円卓の料理人【本編完結】   作:サイキライカ

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・`)コメントキタ
・`)ツベデナマエアガッテル…!?

|彡サッ


料理長の主菜悩み

 今日もキャメロットは(激動の時代の割に)平和である。

 神秘の衰退という避けられない終わりは遠くなく緩やかに終焉は近付いているが、蛮族が(今までに比べて)攻めてくることもなく、サクソン人の入植も(歴史より)穏当に進んでおり戦乱による極端な生き死には今の所鳴りを潜めていた。

 そんな中、俺はと言うと……

 

「今回はどっちが勝つのかなぁ…」

 

 安全な場所からガウェインとランスロットの死闘を眺めていた。

 

「ぉぉお!!」

「ハァッ!!」 

 

 刃を潰した模擬剣を全力で叩きつけ合う二人。

 ヤム◯ャ視点なのでどっちが優勢なのか分からんが、周りが凄まじい声援を送っているから拮抗しているんだと思う。

 ただ、

 

「勝てランスロット!!

 肉を!!晩飯のメインデッシュに肉を出させてくれ!!」

「昼間の三倍ガウェインだろうと絶対負けるな!!

 腸詰抜きポトフなんて冒涜は絶対許すな!!」

 

 今ので理解してもらえたと思うが、二人が戦っているのは俺が原因である。

 始まりはアルちゃんとボーマンを交えた大した事はない雑談だった。

 

「今日の夜はどうしたもんか…」

「料理長のメニューでしたら誰も文句は言いませんよ?」

「というか言ったら陛下が聖剣で尻が四つになるまで殴ります」

「えぇ…」

 

 二人の真剣な言葉に引きつつありがたいとは思いながら、それはそうと言う。

 

「とはいえだ、手持ちのレシピで作れるものは殆ど作っちまったんだよ。

 ある物でより良くは当然だが、リクエストが有るとメニューを考えるのも多少楽になるんだよ」

「そう言う事ですか…」

 

 納得したとアルちゃんは頷くと、「少し考えがあるので陛下に上申してきます」と厨房を出ていった。

 そうして月に一度、勝者に好きな料理をメインデッシュに要望出来る権利を与える『円卓御前試合』が開催される事になったのだ。 

 

 そして現在は四回目の決勝戦。

 これまで三度優勝を納めたガウェインと敗退した騎士達の意志を受け継いだランスロットによる凄まじい決闘が今現在進行していた。

 なんでガウェインがアウェー状態なのかというと、ガウェインの要望が総じて「野菜オンリーの料理」と騎士として負けた上に野菜しか食卓に並ばないという(作る方含む)二つの地獄が待っているためである。

 娯楽としてある程度開放しているためガウェインへの応援が無いわけではないのだが、円卓に近しい騎士達は殆どがランスロットの応援に回っていた。

 と、それまで打ち合っていたガウェインが俺が見ても分かるほどバランスを崩した。

 

「貰った!!」

 

 裂帛の気炎を吐いて剣を振り下ろすランスロット。

 しかし、

 

「それもこちらの台詞だ!!」

 

 次の瞬間、ランスロットが背中から地面に叩きつけられた。

 

「え? 今の? 何が?」

 

 なんで切りかかったランスロットが背中から叩き付けられてるんだ?

 

「ガウェイン卿がランスロット卿の腕を掴んで料理長が教えてくださった『一本背負い投げ』を力付くで成立させたのかと」

「そうなのか…?」

 

 隣で見ていたアルちゃんがそう説明するが、ちょっと理解がついて行けない。

 確かにパーシヴァル達と故郷の話をした際に幼少期に習っただけなので概要しか覚えていない柔道の技を幾つか教えた事はあったが、うろ覚えの技が実戦で使えるまでに昇華されるなんて予想外にも程がある。

 

「そこまで!! 勝者サー・ガウェイン!!」

 

 爆発みたいな歓声とこの世の終わりみたいな呻きを上げる円卓の騎士達の中、ランスロットを助け起こすガウェインに俺は頭の中で野菜のストックを思い出す。

 

「今回も豆の野菜スープか…。

 料理長の料理は美味しいから許せますが最早添え付けに期待するしか…」

 

 隣でアルちゃんが死んだ目で呟く。アルちゃんって何処で円卓の騎士用に用意している料理を口にしてるのだろう?

 陛下の毒見役なのかと疑問に抱きつつこちらへと歩み寄るガウェインに気付き俺は向き合う。

 

「優勝おめでとう。

 四連勝は凄いな」

「騎士として全力を尽くした結果です。

 それに負けたと思わせる危ない場面は幾度も有りました。

 此度は勝ちを拾えましたが次もと慢心は出来ませんよ」

「そうか。じゃあ、今晩のリクエストを聞かせてくれ」

 

 外行というか騎士モードでそう応えてから俺の問いにガウェインは報酬を口にする。

 

「ええ。では今晩のメインデッシュには『キッシュ』をお願いします」

「キッシュか…卵は使っていいか?」

 

 卵無しだとキッシュとは名ばかりのパイかピザになってしまうと確認するとガウェインは「勿論です」と色よく返事を貰い安堵する。

 

「分かった。

 じゃあ今晩は野菜マシマシの特別キッシュを作らせてもらうよ」

「ええ。楽しみにしておきますよ」

 

 隣でアルちゃんが「卵が入る分まだ救われた…」と安堵している。

 

「じゃあ、早速準備に取り掛からないとな」

 

 撤収作業を横に俺は野菜メインだし付け合わせはソーセージとベーコンでも付けるべきか、そんな争いとは無縁な悩みを胸に厨房へと向かうのだった。




メインで書いてたのも一段落したので聖杯戦争終わらせるのに集中したい…なぁ←
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