イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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第72話 すれ違い

 

 

 

小猫side

 

 

 

私は、今日のグレモリーの仕事を休んで、駒王学園から少し離れた所にある住宅地の一角を訪れていた。

 

小猫「······どうしよう」

 

私は門の前で往生していた。

 

目の前の家は、住宅地にしてはかなり大きく、綺麗な家だ。最近建てられたようにすら見える。

 

ギャスパー「······あ、小猫ちゃん来たんだね。どうぞ入って」

 

門の前で立ち止まっていると、玄関のドアを開けてギャー君が出て来た。

 

小猫「あ······うん。お邪魔します······」

 

靴を脱いで、家にお邪魔することにした。

 

この家は比企谷先輩やツェペシ先輩、ギャー君が住んでいる家である。

 

 

今日、私は姉様の話を聞きに来たのだ。

 

 

 

 

八幡「······よ、塔城」

 

クルル「あら来たのね。いらっしゃい」

 

ギャー君に連れられて、リビングに入ると、比企谷先輩とツェペシ先輩。そして──

 

ヴァーリ「ん? 君は確か黒歌の」

 

──白龍皇のヴァーリ・ルシファーがいた。3人とも何か飲んでいる。匂いからしてコーヒーだ。比企谷先輩のカップだけ、甘い匂いがする。

 

小猫「······はい」

 

ヴァーリ「そうか。悪いね。黒歌はまだ寝てるんだ」

 

小猫「あ、いえ。大丈夫です。お邪魔しているのはこちらですから」

 

時刻は午前10時30分。姉様はまだ寝ているらしい。猫らしいと言えば猫らしいのだが······

 

八幡「まぁいきなり会っても話が出来ないだろ。あ、お茶でいいか?」

 

小猫「あ······ありがとうございます」

 

比企谷先輩が淹れてくれたお茶を飲む。美味しい。少し肩の力が抜けた気がする。

 

ギャスパー「ごめんね小猫ちゃん。今黒歌さん起こしてくるから」

 

ギャー君はリビングを出て行った。

 

 

八幡「······はぁ。悪いな。あの猫はいつもこのくらいまで寝てるからな······」

 

小猫「いえ、そう言うわけでは······あの、姉様とギャー君って······」

 

ギャー君は姉様を······その、大好きと······言っていた。それは、家族愛? それとも······

 

八幡「ん?······ああ、ギャスパーが言ったのか」

 

クルル「ギャスパーは黒歌が大好き。黒歌もギャスパーが大好き。相思相愛というやつね」

 

小猫「······そうですか」

 

相思相愛······つまり恋愛という意味の好き······

 

私は······姉様を理解しようとすらしていなかった······一人だけ置いていかれたような気分だ。

 

黒歌「······白音」

 

小猫「黒歌姉様······」

 

姉様がリビングに入ってくる。ギャー君が呼んできたのだろう。

 

 

ギャスパー「······僕達はいた方がいいですか?」

 

ギャー君が訊いてくる。

 

黒歌「2人で······話したいにゃ」

 

小猫「······うん。出来れば2人で」

 

私と姉様がそう言うと、リビングにいた4人は何も言わずに出て行った。

 

 

 

 

黒歌「······白音、久しぶりね」

 

小猫「······久しぶりです。姉様」

 

目を見て話せない。一方的に逃げてきた私が、姉様に許してもらえる筈がない。

小猫「あの、姉様······」

 

何とか話を切り出そうとした時だった。

 

黒歌「良かった······!! 白音···本当に良かった······!!」

 

······私は姉様に抱き締められた。

 

小猫「姉、様······!?」

 

黒歌「白音ごめんね······!! 置いてってごめんね······!! 辛い時に一人にしてごめんね······!! 怖い思いさせてごめんね······!!」

 

姉様は泣きながら何度もごめんねと謝っていた。

 

違う。姉様は悪くない······あの時のことは思い出したくなかった。姉様が、私の手を引いて何人もの男から逃げていた時。

 

あの時の恐怖で、私は姉様が悪いと自分で思い込んでいた。

 

 

小猫「姉様······!! 私こそごめんなさい!! 私、姉様が私のためにやったなんて思いもしなくて······!! 自分がこんな目にあってるのは全部姉様が悪いんだって······!! 自分が辛いのは全部姉様が悪いんだって······!! 私、自分のことばっかりで姉様のこと分かろうともしなくて······!!」

 

私の目からは自然と涙が出ていた。

 

黒歌「違うの······!! 白音は悪くない!! お姉ちゃんがあんなのに騙されたのがいけないの!!」

 

白音「姉様は悪くありません······!! 知ろうともしなかった私が悪いんです······!!」

 

 

私と姉様はそれからも抱き合って謝り続けた。

 

 

 

小猫sideout

 

 

 

 

 

 

 

八幡side

 

 

 

ヴァーリ「······? 物音がしないな」

 

リビングから出て一時間程経ったが、未だに出て来ないので4人で様子を見に行くと、黒歌と塔城は抱き合って寝ていた。目元が腫れているから、泣き疲れたのだろう。

 

ヴァーリ「······起こした方がいいのか?」

 

ギャスパー「ここはそっとしておきましょうよ」

 

確かに、起こすのもどうかと思うから寝かしておきたい。2人とも安らかな寝顔してるしな。

 

クルル「でもここに寝てたら間違いなく風邪ひくわね。ギャスパーの部屋で寝かせておく?」

 

ギャスパー「客間じゃダメなんですか? 態々僕の部屋じゃなくても、部屋なら他にも使ってない部屋が」

 

クルルの呟きに、ギャスパーは抵抗を見せる。塔城もいるから、気持ちは分からんでもないが。

 

八幡「黒歌はお前以外の部屋で寝かせてもすぐに起きそうだな」

 

黒歌は、いつもギャスパーを抱き枕にして寝てるからな。鼻が利く黒歌は客間に寝かせようとしても起きそうだな。折角だし寝かせておいてやりたい。

 

八幡「というわけでギャスパーが2人を運んどけ。イッセーの所には、連絡しとくから」

 

ギャスパー「え? あ、はい。分かりました」

 

釈然としない様子だが、ギャスパーは自室に2人を運んでいった。ギャスパーも混ざってそのまま川の字で寝てりゃいいと思う。

 

 

 

 

 

八幡「······そう言うわけで、塔城の飯は大丈夫だ。こっちで食べさせていくから。帰る時は、(ギャスパーが)送っていく」

 

イッセー『······分かった。部長達にはそう伝えとくよ。小猫ちゃんによろしくな』

 

八幡「ああ。じゃあな」

 

要件を伝え終えて、通話を終える。

 

塔城が熟睡しているため、そっちで昼食を用意する必要はないとイッセーに伝える。

 

ヴァーリ「兵藤一誠は何と?」

 

八幡「お前が気になるようなことねぇよ。小猫ちゃんによろしくだとさ」

 

そこで、ギャスパーが戻ってくる。戻ってきたギャスパーにクルルが2人の様子を訊く。

 

クルル「どうだった?」

 

ギャスパー「······2人とも暫く起きそうにないですね」

 

八幡「別に戻ってくる必要はないぞ?」

 

若干遠回しに、一緒に寝てこいと言ってみる。

 

ギャスパー「で、でも、女の子2人が寝てる部屋にいるのは自分の部屋でも流石に······黒歌さんだけなら兎も角、小猫ちゃんがいますし······」

 

が、気が引けたらしい。まぁそりゃそうか。

 

そして、黒歌はOKだと言っている辺りから黒歌は問題なしと判断しているようだ。昨日、襲われた奴の言動とは思えない······

 

ヴァーリ「別に嫌われてるわけではないのだから、いいと思うが·····」

 

ヴァーリが首を傾げながら言う。

 

 

······お前がそれを言うの? お前はラヴィニアの好意にいい加減気付け······あそこまであからさまに態度に出てるやつもそうそういないぞ······

 

クルル「······はぁ」

 

クルルはヴァーリの鈍感さに溜息を付いている。俺も付いているが。

 

ギャスパー「······お兄様はそれを僕に言うんじゃなくてラヴィニアさんにしてあげて下さい······」

 

ヴァーリ「ラヴィニアに? 何故だ······?」

 

マジかよ······ガチで気付いていないだと······? てっきりタチの悪い冗談でも言い続けているのかと思っていたが······どうりで『刃狗(スラッシュ・ドッグ)』の3人が呆れていたわけだ。

 

ギャスパー「ええ······」

 

ギャスパーが少し引いている。

 

 

ヴァーリはどうしたら気付くのだろうか······ダメだ。どうやったら気付かせられるのか想像が付かない······

 

 

八幡sideout

 

 

 

 

 

 

 

小猫side

 

 

 

小猫「······ふゎぁ」

 

あれ······? ここは何処? 私は確か、ギャー君の家に来て姉様と2人で話してて······抱き締められて謝られて······それから······どうしたんだっけ。

 

小猫「姉様······起きて下さい姉様······」

 

姉様の体を揺さぶって起こす。何度も揺さぶって、姉様はやっと目を覚ました。かなり本能に従順ならしい。

 

黒歌「······ふにゃ······あれ白音? 何してるの?」

 

小猫「それはこっちのセリフです。ここ何処か分かりますか?」

 

私が訊くと、姉様は周りを見渡した。

 

黒歌「ここは私とギャスパーの部屋にゃ。多分······ギャスパーが運んでくれたのね。ふゎぁ~······って、もう夕方!!?」

 

小猫「えっ······」

 

マズいです······寝すぎた!?

 

 

······そう言えば······姉様とギャー君の部屋だ、と言っていましたが、この部屋にはベッドが一つしかありません······まさか一緒に寝ているのでしょうか。

 

小猫「······姉様はギャー君と一緒に寝ているのですか? この部屋ベッド一つしかないんですけど······」

 

体にのしかかっていたような重りが、取れた気がする。すんなり訊くことが出来た。

 

黒歌「そうよ~······お姉ちゃんはギャスパーを抱き枕にしないと寝れないにゃ。ギャスパーの抱き心地が最高で最高で」

 

未だに寝ぼけ眼を擦っている姉様が言う。

 

小猫「姉様まさか······」

 

ここで私は浮かんだ疑問を姉様にぶつけた。姉様は大人だし、ギャー君だって男の子だし······その······間違い的なことも起きないとは······

 

黒歌「白音が思ってるようなことは起きて(・・・)ない(・・)わよ。やろうとしたら、クルルが『魔の鎖(グレイプニル)』に仕込んだ術式でぐるぐる巻きにされちゃったし。昨日もギャスパーがレーティングゲームでカッコよかったからやろうとしたらミノムシにされて天井から吊るされてたからね······はぁ」

 

最後でシュンとなる姉様。

 

訊いた私がバカだった······

 

 

黒歌「······ありゃ? 白音何処行くにゃ?」

 

姉様は立ち上がった私に訊いてくる。

 

小猫「帰ります······姉様と話が出来たのは嬉しいですけど、ここの家の人に迷惑掛けるわけにはいきませんし。しかも寝てたベッドはギャー君のですし」

 

黒歌「今日くらい泊まっていけばいいのに」

 

小猫「そう言うわけには······」

 

部長のレーティングゲームの時も、コカビエルの時も、ずっとこの家の人達にはお世話になっているし、これ以上は迷惑になってしまいます。

 

黒歌「まぁ無理強いはしないけど。せめて夕飯くらい食べていくにゃ。八幡とかクルルがもう作り始めてるだろうし」

 

小猫「そこまで言うなら······と言うか、姉様は作らないんですか?」

 

そう言えば、私が来た時は寝てたし、姉様はいったいこの家で何をしているんだろうか。

 

黒歌「一応簡単なものなら作れるけど······八幡とかクルルとかが作った方が美味しいしね」

 

小猫「······だらしないですね」

 

鼻で笑いながら言う。

 

「あ、小猫ちゃん夕食食べていく?······え?」

 

ギャー君がノックしてからドアを開けながら言う。それと同時に姉様が叫んだ。

 

黒歌「にゃにをー!? ギャスパーと結婚したらちゃんとやるにゃ!!······え?」

 

小猫「結婚······ですか?」

 

ギャスパー「え、く、黒歌······さん······? と、突然、ど、どうしたんでしょう······///」

 

黒歌「な、何でもないにゃ!! 忘れ······て欲しくはやっぱりない!! でも何でもないにゃ!! ///」

 

この後、ギャー君と姉様が顔を真っ赤にして暫くフリーズしたため、戻って来ないギャー君を呼びに来たヴァーリ・ルシファーがギャー君を呼びに来るまで、この部屋にいる3人は真っ赤になっていた。

 

······何で私まで真っ赤になったのだろうか。

 

 

 

結局、私は夕食だけ美味しく頂いて、ギャー君に送られて兵藤家に戻った。

 

 

·······そう言えば、ヴァーリ・ルシファーの隣に座っていた黒髪の少女は結局誰だったんだろうか。私と同等かそれ以上に食い意地が張っていたが······

 

後でギャー君に訊いてみるとしよう。

 

 

小猫sideout

 

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

 

 

とある研究施設。そこには、銀髪の40代くらいの男性と、黒髪と金髪の混ざった若い女性がいた。

 

そして、その2人の目の前には液体で満たされたカプセルがあり、その中には黒髪の少女が眠っていた。

 

「···················ぅ······あ」

 

2人の男女が見ている前で、黒髪の少女が目を覚ます。

 

「おぉぅ? 起きたー?」

 

銀髪の男性は嬉しそうに笑う。

 

「······こいつは?」

 

黒髪と金髪が混ざった女性は少女が誰か分からず、男性に少女が誰かを訊いた。

 

「うひゃひゃひゃひゃひゃ。この娘はねー♪ 『堕天魔』なんだ♪」

 

銀髪の男性は、目の前のカプセルの中で目覚めた少女を指差して愉快そうに笑う。

 

「それはあの女の娘の······」

 

「ま、『堕天魔』ってのは基本的には八幡君のことを指すんだけどねー。でもさぁ······もう一人だけいるんだよねー♪」

 

男性は目の前の少女から目を逸らさず、言う。

 

「それがこの少女?」

 

黒髪と金髪の混ざった女性──四鎌童子(しかまどうじ)は男性に尋ねた。

 

「そーだよ♪······さあ比企谷(ひきがや)小町(こまち)ちゃん♪ 悪者退治といこっか♪」

 

そして、銀髪の男性──リゼヴィム・リヴァン・ルシファーは、目の前のカプセルの中で自分に無機質な目を向ける少女──比企谷小町を見て不気味に笑った。

 

 

 

sideout

 

 

 

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