海上自衛隊横須賀基地。
日本防衛のための護衛艦がずらりと並んでいる。
少し話が変わるが、船魂というものを知っているだろうか?
船魂とは、一般に船霊と表記され、航海の安全などを祈る神だとされているが、“船魂”である。
これは、船そのものの魂だ。
こんな伝説もある。
昔、出航前に女の子ないしは女性が船から降りるのが度々目撃されているらしい。
そして、その船は必ず沈むとか・・・・
そう。
船魂とは、船そのもので女の子の姿をしている。
そう言えば、英語では船の代名詞はSheになる。
これも関係しているとか。
そして、この船魂は基本的に船として戦うが、船を失うか船を離れた時、その船と同じだけの能力を発揮する。
人の姿で。
ある時、横須賀基地に停泊していた護衛艦いずも、護衛艦あきづき、護衛艦たかなみ、護衛艦きりしま、舞鶴から来航していた護衛艦あたごの5隻の船魂5人が集まって遊んでいた。
海上で鬼ごっこをしていた時だった。
一瞬、全員が立ちくらみのような感覚に襲われた。
そして、振り返った所には先程まであった筈の横須賀は無く、水平線が広がっていた。
人に見られては困るため、見られにくい場所でやっていたはずだ。
しかし、自分たちの身を隠していた建造物どころか陸地が無かった。
いずも「ちょっと、集まって!
これ、どういうこと!?」
たかなみ「知らないわよ。
遊んでるうちに離れちゃったんじゃない?」
いずも「違う、衛星や基地が感知できない!」
いずもの言葉に、ほかの4人は全く気にしなかった。
きりしま「あんた、壊れてんじゃないの?」
いずも「じゃあ、やってみればいいじゃない!」
きりしま「はいはい。
ほら、横須賀基地ならここに・・・」
あきづき「どうした?」
あたご「僕も見つからないよ。」
四人「・・・・・」
いずも「ほらね。」
きりしま「いや、ほらねじゃないでしょ!
どうするのよ!?」
仮に、この5人で艦隊を組むとしたら旗艦はいずもになる。
状況が異常であると判断したいずもの切り替えは早かった。
いずも「全員、対潜、対空、対水上警戒!
陣形を輪形陣!」
あたご「え、え、あ、うん。」
いずもを中心として後方にきりしま、前方にあたご、左舷側にあきづき、右舷側にたかなみがついた。
この状況下での素早さにいずもは感心していた。
いずも「きりしまとあたごは横須賀基地通信を出来るか試して。
あきづき、たかなみはそのまま警戒を継続。
私は索敵に哨戒ヘリをだします。」
四人「了解!」
あたご「と言いたいところなんだけどさ、僕達どこにいるの?
横須賀はどっち?」
いずも「・・・とりあえず、いろいろな方が」
きりしま「水上レーダーに感2いや、5!
北方距離6。」
あきづき「5!?
漁船?」
きりしま「違う、大きさは私たちと同じ・・・・」
いずも「では、私たちと同じ船魂?」
きりしま「そう。
でも、多分、今の私たちと同じ。
船は感じられない。」
5人「・・・・・」
あたご「不明勢力より航空機らしきものの発艦を確認!
数は2、多分、索敵。」
しばらくして、レシプロエンジンの音を聞いた。
たかなみ「この音・・・プロペラ機かしら?」
いずも「確かに、ジェットエンジンではないですね。」
あきづき「き、機影視認。
不明機はレシプロ機、形は旧海軍索敵機の様だ。
どうする?」
いずも「そうですね。
場所も状況もわからないのでとりあえずは接触してみましょう。
あきづきは旧海軍の無線周波数できりしまは現代の周波数で敵対する意思が無いことと所属を伝えてください。」
2人「了解。」
三日前の横須賀鎮守府執務室。
提督「はぁ〜。」
不知火「不知火に落ち度でも?」
提督「いや、違う。
全く、どうしてこうボーキサイトが減ってるんだ?」
不知火「それは、やっぱりあの人のせいではないですかね?」
提督「う〜ん。
不知火、申し訳ないが赤城を連れてきてくれ。」
不知火「ご命令ならば。」
数分後、執務室の前に赤城が来ていた。
赤城(提督からお話?
なんだろう?
御褒美にボーキサイトが貰えたり・・・)
赤城「赤城です。」
提督「入ってくれ。」
赤城「失礼します。」
赤城「提督、話とは何でしょうか?」
提督「それなんだが、赤城、最近倉庫のボーキサイトが減ってるんだが何か知らないか?」
赤城「え、い、いや、し、知りませんよ?
別に、夜な夜な倉庫に忍び込んで食べたりしてませんよ。
はい。」
提督「いや、いつどうやってやったかなんて誰も言ってないんだが。」
赤城「はっ!?
い、いや、それは・・・
すみません。」
提督「次からしないように。」
赤城「はい。」
(よかった。
次からはバレないように気をつけないと。)
提督「で、赤城、罰として第六駆逐隊の哨戒任務に同行しろ。
それが終わるまでボーキは抜きだ。」
赤城「そんなぁ・・・」
赤城(という事で私は今第六駆逐隊の暁さん、電さん、雷さん、響さんと共に哨戒任務についている。)
電「赤城さん!
水上電探に感ありなのです。」
暁「おぉ!
私達の出番だわ!
1人前のレディーになる為に頑張るわよ!」
赤城「索敵に彩雲を出します。
皆さん、お願いします!」
数分後、彩雲から連絡がくる。
彩雲『索敵対象ヲ目視ニテ確認。
対象ハ深海棲艦ニアラズ。
艦種オヨビ艦名ノ特定ハ不能。』
赤城「という事です。」
響「彩雲さんでわからない艦娘か。
気になるな。」
雷「とりあえずは味方って事ね!
細かい事は会いに行けば分かるわよ!」
赤城「彩雲さんが通信を受けたようです。
片方は周波数が未知のものでわからない様ですが、片方は分かる周波数だったようです。
皆さんにも繋ぎます。」
彩雲『所属不明ノ艦娘ヨリ連絡。
我、海上自衛隊所属、護衛艦アキヅキ。
旗艦護衛艦イズモ、護衛艦キリシマ、護衛艦タカナミ。
貴艦ノ所属ト航行ノ目的ヲ通達サレタシ。』
暁「1人前のレディーでも海上自衛隊なんて部隊知らないわよ。」
電「赤城さんは何か知っているのです?」
赤城「ごめんなさい。
私もわかりません。
とりあえず、深海棲艦ではないようですし、会ってみましょう。
対水上戦闘用意、単縦陣にて突入します。」
暁「わかったわ。」
電「なのです!」
双方は数分で接触した。
あきづき「いずも、来たよ。」
いずも「総員、攻撃準備。
但し、絶対に撃たないで下さい。」
四人「りょーかい。」
いずも「あきづき、発光信号で戦闘の意思がない事を知らせてください。」
あきづき「えっ!?
また!?」
いずも「確実に伝えるに越した事はありません。」
あきづき「はいはい。
わかったわかった。
『我、戦闘の意思はない。』」
次第に双方から視認できるようになる。
あたご「あれ、凄い旧式じゃない?」
きりしま「旧式と言うより、昔の武器だね。」
いずも「全員砲を下ろしてください。
私が行きます。」
いずもが艦隊を離れて赤城達の元へと向かう。
いずも「皆さん、こんにちは。
私は海上自衛隊所属ヘリコプター搭載型護衛艦いずもです。
皆さんの所属は?」
赤城「日本海軍所属正規空母の赤城です。
今は第四駆逐隊の皆さんと哨戒任務中でした。
それと、申し訳ないのですが、海上自衛隊とはどこの部隊ですか?」
いずも「どこ?
あぁ、母港は横須賀です。」
赤城「横須賀ですか・・・
わかりました。
皆さんの言う横須賀に着くかはわかりませんが、横須賀へ案内します。
詳しい話はそこでしましょう。」
いずも「お願いします。」
この時、いずもは薄々気がついていた。
何かがおかしい。
この海が自分の知る海では無いのではないかと。