閃乱カグラーDestiny dividerー 作:4WD skyline
このペースで書けれたらな〜……。
「一体…」
と呟く利恩の目の前にある荷台の中にあった、否、いたのは一人の少女だった。
空色の長い髪を持ち、目を閉じている少女はまるで白雪姫というイメージを持たせる。
体も女性としてはだいぶしっかりと育っている上に、スタイルもいい。
しかし同時にまだあどけなさを残す顔立ちがこの少女が利恩と同世代の様に思わせる。
肌の色は白いものの赤みがさしていたので死んでいる様では無い。
唯一問題点を上げるとすれば…
「どーすんのさ、服なんて持ってねーぞ」
と利恩が言う様に布一枚着ていない姿だったのだ。
コレでは、衛生的に(色々な意味で)アウトである。
「変な襲撃者に謎の少女…か。一体なんなんだ、これ?」
「この人……そんな……!?」
「何だ、知り合いか?」
と利恩は聞くが飛鳥は応えない。
(何だよ、そりゃ人がこんな荷台に入ってりゃびっくりするだろうけど。もしかして死んでると勘違いしてんのか……?)
と利恩は思ったが口にはしない。
「とにかく警察、あと救急車だな」
ーえーっと911はアメリカだし…
と言いながら、携帯を取り出そうとした利恩の手を、ーパシッと止める手があった。
「何だ飛鳥?」
と利恩は飛鳥に聞くが帰ってきた言葉は、
「ゴメン、利恩君」
という言葉だった。
そして同時に首元に手刀が飛んできたが、それを利恩はーパシッと受け止めた。
「何だよ、突然?」
と利恩はあくまで穏やかに言うがその瞳は驚きに染まっている。
「君は、これ以上《私たちの世界》に入っちゃいけない」
「私たちの、世界?」
「そして君は私たちの世界のことは知らない方がいい」
「お、おいおい一体何を…」
ー言ってんだよ?
と言おうとした利恩の言葉は止められた。
飛鳥が持っていた二対の刀によって。
利恩の首元と眼前に刀が今にも切りかからんとばかりに備えられていた。
しかし当の本人は
「おいおい、ちょっと待てよ」
とあっけらかんな調子で話していた。
だが、決して目だけはそんな色を見せていなかった。
「こんな事して一体何になるんだよ」
「言ったよね、私。君は私たちの世界のことは知らない方がいいって」
「でも、もうその一片には俺も触れちまってんだろ?」
「確かに、君は記憶したゃったけど。それなら消せばいい」
「……は?」
と飛鳥の言葉についに利恩の言葉にも余裕が無くなった。
「安心して、すぐに終わるから」
と言いながら飛鳥が何かをしようとした時だった。
「焔風、造式《ぞうしき》!!」
と利恩が言ったと同時、風ノ式が展開される。それと同時に赤い風車が炎を纏い何かを形作る様にまとまる。
そして、赤い風車が燃え尽きたと同時に、赤いロングボウが現れた。
形としては、中世ヨーロッパの様なものではなく、現代アーチェリーのそれに近い。
そして利恩はロングボウを作り終えたと同時に瞬時に発動した焔風の爆式を自分の足元に発動、爆風を使って後ろに飛び、飛鳥から距離をとる。
「それは一体……!?」
と飛鳥は今起きた現象に驚く。
いきなり利恩の風ノ式が燃え尽きたと思いきや次の瞬間には利恩の手には赤いロングボウが握られていたのだ。
裏の世界に身を置く彼女もこんな光景は見た事がない。
こんな力を持っているのなら、余計に私たちの世界に来てはいけない。そう飛鳥は強く思った。
飛鳥がいる世界には利恩達の様な表の人物には考え難い事が日常的に行われている。
具体的には命を絡みの戦いや暗殺などだ。
そんな彼女だからこそ解った、利恩は表裏を超えた異常性を持っていて、だからこそ彼は飛鳥達の様な世界には身を置くべきでは無い、と。
しかし彼は飛鳥の思いとは裏腹に、こちらの世界の問題にどんどんと入ってきている。
そうなれば、残る道は一つ。彼をこの裏世界へ《危害なく》干渉させられないようにするしか無い。
無論、利恩にとっては不服であるだろう。
だがそれが利恩にとって一番の選択なのだ。そう思い飛鳥は自分の得物である二対の刀を構えた。
ーだがしかし、そんな《悠長な事》は次の瞬間飛鳥の頭の中から吹き飛んだ。
「な、何だよ…、アレ」
という利恩の声が飛鳥の耳に届いた。
すかさず飛鳥も利恩の方を見る。
そこには、水があった。
聞くだけだと別に何とも無い。だが、その水の形が異常だった。
「何だよ、何で水があんな形をしてんだよ!?」
そう利恩の見ていたもの、それは…
「何で水が刀の形で浮かんでんだよ!?」
「あれって、まさか‼」
と飛鳥が言ったと同時、刀の形をした水は利恩達に向かって飛んできた。その数は十。
しかし、「よっと!」
と利恩の手にあった赤いロングボウから十個の炎が飛び出す。
そしてその炎は、刀の形をした水をすべて蒸発させた。
「一体こいつは……。つか、なんか俺の水風《みずかぜ》に似てんだけど!?」
と利恩は言う。
すると、飛鳥が
「あれはあの人の防衛反応みたいな忍術、私達が手出しさえしなきゃ出ないはずなのに……!」
と言った。
「じゃあなんであの忍じゅT…」
とすべて言い切る前に利恩は何かおかしな言葉に気がついた。
どこがおかしい、考えろ。
まず、あの人。問題は無い。あの人と言うのは、恐らく荷台の中の少女の事だろう。
次に、防衛反応。これも、まぁ、許容範囲だ、利恩も似たようなもの(風ノ式)を持っている。
次に、忍術。これも問題は無……。
「いや、問題ありありだわ‼いや何?忍術!?え、あのジャパニーズNINJAの使うアレか!?いやないって!!一応俺外人だけど、日本人の母親からNINJAなんていないって、聞いてんぞ!?」
と、利恩は驚愕する。
忍者とは過去の存在、そう考えられてきた者が今、存在している。
そんな状況で冷静でいられる程、彼は冷静沈着な精神は持っていない。
「ってか、飛鳥もあれが忍術って言うならお前もNINJAなのかよ!?」
ーしまった!!
と言いいたげな顔をする飛鳥だが、時すでに遅し。
飛鳥も忍ではあるのだが、まだまだ未熟な所もある。
今のがいい例だ。
「う、うん。そうだよ、私は忍。正確に言えば善忍って言う忍なの」
「ゼンニン?何だそれ?」
と利恩は聞こうとするが、突如飛んできた水の刀によって話は中断される。
「「!!」」
と二人は驚くが冷静に飛んできた刀を飛鳥は刀で利恩はロングボウで迎撃する。
その時利恩はふと気がついた。
「なあ、飛鳥!」
「な、何!?」
「あの水の刀はあそこの子の防衛反応みたいな忍術なんだよな!?」
「うん。そうだけど、それが何!?」
「なら、防衛反応が出てるってことは、俺ら以外の何かがいるってことだろ!?」
「‼」
と、飛鳥もそこで利恩が何を言っているのかに気がついた。
慌てて周囲を確認すると…
「悪忍がいる!!いつのまに!?」
と飛鳥が言うと、
「気がつかれたか…」
と言う声十人ほどの悪忍達が出てきた。
「やれ!一般人もまとめて殺せ!」
とリーダー格らしき忍が仲間に指示をした。
同時に、二人の元に各々の得物を握った悪忍達が襲いかかる。
しかしその時だった。
ードォォォンッ!!
という轟音が鳴り響いたと同時、
「「ウワァァァァッッ!!??」」
という悲鳴が上がり、リーダー各の人物もろとも悪忍達が吹き飛ぶ。
その後すぐに、
「大丈夫か、飛鳥!?」
という少女の声が響いた。
「かつ姉‼」
と飛鳥が喜ぶ。
「なぁ、あの人は?」
と利恩が飛鳥に聞く。
「あ、えっとあの人は……」
と飛鳥が説明しようとした時だった。
ームニュ、と飛鳥の胸を誰かが掴んだ。
利恩では無い、では誰か?
答えは…
「ここがいいのかぁ〜?」
「ちょ、かつ姉!やめてよ!?」
そう、金髪の少女が飛鳥の胸を揉みしだいていた。
「え、あ、えっと?」
と利恩は混乱する。
と、利恩に気がついたのか、金髪の少女が声を掛ける。
「おーい、大丈夫か?」
……ただし飛鳥の胸を揉みしだきながら。
「えっと、あんたは?」
と、利恩はあくまでも冷静に金髪の少女に何者かと尋ねる。
「アタイは葛城、お前は?」
「えっと、園神利恩。よろしく。あと飛鳥の胸を揉みしだくのそろそろ止めたら?」
「そうだよ‼」
と、飛鳥が葛城の胸揉みセクハラ地獄から脱出する。
「えっと、改めてこの人は葛城さんことかつ姉、私と同じ善忍の一人だよ」
「よろしくな、利恩!」
「あ、ああ。よろしく、えっと……」
「どっちでもアタイはイイぜ?」
「えっとじゃあ、よろしくかつ姉」
と三人が話していると。
ーヒュンッ!と、針らしき物が飛鳥の後頭部を狙って飛んで来た。
しかし、いち早く気がついた利恩の方が針らしき物が当たるよりも、ワンテンポ行動が早かった。
「Defense wind.」
と利恩が呟くと、飛鳥の後頭部に風が発生し針の軌道を飛鳥の後頭部からそらす。
「なッ……!」
と驚く悪忍の一人。
その隙を狙い、利恩がロングボウで狙撃した。
しかし、それは囮だったのに気がついたのは、わずか数瞬後だった。
三人の悪忍が荷台を中の少女ごと持ち出そうとしていた。
それに気がついた利恩はロングボウで、飛鳥は二対の刀で、葛城は蹴りで悪忍を制圧した。
悪忍を掃討したことを確認した利恩達は荷台に近づき、少女を外へと出した。
「ふぅ、とりあえずは脈も安定してるし大丈夫っぽいな」
と利恩は言う。
すると、「にしても、聖女様ってのは以外とアタイ達と年齢が近く見えるんだな」
と葛城言った。
「聖女?」
と利恩が言う。
確かに、目の前の少女は美少女の分類に入るのは確実だろう。だがそれならば、飛鳥や葛城も同じだ。
「何でこの子が聖女なんて呼ばれてんだ?」
と利恩が聞く。
すると、
「この人は、とても強い力を持っている善忍なの」
と飛鳥が言う。
「でも、それぐらいなら聖女なんて呼ばれないだろ?」
と利恩が聞き返した。
「うん。この人は忍の頂点、カグラのなかでも最強の人で、そして、災厄とも言える呪いを受けた人なの」
「呪い…?」
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