスヴァイセさんが前方に多数の魔法陣を展開し、リーバンさんとガンドマさんに無数の属性魔法攻撃を繰り出す。

 

フィールドを壊そうと言わんばかりの攻撃は塵芥を周囲に巻き起こした。

 

マズい······2人はもう倒したと思って安心しきっている。審判がリタイアを告げていない限りは、安心してはいけないのだ。

 

手負いの獣ほど、恐ろしいものはない。昔、魔獣の森で今の2人と同じことをしてオルトロスに殺され掛けて、普段怒らないお兄様に思いっきり怒られたことがある。

 

本当なら、戦場にいたら安心や慢心、油断をしたらその時点で死を意味するのだが······まぁそれはレーティングゲームだからおいておこう。

 

イヤホンマイクを通じて2人に言う。

 

ギャスパー「2人とも相手はまだリタイアしてないから油断しないで!!」

 

小猫・ロスヴァイセ『『!!?』』

 

イッセー「ギャスパー?」

 

その時、巨大な腕で塵芥を振り払ってガンドマさんが2人に殴りかかっている。

 

ガンドマ『ぬぅぅぅぅぅんっ!!』

 

ロスヴァイセさんは何とか避けるが、小猫ちゃんは回避が一歩遅れてしまい、直撃こそ免れたものの、巨大な拳が巻き起こす風圧で思いっきり吹き飛ばされ、神殿の壁に叩き付けられた。

 

小猫『······うぐあッ』

 

だが、それが最後の一発だったのか、ガンドマさんがリタイアの光に包まれる。リーバンさんも同じくリタイアの光に包まれていた。

 

ロスヴァイセ『······小猫さん大丈夫ですか!?』

 

小猫『ゲホッ······ギャー君に言われてなかったら確実にリタイアしてました······』

 

何とか、リタイアを免れたらしい。流石『戦車』。

 

『サイラオーグ・バアル選手の『騎士』、『戦車』各一名。リタイアです』

 

審判が告げる。第2試合。危うく犠牲が出るところだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナウド『第2試合を終えて、バアル眷属が3名、対してグレモリーは未だ健在。グレモリー優勢ですが、まだまだ分かりません!! 試合はまだ始まったばかりです!!』

 

実況がそう煽る。

 

 

小猫「······ありがとうギャー君。お陰で助かったよ」

 

アーシア先輩に治癒を施されながら小猫ちゃんが言う。

 

ギャスパー「だめだよ小猫ちゃん油断しちゃ。こう言うのもなんだけど、僕が言わなかったら、小猫ちゃんかロスヴァイセさんのどちらかはリタイアしてたよ?」

 

ロスヴァイセ「······それもそうですね。戦場では有るまじき油断です」

 

ロスヴァイセさんも反省しているらしい。この中での実力は頭一つ抜けているけど、何処かで慢心があったのだろう。

 

裕斗「それにしても、ギャスパー君よく分かったよね。バラムがまだ動けたこと」

 

裕斗先輩が言ってくる。

 

ギャスパー「分かったってよりは······レーティングゲームは、審判がリタイアを(・・・・・)告げてくれる(・・・・・・)ぐらいには(・・・・・)親切ですから(・・・・・・)

 

音もなく殺しにくる蜻蛉みたいな魔獣もいたし、完全に息の根を止めたと思ったら、そこから猛毒の唾液を飛ばしてくる複数の頭を持つ蛇もいた。

 

裕斗「そ、そうかい?」

 

ロスヴァイセ「親切······? ギャスパー君はどんな修羅場をくぐり抜けてくればそんなことが言えるのですか······?」

 

ロスヴァイセさんが口元をひつくかせながら聞いてくる。

 

あれは修羅場ってほど、修羅場ではないけど······自分の油断が招いた事態だし······

 

ギャスパー「······昔、魔獣の森でオルトロスに首を噛み千切られそうになったことがありまして」

 

僕がそう言うと、話を聞いていた小猫ちゃん、裕斗先輩、アーシア先輩、ロスヴァイセさんは顔を青くした。

 

ロスヴァイセ「く、首を······」

 

小猫「噛み千切られそうになった······」

 

裕斗「······す、凄い経験だね······」

 

3人は絞り出すかのような声を上げ、アーシア先輩に至っては絶句していた。

 

ギャスパー「アハハ······あの時はお兄様に助けていただいて難を逃れたんですけどね」

 

唯一お兄様に怒られたのがあの時だったっけ······

 

小猫「······お兄様······? それって白龍皇の?」

 

ギャスパー「そうだよ。あの時は一緒にいたからね」

 

あの時のお兄様は、僕を殺そうとしたオルトロスをパンチ一発で首2つとも消し飛ばしていた。そこから1時間も怒られていたのだが······

 

あの時ほど、お兄様を恐いと思ったことはないなぁ······それも、僕を想ってのことなのだから嬉しいことではあるが。

 

そこで、両『(キング)』がダイスを振った。合計は8。朱乃さん以外なら全員が出れる数字だ。

 

部長が戻って来て、作成タイムに移る時だった。

 

サイラオーグ『······こちらは『僧侶』のコリアナ・アンドレアルフスを出す』

 

そうサイラオーグさんが審判に告げた。モニターには、サイラオーグさやの『僧侶』である、ウェーブの掛かった長い金髪の女性······コリアナ・アンドレアルフスさんのが映し出されている。

 

ナウド『これは······出場宣言でしょうか!? サイラオーグ選手、その理由は?』

 

実況がサイラオーグに尋ねると、サイラオーグさんは何故かイッセー先輩に視線を向けた。

 

サイラオーグ「兵藤一誠は女性に対してのみ有効なスケベな技を持つと聞いている。では、そのスケベな技に対抗する術を彼女が持っているとしたら、兵藤一誠はどう応えるだろうか?」

 

サイラオーグさんが言う。それに観客席はざわめいていた。

 

あのコリアナさんという女性······あの最低な技への対抗策を編み出したんだ。イッセー先輩のあの技は、魔法で防御壁、無効化壁を張れるお母様には通用しないだろうけど、お姉様やカルナにイッセー先輩が使おうとしたら何としてでも止めなければならない。

 

これは期待出来そうだ······!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思っていた時期が僕にもありました。と、思ったのは僅か5分後である。

 

 

 

サイラオーグさん·······何故あれでゴーサインを出したんですか······

 

 

 

 

お父様かお母様がカルナとお姉様の目と耳を塞いでいて欲しいと、切に願うばかりだった。

 

 

 





※オーフェリアとカルナの目と耳は、きっちり八幡とクルルによって塞がれました。


尚、ギャスパーは小猫と、イッセーにただただ白い目を向けるだけでした。

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