イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~ 作:シャルルヤ·ハプティズム
失礼。大変取り乱してしまいました。申し訳ございませぬ。
では駄文でよければどうぞ。
八幡side
エルメンヒルデ・カルンスタインと名乗った吸血鬼はリアス・グレモリーに促されて席についた。
カルンスタイン。男真相を尊ぶツェペシュ派と真っ向から対立している、女真相を尊ぶカーミラ派の中でも最上位クラスの家だ。目の前のカルンスタインの名をもつ女も純血の吸血鬼だろう。ギャスパー以外の吸血鬼は、はぐれとかを除けばギャスパーを引き取ったあの日以来か。
······だが、カーミラが何の用だ。吸血鬼には『
『
八幡「······それで? 単刀直入だが吸血鬼が何の用だ。お前らは今まで霧の中に隠れて内輪揉めに勤しんでいただろうが」
何の目的で来たのかは······予想がつかない訳ではないが、理由が分からん。それに、その目的だってこちらが叶えてやる必要も皆無だ。
エルメンヒルデ「言い方に棘を感じますが······まぁいいでしょう。
────我々はギャスパー・ヴラディのお力を借りたいのです」
「「「「「「「「「「「!!?」」」」」」」」」」」
クルル「······はぁ?」
ギャスパー「············」
こいつは、いやこいつらはいったい何を言っているんだ? 今のギャスパーはヴラディ家との縁を完全に切っている。示談も成立している。仮に『禍の団』関連の話だとしても、ツェペシュ側ですらないカルンスタインがギャスパーの力を借りに来るのはおかしい。
ギャスパーは考え込んでいる。理由を考えているのだろう。
······まさかこいつらが来たのは、本当に内輪揉めのためにギャスパーを駆り出しに来たってのか······!?
クルル「······お前達は高々内輪揉め如きで──「いいですよ。ただし僕の提示する条件を呑めば、ですが」······ギャスパー······!?」
クルルが、それこそ口調が変わるほど激昂するが、それを遮ってギャスパーが言う。
八幡「おいギャスパー······」
ギャスパー「大丈夫ですよ、お父様、お母様」
エルメンヒルデ「······どうやら、そちらはギャスパー・ヴラディの方が賢いようですね」
クルル「お前っ······!!」
エルメンヒルデ「もちろん手ぶらで来たわけではございませんわ。書面を用意しました。応じるというなら、出来る限りでギャスパー・ヴラディの提示する条件とやらにも応えましょう。結果どうなるかは私の知る所にはございませんが」
エルメンヒルデ・カルンスタインは後ろで待機していたボディガードを呼び、鞄から書類を取り出させた。それをアザゼルに渡す。
アザゼル「······カーミラ側の和平協議について、だと?」
「「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」」
和平協議······? 今まで応じていなかったクセに、ここにきて簡単に切るだと? こいつらは内輪揉めに対する処理能力低すぎないか?
グリゼルダ「つまり、今日のこの会談において、貴方は外交官として私達の下に派遣されたということですか?」
シスター・グリゼルダの問いにエルメンヒルデは笑みを見せて答える。
エルメンヒルデ「はい。我等が女王カーミラ様は堕天使総督様や教会の方々との長年に渡る争いの歴史を、憂いておられます。休戦を提示したいと申しておられました。必要とあらば、
そう来るかカーミラ──エリザベート・バートリーめ。
今の吸血鬼の内情はある程度把握しているが······思った以上にこいつらは切羽詰まっているらしいな。
エルメンヒルデ「それでは、ギャスパー・ヴラディの出す条件とはいったい何でしょうか?」
カルンスタインがギャスパーを向いて言う。そしてギャスパーは口を開いた。
ギャスパー「······出す条件は唯一つ。ヴァレリー・ツェペシュの身の安全を保証し、僕らが安全に保護出来るようにすること」
八幡sideout
ギャスパーside
ギャスパー「······出す条件は唯一つ。ヴァレリー・ツェペシュの身の安全を保証し、僕らが安全に保護出来るようにすること」
ご丁寧にも僕の発言を待つエルメンヒルデ・カルンスタインに言う。
······さぁどう出る?
エルメンヒルデ「······そう来ましたか。確かに、貴方は『堕天魔』に引き取られるまでは幽閉される城の中でヴァレリー・ツェペシュと手を取り合って生きてきたと聞いていますわ。
まぁヴラディ家と完全に縁を切った貴方が我々に要求することなんてそれくらいなものでしょう」
一々人の嫌なことを喋りながら話す人だ。今気にしても仕方がないが。
エルメンヒルデ「いいでしょう。カーミラ様にもそう伝えさせていただきます。ですが······貴方には自分を捨てたヴラディ家──ツェペシュへの恨みはないのかしら? 貴方の力では復讐ぐらい簡単なのに」
エルメンヒルデ・カルンスタインは僕を見ながら言う。
『復讐』か······昔は毎日のように考えていた。自分とヴァレリーを幽閉して、毎日毎日暴力を揮い罵詈雑言を浴びせてくる。僕の知っている限りでも、ヴァレリーは誰かも分からないような奴に慰み者にされそうになったこともある。今ではもうなってしまっているかもしれない······
でも昔あった、ある一件の時に家族の皆と黒歌さんに誓ったのだ。
『僕は復讐のために力を揮わない。揮うのは周りの人を守る時だけです』
───と。だから、今、復讐に走ることはない。
ギャスパー「······そんな気は毛頭ない。僕はここにいられるだけでもこれ以上ないくらい満足している。でも、もし吸血鬼が家族に危害を加えようとするのならば────その時は危害を加えようとする者全て、滅ぼすだけだ」
そう言ってエルメンヒルデ・カルンスタインを改めて見る。
エルメンヒルデ「······そうですか。『雑種』にしては中々高尚な心を持っているようで。感嘆に値します」
『雑種』か······どうにも人の傷を抉らないと済まない人みたいだ。
クルル「お前っ······!!」
お母様が怒りに震え立ち上がるが、首を振って溢れ出しそうな魔力や光力を収めてもらう。僕のために激昂してくれるのは嬉しいけど、これは大チャンスだ。上手くすればヴァレリーを解放出来る。ヴァレリーが自由に生きられるようになる。
無論、ヴァレリーが望めばの話だけど······
エルメンヒルデ「······我々からの話は以上ですわ。今夜はお目通り出来て幸いでした。自分の根城に招いていただいたお心遣いに感謝致しますわ。リアス・グレモリー様」
エルメンヒルデ・カルンスタインは態とらしい微笑みを浮かべた。そして、ドアから出ようという時に振り返って再び口を開いた。
エルメンヒルデ「そうそう、一つ言い忘れていました。ツェペシュ側で、吸血鬼ではない、銀髪の男性と、そこの堕天使の総督様のような髪をした長髪の女性、不気味な雰囲気を纏う黒髪の少女を確認したとの報告を受けましたわ。精々注意なさって下さい。では」
八幡「おい待て───」
お父様が何か言い返そうとしたが、そのまま出て行ってしまった。これ以上訊いても、今日はもう何も答えなそうだ。
お父様も察したようで、諦めて溜息をついて椅子に座った。
八幡「はぁ······現地に行って調べるしかないか······なぁクルル」
クルル「そうね······それに最後の······ヴァーリが知ったら何て思うか。でもギャスパー、いいの?」
お母様も普段の口調に戻り、緊張を解いて背もたれに寄り掛かる。
ギャスパー「はい。それに、今回がヴァレリーを解放出来る最後のチャンスになるかもしれないですし。見逃す手はないです」
クルル「そう。ならいいけど······」
だが、想像以上に今の吸血鬼社会が厄介になっていることは想像に容易い。エルメンヒルデ・カルンスタインが最後に言った3人の内1人は間違いなくリゼヴィム・リヴァン・ルシファーと見て間違いない。写真で何度も見たが、向こうが態々言ってくるぐらいだ。確定と見て間違いない。
問題は他の2人だ。アザゼル先生のような髪······要するに黒と金が入り混じったような髪の女性······心当たりがない。それに、不気味な雰囲気を纏う少女についても······
『禍の団』、旧魔王派と英雄派が瓦解した現在において最大派閥である『クリフォト』が吸血鬼社会に想像以上に深く根を張っていることは否めない。
結局、対テロチームである以上、現地に行くことにはなっていたようだ。向こうがそれも見越して言ってきたのかどうかは想像がつくわけではないが······
その後、色々問い詰めてきたアザゼル先生を筆頭に、僕とお父様とお母様は話せることだけは一通り話して、その場はお開きとなった。
······ルーマニアか。今まで目を逸らしてきた。ここで、今回で全て終わらすんだ。
ギャスパーsideout
???side
「はっ···はっ···はっ···」
その少女は走っていた。彼女が走っているのは冥界にある多数の魔獣の生息する森。本来ならば、余程の物好きか、強力な使い魔を探しに来た者以外は立ち入ることはほぼない。
しかし、彼女は──彼女を追いかけている者達によって──幸か不幸か、魔獣に襲われる心配ない。いや、彼女の視点で考えれば間違いなく不幸だろう。
何せ、自身の悪魔としての特性を封じられ、飛ぶことも出来ずに、こうして走る羽目になっているのだ。
彼女を追いかけているのは人間の魔法使いが十数名。普段なら、家柄によって上級悪魔となった未熟な彼女でも対抗出来るのだが、彼女は魔法によって悪魔としての力を封じられたため、身体能力が異様に高い人間程度でしかない。
偶々、兄の修行を見に、普段来ない森に足を運んだのだが、誰が襲われるなどと思うだろうか。兄が師匠──最近自分もよく顔を合わせるようになった──の眷属に
そもそも、自分の父親が統治する領の森で、冥界に不法侵入した人間の魔法使いに襲われるなど想像が出来るわけがないのだが。
彼女の足下に、魔法使いの一人が放った氷の魔法が氷塊となり地面に接触すると共に大きな衝撃波を起こし、彼女の体を吹き飛ばす。
悪魔としての力を封じられた彼女は、吹き飛ばされた衝撃によって自身の体が痺れているが、何とか意識を保った。しかし、目の前に不法侵入した魔法使いが降り立った。
「······悪いな。上からの命令であんたら『フェニックス』の誰かを取っ捕まえてこいって言われちまってなぁ」
少女──レイヴェル・フェニックスの一番近くにいる魔法使いの男は申し訳の欠片もなさそうにヘラヘラしながら言う。
「そう言うわけで、暫く眠っててくれや」
「うぁ······や、やめて······」
「そう言うわけにもいかなくってな」
魔法使いの男は、上半身を辛うじて起こしているレイヴェルの下に魔法陣を展開する。
魔法陣が光り出すと、彼女の意識が段々と暗闇に包まれていく。必死に抵抗するも、レイヴェルにはこの魔法を解除出来るような技術を持ち合わせていないため、どんどん意識は落ちていく。
レイヴェル「助けて···お兄様······助けて···········八幡様···········」
敬愛する兄と、成就することのない片想いをした自分の元お見合い相手の男に、来ない助けを求め、遂に彼女の意識は暗転した。
「······はぁ~。やっと終わった。次はなんだっけ?」
レイヴェルの意識を奪った魔法をかけた男は、レイヴェルを拘束した後、近くにいる仲間に尋ねる。
「あ~、次は、この嬢ちゃんから『フェニックス』の魔力のデータ取るっつー手筈だ」
頭を掻きながら尋ねられた男は、面倒くさいと言わんばかりのオーラを出しながら答える。
「で、次はいよいよ『堕天魔』に仕掛けるんだろ?」
好戦的な笑みを浮かべて男は言う。もう片方の男は不機嫌そうに答える。
「いきなりは無理だっつの。『堕天魔』の息子の······ギャスパー・ヴラディだっけ? にこの嬢ちゃん使ってケンカ吹っかけるんだとよ。何でも、新しく入ったスポンサー様が『堕天魔』の家族を全員殺したいから一人ずつ連れてこいと仰られたらしくてな。因みに、その嬢ちゃんは魔力のデータ取って、ギャスパー・ヴラディ? の餌に出来たら後は返すなり食べるなり好きにしろってよ」
「何それめんどくさ······ってことは、こんなことを後何回もやんの? 俺達」
「仕方ねえだろ。上の命令なんだから」
ぶつくさ文句を言いながら、拘束したレイヴェルを連れて十数名の魔法使い達は転移魔法陣でその場を後にした。
これが、ギャスパー・ルシフェルが比企谷八幡とクルル・ツェペシと共にルーマニアに赴く5日前のことである。
sideout
最近筆が進まなくて困ってます。そして、今回出て来たモブsはもう出て来ません。
まさか 苦し紛れに書いたオリ話が役に立つとは。