超次元ゲイムネプテューヌ Origins Interlude   作:シモツキ

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第二話 特務監査官

遠くに聞こえる工事の音を耳にしながら、書類を手に私は廊下を進む。

守護女神戦争(ハード戦争)が終結し、友好条約を締結し、皆がそれぞれの日常に戻っていった。

守護女神四人は、通常業務…国の長としての内政と外交、そしてモンスター退治が中心の日々となった。一人一人やる気や重視している事は違うけど、守護女神戦争(ハード戦争)集結前と変わった部分を中心にとても大変そうだった。…とはいえ、政治体制のおかげか休みや行動の自由は結構あるみたいだけどね。

女神候補生四人は、姉の補佐をしつつ女神の勉強中らしい。まだまだ大きな仕事を任せられるレベルではないし、学ぶ事の幅が大き過ぎて中々成果を出せていない様だけど、それでも女神としての頭角は表し始めていた。

コンパとアイエフは、それぞれプラネテューヌ教会直属のナースと諜報員になる事となった。試験も資格もすっ飛ばして直属の職に就いたのは少なからず『コネ』が関係しているらしいけど…二人共決して力不足ではない。独自の情報網と真偽を判断する力、それに一人旅で培った技術を持つアイエフは諜報員としても十分通用するし、コンパに至っては『看護学校を飛び級卒業』という偉業を成し遂げていた。実戦程多くのものを学べる場は無い、とは言うけれど…優等生じゃなかったらしいコンパが飛び級卒業をする辺り、元から才能はあったんだと思う。

別次元組の皆は、旅をしているらしい。らしい、というのは連絡もままならないからだけど…それが逆に旅をしているというのは本当だろうと思わせていた。因みに、彼女達に元の次元に戻らなくても大丈夫なのか聞いたら帰って来たのは曖昧な笑みだった。この笑みが何を意味するのかは分からないけれど…何か深い理由がある様に思えた。

教祖の皆さんや旅の途中でお世話になった人達は、皆に比べると変化が少ない様だった。元々旅や戦いが日常じゃなかったのだから、当然と言えば当然だけど。

そして、私は--------

 

「来週視察に回る企業のリストと日程表です、パープルハート様」

 

ノックの後に執務室へ入り、あからさまに嫌そうな表情を浮かべているネプテューヌの手元へ書類を置く。

私は、姿を変えつつあるプラネテューヌ教会で職員の一人として働いていた。正直お金の問題ならそれなりの難度のクエストをすればどうとでもなるし、何なら三食昼寝付きでここに居候する事も出来そうだったけど…共に過ごしてきた皆が仕事する中悠々自適に居候するのは気が引けるし、戦いで生計を立てるというのも女の子らしくないという事で、教会で働く事にしたのだった。

 

「うぅ、視察は昨日行ったじゃん…来週も行かなきゃ駄目…?」

「駄目だから私がこれ持って来たんです」

「そんなぁ……って言うか、なんで最近イリゼは時々敬語になるのさ…」

「え、それは友達に距離を置かれたみたいだからと嫌がるパープルハート様を見る為ですか?」

「まさかのサディスティックな理由!?」

「あはは、なーんてね。立場を利用して日々の反撃をしてるだけだよ」

「そ、そっか…ってやっぱちょっとSっ気のある理由じゃん…」

 

タジタジとした顔になるネプテューヌの様子をニマニマと眺める私。人をからかうのか好きなネプテューヌだけど、案外からかわれる側もイケるのが彼女だったりする。

と、そこで一部始終を苦笑しながら見つめていた少女…ネプギアが口を挟む。

 

「あの、イリゼさん。前から思ってたんですけど、こういった資料はプリントしないでお姉ちゃんの端末に送った方が効率的では?」

「…それはそっちの方が自分も機械に触れる機会が触れるかも、って思惑があったりする?」

「ま、まさか…そんなのちょっとしか思ってませんよ…?」

「ちょっとは思ってるんだ……」

 

冗談半分で言った事が当たってたせいで、逆に私は軽く驚く。少し前に知った事だけど、ネプギアは重度の機械オタクらしい。機械全般が好きなんで珍しい、それこそ普通の女の子らしくない趣味だとは思うけど…女神に普通の女の子らしさを求める事自体が間違っているとよく分かっている私はそれを口にはしない。

 

「…まぁ、いいや。確かにデータを送った方が資源の節約になるしかさばらないけど、複数の資料を一度に見たり見比べたりする時には別々になってる紙媒体の方が楽なんだよ」

「あ、それは確かに…端末だと紙より手間がかかりますもんね」

「それに、ネプテューヌの場合業務用の端末もゲームや面白動画を入れててメモリ不足になってる可能性あるし」

「あー……」

「あーって…そこは想像でもいいから否定してよネプギア…」

 

ネプギアにまでしょうもない子扱いされてしょんぼりしているネプテューヌ。ネプギアは既にネプテューヌの事をよく分かってる様だった。

 

「そう思うなら行動で示したらいいんじゃない?ほらほら、色々教えてる最中なんでしょ?」

「そうだけどさぁ……国のトップが教育係も務めるっておかしくない…?」

「ネプギアは自分の妹でしょうが…ちゃんとやらないと、親権ならぬ姉権を奪うよ?」

「ネプギア、資料はただ見ればいいだけじゃないよ。どこが自分に関係するか、どこが重要かを読みながら考える事が大切だからね」

「え?あ、うん……」

 

180度態度の変わるネプテューヌ。姉としての立場をそんな簡単に奪える訳がないし、そもそも姉権なんてあるのか謎だけど…効果はてきめんの様だった。しかもよく聞くと結構ちゃんとした説明をしている辺り、苦笑を禁じえない。

 

「……何さ、イリゼ」

「…ネプテューヌってもしや、シスコンの気があったりする?」

「まっさかぁ。ノワールじゃないんだからそんな訳ないじゃん」

「え、ノワールシスコンなの?」

「え、ノワールシスコンじゃないの?」

 

顔を見合わせ、目をぱちくりさせる私とネプテューヌ。ノワールってシスコンだっけ?確かにシスコンっぽい面があった気はするけど、それをシスコンだと言ったら家族愛全般が○○コンになっちゃいそうな気もするし……。

 

「…今度ラステイション行く事あったら、ちょっと調べてみよっか」

「そ、そうだね……で、結局ネプテューヌはどうなの?」

「んー…そうだね……」

 

つい先程ネプテューヌは否定していたけど、何となくそれはノワールの件に結び付ける為の言葉な気がした私は再度問いかける。するとネプテューヌは真面目そうな顔になって数秒黙った後、温かな笑みを浮かべる。

 

「…好きかどうかで言えば、勿論好きだよ?だってさ、こんなに優しくて素直な子なんてそうそういないもん。それこそ、ネプギアは姉であるわたしが色んな意味で軽く嫉妬しかねない程良い妹だよ」

「お姉ちゃん……」

「それに、わたし達女神は個人としてのおかーさんやおとーさんっていないじゃん?だから、嬉しいんだ。わたしにとっての『家族』が出来た事がね。……あ、勿論血縁とか戸籍の上での家族以外は家族と言わないなんて考えではないよ?」

 

にっこりとした笑みで、ネプテューヌは妹が好きだと言い切った。

こういうのが、ネプテューヌの良い所だと思う。ネプテューヌはいつでも素直で、飾り気が一切ない。誰にも、何にも真っ直ぐ本心を伝えるからこそ、ネプテューヌの言葉には聞く人の心に響くのだった。そんなネプテューヌだからこそ、私はネプテューヌを……

 

「……って、どんな思考の跳躍をしてんねん!」

「い、イリゼ……?」

「ど、どうかしましたか…?」

「……あ」

 

驚きテンパったせいで自分への謎の突っ込みをしてしまう私。自分でも分かる程の奇行に当然ネプ姉妹は心配し、私の顔を覗き込んでくる。姉妹揃って瞳に心配の色を浮かべ、恐らく期せずして左右対象に小首を傾げている二人の様子は何とも愛くるしかったけど…二重に恥ずかしくなっている私はそれどころではない。

 

「…もしやイリゼ、いつものアレ?」

「うっ……は、はい…そうです…」

「……アレ?」

「あ、ネプギアは知らないんだっけ?たまにあるんだよね、こうやってイリゼが唐突に脈絡無い事言うの」

「そうなんだ…大変ですね、イリゼさんも…」

「その同情はむしろ余計辛いから止めて……」

 

何ともまぁいたたまれない気分になってしまう私。こんな時こそ空気の破壊者(シリアスブレイカー)ことネプテューヌにボケの一つでもかましてほしかったけど…こんな時に限ってネプテューヌは私とネプギアのやり取りを苦笑しながら見守っている。

 

「イリゼってさ、しっかりしてる様でしっかりしてないよね。詰めが甘い、とかじゃなくてそもそもレベルで」

「しっかりしてない様で本当にしっかりしてないネプテューヌには言われたくないよ…」

「精神的な余裕が無くなると酷い事言いがちになるのも変わんないよね」

「…よく分かっていらっしゃる様で」

「そりゃそうだよ。何でもは知らないけどわたしの知ってる事は知ってるねぷねぷだもん」

「うわ、それを某学級委員長以外で言ってる人初めて見た…」

 

自分とは間逆なキャラのパロディをするもんだから、違和感が半端無いネプテューヌ。そんな彼女に私は呆れた後……自分が落ち着きつつある事に気付く。……まさか、どっかのタイミングでネプテューヌは私の意思を汲み取って……?

 

「……ネプギアは、良いお姉ちゃんを持ったね」

「…はい、お姉ちゃんはわたしの憧れのお姉ちゃんです」

 

ネプギアの肩に手を置く私と、私の言葉を受けて微笑むネプギア。それを見たネプテューヌはちょっと照れながらも、本当に嬉しそうな笑顔を見せていた。

 

 

 

 

「イストワールさん、失礼しますね」

 

ネプテューヌ達と雑談をしてから数刻後。今日の仕事を終わらせた私はイストワールさんの執務室へ出向いていた。理由は簡単。先程イストワールさんに仕事が終わったら会いに来てほしいと頼まれたからだった。

 

「あ、わざわざご足労ありがとうございます。ほんとはわたしからイリゼさんのお部屋に行きたかったのですが、ご覧の通りですので…(~_~;)」

 

書類の山から顔を出すイストワールさん。この様な構図になっている一番の理由はイストワールさんがちっこいからだけど、それを抜きにしても結構な量の書類だった。

 

「大丈夫ですよ、わざわざと言う程の事でもないですし。…やっぱり、これはネプテューヌが仕事しないからですか?」

「その通りです。それに今はネプギアさんの教育に時間を割かれていますから、余計仕事が溜まっちゃうんですよ…(。-∀-)」

「…お仕事、手伝いましょうか?」

「あぁいえいえ。というか、それだと困ると言いますか…(´ー`)」

 

周りの書類を整理し、本に乗って私の前へと出てくるイストワールさん。「それだと困る、とは?」と私が訊く前に彼女は続ける。

 

「…イリゼさん、最近お仕事はどうですか?(・・?)」

「え?……そうですね…楽しい、とちょっと変ですけど…良い職場に就職出来たと思います」

「それは良かったです。…でも、ほんとに一般職員で良かったんですか?イリゼさんが望むのならどこかの部署の部長でも、それこそ再編中の国防軍の総司令辺りでもわたしとネプテューヌさんはOKを出しますし、民間企業もかなりの高待遇で迎え入れてくれると思いますよ?( ̄▽ ̄)」

 

そう、それは私が職員となる前から分かっていた事。私の予想以上に私の人気は高いらしく、ネプテューヌ達女神と同じ様に扱う人も多少だけど居た。でも、私は上級職に就く事はしなかった。それは……

 

「…私を高く評価している人の多くは、私の極一部しか知らない人です。それに、私はネプテューヌ達と違って最前線で戦う守護者としてしか実力を発揮してません。ある意味で正当じゃない評価を使って高い位の仕事に就くのは、出来ればしたくなかったんです」

 

イストワールさんの目を見据えて、はっきりと私は意思を口にする。彼女に対しては我ながら中々しっかりした事を言った気がするし、別に嘘を吐いた訳ではないけど…最たる理由は他にある。

評価してくれるのは嬉しいし、崇め奉られたら悪い気はしないけど、それよりも私は私を見てほしい。それが真の理由だった。過去が無く、原初の女神の複製体…原初の女神の『代わり』として産み出された私にとっては、私自身を見てくれる事が一番嬉しい事だから。

 

「…イリゼさん、やっぱり貴女はイリゼ様とは少し違う様ですね。…でも、わたしはイリゼさんを素敵だと思います」

「イストワールさんにそう言ってもらえるなら、光栄ですよ」

「ふふっ。--------では、本題に入りましょうか。イリゼさん、貴女に頼みたい事があるんです(・ω・)」

「頼みたい事…ですか?」

 

今度はイストワールさんが私の目を見据えてくる。その様子だけで頼みたい事というのが真剣な、重要な事だと理解した私は茶化したりふざけたりせず(元々そんなふざけるタイプではないけど)話を聞こうと心に決める。

そして、イストワールさんは頼み事を口にする。

 

「イリゼさん、貴女には…特務監査官を引き受けてほしいんです」

 

特務監査官。その言葉を聞いた時、私は取り敢えずそれに対する疑問を抱く。言葉の意味は分かる、きっと文字通り特務の監査官だろうから。でも、逆に言えばそれ位しか伝わってこない。なので私は一先ず……ボケる事にした。

 

「……火星支部に向かえという事ですか?」

「いつからイリゼさんはギャラルホルン所属になったんですか…(−_−;)」

 

あまりにも予想外だったからか、本の上で軽くコケるイストワールさん。これぞねぷ子さん一行メンバーの秘技、『よく分からなかったら取り敢えずボケる』だ!一旦ボケておくと雰囲気が緩くなり、相手が仕方ないなぁと説明してくれるのである!

…まぁ、さっきまでの真面目な様子はどうしたんだとか、ふざけたりしないと決めたのはどこのどいつだとか、そもそも二人の間柄なら普通に訊けば答えてくれるだろとか、色々突っ込まれそうな気はするけど、そんなのは気にしない。言ってしまった以上後戻りは出来ないし。

 

「あはははは…特務監査官というと、やはりプラネテューヌのですか?」

「……いえ、四ヶ国全体のです(-_-)」

 

今度は真面目に問いかける私。返答に若干間があった事と絵文字から感情がよく読めない辺り、ボケを重ねていたら怒られていたかもしれない。

 

「え、と…順を追っての説明、お願い出来ますか?」

「それは勿論。友好条約が結ばれ、共和の道を歩み始めた四ヶ国ですが…ネプテューヌさん達守護女神が仲良く出来たからと言って、四ヶ国が同じ様に仲良く出来るとは限らない…というのは分かりますよね?(´・ω・`)」

 

こくり、と私は首を縦に振る事で肯定を示す。殺し合いをしていた関係で、それぞれ国を背負っているとはいえ、ネプテューヌ達がそれぞれ個人として仲良くなるのは難しい事じゃない。けど、国同士となると話は違う。関わる人数が大きく変わるという点だけでなく、経済やら軍事やら何やらで複雑な状態になっている国と国が手を結ぶのは、結局は自己という単純なものに帰結する個人と個人が手を結ぶのとは難易度が全く別なのだから。

 

「再び女神や国が争う事にならない様、予め監視を作っておく必要がある…って訳ですね?」

「そういう事です。縛りのない平和の先に待つのは無法地帯ですから( ̄^ ̄)」

 

イストワールさんの言った事は悲しいけど、それが事実だった。どんな人間だって悪意を抱く事はあるし、欲の無い人間はいない。人々の理想として生まれた女神ですらそう…というかその女神が少々欲望に忠実過ぎるのだから、もう人のそういう部分はあるものとして認めるしかない。大事なのは人の在り様に失望する事じゃなくて、女神を含めた在り様を認めた上でどういていくかだからね。

 

「それは分かりました。…でも、どうして私なんですか?確か監査部自体は各国ともありますよね?」

「ありますよ?ただ、分かっての通り教会に勤める人というのはほぼ全員が女神の信仰者ですから、きちんと監査が機能するか怪しいものなんです。そういう時ストッパーとなるのが教祖の役目の一つではありますが…わたし含めて、教祖は自分の国の女神に真剣に頼まれたら断れませんからね(^_^;)」

 

そういうイストワールさんの顔は、少しだけ苦笑いを浮かべていた。なんだかんだ言っても、自分はネプテューヌを信じているのだ…という事を暗に認める台詞だからだろうけど、同時に彼女は苦笑いでは済ませられない事も口にしていた。女神が正しい方向に動いていたのならその正しい事が速やかに行われるけど、もし女神が間違った方向に動いてしまったら、或いは正しくても暴走してしまっていたら、それを教会と国民が止める事が難しい…良くも悪くも女神が軸というのがゲイムギョウ界の政治体制なのだとイストワールさんは語っていたのだった。

更に、イストワールさんは続ける。

 

「イリゼさんは守護女神全員と友人であり、皆さんと同格である事はパーティー内でなく世間として認められている事です。そして、イリゼさんは女神の職務について理解があり、皆さんの隣で戦い続けてきただけに物理的にも精神的にもある程度踏み込む事が出来るとわたしは…いえ、教祖全員が思っています。…この任に、最も適しているのがイリゼさんなんですよ( ̄∇ ̄)」

 

最も適している。それは私自身そうだろうなと思った。私は皆を同い年の友達の様に思っているし、半端な信者よりよっぽど皆の事を知っていると自負している。それに…もし戦う羽目になったとしても、逃げる事程度は出来る位皆の特徴や傾向も分かっている。……戦う羽目になるのは御免だけど。

 

「…じゃあ、私は独自に皆に探りを入れれば良いんですか?イストワールさんの指示で動いたらただのスパイですし」

「その通りですが、あまり堅苦しく考えなくて良いですよ?各国に出向いて、国と教会をイリゼさんなりの価値観で見て、あくまで友人としての会話の延長線上で女神の動向を聞いてくれれば良いだけですから。流石に不味い事を隠していた場合は他国に教えてほしいですが、何もなければそのままイリゼさんの心の中にしまってしまうのも構いません( ̄∀ ̄)」

 

正直、職務の名前の割に緩いなぁ…と思った。今の説明の通りなら、他国の侵略を考えている女神の誰かに加担して、それを隠蔽しつつ他国の情報を横流しする事も出来るのだから。そして、イストワールさんはそれを想定出来ない様な馬鹿ではない。だとすればそれは即ち、この任は万が一の場合の備えであって基本的には守護女神全員を信用しているという事だろうけど、それと同時に……

 

「……私を信じてくれているんですね」

「勿論ですよ。わたしにとってイリゼさんは、姉妹の様なものですからね。それに…イリゼさんを信じているのはわたしだけでなくて、教祖の全員です」

 

それは、とても嬉しい言葉だった。だから、私はイストワールさんの…教祖の皆さん全員の期待に、応えたいと思った。

 

「…もし、嫌なら断ってくれても良いですよ。どんな形、どんな理由であれ友人に探りを入れるというのは気分の良いものではない--------」

「いいえ、嫌だなんて事はないです。そのお仕事、お受けしますよ。…私を信じてくれる人の、姉妹だと思ってくれる人の頼み事なら、断る理由はありませんから」

「…やっぱり、イリゼさんに頼んで正解でした。でも、無理はしないで下さいね?わたしも、皆さんには仲良しでいてほしいですから」

「心配ご無用ですよ。私達の友情は、そんなに脆いものじゃないですから。……任せて下さい、イストワールさん」

 

素直な気持ちで笑顔を浮かべる私。それを見たイストワールさんは安心した様な様子を見せ…私と同じ様に笑顔を浮かべる。

そして私はその日、女神からも教祖からも独立した存在、『特務監査官』となり、私なりの形で各国を回る事となったのだった。




今回のパロディ解説

・某学級委員長
化物語シリーズのヒロインの一人、羽川翼の事。やはり例の台詞は、彼女が『なんでも知ってるな』と言われて初めて生きるものだと書いてて思いました。

・ギャラルホルン
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズに登場する組織の事。パロったからといってイリゼが監査先で戦闘する事になったり敵の追撃をする事になったりは多分しません。
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