超次元ゲイムネプテューヌ Origins Interlude   作:シモツキ

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第十一話 ラステイション、洞窟調査編

「うぅ、む……」

 

ラステイションの女神姉妹の少々困った一面を知ってから数日後。教会の一角、私の借りている部屋の中で私はお財布と睨めっこしていた。

 

「…やっぱ気分悪いなぁ……」

 

別段金欠になってしまった訳ではない。予め多めに用意しておいたから多少消費した今でも突然ぐるナイのゴチに呼ばれて、しかもそこで最下位になってしまっても何とかなる位には持っている。更に言えば特務監査官としての仕事もしてるから、このままちょいちょい消費していても何の問題もない。

けど…前の、旅をしてた頃の資金繰り(?)が板に付いちゃってるんだろうね。旅をしてた頃は減ってきたらクエストで即補充、プラネテューヌ教会職員の時は必要な物、欲しいものが割と自分でお金出さなくても何とかなっていたからとにかくただ減っていくだけというのが慣れないんだよ。

 

「……って、私は誰に説明してるんだろう…」

 

大分前から誰に言う訳でもない説明をよくしていた気もするけど…まぁそれは不可抗力だよね。作風というか癖というか…そんな感じなんだよ、きっと。

 

「…ま、そうなるとやる事は一つだよね」

 

お財布をしまい、クエストを行う為に立ち上がる私。貯金を下ろせばすぐにお財布が厚くなるし、料理大会の賞金もあるから正直行く必要も無いんだけど…どうせやる事ないし、剣技や身体能力を落とさない様にする為にもクエストは丁度良いからね。

そんな訳でギルドへと向かう私。程々に高難度なクエストあるといいなぁ…。

 

 

 

 

ギルドは基本的に普通の人間を基準にしてクエストを用意(請け負い)をしている。まぁそりゃそうだよね。類は友を呼ぶなのか私の周りには多いけど、世間一般から考えれば私や別次元組の皆は滅多にいない様な人外クラスなんだから。

でも、時には普通の人にはどう考えても達成不能な依頼が来る事もある。そんな時はギルドから更に教会(つまり女神に)送られるから、合法な限りギルドが門前払いする事はまずない。

けどそうなるとつまり、人外クラスには丁度良いと思えるクエストが自然と少なくなってしまう。……今の私が、そのいい例だ。

 

「鉱石採掘…こんなの採掘業者に頼めば……ってあぁいや、あくまで個人経営で必要な分だけなのか…なら業者に頼んだら料金も鉱石の量も過剰になっちゃうよね…」

 

少し不可解だったクエスト内容に理由を発見した私は一人納得する。それなりの難度のクエストを複数受けてもいいけど…移動やら準備やらで効率悪いんだよね。あー、こんな事ならノワールかケイさんにでも話してクエストあるかどうか聞けばよかったかも…。

 

「さーて行くか、お前は駆け出しなんだから俺の指示をしっかり聞けよ?」

「はいっす!宜しくお願いしますっす!」

 

何やらちょっとした風格を持った、大きめの片手剣使いと新人感が否めない普通の片手剣使いが揃ってギルドを出ていく。……そうだ。

 

「すいません、参加者待ちのクエストってありますか?」

 

ギルドの受付に声をかける私。特に何も考えず誰も受注していないクエストの中から選ぼうとしていたけど、何もその中から選ばなきゃいけない理由はない。参加者待ちで且つ丁度良さそうなのがあれば、そっちを選んだ方がいいに決まってるよね。…初対面の人と意思疎通しなきゃいけなくはあるけど。

 

「そうですね……あら、これって…」

「……?」

 

確認の最中、受付の女性は何かに気付いた様な声をあげる。一瞬私に驚いたのかな…と思ったけど違う。少なくとも受付という不特定多数の人と接する係に人を『これ』扱いする様な人材を採用する訳がない。

なら何だろう……と思って私が小首を傾げていると、女性は一つのクエストを私に掲示してくれた。

 

 

 

 

「いやぁ、こんな偶然があるとはね」

「ぷち奇跡だにゅ。……ぷち子じゃないにゅ、ブロッコリーだにゅ」

「いや誰も言ってないから…強いて言えばブロッコリー自身が言ったんじゃん…」

 

ラステイションの郊外を歩く私達三人。具体的なメンバーは、私とサイバーコネクトツーとブロッコリー。

なんと、受付の女性が私に提示してくれた参加者待ちクエストとは、この二人が受注したものだった。ほんと二人の言う通り、奇跡的な偶然だよね。

 

「しかしイリゼさんがラステイションに来ていたとは知らなかったよ、お仕事?」

「ま、ね。二人は?」

「ブロッコリーは美味しいステーキ店探しに来ていたんだにゅ」

「わたしは探検…ってとこかな。このクエスト受けたのもその一環だし」

 

雑談混じりに私達は目的地へと向かう。ステーキ店探しがどうしてクエストに…とも思ったけど、それは恐らくステーキ店回りの為の資金稼ぎかお腹を空かせる為。……体格的にはステーキ一枚どころか半分でお腹いっぱいになりそうだけどさ。

そんな感じの雑談をする事数分。会話が途切れた辺りを見計らって、私はクエストに関する話題を切り出す。

 

「…未開地の調査クエストって珍しいものだよね?」

「それはそうだにゅ、これだけの文明を築いておきながら未開地ばかりだったら違和感ばりばりだにゅ」

「今回のは多分……あの戦いの影響で新たに出来た洞窟なんだろうね」

 

あの戦いとは、勿論マジェコンヌとの最終決戦。結果として大規模な被害は出なかったけど…それでも、あの時起こった事は天変地異に他ならない。私達が受けた調査クエストというのは、それによって出来た(というか入り口が出来た事で岩山ではないと分かった)洞窟の調査。……未開の地調査は、そりゃ一般人は受けないし私達人外クラスでも出来るだけ戦力を用意したくなるよね。

 

「…これで超弩級のモンスターと遭遇しちゃったらどうする?」

「『それはそれで面白そうじゃない?』って後に続けそうな表情で言わないでよサイバーコネクトツー…」

「もしそうなったら逃げるにゅ、ブロッコリーは女神と違って戦闘狂じゃないにゅ」

「あはは…でも勝てそうなら勝ちたい、強い相手だからこそ勝ちたい、って思うのは変かな?」

「同感だけど、普通の人は超弩級モンスターに対してそんな心境にはなれないだろうね」

 

私はどちらかというとサイバーコネクトツーの意見に否定的だけど…気持ちは分かる。勝ちたいという気持ちがあるからスポーツにもゲームにも『勝負』という概念がある訳だし、個人差はあるだろうけど…勝ちを嫌がる人なんていない(勝つ事で何かを失うとかじゃない限りはね)。それに……何よりも私は女神だからね。

ただまぁ…その超弩級というのが逃げるのもままならないレベルだったら、流石に御免被るけど。

そして……私達は件の洞窟へと到着する。

 

「どうやらここみたいだにゅ」

『…入り口狭っ』

 

私達が到着したのは、洞窟……というにはあまりにも入り口の狭い穴だった。洞窟っていうか…洞穴?

 

「…ほんとにここなの?」

「だと思うよ。発見者さんは中に入ってみたら意外と広かったって言ってたらしいし」

「もし大陸同士がもっと強く激突してたら、ここの穴ももっと大きくなっていたかもしれないにゅ」

 

支給されていた懐中電灯を持って順番に入る私達。私は半信半疑だったけど…発見者さんの談の通り、入って少しした所で洞窟は一気に広くなり、私達三人が並んで歩けるレベルとなった。

 

「うぅん…想定はしていたけど、暗いし埃っぽいね…」

「鼻がむずむずするにゅ…」

「私もー……」

 

なんて愚痴を零しながら私達は進む。それまで外界と完全に遮断されてたからか、モンスターや害のある生物とは遭遇していないけど…とにかく環境が悪い。そして暗くてちょっと怖い。

 

「…こういう時は景気付けにゅ、何かないかにゅ?」

「そう言われても…イリゼさん、元気が出る話とかある?」

「げ、元気が出る話?んーと…短いのでもいい?」

「構わないにゅ」

「そう?ではでは…こほん」

 

突然且つ大雑把…所謂無茶振りをされる私。こんな事言われたってまともな話思い付かないけど……このお題なら、一つだけ出来る。完全な創作(あり得ない話じゃないけどね)だけど、ちょっと小粋な小話なら、ある!

 

「……昔々あるところに、元気君がいました。…なんちゃって」

『…………はい?』

「え?」

『……あー…』

「え……えぇっ!?なにその反応!?」

 

二人の反応は…ご覧の通りだった。…酷い、酷過ぎる!

 

「イリゼのネタがかにゅ?」

「二人がだよ!?振っといてなに『うわ、ないわー』みたいな反応してるの!?」

「そりゃ、振ったのはわたしだけど……うん、何かごめんね…」

「それを言うならブロッコリーもだにゅ、こんな事になるとは思わなかったにゅ…」

「……先、進もうか…」

「だからなにその反応!?反連邦組織のエースが如く修正するよ!?」

「修正されるべきはイリゼの滑りネタだにゅ」

「ストレートに滑ったなんて言わないで!?」

 

最後に恐るべき毒を吐かれて大ダメージの私。そんな私を差し置いて二人は先へ進んでしまう。うぅ、血も涙もないのか君達はっ!

……まぁ、はぐれるのは不味いからそれはそれとして、の心境の元すぐ二人に合流するんだけど。

 

「結果はどうあれ、ちょっと面白かったね」

「ネタが?私のネタが?」

「そんな純真そうな表情で言わないで…真実を伝えるのが辛くなるよ…」

「その発言が既に真実伝えてる上に私にとって辛いよ…分かってたけど…」

「それはともかく、景気付け再開だにゅ」

 

ブロッコリーがそう言った瞬間、ちらりと彼女とサイバーコネクトツーが私の方を見る…けど、当然私は断固拒否。あんな仕打ちを受けてもまだ景気付けしようとする様なマゾヒストじゃないからね。…次は滑りネタすら思い浮かばない可能性もあるし。

二人もそれは分かっていた様子で、互いに目を合わせた後少考。数秒の沈黙の末、思い思いの景気付け…というネタを口にする。

 

「…えーと、今日一日あった事の話とかどうにゅ?」

「まだ一日振り返る様な段階じゃない気が…」

「こういう時の定番と言えば…恋バナ?」

「ど、洞窟調査中の定番なんてあるの?」

「……これはブロッコリーの友達が体験した話にゅ。友達は夜学校に忘れ物を取りに行ったんだにゅ…」

「唐突!何故にいきなり怪談話に入ったの!?確かに暗いけど!」

「……ま、まだ起きてる人いるー…?」

「この状況で寝る人がいるか!っていうかもう二人は修学旅行に行ってくればいいんじゃないかなぁ!?」

 

洞窟に私の突っ込みが反響する位の声で叫ぶ。これじゃ景気付けじゃなくてただのトリオ漫才だ。或いは、普段の私達だ。……あれ、じゃあ別に何にもおかしくないじゃん。強いて言えばおかしいのは私達の頭じゃん。

 

「まぁまぁ、景気付けにはなったでしょ?」

「テンションは確かに上がったね、無駄に疲れたけど…」

「お疲れ様にゅ、ブロッコリー達も気分転換にはなったにゅ」

 

いまいち納得は出来ないけど、一応目的達成という事で満足する事にした私達。私としても文句を言ったところで納得出来そうもないから泣き寝入り。…ちょっと面白かったしいいよ、うん。

 

「大分…って程じゃないけど歩いたね、そろそろ何かあるかも…」

「第二のイリゼさんとか?」

「いたら正直かなり微妙な気持ちになるよ…」

 

第二のイリゼ…というのは正しくは私の事だから、もしいるなら第三の私、私の妹に当たりそうな人だけど……あんなに私を信用し信頼してくれたもう一人の私が更なる『保険』を用意していたなんて事になったらそれは流石に喜べない。失望されたのかという思いのまま第三のイリゼになんて会えない。

…と、私が少しばかり感傷的な気分になっていると、急に洞窟が横にも縦にも広がって(勿論洞窟が変化したんじゃなくて私達が形状の違う場所に出たって意味だよ?)ドーム状となる。

 

「…何か行き止まりっぽい所だね」

「その様だよイリゼさん。懐中電灯だけじゃ確証までは持てないけど、他の通路らしきものは見えないし」

「……?何かあるにゅ」

 

私とサイバーコネクトツーが壁や天井に懐中電灯の光を当てていると、何かに気付いたブロッコリーが駆けていく。何だろうと思ってその先に光を当ててみると…そこには岩の様な、結晶の様なよく分からない物体の姿。

 

「鉄鉱石か何かかな?」

「…鉄鉱石ってあんなぽつんとあるものだっけ?」

「……わたし段々嫌な予感がしてきたよ」

「これはサイバーコネクトツーのアレがフラグになっちゃったのかもね…」

「あー…二人の予想は多分大正解だにゅ…」

 

不味いかもなぁ…と思いながら会話をしているところにブロッコリーの声が飛んでくる。その発言内容と声音から私達は察する。…ま、こんな奇妙な所にあるものなんて……

 

「■■■■ー!」

『モンスターですよねー……(にゅ)…』

 

ぐらり、と鉱物状の物体が揺れたかと思ったのもつかの間、鉱物が本来の姿を……人を模したかの様な姿へと変貌する。それは私が今までにも何度か戦った事のある、ゴーレム型モンスター…だけど、そのサイズは私の知るものより一回り、場合によっては二回り近く大きい。

 

「こんな所に、こんなモンスターがいるなんて意外だにゅ…」

「普通の食性を持たないモンスターだからこそここで生きていたんだろうね…」

「じゃあ、大きいのもその関係かな…?」

 

私の言葉にサイバーコネクトツーは頷き、二人は殆ど同時に武器を構えた。それを見て、なのかモンスターも私達に正対し、今にも襲いかからんとする様子を見せる。

戦闘前の緊張は一瞬。先に動いたのは私達だった。

 

「寝起きの様だし一気に叩くよッ!」

 

バスタードソードを片手で構えて突撃。サイバーコネクトツーとブロッコリーは私に合わせる形で左右に分かれる。

この系統のモンスターは硬いから普通の攻撃一発で倒すのは困難だけど…鉱物である事が災いして運動性や小回りはお世辞にも高いとは言えない。だから素早い連携をぶつければ、多少大きくとも……

 

「……ーーっ!?」

『イリゼ(さん)ッ!?』

 

突然姿を消した私に驚愕の声を上げる二人。私も一瞬自身の身に何が起きたのか分からず動揺し、それが分かった時には額に冷や汗が流れるのを感じた。

伏兵がいただとか、落とし穴があっただとかじゃない。ただ、私は足元の石につまづいて転んだだけ。その拍子に擦り傷が出来ちゃったけど…何ら問題はない。……コケた怪我自体は、なんて事ない。

 

「やっぱり、これはこっちが大いに不利だね…」

「足元だけじゃないにゅ、壁も気を付けないとぶち当たる可能性あるにゅ」

「頼りがこの懐中電灯だけじゃまともに戦えない…!」

 

と、私が毒吐いたところにモンスターが接近し、右腕部で殴りかかってくる。それをバスタードソードの腹で滑らせ逸らし、お返しとばかりに刺突を行うもモンスターの硬い身体の前では軽く傷を付けるだけに留まってしまう。

地面を蹴って後退する私。何か案はないか話し合おうと二人に視線をやった時、何やらサイバーコネクトツーがごそごそと棒状のものを取り出し始めた。

 

「……それは?」

「もしもの備えだよ。二人の内、どちらか素早く火を点けられたりする?」

「私はちょっと……」

「ブロッコリーは出来るにゅ、これでもまぁまぁ魔法を使えるんだにゅ」

「そうだったね。じゃあ…わたしとイリゼさんがこれを設置するから、点火お願い出来る?」

 

そう言ってサイバーコネクトツーが私に手渡してきたのは…木の棒。……否、松明。それを見て私もブロッコリーも瞬時に理解する。

改めて動き出す私達。私とサイバーコネクトツーは両端に別れ、懐中電灯で地面と壁を照らしながら素早く松明を小穴や岩と岩の間に差し込んでいく。

その間にブロッコリーはモンスターと相対。ゲマを振り回したり魔法を放ったりと、出来る限りその場から動かない様にしながらモンスターの注意を引く。

 

「■■ーー!」

「大きいだけあって頑丈さもひとしおにゅ…!」

「分かってる!もう少しだけ時間稼いで!」

「後少し……サイバーコネクトツー!こっちは終わったよ!」

「こっちもだよ!」

「なら…二人共、姿勢を低くするにゅ!」

 

ブロッコリーの声が聞こえると同時にしゃがみ込む私とサイバーコネクトツー。それを確認したブロッコリーは自身の目の前に火柱を作り上げ……それをゲマで引っ叩く。

中々に意外な行動に私達は目を瞬かせる……が、引っ叩かれた部分から火が飛んで松明に燃え移るのを見て、それが火を拡散させる為の手段なのだと納得する。流石に精度は甘かったのか火が燃え移らなかった松明もちらほらとあったけど……

 

「…これだけ明るいなら、もう転ぶ心配はないね」

「それに懐中電灯の必要もない。これで両手にダガーを持てるよ」

「ゲマがちょっと黒ずんでしまったにゅ…」

 

無茶苦茶もいいところの、3以降のハンターさんに羨ましがられたりがられなかったりしそうな手段ではあるけれど、明るくなったのは事実。これなら普段通り戦える…と息巻く私達。

 

「それじゃあ改めて、行くよッ!」

 

まずは私が先制。弾かれたところでサイバーコネクトツーが追撃を仕掛け、反撃に出ようとしたモンスターをブロッコリーが妨害。そこへ今度は私とサイバーコネクトツーが同時に仕掛け、少しずつモンスターの身体を削っていく。

大きくなってもやはり鉱物系…いや、大きいからこそ余計に素早い対象への対応が遅れて、一方的に殴られる形となる。

 

「■■…■■■■ー!!」

「っとと…大きいのがくるよ!」

「それは、私に任せてッ!」

 

連続攻撃に耐えかねたモンスターは両腕を広げ、人には出来ない同じ方向への回転を何度も繰り返して私達を引き剥がす。更にそこから両腕を前に掲げ、私達へ向かって衝撃波を放とうとするも……事前にそれを察知した私はモンスターの頭部(と思われる場所)にバスタードソードを投擲。それなりの重さを持つ剣の直撃を受けたモンスターは僅かに腕がぶれ、衝撃波は私達の近くの地面へ当たってしまう。

自分へと飛んでくる事はないと信じて疑わなかったサイバーコネクトツーとブロッコリーは、モンスターへと向かって跳躍していた。一瞬とはいえ溜めの必要な技を放ったばかりのモンスターに、その強襲に対応する術は……無い。

 

「もらったぁぁぁぁぁぁッ!」

「これで、終わりにゅッ!」

 

空中から重量を伴ったサイバーコネクトツーのダガーは、モンスターの身体に深々と刺さる。そしてそれへと振り下ろされたブロッコリーのゲマは、槌の様にダガーを押し込み、ゲマ自身との二重のダメージをモンスターへ叩き込む。

二人の連携を受けたモンスターは石と石をぶつけ合わせた様な音を立て、数秒硬直した末に消滅する。

 

「ふぅ…これで一件落着だね」

「これぞ冒険の最後、って感じだったね。松明持ってきてよかった…」

「後はこの結果を報告すれば終了にゅ〜」

 

小穴や隙間に差し込んだ松明を回収し、火を消して私達は帰還の用意を行う。専門的な知識も装備もない私達が受注出来た事からも分かる通り、調査と言っても地質を調べたり正確な地図を作ったりするのが目的ではない。そういうのはそれこそ専門家のお仕事であって、私達の請け負った調査とは未開地の安全確認や可能な範囲での危険の排除……まぁ、安全な調査の為の前準備ってところなんだよね。

 

「ちょっとばかりハードだったけど…私達にかかればどうって事ないよね」

「珍しくイリゼが調子乗ってるにゅ」

「私だってたまには乗るよ、勝利で気分が良い最中だしね」

「慢心はいけないけど、自信を持てないのも不味いもんね。……うん?」

 

私は武器回収の後身体に付いた砂利を、ブロッコリーは黒ずんだゲマをはたいている中、今度はサイバーコネクトツーが何かに気付いた様な声を上げる。……え、まさかまたモンスターじゃないだろうね…?

 

「どうしたのかにゅ?」

「いや……ここってさ、最初来た時地面が濡れてたっけ…?」

「そんな事は…って何か割れる様な音が聞こえるにゅ……」

「確かに…この音は何か下から……って、まさか…」

 

私が音源を探して地面に懐中電灯の光を当てていると、小さな水溜まりを発見した。どうやら地面が濡れているのはこれが原因らしいけど…よく見たらこの水溜まり、下からどんどん水が出てきている。そして、この水溜まりがある場所は、私の記憶が正しければ…モンスターが、衝撃波をぶつけた場所だ。

 

「さ、さっさと出る事を提案するにゅ」

「そ、そうだね。急いで帰ろうか」

「う、うん。よーし私走って--------」

 

冷や汗だらだらで元来た道へと足を向ける私達。だが、現実は甘くないのかノリが良いのか、私達が足を向けた瞬間に……地面の岩盤が大きく割れ、そこから一気に水が溢れ出す。

噴水の様に吹き出た水は天井へとぶつかり、みるみるうちに洞窟へと水が溜まっていく。そして……

 

『こうなるよねぇぇぇぇぇぇぇぇ(にゅ)っ!!』

 

私達は押し寄せる水流に追いつかれ、ぶっ壊れたウォータースライダー宜しく物凄い速度で押し流される。もうほんとに洒落にならない。ここまでの事態、皆との旅の最中だってそうそうなかった。

出入り口付近まで流されて、やっと身動きを取れる様になった私達。その時私達は……言うまでもなく、ずぶ濡れだった。

 

 

こうしてクエストを終えた私達。その私達が街中に戻ってから奇異の目で見られたのも……言うまでもないよねぇ…。




今回のパロディ解説

・ぐるナイのゴチ
バラエティ番組、ぐるぐるナインティナイン内のコーナーの一つのパロディ。一体イリゼはどんな想定をしているのでしょう、普通ぐるナイに呼ばれる想定なんてしますか?

・反連邦組織のエースが如く修正
機動戦士Zガンダム主人公、カミーユ・ビダン及び彼の名台詞の一つのパロディ。流石にイリゼも二人に殴りかかったりはしません。そもそもそこまでの事じゃないですし。

・3以降のハンターさん
モンスターハンターシリーズの事。作品によって松明があったり無かったり、必需品だったりそうじゃなかったり…まぁ、リアルさ云々ならあった方が良いかもですね。
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