THE IDOLM@STER 輝く星になりたくて 作:蒼百合
グリマスPのみなさんの気分はクリスマスイブですね。
デレステPのみなさんは世界レベルなあの方をどう思いますか?
MマスはアニメにカフェパレとF-LAGSにジュピターが出るか早く教えて下さい!
そして劇場は、劇場は……メガネにキサラギ!?
尚、チケットはご用意されませんでした。
「みくちゃん、頑張ってね!」
「ありがとね。みくは、猫ちゃんパワーで頑張っちゃうにゃ!」
武内プロデューサーにスカウトされてからは、今日のステージの感想よりも、詳細もわからないというのに将来の、アイドルデビューすることへの応援ばかりになった。
みくは、そのことに不快感は無い。むしろ、本当にアイドルになれるんだ、という実感が湧いてきた。その事実が堪らなく嬉しくて、ファンサービスも何時もより多く行った。
「みくちゃん、今日はありがとうございました!」
控え室で挨拶をしてきたのは、対戦相手であったぴょん吉というハンドルネームの少女だ。彼女の本名である
互いに詮索はしない。それはネットアイドルを源流に持つからこそ、生まれたマナーだ。
この場所を控え室と呼ぶには少し簡易的であった。会場近くにある空き会議室を仕切りで複数に区分けしただけの荷物置き場兼更衣室と言った方が近い。
そもそも、鏡が備え付けてあるようなスタジオにある如何にも「控え室」という場所を使ったことは、みくは一度しかなかった。当然大部屋だ。
「ぴょん吉ちゃんもお疲れ様にゃ。初ステージだったんだよね?」
「はい、そうですよ。 さっきも言われましたけど、そんなに変ですかね……?」
どうやらぴょん吉は、この凄さを理解していないらしい。
ステージに立つ怖さを知らないまま楽しさを知ったのだろう。きっと緊張なんてしなかったはずだ。そして、ステージの虜になった。
自分と一瞬にライブバトルで共演できること。そして、ぴょん吉自身がステージに立てることが嬉しかったのだろう。とみくは想像していた。
「凄かったよ。みくが負けちゃうかもしれないって不安になっちゃった」
みくは出番が終わっていたので、落ち着いて眺められたからこそよく解っていた。不安を一切感じさせなくて、勢いのあるステージだった。
何より観客の盛り上がりも凄かった。
「本当ですか! でへへ、ありがとうございます」
「ぴょん吉ちゃんはこれからもライブバトルをやっていこうと思った?」
「はい! すーっごく楽しかったからまたやりたいです」
今度会うのはテレビ局か、オーディション会場かもしれない。
漠然とした予想ではあったが、みくはそうなるに違いないと思った。
「そっか、これからもステージを楽しんでね」
「はぁーい!」
さてと。猫耳をはずし、先ほど受け取った名刺を眺める。事務的な飾り気の少ない名刺に印刷されたプロダクション名は余りにも有名だ。
高垣楓、
――どうして、みくをスカウトしたの?
みくには、一流プロダクションのプロデューサーが自身を本当にスカウトしたのだろうか、という疑問があった。彼女は、過去にもスカウトを受けたことがある。
けれども、そのプロダクションは聞いたことも無いような無名であったり、スカウトマンがとてつもなく怪しかった。
勿論、みくも無名だからといっても悪いことではないと知っている。
今ではアイドル業界最大手となった765プロでさえ、「
それでもみくは、例え346プロだとしても不安になっていた。一歩間違えるとやくざにも見える顔と、図体の大きい武内の姿を思い出していた。
見た目は恐いが、悪い人には思えなかった。あのまま連れていくことや、自身の着替えが終わるまで別室で待ち続けることだって出来たのに、彼はそれらをしなかった。
思いは既に決まっていた。
「……はい。武内です」
気がつけば電話をかけていた。みくは、アイドルになりたくて東京に来たのだ。
そして、これは、走り出す初めの一歩。
「こんにちは、先程お話したみくです!」
―――今、これから始まるのは、みくのidolストーリーだ。
東京は広すぎるにゃ、みくはスマホで地図を見ながらぼやいた。とはいえ大阪も十分広いので、慣れの問題が大きい。
その武内から指定されたのは、メインストリートからは少し離れた場所にある喫茶店だった。みくは、本当にここで間違いないか不安になった。道路沿いにある窓ガラスからは武内の姿が見えた。間違って無いことが解ったので、みくはほっとした。
店員に、待ち合わせです。と断ってから武内のいるテーブルに座った。
「では、改めてまして」
「はい」
いよいよスカウトの詳細、そして今後御世話になる事務所についての説明だ。みくの姿勢は、自然と糸を張ったような垂直になっていた。
「先ほどは、すいませんでした」
「大丈夫にゃ! ……です。来てくれた人が沢山応援してくれて嬉しかったから問題無いです」
「何時もの、話し方で構いませんよ」
みくは少し拍子抜けした。緊張していた自分が馬鹿らしくなる。
「それでみくさん」
「はい」
「貴方のお名前を教えて頂いてもよろしいでしょうか?」
「それは、本名ってことかにゃ?」
「そうなります」
そこまで言われてようやくみくは、本名を言ってないことに気がついた。ハンドルネーム、もとい下の名前で呼ばれることも板についた証拠かもしれない。
「……前川みくにゃ」
「前川さん、ですね。私は武内と申します」
「前川さんは、『シンデレラプロジェクト』という新規部門に所属してもらうことになります」
「シンデレラプロジェクト……」
みくは所属することになる名前を静かに呟いた。
武内から伝えられたのは、みくがスカウトされた新規プロジェクトの内容だった。事業に関する多くのことを言われたが、殆ど覚えていなかった。突然の出来事に頭は追い付いて無いのかもしれない。
持ち歌があり、 デビュー出来る。それさえ解ればみくには十分だった。
後で貰った資料を読み返そうと、みくは心に決めた。
「何か、疑問に思ったことはありますか?」
全てが疑問にゃ。と言いたくなるのをみくはぐっと堪えた。
「あ、あの! 他のメンバーはどんな娘がいるのかにゃ?」
「そうですね、基本的にはこれから行われる『シンデレラオーディション』で選考します」
「ってことは、みくが一番なの!?」
「いえ、既に三人スカウト枠として採用しています。前川さんで四人目になりますね」
そりゃそうだろう。自分が初めてスカウトされたのかと少し期待したが、そんなわけ無かった。
「ところで前川さん。今度346プロで行われるライブをご存知ですか?」
次行うとなると、ウィンターライブだ。そのライブについては、みくも知っていた。来月、横浜行う定期公演だ。
みくは行きたいと思っていたが、一人関西から上京している身では、当選の結果以前にチケット代を払うことすら難しい。
「勿論知ってるにゃ。Pちゃん、それがどうしたの?」
「もし、よろしければ……ご覧になりますか」
それは、最高の誘いであった。
「観たいです!」
武内の提案に、みくは直ぐ様返事をした。
「それでは手配をしておきますね」
「お願いします!」
みくは、これまで以上に笑顔になった。
やはり皆ライブを観たいのだろう。
「既にお二人に同様のチケットを渡してあります」
「みく以外のスカウトした娘と会えるの?」
「はい、ライブ前に一度顔合わせを行いたいと思います。ライブ中は隣の席になりますので、交遊を深めてくれるたら幸いです」
これが正しい選択なのか、武内にはわからない。けれどライブを観ることで、自分の
――今度こそ、皆さんの笑顔が消えないように……
「それじゃ、失礼します」
みくが席を立つ。
「前川さん。これから、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくにゃ。
「ぴーちゃん、ですか」
「そうにゃ! プロデューサーさんだからPちゃんにゃ」
「は、はぁ……」
武内は戸惑っていた。
愛称で呼ばれたことは無いのだろうか、とみくは疑問に思った。
しかし武内は、不思議そうに見つめるみくの真意を把握出来なかった。
スカウトが無事に成功し、説明も滞りなく完了した。
大手企業であろうと、スカウトは難儀する。上司への報告を行う為に電話を手にとった。
「終わったかね」
電話の相手は上司の今西だ。
「はい。みくさん、前川みくさんは、スカウトに応じてくれました。ライブの件も伝えてあります。」
「それはよかった。そういえば、雪乃君から連絡があったよ」
「雪乃さんですか……?」
武内には知らない名前だったので見当がつかなかった。
「おや、名前を聞いてなかったのかい。君が以前スカウトをしようとした娘だよ」
ごほっ。噎せてしまった。つい先ほど会った人の話題になるとは、武内は当然思っていなかったので返答する言葉が見つからず固まっていた。
「だ、大丈夫かね?」
「はい。……前川さんをスカウトした同じ場所で彼女に会いました」
「そうだったのか。偶然もあるものだね」
「それにしても……お二人はお知り合いだったんですね」
「うん、そうだね。三年ほど前に会ったのが最初だったかな」
三年前、というとアイドル部門が始まる時だ。
その時に縁があったということは何処かの企業のお嬢様なのだろうか。
武内の中では、さらに雪乃への疑問が深まっていく。
「それで、一体どんな話をしたのでしょうか?」
「あぁ、君と同じように私も彼女をスカウトしていてね……。その返事だよ」
「今西部長も彼女をアイドルにしようと思ってらっしゃったんですね。結果はいかがでしたか?」
武内の勘は当たっていたらしい。
やはり彼女はアイドルになり得る存在だ。
「いや、アイドルではないよ」
「では、一体」
「決まっているじゃないか。
結局、武内が把握出来たことは名前だけであった。
余計に謎が深まった。
「はぁ。では、そちら、スカウトはどうだったのでしょうか」
「うん、とりあえず今度のライブには来てくれるそうだ」
*
「ただいまー」
下の花屋で仕事中のはずだから返事は帰って来ないと思っていても、雪乃は口に出していた。
それに、人からは返事が無くても犬のハナコは元気に駆け寄るからだ。わしゃわしゃと頭やお腹を撫でると気持ちよさそうに尻尾を振った。家に誰かがいるだけで心地よくなる。
「おかえり、義姉さん」
ハナコの後ろから凛がやって来た。
ただいま、と二人(厳密には一人と一匹)に告げる。
雪乃は今日は日曜日だったと、ようやく思い出した。
「そういえば、大学のDM来てたけど……頼んだの?」
指を差した先に置かれていたのはビニールで保護された二つの分厚い資料だ。東京の美大と私大の名前がそれぞれに印刷されている。
「うん、そうだよ」
「そう……」
凛は少し寂しそうだった。
そういえば最近、凛と話していないことに雪乃は気がついた。
靴を揃え、手を洗い、雪乃の部屋でコートを脱ぐ間も、雪乃はハナコを抱いている凛と他愛ない話を続けた。
雪乃は大学の資料を側に置いて、リビングのテーブルをとんとんと叩いた。
「凛、座ってて。お茶入れるから」
ワンワン! とハナコが叫ぶ。どうやらご飯をご所望らしい。
「はいはい、ハナコにもおやつあげるね」
雪乃はお湯を沸かしながら、ハナコにも声をかけた。おやつには少し遅い時間だから凛の母に、餌をあげたことを怒られるだろうが、犬であるハナコだけ我慢するのは酷だろう。
「義姉さん本当にアイドル辞めちゃうんだね」
凛は目線を下に向けて、雪乃に合わせることなく言った。けれど、雪乃は気づかない。
「うん、そうだよ」
雪乃が他愛ない話をしているような話振りなので、凛は驚いた。
ティーポットの様子を見ていたので、凛の驚きを雪乃は知らない。
それに対して雪乃は、凛がこれまで、765プロから離れることに対して何も言わなかっただけに、意外に思っていた。
親のいる前では言いたくなかったのかな、と考える。
――それなら、長い話になるかもね。
「はい、どうぞ。ハナコもね」
「ありがとう」
ハナコが元気に尻尾を振り、二人は静かにお茶を飲む。
「それで義姉さん、どうして765プロを辞めたの?」
「随分と直球だね」
「だって、楽しそうに仕事のことを話してきたから辞める理由がわからない」
そんな義姉の姿を、凛は尊敬していた。
「勿論アイドルは楽しかった。でも、楽しいだけじゃ続けるのは無理だから」
ステージ上のきらびやかな世界だけでは無いことは、凛も知っていた。
凛は何度か練習風景を観たことがあった。全身汗まみれになりながら練習する姿は、凛の記憶に色濃く残っていた。
「それは、知ってはいるけど……さすがに急じゃない?」
「急に、でもないんだよね」
少し言い辛そうに、雪乃は口にした。
「最初は律子さんに麗華さん。ついこの間までは春香、さんや765プロの話を散々聞かされたんだけど」
「え、そんなに話していたっけ?」
そんな記憶にはないと言わんばかりのを聞いて、凛は呆れる。
「そんなにって。食事の時は必ずアイドルの話をしてたんだけど……」
ライブも毎回観ろってうるさいし、と呟いた小言は雪乃には聞こえてない。
「でも、どうして大学の資料なんか貰ったの?」
凛は、高校受験を推薦で終えたばかりなので、大学受験について考える気持ちにはならない。けれど、複数の学校の資料を見比べたのは記憶に新しかった。普通科の学校しか見ていなかったが。
「そりゃあ……いい会社に就職しようと思ったらいい大学入る方が採用されやすいからね」
「ふーん」
凛も何度か言われたことがある。しかし、実感はまだ無い。
雪乃がパラパラと眺めているのは"合格者優秀作品"、と書かれた冊子だった。
それから、ざっと見終えたばかりの冊子と共にごみ箱に全部捨てた。
「え、捨てちゃうの?」
「うん。大学はやっぱいいかな」
「言ってることが真逆なんだけど」
凛は余計に困惑した。
「だってスカウトされたから別にいいかなって」
「スカウト、されたんだ」
「うん、それに……よくよく考えたら、
やっと6話目です。もたもたしてるとミリシタが始まるので早くストーリーを進めたいものの、ゆっくり進んでいます。が、次回は沢山アイドルが出せます! 頑張って警告タグも働かせたいと思います!
……長かった!
そのうちしんげきネタ書きたいですね。時系列無視に矛盾大有り嘘M@Sやります。シナリオの妄想も捗ってまし! (多分!)
追記:書くのはイベント終了後にします
【お知らせ】
本文中の数字表記を固有名詞と一部を除き漢数字に統一しました。