GOD EATER Reincarnation 作:人ちゅら
ですが前回とはちょっと様子が違います。
そしてすぐ終わります。
──
──
──何故に今また帰り来た
──滅ぼし足りぬか人修羅
──喰らい足りぬか人修羅
* * *
「早く下がれ──!」
瓦礫だらけの戦場に、男の叫びが響き渡る。
「助けます!」
視界がひどく狭かった。
気付けば自分は瓦礫の上に寝転んでいて、上下に狭い視界の中に、駆けてくる誰かの足ばかりが見えている。
「いいから下が──っ」(がなりたてる声がうるさい)
まるで耳元で叫ばれているようなそれを疎んじ、耳をふさごうと手を動かす。
カクッ
立ち上がるためについていた手を急に耳元にやろうとしたため、体勢が崩れて再び瓦礫の上へと倒れ込んでしまった。大口を開けていたため、勢いよく打ち付けられた歯茎が痛む。
(……なんだ、叫んでいたのは
「先輩!」
(騒がしいなあ)
エリック……なんとか。やたら仰々しい名字の
そう、やつの振る舞いはまったく正義感に溢れている。
今も
たとえそれが善性から来るものでも、感情的に行動してしまうということは、独善的であるということだ。正直に言って、チームワークで仕事をしている俺たち偵察班には、まったく向いてない、むしろ足を引っ張りかねない害悪だと思う。
だが、それでも戦力として使わなければならない。
(まったくヨハンにも困ったものだ)
それにもう、手遅れだ。
──────────!!!!!
およそ人間の耳には判別しきれない轟音の爆発に、
このわずかなタイムロスで、ただ転んでから立ち上がるまでの時間で、追いつかれてしまった。
変異種コンゴウ──まだデータが揃っていない、未知のアラガミだ。コンゴウ種の外見で、白と寒色系の体色をしているため、便宜上「白コウゴウ」とか「雪原コンゴウ」と呼んでいる。その特徴は、冷気弾による砲撃。あれを食らって一気に運動能力を奪われ、命を落とした
そしてその後ろに、もう一体。こちらは通常のコンゴウ。先程の轟音は、こいつの咆哮だろう。
つまりあれだ。
最初から失敗していたのだ。
発見は偶然だった。
だから撤退しても良かったのだが、放っておけばエリックが一人で突貫しかねなかった。だから作戦だと言って、どうにか有利な状況を作るために、この囮作戦を実施したのだ。
だが、もう無理だ。
あの咆哮は、おそらく仲間を呼び寄せるものだ。コンゴウは中型アラガミの中でも出現報告が最も多く、そのため研究もされていた。咆哮の周波数を検知した腕時計型端末が、増援警戒の
万事休す、だ。
俺は神機を握る手から、汗が滲むのを感じていた。
* * *
(ああ、状況が分かってきた)
(
(理由は分からないが原因は分かる。あの望遠鏡だ)
(あれで
(これが彼の言う「ゲームのような」ということなのか)
(分からない。だが、これがゴッドイーターか。ふむ)
(平坦な地形と外周を囲む壁のような崖から、場所はおそらく嘆きの平原)
(敵はコンゴウ型が二体。うち一体は変異種)
(任務内容は巡回。これは不意遭遇戦か)
(僚機は新人のエリック・デア=フォーゲルヴァイデ。咆哮と同時に砲撃を受けて……あれは一時的な行動不能といったところかな?)
(そして敵は二体ともこちらへ急行中。やや距離を広めにとっているのは挟撃狙いなのか?)
(いや。牽制か、警戒か、最低一体はエリックを視野に収めるようなフォーメーションをとっている。これは偶然か?)
(その効果を理解して行っているとすれば、学習したということだろうか)
(どのようにして学習したのか。興味は尽きないが、やはり彼らの知能は侮り難い)
(ふむ……無理だね、この状況。立て直せる時間はない)
どこまでも冷静に、そして無慈悲に状況を俯瞰する。
私の性分はどうやらこの異常事態にも変わることはないようだった。
(ところで私が、いやカトール・鳩場がここで死んだら、私はどうなるんだろうか?)
(そのまま
(もっと見てみたいものだ。こんな経験は他にありえない)
(だから誰か助けてはくれないだろうか)
そんなことを考えている間に、既にコンゴウは
* * *
「【
嗚呼、
脆弱だった
骨が、胃が、筋肉が、内臓が、腱が、血管が、血液が、皮膚が、舌が、歯が、鼻が、耳が。コンゴウの腕に押しつぶされその手指で引きちぎられ、牙と歯で咀嚼され唾液にまみれ貪られた俺の身体が。あのゴリラ野郎のオラクル細胞に取り込まれて溶け込み、失われたはずの細胞の一つ一つが蘇り、
そうして最後に復元された眼球が捉えた光は、紺のフードを目深にかぶった一人の少年の姿だった。