イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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第79話 黄昏の使者

 

 

 

 

イッセーside

 

 

吸血鬼エルメンヒルデが訪れてから2日経った。

 

とはいえ、俺達は普通の悪魔の日常を過ごしている。ギャスパーがかなりワケありだと知った時は驚いたけど、それはそれこれはこれ。

 

別に今から態度を改めるってわけでもないし。本人も気にしなくていいって言っていた。

 

 

そして、今俺は───

 

元浜「どうだイッセー!! このお宝を見よ!!」

 

イッセー「こっ···これは······!!」

 

元浜がバッグから出した箱のパッケージを見せる。そこには、金髪の美人な女性が全裸で描かれている。

 

松田「なんて奴だ······これは、僅か3日で発売が禁止されたという、我々の中では伝説とまで言われた幻の一品ではないか······!!」

 

何時もの3人で教室の片隅に集まっている。アーシアやゼノヴィア、イリナはそれぞれ同性の友達と談笑している。

 

元浜「フッフッフ······かなり苦労したが、遂に手に入れることが出来た。ここまで色々な伝手を使ったのは初めてだ」

 

自慢げに言う元浜。クソッ···羨ましい······!!

 

 

 

イッセー「頼む!! お前がプレイしてからでいいから貸して──」

 

そこまで言った所で俺は気付いた。

 

イッセー「──く、れ······おい、松田? 元浜?」

 

松田と元浜が虚ろな目をしていた。これはまるで······部長が初めて俺の家に来た時のような······

 

祐斗「イッセー君!! アーシアさん!! ゼノヴィア!! イリナさんも!!」

 

凄い慌てた様子で木場が駆け込んで来た。何時もの、こいつらしい爽やかスマイルもない。俺達4人はことの緊急性を理解した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達4人は木場と合流して、オカルト研究部の部室に来ていた。グレモリー眷属とシトリー眷属が勢揃いしており、教師として学園にいるアザゼル先生もいる。だが、何時もの和やかな雰囲気はそこにはなかった。

 

 

 

何故なら、この場にはギャスパーだけがいないからだ。

 

 

アザゼル「······小猫。ギャスパーに何があったんだ」

 

アザゼル先生が緊張した面持ちで小猫ちゃんに問う。

 

小猫「······実は────」

 

 

 

 

 

小猫ちゃんの話によると、昼休みが始まってすぐのことだ。

 

 

小猫『······ギャー君、一緒に食べよ?』

 

小猫ちゃんはギャスパーと一緒に昼食を摂っているらしく、普段は食堂で食べる所を、偶には趣向を変えて、ということで外で食べることにしたらしい。

 

屋上でオカ研2年組と飯を食べている俺には分かるが、この学園は太平洋から程近い所にあるため、潮風が気持ちいい。だから外で食べる人も少なからずいる。

 

小猫ちゃんとギャスパーは外に出て、自分達が昼食を摂る場所を探している時だった。

 

 

ギャスパー『ごめん小猫ちゃん!!』

 

小猫『ギャー君······!?』

 

ギャスパーは突然小猫ちゃんを抱えて、軽く10m近く跳び退いた。

 

ギャスパーが小猫ちゃんを抱えて飛び退いた直後、2人がいた場所に魔法が降り注いだ。

 

ギャスパー『······この真っ昼間から何のつもりだ』

 

『······いや〜、躱されるとは思わなかったなぁ』

 

現れたのは、黒いローブを纏い、フードを深く被って顔を隠した2人。ローブには、小さくだが変わった模様が刺繍されていたらしい。

 

小猫ちゃんに聞いてみた所、それは松田と元浜の様子が突然おかしくなった時刻と完全に一致した。

 

あれは魔法使いが催眠の結界を張っていたらしい。

 

 

ギャスパー『その刺繍······『魔女の夜(ヘクセン・ナハト)』の魔法使いか』

 

『ご名答。俺達は『魔女の夜』の魔法使いで······今は『禍の団(カオス・ブリゲード)』の構成員さ』

 

 

その魔法使いどもは悪びれもせずに言ったという。『禍の団』······!! こんな白昼堂々と学園に······!!

 

 

ギャスパー『······何が目的だ』

 

ギャスパーは小猫ちゃんを自分の後ろに隠しながら、臨戦態勢を取った。

 

『いやなに、俺達の目的はあんたを連れて行くことだよギャスパー・ヴラディ。あれ、今はルシフェルだっけ? まぁどっちでもいいや。とにかく、あんたを連れてこいって上の命令でね』

 

ギャスパー『僕を? 何のつもりだ』

 

『さあてね。でも、あんたが大人しく俺達に付いてくりゃここに張った結界は解くし、他の奴らにも手は出さないと誓おう』

 

魔法使いの1人は飄々としながら言った。

 

その後、魔法使いはギャスパーの目の前まで近づくと、ギャスパーの耳元で何やら呟いたらしい。

 

すると、今度はギャスパーが、なんと、臨戦態勢を解いた。

 

ギャスパー『······いいだろう。ただし、僕一人だ。他の人に手を出すな』

 

『交渉成立だ。その条件を呑もう』

 

魔法使いが魔法陣を展開する。

 

ギャスパー『はぁ······折角の黒歌さんが作ってくれたお弁当が······でも背に腹は変えられない、か。ごめんね小猫ちゃん、ちょっと行ってくるね』

 

 

ギャスパーは小猫ちゃんに弁当箱を渡すと、魔法使いと共に光に包まれて消えてしまったらしい。

 

 

 

 

ソーナ「······今日は学園を休校にします。『変質者が校内に侵入したため休校となった』ということにします。魔法使いが放った魔法については、幸いにも旧校舎が近かっただけに、旧校舎の老朽化で誤魔化すことが出来そうです」

 

会長が言う。魔法使いが現れた場所は学内でも人通りの少ない所だから、学園の裏の顔がバレる心配はないだろう。

 

アザゼル「しかし何が目的だ······? 奴らがギャスパーを何かの実験に使うためとも考えられるが······」

 

なっ······!? ギャスパーを実験に使う!?

 

リアス「そんなッ······!?」

 

部長も声を荒げて言う。

 

アザゼル「だが、ギャスパーなら魔法使い2人程度、一般人にバレずに何とか出来る筈だが······いやまさか······」

 

考え込む先生だったが、何やら一人で呟く。

 

ゼノヴィア「何か分かったのか!?」

 

アザゼル「······小猫。八幡やクルルは?」

ゼノヴィアの問いには答えずに、先生は小猫ちゃんに視線を向ける。

 

小猫「······ギャー君は、ルーマニアに行く準備のために今一旦冥界に戻ったって言ってました」

 

アザゼル「このタイミングでかよ······なら、ヴァーリや黒歌は?」

 

ヴァーリと小猫ちゃんのお姉さん──黒歌は、今は人間界にいる。最近はうちで小猫ちゃんに修行をつけている姿を見るようになった。

小猫「···2人は既にギャー君の捜索に向かってます。さっき連絡したら姉様が言ってたので」

 

そうか······2人はもう探しに出ているのか。俺達も早く探しに行かないとギャスパーが危ねぇ!!

 

祐斗「小猫ちゃん、ギャスパー君が連れて行かれた場所についての手掛かりとかなかった?」

 

小猫「······いえ。すいません」

 

祐斗「あ、いや、謝らなくてもいいんだけど······」

 

 

リアス「ロスヴァイセ、何か手掛かりがあったかしら?」

 

部長がロスヴァイセさんに尋ねる。

 

ロスヴァイセ「はい。魔法の痕跡などを分析したところ、少なくともセキュリティーを突破するタイプの魔法ではないことが分かりました。

実家に、強固なセキュリティーを突破出来る術式について聞いてみましたが、かなり厳しい見解を口にしていました。私も可能性としては有り得なくはないとは思っていましたが······」

 

イッセー「可能性って?」

 

ロスヴァイセさんに訊く。

 

ソーナ「······裏切り者です」

 

会長が代わりに答えた。全員の視線が会長に集まる。まさか裏切り者とは······

 

アザゼル「······ここら一帯は、三竦みの同盟で重要地なだけに、俺達以外にも多くのスタッフがいる。学園を中心に、完璧とは言えないが、町全体に強力な結界も張ってある。不審人物の侵入に誰かがすぐに察知出来るようにな。ここに入るにはそれなりに選択肢が絞られるんだよ」

 

今度は、アザゼル先生が言う。

 

アザゼル「一つは、強引な侵入。これは力がありゃ出来なくはないが、発覚しないわけがない。2つ目にこの町に住む者が結界の外で捕らわれて操作され、侵入されるケース。これも今のところ誰からも反応が出てねぇ」

 

だから裏切り者······だけど、俺達の中に裏切り者がいるっていうのか!?信じられるわけがない。信じたくもない。

 

アザゼル「だから、必然的に裏切り者って答えが出るわけだ。だが、今そいつを探している時間はない。俺はヴァーリと連絡を取る。グレモリー眷属とシトリー眷属でそれぞれ分かれて、ギャスパーの捜索に入ってくれ!!」

 

『『『『『はい!!』』』』』

 

先生の言葉に全員が応じた。

 

 

そして、グレモリーとシトリーに分かれて、ギャスパーを探しに向かった。

 

 

イッセーsideout

 

 

 

 

 

 

 

 

ギャスパーside

 

 

······さて、学園の生徒を人質に取られたこともあって、転移に大人しく付いてきたが、ここは何処だろうか。駒王の何処かなのか、はたまた駒王の外か、又は人間界ではないか······複数の高度な幻術が掛かっているため、今いるただ真っ白な空間がいったい何処に設置されているのかが分からない。

 

 

 

転移した先には、凝った装飾の銀色のローブを纏った誰か。

 

そして、拘束され、ぐったりしている金髪の女の子が一人いるだけだ。

 

「······じゃ、俺達はギャスパー・ヴラディを連れてきたんでこれで失礼しますよ」

 

「お疲れ様でした。次に備えて休んでいて下さい」

 

「へいへい了解っと」

 

僕を連れてきた魔法使いの2人組は、転移して何処かに行ってしまった。

 

ギャスパー「······ここは何処だ」

 

僕の問いにローブの男は答える。

 

「ここは次元の狭間に作った『工場』です。レーティングゲームに使われる技術を応用してまして。彼女には、製造の手伝いをほんの少ししていただいただけですよ」

 

そうだ······思い出した。彼女は確かレイヴェル・フェニックス。ライザーさんの妹で、フェニックスの長女だ。お父様が、勝手に見合い話取り付けられたって言っていた相手が彼女だった筈。

 

 

まさか、『工場』が製造しているのは『フェニックスの涙』なのではないか? 『禍の団』がテロ活動を始めてから、フェニックスの涙は価格が高騰する一方、裏のルートで捌かれる物が一気に増えた。それに、フェニックス家の者ではないフェニックスの涙なんて物まで出回り始めたと聞く。曹操さんが吐いた情報の中に、そんなものもあった。

 

 

『工場』。フェニックス家のクローンでも生産すれば、フェニックスの涙の量産なんて幾らでも出来る。

 

 

尤も、ここがその『工場』かどうかは、幻術が掛かっているため、嘘か本当か計り兼ねるが······

 

 

ギャスパー「······お前が僕を呼び出した?」

 

「もちろん。と言っても、貴方に用事があるのは私ではないですがね」

 

ならいったい何のために? 昼間に来るなんてリスクが高すぎる。

 

ギャスパー「?······どういうことだ」

 

 

その時、空中に白銀の魔法陣が展開した。この魔法陣はまさか······奴は『禍の団』に与したと言うのか!?

 

「······遅かったではないか。待ちくたびれたぞ······と、要望通り連れてきたようだな···········久しぶりではないか。ギャスパー・ルシフェル」

 

ギャスパー「ロキ······!!」

 

 

 

 

ロキ「ふははははっ!! いい殺気だ。以前にもまして、更に実力が跳ね上がっている。次世代を担う者の一人となれるだろう。『神々の黄昏(ラグナロク)』の際にはこちらに加わって欲しいほどだ。

 

 

 

───────だがここで殺す」

 

 

 

 

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