超次元ゲイムネプテューヌ Origins Interlude   作:シモツキ

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第十三話 原初と蒼の公奏曲

扇状に広がる鋼の刃の束。うち一本が魔龍の足を捉えるが、魔龍はそれを意にも介する事なく突進を仕掛ける。

ものの数瞬で距離の詰まるわたしと魔龍との距離。しかしその最中にイリゼさんが真横から仕掛けた事で魔龍の突進は空振りに終わる。

 

 

「ディールちゃん!今どの位!?」

「四割ってところです!」

 

わたしの横を掠めて行った魔龍へイリゼさんは即座に追撃をかける。それを目で追いつつ、わたしは床についた杖を軸とする様にターンしながら左手に魔法をスタンバイ。…うぅ、これ思ったより疲れるかも……。

互いにまだ諦めてはいない事を確認したわたし達は、わたし達の出来る最大級の攻撃をぶつける為に動き出した。

イリゼさんは先程までと同様魔龍の意識を自分に集める担当。彼女は今の魔龍に張り付くのは自殺行為だと判断し、動き続ける高速でのヒットアンドアウェイを基本にしている。

わたしはそのイリゼさんが動き易い様、致命傷を受けない様(多少の怪我は我慢するらしい)に援護を行う担当。だけど、わたしはそれだけじゃなくてもう一つ役目がある。それは……

 

(まだ駄目…もっと時間をかけないと、この部屋全域に魔法を展開出来ない…!)

 

杖を起点に広がる不可視の魔法陣。わたしのもう一つの役目は、最大級の攻撃を行う為の布石作り。わたしの援護も、イリゼさんのヒットアンドアウェイもこれの為の時間稼ぎに過ぎない。

 

「喰ラワン…ソノ程度擦リ傷ニモナランワッ!」

「擦り傷だけなのはこっちも同じ…くっ…!」

「……っ…!」

 

攻撃後、魔龍の爪から逃れ切れなかったイリゼさんはお腹を横に切られる。プロセッサごと切られたお腹からは血が噴き出し、致命傷ではなさそうなものの見ていて凄く痛々しい。

けど、だからといってイリゼさんは後退しないし、わたしも治癒は勿論援護だって最低限しか出来ない。これはわたし達が勝つ為の布石の為の戦闘。ここでわたしが動いてイリゼさんの負担を減らす事は簡単だけどそんな事をしていたらわたし達の勝ちは遠ざかってしまう。……そう、頭では分かっていたけどどんどん怪我の増えてくイリゼさんに片手間でしか援護出来ないのは歯痒かった。

 

「チョコマカチョコマカト…チクチクチクチクト…貴様等ハドレダケ我ヲ不愉快ニサセル気ダァァァァッ!」

「んな……っ!?」

「と、闘気……!?」

 

左翼への刺突を受けた魔龍はギロリとイリゼさんを睨め付け、次の瞬間全身から赤黒いオーラの様なものを放出する。

それを受け、跳ね飛ばされてしまうイリゼさん。幸いそれ自体は殺傷能力が高くないのかイリゼさんが更に怪我を負う様な事は無かったけど、そこでイリゼさんの連撃は途切れてしまう。

 

「マズ…一匹ィッ!」

「……っ!」

 

跳ね飛ばしたイリゼさんには目もくれず、わたしに向かってくる魔龍。わたしがこの場を動く訳にはいかない事を察したのか、今追撃してもイリゼさんなら避けると判断したのか、それとも単に視界の中にいるわたしに狙いを定めただけなのか…とにかく、早い話が軽いピンチだった。

広域魔法を一旦諦め、回避をしようするわたし。魔法にオートセーブ機能なんてないから回避後に再開しても数工程分、下手すると最初からやり直しになるだろうけど…背に腹はかえられない。

そう思って足に力を入れた時…魔龍との戦闘で何度目になるか分からない、わたしにとって好都合な横槍が入る。

 

「『天舞陸式・皐月』ッ!」

「グゥゥ……ッ!?」

 

それまでより目測で数倍とも思えるスピードで魔龍に肉薄し、同じく凄まじい速度での斬撃を放つイリゼさん。魔龍でもこの攻撃は無視出来なかったのか、両手の爪を交差させて防御。長剣と爪の激突により散る火花。

 

「動くのは、私の役目だよディールちゃん…!『天舞弐式・椿』ッ!」

 

数瞬のせめぎ合いの後、次なる攻撃を仕掛けるイリゼさん。魔龍の周りを動き回りながら打ち込む攻撃は、こちらもどういう訳か魔龍は無視せず対応していく。

それを見て、その声を聞いたわたしは回避しようとする考えを振り払って魔法構築を再開した。イリゼさんは全力で…もしかしたら無理をしてまで自分の役目を果たそうとしている。なら、わたしはそのイリゼさんを信頼して自分の役目を果たすべきだから。

 

(後三割…それまで頼みますよ……!)

 

 

 

 

「フハハハハッ!段々振リガ遅クナッテキテイルゾ?」

「なら手加減してくれるかな…!」

「誰ガスルモノカ馬鹿メッ!」

 

私が懐へと入ると同時に吐き出された火球を斬り払い、火球の影に隠れる様に突き出された爪を身体を捻る事で避け、回避行動を許さないとばかりに仕掛けられた噛み付きは精製した盾を身代わりにする事で切り抜ける。

既に私の身体は傷だらけだった。負のシェアの女神と化したマジェコンヌとの決戦時程ではないものの身体の至る所から血が流れ、怪我の影響は痛み関係無しに私の動きを悪くさせる段階にまで至っていた。そして、動きが悪くなればその分余計攻撃を受け易くなり、結果また動きが…という完全な悪循環になっている。

 

(それに……この感覚、かなり余裕ないのかも…)

 

回し蹴りを長剣の腹に手を当てて両手で受け、側転を行なって追い討ちを回避する私。そんな中、段々と感じてくる焦燥感。この感覚は…間違いなく、シェアエナジーが減ってきている事に起因している……と思う。女神化が解けてしまえば継戦は不可能だし、大技も撃てなくなってしまう。

ならば、もう…危ない橋を渡るしかない。

 

「……ディールちゃん、援護はもういいよ」

「え……それって…」

 

一瞬の隙を利用して後退、一言そう告げてすぐに私は魔龍の前へと戻る。ちらりと見たディールちゃんの表情は困惑の色を浮かべていたけど、疑問も反論も…援護魔法もそれ以降飛んでくる事は無かった。ふふっ、こんなに良い子なら友達じゃなくて妹にしたいかな……なんてね。

何度も何度も私の命を刈り取るには十分な威力を持った攻撃が私の身体を掠める。でも、それも少し前までは慣れてしまう程に何度も経験していた事。ここには今までと違って共に旅をした仲間はいないけど、代わりに共に帰ろうと約束した仲間がいる。それだけで、私は……

 

「負ける気など…微塵もしないッ!」

 

放たれた右腕の殴打を、それに合わせて長剣を下から上へ振り抜く事でカチ上げる。そのまま右足を前に出し、その足を軸に回転して振り抜きの余力と遠心力とを利用した袈裟懸け。更に翼を広げ加速する事で軸足を動かさぬまま回転斬り。遂には左手の張り手で壁まで吹き飛ばされ、続けて襲いかかる飛び蹴りは回避がギリギリ間に合わず足の爪で背中を切られたけど……まだ、私は死んでいない。

全身の力を駆使する事で攻撃を受けた直後に姿勢を制御し、再び私は正対する。

 

(もう少しなら耐えられるから…頼むよ……!)

 

 

 

 

一人では到底叶わぬ敵。二人でも勝てる保証など微塵もない敵。それでも二人の少女は諦めない。どれだけ傷付こうと、どれだけ追い詰められようと、自分を、明日を、隣に立つ仲間を信じ瞳の焔を燃やし続ける二人の女神。

失われし魔龍は強大にして不滅。既に失われ、消失した存在を討滅する事など出来よう筈も無いが……空虚にして虚ろな、真の意思なき亡霊に、少女達が負ける道理も、また無い。

 

 

 

 

大広間の床に魔力が行き渡る。少しずつ範囲を広げていた魔法陣が、完成を見た事を魔法使いならではの感性で感じ取る。--------準備は、完了した。

 

「すぅ…はぁ……」

 

深呼吸を一つ。もう一度、抜かりがないかを確認し……わたしは叫ぶ。

 

「--------イリゼさんっ!」

 

わたしの声が大広間に響いた瞬間、イリゼさんは長剣を振り上げた体勢のままわたしの方へと一気に後退してくる。攻撃を仕掛けようとしていた側のイリゼさんが退いた事で魔龍は困惑したらしく、僅かな時間ながらも動きを止める。

 

「丁度良い…!イリゼさん、わたしの側を離れないで下さいよ…!」

 

イリゼさんの返答を待たずして、魔法起動の為の最後の魔力を放出。その瞬間、わたしの立つ場所を中心に青く輝く魔法陣が展開する。

 

「ヌゥゥ……!?」

「凄い……」

 

幾何学模様の魔法陣と魔法陣から漏れる青白い魔力光に動揺する魔龍と感嘆の声を漏らすイリゼさん。我ながら中々幻想的だと思う光景だけど…別にシャイニィシャリオの真似をしたい欲求がある訳でもないわたしにとってはどうでもいい。これはあくまでわたしの魔法の予備動作に過ぎないから。

 

「もう自由になんてさせません。ここは……わたしの領域です」

 

魔法陣が一層の輝きを放つと同時に、魔法陣から大木程の太さを持つ氷の柱が次々と天井へと伸びる。そして……ものの数秒で大広間は無数の氷柱に彩られた部屋に…わたしの領域になった。

目の前にある氷柱を叩き割ろうとする魔龍。だけど氷柱はヒビが入るだけで折れたりはしない。たった一撃で折れる様なら…こんなに時間をかけたりなんてしない。

 

「流っ石ディールちゃん、じゃあ次は私が……」

「いえ、まだ仕掛けは終わってませんよ?」

 

そう言いながら手を振るうわたし。それに呼応する様に魔法陣が再び輝き、それぞれの氷柱から何本もの氷の枝が伸び他の氷柱へと結合。時には床に、天井に、氷の枝に結合する事で、氷柱群は樹氷原の様な姿へと変貌する。

わたしの仕掛けにより、満足に動く事も出来なくなった魔龍。流石に氷の枝は大振りな攻撃を受ければ折れるかもしれないけど…それをさせるわたし達ではない。

 

「…さて、まさかイリゼさん…氷と氷の間を駆け抜けられないなんて事はありませんよね?」

「言うねディールちゃん。そういうディールちゃんこそ、氷柱に誤射したりしないよね?」

 

わたし達は互いに軽口を叩き合い、小さな笑みを浮かべる。いつの間にかこんな間柄にまで発展していたのか、とそんなに悪い気もしない感情を抱き……わたし達は同時に飛翔する。

わたしもイリゼさんも氷柱と氷柱の間を物ともせず飛び、氷の枝と氷の枝の間を縫う様に駆け抜ける。そしてそれぞれが最適だと思う場所まで移動すると同時にわたしは丸ノコの様な円盤を、イリゼさんは多種多様な近接武器を周囲に展開し……一斉に放つ。

 

「『シルバーフラップ』ッ!」

「『天舞伍式・葵』ッ!」

 

わたしの意思を受け、自在に飛び回る円盤が魔龍へ突撃する。わたしの思った場所へ、思った軌道で持って飛ぶ円盤は一切氷柱や枝にぶつかる事なく飛び回り、逃げ場を失った魔龍を引き裂いていく。

イリゼさんの計算を受け、それぞれの動きで飛ぶ武器が魔龍へ飛来する。刺突系武器は直進を、斬撃系武器は回転しながら、ブーメランやチャクラムは弧を描きながらとそれぞれに適した動きでもって魔龍を切り裂いていく。

瞬く間に傷が増えていく魔龍。巨体な上痛覚がまともじゃなくなっている魔龍はやはりこれだけじゃ倒れないけど……今の連携とそれまでに与えてきたダメージが、遂に一つの結果をもたらす。

 

「ナ…ニ……ッ!?」

 

ぐらり、とよろめく魔龍。どんなに巨大な生物でも、どんなに屈強な種族でも、攻撃を受け続け傷を増やし続ければいつかは身体能力に影響が出る。むしろこれだけ仕掛けてやっとよろめくだけ、というのは相変わらず無茶苦茶だけど……わたし達は蓄積ダメージで倒すつもりなんて毛頭無い。だから大きな隙を見せてくれただけでも僥倖だった。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 

武器を撃ち切ったイリゼさんは、長剣を構えて接近。魔龍が防御体勢を取るよりも速く一太刀を浴びせて過ぎ去る。そして次の瞬間、再び魔龍を斬りつけるイリゼさん。彼女は過ぎ去った後すぐ手近な氷柱を蹴り、方向転換と再加速をする事で息つく間もない連続攻撃を叩きつけていた。

イリゼさんが通常の三倍位速いかもしれない動きで魔龍を翻弄する中、わたしは樹氷原の密度が低い場所を選んで床へと着地。杖と左手を正面に向けて巨大な鋼の刃を作り出す。

展開時とは逆に、わたしを中心として樹氷原を解除し樹氷原を形成していた魔力を鋼の刃へと注ぎ込んでいく。

 

「……っ!」

 

樹氷原の魔力全てを受けて、普段とは別格レベルの高密度な刀身となる鋼の刃。わたしは地を蹴り、最後の一撃とするべく突進をかける。

これでトドメだ、魔龍……!

 

 

 

 

樹氷原が完全に消滅する。それは大広間を占領していた障害物が消えるという事であり…最後の準備が、トドメの準備が完了した事の合図だった。

 

「魔龍…貴様に引導を渡す時が来たッ!『ユニゾンライズ--------」

 

翼に、長剣にシェアの爆発を当てて真正面から逆袈裟を叩き込む。そしてそのまま宙返りを行う私。

これには三つの意味がある。一つはディールちゃんの攻撃の露払い。無傷の場所に刃を突き立てるのと、少しでも傷付いている場所に刃を突き立てるのでは大きな違いがある。ディールちゃんの攻撃を必殺のものとする為、これは必要不可欠だった。

一つは反撃の回避。これはすぐ対応される可能性があったから、ここまでずっと温存していた。

そして、もう一つは……

 

「--------ペイルクロス』ッ!」

 

私の宙返りにより、背後……私の身体によって姿の見えなくなっていた位置から現れたディールちゃんと刃は、何の妨害も受ける事なく魔龍の懐へと飛び込む。囮にして、陽動にして、隠れ蓑。私の役目は最初からそれであり、今この瞬間までその役目は変わっていなかった。

目を見開く魔龍。一切の迷いなき動きで、自身の正面に展開した刃を魔龍へと突き立てるディールちゃん。無論それで終わる筈もなく、ディールちゃんは全ての力を振り絞ってそこから更に貫かんとする。

魔龍の胴体を相手取るには十分過ぎる大きさを持った刃が、魔龍の腹へ深々と突き刺さる。魔龍は断末魔の様な咆哮を上げ--------

 

 

 

 

「ヌ…ォォォォオオオオオオオオッ!!」

 

決まったと思った。これで終わりだと思った。間違いなく、私達は全力を尽くした。だが……魔龍の底力…或いは執念は、私とディールちゃんの想像を超えていた。

腹部と全身から血を流しながら、絶叫としか思えない雄叫びを上げながら、魔龍は鋼の刃を掴み、引き抜こうとする。

勿論、ディールちゃんも負けてはいない。シェアも魔力も注ぎ込めるものは全て注ぎ込んで魔龍の抵抗と拮抗している。しかし、それが長く続くとは思えない。元々の力が違う。長所短所が違う。そして何より…身体が一定以上の無理を許してくれないディールちゃんと、思いのままに無理が出来る魔龍では違い過ぎる。

--------でも、ディールちゃんには一つだけ、魔龍が絶対に勝てない…魔龍には絶対手に入れられないものがある。ディールちゃんには……仲間が、いる。

 

「私達は負けない…そうだよね、ディールちゃん!」

「……っ…その通りです、イリゼさん!」

 

宙返りの頂点から翼を広げて床へと突進。着地と同時に私は刃の柄を掴み、刃に私のシェアを纏わせながら残ったシェアエナジー全てをシェア爆発の加速に当てる。

度重なる無茶で悲鳴を上げる私の身体。予告なくシェアの爆発を背中に受けたディールちゃんも私と同じかそれ以上の苦痛が全身を走っていると思う。

だけど、私達は力を振り絞り続ける。力の限り、想いの限り、その全てをこの一撃に賭ける。

 

『いっ…けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!』

 

最後の激突。最後の攻防。最後の一閃。そして……ずぶり、という音と共に刃が軽くなる。

 

「ア…ガ、ァ……ソンナ、馬鹿…ナ……」

 

腹部を貫き背すら貫通した刃を唖然とした様子で見つめる魔龍。魔龍は覚束ない足取りで数歩下がり…それを最後に、動かなくなる。

 

「勝った…の……?」

「きっと…勝てましたよ……」

 

ばたり、と二人同時に倒れ込む私とディールちゃん。ディールちゃんは疲労と身体の限界で、私はそれに加えてシェア切れによって女神化を維持出来なくなり、これまた同時に人の姿に戻ってしまう。

そんな中、首だけを動かして魔龍の姿を確認する私。そこには……魔龍が現れた時の状況を逆再生にするかの様に、段々と闇色の靄に戻り、端から霧散していく魔龍がいた。それは--------私達の勝利を、これ以上無いまでに証明していた。

 

「…お疲れ様です、イリゼさん」

「うん…お疲れ様、ディールちゃん」

 

互いに天井を見上げたまま、私達は言う。それから数分、ゆっくりと呼吸を落ち着けて…やっとの思いで、私達は起き上がる。

 

「…最後のアレ、一言言って下さいよ…」

「なら、ディールちゃんも氷柱の事ちゃんと説明してよ…」

「わたしはイリゼさんを信じて敢えて言わなかったんですけど、ね」

「あ、ズルいなぁその言い方…」

 

苦笑いを浮かべる私と、肩を竦めるディールちゃん。その後互いの反応に私達は笑いそうになって…その瞬間身体に走った痛みに呻く。

 

「ま、まずは身体なんとかしなきゃね…治癒魔法、出来そう…?」

「暫くは休まないと厳しいです…だからもう少し、ここで休みましょう…」

「そうだね…」

 

少しでも楽な姿勢を取ろうと、壁際に寄ろうとする私達。

 

 

--------その時だった。女神化すると同時に床に落としておいた本から、輝きを帯びた白い靄が漏れ出したのは。それはまるで…魔龍が現れた、あの時の様に。

 

「……イリゼさん、わたし現実逃避したくなってきました」

「私もだよ。いっそ気付かなかった事にしちゃう?」

「正直、本気でそう出来るものならそうしたいです…」

 

私はバスタードソードを、ディールちゃんは杖を支えに立ち上がる。もう私にもディールちゃんにも殆ど戦う為の力なんて残っていない。……なんの誇張も過小評価もなく、私達は絶望的状況だった。

……が、はっきり言ってそれは要らぬ心配だった。何故なら…

 

 

「--------よくぞ、戦い抜きました。安心して下さい、私は貴女達の敵ではありません。私は失われし女神…失われし魔龍と同様の存在であり、貴女達に真実を伝える為現れた存在です」

 

響いてくる、温かな声。白の靄が形を得た時……そこには、彼女の言葉通り女神の姿を持つ女性が佇んでいた。




今回のパロディ解説

・シャイニィシャリオ
リトルウィッチアカデミアに登場する、シャリオ・デュノールの事。作中で現れた青い魔法陣については、皆さんの想像にお任せします。…考えてない訳じゃないですよ!?

・通常の三倍位速いかもしれない動き
機動戦士ガンダムのメインキャラ、シャア・アズナブル及び彼のオマージュキャラの代名詞のパロディ。かも、なので実際に三倍位速かったかどうかは怪しいのです。
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