イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~ 作:シャルルヤ·ハプティズム
この作品、今回で99話目(設定とかも含め)なんですね。次でとうとう100話······応援してくれる方々に感謝しかありません。
今回はかなり人を選ぶ内容になっているかもしれません。ご注意下さい。
尚、話に出て来る内容に就きましては、作者の独自解釈増しましですので、その道に詳しい方がご覧になると違和感を感じる可能性がございますが、ご了承下さい。
side???
700年前。ヨーロッパ南部の某国の山奥に、一つの名もなき集落があった。
その集落には《ゼクスタ》という名を持つ一族が住んでおり、その一族は代々とある神を祀っていた。
尚、そのとある神と言うのが今日のクルル・ツェペシの母であり、『ヨハネの黙示録』に記される『
『ヨハネの黙示録』に取り入れられ
さて、話は戻るが、その名もなき集落に住む《ゼクスタ》の一族に、男女の双子の姉弟が産まれた。
姉の名は『ティリネ』。弟の名は『ロラン』。
次の一族の跡継ぎとして姉弟は育てられた。2人は集落の人々皆から好かれるほど優しい性格であり、虫も殺せないような性格をしていた。
ここまでなら、この人外が跋扈するこの世界においてはそれほど珍しい話でもないだろう。
だが、集落をも巻き込んで姉弟の運命は突如狂い始める。
ある時、少年ロランはとある少女と出会った。彼女は綺麗な桃色の髪に真紅の瞳をもっていた。
その時のロランが知る由もないが、彼女こそが自分の一族が代々祀ってきた神だった。
名もないような弱き神───後の666は、聖書に取り込まれて以降神性が強くなっており、当時人間の住む世界に下りても影響を受けない程度には強い肉体を持てるようになった。
そして、その神は長らく自分を祀る『人間』に強い興味を持っており、度々人間界を訪れていた。
神は、最初は人間を眺めるだけであったが、それでは満足出来なくなり、遂に人の姿を取って地に降り立った。
その時始めて会ったのが、少年──ロラン・ゼクスタだった。
神からしてみれば自分を崇める人間の一人に過ぎなかったが、少年はその神に恋をした。
少年は神から目を離せなくなったのだ。
────やけに馴れ馴れしい人間だ。
神が少年に抱いた第一認証がそれだったが、神は少年が自分を祀る一族の者だと人目見て分かったため、暫く少年に付き合うことにした。
──────悪くない。
神が少年に付き合っている時に抱いた感情がそれである。少年によく似た姉も、彼らの両親も、神を祀ること以外は温かみを持った人間だった。彼らの一族は強い異能を持たなかったため、その神がすぐ近くにいるとは夢にも思わなかったのだが。
そして、時はまた暫く経過する。
少年ロランは青年へと成長し、新たに一族の長となっていた。この時になってもまだ、神は自分を偽って青年ロランと会っていた。ロランがら少年の頃の頻度では会えなくなったが。
青年へと成長したロランが一族の長となって数年が経った頃。
集落は突然外から来た者に占領された。言うまでもない、『聖書の神』が率いる天界勢力である。
この集落は、『宗教』、と呼ぶほど強い信仰心を集落の全員が持っている訳ではなかったが、『聖書の神』はこの集落の《ゼクスタ》という一族が祀る神に目を付けた。
『聖書』自体は人間が作ったものであり、そこには存在しない者もいたりする。その時の666はまだ、人間の想像上の産物に過ぎなかった。
と、誰もが、それこそ『聖書の神』ですら思っていた。
『聖書の神』率いる天界勢力の占領によって、自分も自分を崇める者達も逃げられないと悟った名もなき神は、自らの正体を明かし、天界の監視下に置かれることで自分を慕う者達の自由を『聖書の神』に願い出た。
当然、このことに集落のだれもが驚いた。少年ロランが桃色の髪を持つ少女と出会ったことは集落の間では周知のことだった。
神への無礼を承知の上で、名もなき神が『聖書の神』に下らずに済むように誰もが願ったが、それは集落が無事ですむよう願う名もなき神自身により、届くことはなかった。
名もなき神の申し出を『聖書の神』は承諾したが、一つ条件を課した。
集落の内の一人······正確に言えば、《ゼクスタ》の一族の内の一人が、正式に天界勢力に下り、『聖書の神』に仕えること。それが、名もなき神に課された条件だった。
当時の《ゼクスタ》の一族には跡継ぎがおらず、長であるロランはもちろん集落を離れるわけにはいかない。そして、白羽の矢が立ったのが、ロランの双子の姉──ティリネだった。
無論、集落の人気者であったティリネが集落を離れることもまた惜しまれたが、ティリネは喜んでその役割を願い出た。
それから暫くして、集落を離れるティリネの代わりに、名もなき神の監視役として天使長ルシフェルが集落に派遣された。
·······この頃のルシフェルは誰よりも『聖書の神』に心酔しており、『聖書の神』を唯一絶対のものと考えていた。当然、当時のルシフェルが悪魔を憎く思っていたのは言うまでもない。
ルシフェルが集落に派遣されたことは、集落の誰からも良く思われることはなかった。だが、『聖書の神』に任された役割を全うするということしか頭になかった当初のルシフェルにとっては、どうでも良かった。
その一方で、『聖書の神』にお仕えする者として天界にいたティリネは、『
······しかし、その裏で彼女が
それから数年が経つ。その頃、名もなき神は《ゼクスタ》の一族の長、ロランと恋仲まで発展していた。これは集落の誰もが既知であり、異論を挟む者もいなかった。
また、この頃になると、名もなき神の監視役として派遣されたルシフェルも集落の者からも認められ始め、派遣された時に比べれば思考は多少柔軟なものになっていた。
しかし、『聖書の神』はあることについて常に警戒していた。名もなき神は、聖書勢力に降ることで、聖書······特に『黙示録』の影響を受け、性質が変化していた。
名もなき神は、獣の数字────『666』または『616』の特性を内包するようになっていた。
それから更に数年が経つ。この頃、名もなき神とロランの間は晴れて夫婦となり、子供を授かった。名前はクルル。
クルルは集落の皆にも歓迎され、ルシフェルも、この頃になると集落の一員と認識されるほどになっていた。
既に、ルシフェルが派遣されてから10年が経っていた。
集落は、クルルの誕生によって更に活気づいた。皆、クルルの成長を見守る気であり、ルシフェルもその気でいた。
だが、事態は一変する。
この頃になると、名もなき神は完全に666の性質を取り込んでおり、『聖書の神』と言えど簡単に手出しが出来なくなるほどだった。
そして、クルルの誕生は、『聖書の神』にとって青天の霹靂以外の何物でもなかった。
グレートレッドと並ぶ『黙示録』の獣。それが666であり、名もなき神と、その血を継ぐクルルが『聖書の神』に危険視されるのは当然と言える。
そして、『聖書の神』は、名もなき神───666と、クルルの討伐に乗り出した。当然、監視役たるルシフェルも命を受けた。
だが、以前ほど『聖書の神』を信頼出来なくなったルシフェルは、簡単に手を下すことは出来なかった。
彼女は天使長。創造主たる『聖書の神』の命令には従わなければならない。
だが、人外にとって毛先程度の筈の10年間は、ルシフェルの考えを変えるのには十分すぎる時間だった。
·······それでも、ルシフェルは泣く泣く『聖書の神』の命令を実行に移した。
だが、集落の者は皆、この件を察知していた。青年ロランが《ゼクスタ》の一族の長に就いてから外の民族との友好をもつようになっていたため、天界の異変を察知することが出来たのだ。
そして、それは名もなき神とロランにも言えることだった。
彼らは、自分の命を犠牲にクルルを天界の手の届かない何処かへ、それも天界に知られない場所に逃がす算段をつけていた。
ルシフェルはそれを受諾する。
算段通りに、まず、名もなき神──666を指定の場所に連れ出し、『聖書の神』、ミカエル、アザゼル、メタトロンと共に世界の最果てへと封印した。自分が『聖書の神』の施す封印術を知れるように仕組んで。
その際、彼女が、封印された666の監視役の続投を懇願したことに疑問を持ったのはアザゼルだけだったが、アザゼルにはその理由を知る由など当然ないため、アザゼル自身も、そこまで深く気にすることも追求することもなかった。
そして、ルシフェルはロランを殺し、クルルを殺したように見せかけて、『聖書の神』にも極秘で作った、自分の人間界での隠れ家へと避難させた。
しかし、ここで一つ誤算が生じた。ロランの双子の姉、ティリネに、ロランを殺してクルルの殺害を偽装している所を見られてしまった。
ルシフェルは細心の注意を払っていたが、天界に顔を見せる回数が以前より格段に減っていたルシフェルは、四鎌童子に目を付けられていたことに気が付かなかったのだ。
そこで、正気を失って襲い掛かってきた四鎌童子を止む無く始末したルシフェルは、集落を去った。
実は、四鎌童子との交戦中にその姿をアザゼルに目撃され、ルシフェルは更にアザゼルに疑われることになり、それがアザゼルの堕天にも繋がるのだが、ルシフェルにはそこまで気を配る余裕もなく、姿を見えなくしたクルルを連れて脱出するしかなかった。
その後、幼きクルルは『
また、ルシフェルとは別で、人間界に秘密裏に拠点を持っていたアザゼルに、四鎌童子は一時の間匿われることになる。
そして、そこで四鎌童子が元は人間だったことをアザゼルは知り、堕天を決意することになる。
尚、彼らの過ごしたその集落はその後間もなくして、原因不明の山火事により跡形もなく燃えてしまったとされる。
sideout《ゼクスタ》
クルルside
四鎌童子「大人しく私に殺されろ······!!」
クルル「······クッ」
奴が揮ってくる光の剣を、間一髪で避ける。
先ほどの奴の言葉を、私の動きを乱すのに十分だった。私は思考が混乱する中で、何とか目の前から迫る攻撃を躱す。
······奴の話が本当ならば、ルシフェル様は『聖書の神』の命令に従って、私の父を始末したことになる。
······母の封印をしたのもルシフェル様だ。ならば、何故私が生きている······!? 私はルシフェル様や『聖書の神』にとって邪魔になった筈······
·······八幡はこのことを······いや、八幡に私の過去を離したのは修行の旅で各地を旅していた時。その時は八幡は私のことは何も知らなかったし、今も知っている様子はない。八幡が知っているならば、何か言ってくれる筈······
────私が信じるべきなのは誰なの······?
クルルsideout
過去の回想の中では語りませんでした(書くタイミングがありませんでした)が、四鎌童子には事実がかなり歪曲して伝わっており、『聖書の神』によってある程度の思考の操作をされていました。