FFXV:Another   作:祈Sui

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FFXV:Another chapter13 八神

神々は誕生と同時に女神の死を理解していました。ただ人だけが、何も知りませんでした。

創星記 口承

 

***

 

 ノクティス達は、ビッグスの操縦する揚陸艇で、世界で最も高い峰を目指していた。アラネアとコルは、戦後処理の為に帝都に赴いている。見えてきたその頂に至る途中には噂通り常に嵐が吹き荒れていて揚陸艇での侵入は困難に見えた。

「まぁ近づけるだけ近づいてみますけどね」

ビッグスは自信なさそうに言った。

「世界最高峰か、皮肉なことだな、帝国の作った飛空艇が無ければ、こんな簡単にはたどり着けなかっただろう」

イグニスが呟く

「しかし、これじゃあ近づけそうにねぇな。嵐の無い場所におろしてもらって歩くしかねぇか」

頂上まで揚陸艇で行けると思っていたプロンプトが肩を落とす。ノクティスもただその嵐を見つめる。突破できそうには見えない。突然、水神が語りかけてきた。

(王よ、恐れず進みなさい。六神のちからを手に入れし者に道は開かれる)

「あー、なんか水神が進めっていってる。道は開かれるって」

プロンプトに明るい表情が戻る。ビッグスは不安そうに揚陸艇を進めた。揚陸艇が嵐に触れる直前、嵐が消えた。代わりに現れたのは青い光の壁。

「これは、魔法障壁?」

「嵐は、この下に発生していたのか・・・」

障壁が近づくと指輪が光を放ち始め、魔法障壁も解かれる。

「あ、あれ」

プロンプトが指し示す先に、峰の先端で輝くクリスタルがあった。ビッグスは揚陸艇をクリスタルの側へつけた。防寒装備に身を包んだノクティス達が格納庫から降りる。その時、辺りを影が覆った。

「雲?、いやこんな上層に雲があるわけが」

イグニスが驚く、皆が見上げれば、視界に収まらぬほど巨大な翼が、実体として姿を顕しつつあった。

「六神の力を手に入れし、指輪の継承者よ」

上空から厳かな声がかけられる。それは巨大な竜だった。動揺するビッグスたちを気にも止めず巨竜は続けた。

「我は竜神バハムート。六神の力を集め、此処に至る事が我が裁定。よって汝に我が力を授けよう」

竜神の巨大な翼から発生した光球がノクティスの指輪に吸い込まれた。あまりにもあっさりと授けられた力にプロンプトが驚いている。また大変な戦いになると思っていたのだ。

「さて継承者よ、我がクリスタルに触れ、最後の神の裁定を受けよ。ただし、この先は誰の力を借りる事も許されぬ。先に進めるのは指輪の継承者のみ」

「なんだと、王の盾として俺は」

いきり立つグラディオラスを抑え、ノクティスは前に出た。

「仕方ねぇな、じゃあちょっと行ってくるから、此処で待っててくれ」

クリスタルに触れると、ノクティスの身体はクリスタルに飲みこまれるように消えた。

「ノクト」

グラディオラスがのばした手は、クリスタルの表面に発生した魔法障壁に阻まれる。

「汝らが手を出す事は許されぬ」

竜神はそう言った。

 

***

 

目を開けると、そこは不思議な空間だった。青い魔法の輝きが空間を照らしている。天も地も無く、ただ、足元に平坦な空間が広がっている事だけが分かった。まるで透明な硝子の床のようなその下にも青い星々の輝きにも似た光点があった。どれだけ進んだのか、時間の概念も失われるその空間の先に玉座が現れ、そこに鎧が座しているのが分かった。

「きたか、我が末裔よ」

ノクティスが近づくと、その鎧が動いた。

「お前は?」

「我が名はオーディン。最初の人間(ルシス)にして最後に顕現せし八番目の神。創星の女神の後継。混沌の再来に備えし者。肉体は滅びたが、悠久の時をこの中で待ち続けた」

オーディンが立ち上がると玉座は消滅し、ノクティスの指輪から生じた数多の青い輝きが、二人を取り囲むように留まった。

「これは・・・」

「指輪に宿りし、歴代の継承者の魂。指輪は人の誕生を祝福したものでも、選ばれしものに力を与える道具でもない。指輪を継承した人の命を啜り、それを蓄えてゆくもの。継承者の命により指輪はその輝きを増す。不完全な神、八番目の召喚獣たる人が、原初の女神の力に迫るために必要としたもの。それが人と神々の契約。創星の女神、その後継者たる人の果たすべき役割」

オーディンは、虚空から剣を出現させた。

「時は来たれり、我が末裔たる現世の王よ。汝にその役目が務まるか、我を倒し、その力をあかせ、汝にその資格なくば、我が汝になり代わり、王としての使命を果たそう」

そう言うとオーディンは甲冑の継ぎ目から、青い炎のような光を漂わせた。持ち上げられた手には、同じ光耀の指輪。辺りを漂っていた青い輝きが、オーディンの下へ集いファントムソードとなる。残る半分がノクティスの下へ集い、同じようにファントムソードを形成する。周囲を漂う剣は等しく十二本。

「現在までに高められた指輪の力。この時の為に、ささげられた王の命の結晶。ゆくぞ」

オーディンは、その独特な僅かに湾曲した剣を構え、ノクティスは、エンジンブレードを構えた。踏み込みは同時、周囲を漂う十二本のファントムブレードもそれぞれが呼応し激突した。

 

***

 

オーディンが撃ち出したファントムソードを受け止めるも衝撃を殺しきれず、ノクティスが吹き飛ばされる。戦闘は苛烈を極めていた。ノクティスの攻撃は、いなされ、繰りだしたファントムソードは的確に迎撃され、オーディンの鎧を貫くことができない。何もない空間を転がりながらノクティスは、荒く息を吐く。

「その程度なのか?現世の王よ」

オーディンが動きを止めて問う。ファントムソードがオーディンの周囲をゆっくりと周っている。

「ならば死に、その身体を我に捧げよ」

突撃してきたオーディンを、ノクティスが何とか受け止めるも、勢いに負け押され続けていく。オーディンの刃が力の方向を下へと向け、ノクティスの身体に迫っていた。

「くそ」

ここまでなのか?迫りくる刃にノクティスは死を覚悟した。不意に脳内で言葉が弾ける。

(ノクティス)

それはレギスの声のような気がした。その声は、叫びではなく、優しく語りかけるように、それでいて力強く励ますような響きを伴っていた。

「・・・親父?」

オーディンの刃が体に触れる寸前で止まっている。ノクティスはレギスの姿を探すが見つからない。再び呼びかけられることも無かった。だが、気のせいではない。確かに聞こえた。指輪に継承者の魂が宿っているなら、ファントムソードがその結晶だというのならば、この中にはレギスの魂もあるのだ。拮抗した刃に、オーディンは、疑問を抱いたが、さらに剣圧を高めた。しかし今度はノクティスもそれに応じる。呼びかけられたその声が、何を伝えたかったのかは分かっている。もう二度と、聞くことができないとしても、生み出された熱が、ノクティスの脳裏に、様々な人の姿を浮かばせる。ノクティスの力に成ってくれた者。親しい者、知っている者。この指輪に宿る知らない者達。そして約束した愛する人の姿。

「俺は・・・」

ノクティスの剣がオーディンの刃を押し返していく

「負けられない」

ノクティスの眼が赤く輝く。その意思は膨大な魔力を生み出し、呼応するように、指輪が光を放った。オーディンをはじき返し、散りじりにされていた十二本の剣が、集結。高速回転を始める。投擲した剣に合わせてシフト。ノクティスを迎撃するためにオーディンの振るったファントムソードの突撃を回避。さらに繰りだされる剣を弾き、オーディンの懐に到達。振り下ろされようとする剣をノクティスのファントムソードが固定する。留まらない魔力の流入を受けて、エンジンブレードが唸りを上げる。発生した超高周波振動を纏った刃に、注がれ続ける魔力が重ねられ青白く輝いた。エンジンブレードの刃は光剣となりオーディンの強固な鎧を深々と裂いて抜ける。ノクティスを狙って戻ってきていたオーディンのファントムソードがノクティスの肌を裂く寸前で消失。オーディンの鎧の切り口から青い光が流出した。オーディンは膝をつく。

「そうだ。それこそが、我と汝の違い。誰かを想う今を生きている人間の意思の力。それを忘れるな、チェラムの子よ。全ての命、汝に託すぞ・・・」

オーディンが満足そうに言うと、その鎧の全てが青白い炎のように燃え上がり粒子となって指輪に吸い込まれた。周囲を漂っていたファントムソードもノクティスの物に同化する。残されたオーディンの剣もまた青い光となって浮き上がり、ノクティスの身体に突き立てられるように溶けた。そして十三本となったファントムソードは周囲を廻ってから宙に消えた。空間には光が溢れた。

 

***

 

気が付くとノクティスはクリスタルの前に投げ出されていた。

「ノクト」

「おい、大丈夫か?」

「俺の事分かる?」

仲間たちが、それぞれ声をかけてくる。ノクティスはそれに大丈夫だと応じ、立ち上がる。

「これで、お前は真の王となった。時間はもう、それほど残されてはいない」

上空から竜神が静かに告げた。

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