超次元ゲイムネプテューヌ Origins Interlude   作:シモツキ

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第十二話 ラステイション、服装大変身編

ラステイションに来てからそれなりの日数が経ち、そろそろ次に向かう方が良いかな…なんて思い始めたある日。

 

「イリゼ、お願いがあるの。私と一緒に……ケイとシアンを女の子にして頂戴」

 

ノワールが、大変訳の分からない事を言い出した。比較的真面目でまともなノワールが急にこんな事を言い出すとは思いもよらなかった。理由はどうあれ、イメージダウンに繋がりかねないよノワール…。

 

「うん分かった。じゃあちょっとそこに座っててノワール」

「え?なんでよ?」

「体温計持ってくるんだよ、女神が病気になるか怪しいけど」

「いや、私体調悪い訳じゃないんだけど…さっきの言葉は熱か何かのせいで言ったと思ったの?」

 

どうやら熱か何かのせいで言った訳じゃないらしい。……余計に意味が分からない。もう既に言葉からしておかしいのに、それをノワールが正気で言ってるんだから本当に意味が分からない。

とはいえ決して頭脳明晰とかじゃない私がこのまま思考を巡らせても答えに辿り着けそうにないので、素直に聞いていく事とする。

 

「えーと…確認するね。ケイさんとシアンを女の子にしたいと?」

「そうよ、私はそう言ったわ」

「……襲えと?私とノワールで二人を堕としたいと?」

「そうそういう……違うわよ!?なんでそんな事になるのよ!?」

「ノワールの言い回しのせいだよ!?超高確率で変な意味に捉えられる様な言い方したノワールのせいだからね!?」

 

互いに若干顔を赤くしながら言い合う私とノワール。……実のところもしかすると変な意味じゃないのかも…とも思っていたから、変な意味である可能性を追求したのは明らかに私の判断ミスだった。一番の判断ミスは、勿論ノワールの言葉選びだけど。

 

「うぅ、私の言い回しが変だって思ったのならすぐ指摘しなさいよ…」

「いや、だって真偽が定かじゃないのに指摘したら怒られそうだし…」

「私もそこまで短気じゃないわよ…変な意味でも欲求不満になった訳でもない、いいわね?」

「う、うん……」

 

ずいっ、と顔を近付けて念押しをしてくるノワールに私は若干気圧されながら首肯する。

 

「じゃ、今度こそ話を進めるわよ」

「それは構わないけど…変な意味じゃないならどういう意味なの?まさか二人は男の娘だったとかじゃないよね?」

「確かに二人…特にケイは中性的だけど、そんな事あったら流石にビビるわよ。そうじゃなくて…二人は女の子らしくないと思わない?」

「それは……まぁ、確かに思うね…」

 

方や工場の技術者兼経営者、方や教会の教祖という特殊な立場で、どちらも見た目中身共に女の子らしさがない…というか女の子らしさに無頓着な二人なんだから、シアンとケイを女の子らしくないと思わない訳がない(二人が可愛くないという意味じゃないからね?)。……けど、それがなんだって言うんだろう?

 

「でしょ?…で、私は思ったのよ。二人が女の子らしくない一番の原因は、仕事にのめり込み過ぎてるからなんじゃって」

「二人共ワークライフバランスが崩れてるっていうか、ワークがマイライフになってるもんね。……でも、仕事にのめり込み過ぎの人って、女の子らしさどころかまともな生活自体出来なくなるものじゃないの?二人はそんな事ないよね?」

「そこら辺は管理職なだけあってしっかりしてるわよ、二人共。…けど、見た目も思考も仕事の為に寄せてるのよきっと。そっちの方がやり易いからって」

「……ノワールはそれが嫌なの?私からすれば、ノワールはそういう仕事熱心な人を好みそうな気がするんだけど…」

 

自他共に厳しいノワールにとって、シアンやケイさんの様な能力があって且つ真面目な人材は正に共に仕事をしたい、期待をしたい相手な筈。なのに彼女は今その二人のスタンスを半ば否定している。だから私は素直に疑問を抱いた。それは何故、と。

 

「…私はね、二人に仕事の為に生きる様な人間にはなってほしくないのよ」

「仕事の為に生きる様な人間に…?」

「そりゃ、利益の面で見れば二人の今のスタンスはありがたいわよ?けど私は女神、国民の幸せを願う女神よ。だから仕事はお金稼ぎの手段、思い入れなんてない…とまでは言わずとも、仕事は仕事、趣味は趣味…みたいな考え方をしてほしいのよ。シアンの方は趣味が仕事になってる節もあるけどね」

「そっか……ふふっ、ノワールの元なら賃金も福利厚生も心配なさそうだね」

「一流の女神ですもの。それで……協力、してくれる?」

 

そういうノワールの声音には、強要はしないというニュアンスが感じられた。それはそうだ、こんな私用を強要出来る訳がない。……まぁ、仮にこれが強要だったとしてもそうじゃなかったとしても、私の答えには関係ないけどね。

 

「…勿論。そういう事なら、喜んで協力させてもらうよ」

 

こうして、私とノワールによるシアン&ケイさん普通の女の子化作戦が始動したのだった。

 

 

 

……よくよく考えたら、単に仕事にのめり込み過ぎない様にするだけなら女の子化の必要は無かったかもしれない。

 

 

 

 

作戦実行の日は、なんと翌日だった。なんでも、元々ノワールがこの作戦の準備を進めていて、残すは人手とその人に頼まないと出来ない作業だけだったかららしい。…まぁ、その人手も作業も盤石にする為のものであって必要不可欠ではなかったっぽいから、実のところは単に共犯を作りたかっただけかもしれないけどね。

 

「……じゃ、作戦実行するわよ?私の頼んだ事、大丈夫でしょうね?」

「ご覧の通り、心配には及ばないよ」

 

ひらひらと二枚のプリントを見せる私。それを見たノワールはこくんと頷き、ノワールは応接室で待ってもらっているシアンと教祖執務室で仕事中のケイさんを呼びに行き、私はノワールの部屋の近くで待機をする。

兎にも角にも二人が来てくれなければ何も始まらない。その事に若干不安をしていたけど…シアンもケイさんもノワールに着いてきてくれた様だった。なら……作戦はこれからが本番だ。

 

「お邪魔するね、三人共」

「お、イリゼ。イリゼも呼ばれていたのか?」

「君まで呼ばれていたとすると…尚更なんの話なのか分からないね」

「あーいや違うよ?どっちかって言えば私、ノワール側だもん」

 

プリントを見えない様にしつつ、そんな返しをしながら私は部屋の扉の前に立つ。ノワールはまぁそこに掛けてと言いつつ二人に近い位置の窓の前に立つ。

これぞ作戦の第一(呼んだの含めれば第二)段階。こうして退路を塞いでおけば、万が一逃走を図ろうとしても優位に対処出来るからね。

 

「僕は仕事中なんだ、要件なら早くしてくれないかな?」

「わたしも早く済むならその方がいいな。また幾つか試作品を作っているんだ」

 

それぞれ仕事を優先させたい意向がありありな言葉を発する二人。ぱっと見(というか実際)若い女の子二人に似つかわしく事この上ない発言に、私もノワールもこの作戦の必要性を再確認する。

だからこそ、ノワールは余計な前置きをせずに…それを、口にする。

 

「だったら、単刀直入に言うわね。二人共、そこのテーブルの上に二つ箱があるでしょ?それを開いてみて頂戴」

「これを?そりゃ構わないが…」

「…服の様だね、それも随分と可愛らしさを意識した。…これがなんだって言うんだい?」

「それは、私からのプレゼントよ。今日は、二人にそれを着てもらう為に呼んだのよ」

『……!?』

 

箱に入っていた服を見て不思議そうにしていた二人は、ノワールの発言を聞いた瞬間驚愕を露わにする。そしてまず扉を、次に窓を…私達の立っている場所へと目を走らせ、私達の意図に気付いて目を見開いた。

 

「やられた…これが狙いだったのか二人共っ!」

「え、まあこれが狙いだから今ノワールが言った訳だけど…」

「あ、それもそうか」

「その通りだが何を納得しているんだ君は…それはともかく、君達二人はほんとちそんなくだらない事の為に呼んだのかい?」

「そうよ?」

「何を考えているんだ…悪いが僕は着ない、着せ替えをしたければプリティーリズムなりアイカツなりをやってくれ」

「嫌よ、そして貴女の口からその二つが出てきた事に私びっくりよ」

 

案の定二人は着る事に反対の様子だった。更に二人は少々顔を赤くしてる辺り、少女的な服を着てそれを人に見せるのは恥ずかしいという念があるのかもしれない。……女の子が女の子の服着るのは何もおかしくないのに…。

ただ、何も説明せずに呼んで退路を塞いでおきながら指定した服を着てくれ、なんて要求じゃ素直に着る気になんてなれる筈が無いというのも事実。だから私達(主に発案者のノワール)は着てほしい理由を伝える。

 

「……って訳で、二人にはこれ着てちょっと仕事の事を忘れてほしいのよ」

「何でもそうだけど、程々にするのは大事だと思うよ?」

「……そちらの言い分は分かった。僕も今後は適度に息抜きをするとしよう。それでいいだろう?」

「よくないわよ、どうせこの場じゃそう言って今後も変えない気でしょ」

「ノワール、君は僕を信用していないのか…残念だよ…」

「ケイの仕事への熱意をよく知っているが故よ」

 

伏し目がちに放った言葉も飄々と返され、くっ…と歯噛みをしているケイさん。すると今度はシアンが口を開く。

 

「えーと…二人共、わたしが好きで技術者やってるのは知ってるよな?」

「勿論よ、貴女の仕事ぶりはよく知ってるもの」

「そっか。でも、わたしは二人が思ってる以上に今の仕事が好きなんだ。頭の中のイメージを設計図に描くのも、自分の手で機械が出来上がっていくのも、不具合の起きた機械を試行錯誤しながら直すのも…全部全部好きなんだ。だから、わたしは二人に心配されなくても大丈夫だよ」

『シアン……』

 

そういうシアンは凄くいい表情だった。好きな事を、自分にとって夢と言っても過言じゃない程の事を話す時の人はこんなにもいい表情をするのか…と私とノワールが感銘を受けちゃう位にいい表情だった。

何この真っ直ぐな娘……と数秒目的を忘れてしまう私達。危うく押し切られる雰囲気になりそうだったけど…私は切り札の事を思い出す。

 

「そういう事だから、これは勘弁してくれよ。な?」

「そ、そうはいかないよシアン。…ノワール、ちょっと早いけどあれ伝えてもいいよね?」

「え、えぇ、シアンに教えてあげなさい」

「わたしに教える…?」

「…ねぇシアン。シアンは今の生活に満足らしいけど…周りはどう思ってるか知ってる?」

 

隠していたプリントを取り出し、含みのある様な口ぶりて話し始める私。当の本人であるシアンは勿論、ケイさんもちょっと気になる様子で私の方に目をやっているのを確認した私は、勿体ぶりながらもプリントの内容を…インタビューの回答を読み上げる。

 

「『シアンは技術者としては申し分ないし、パッセも成長させてくれた。親孝行もしてくれる。そんないい娘だが…まぁやはり、父親としては男っ気もお洒落も全く感じられないのは逆に心配ですな。変な虫がつく事を気にする世の父親の気持ちが分からないものです』」

「ち、父親……おいまさか…」

「『そうよねぇ。男の人と付き合う事、結婚する事が女の幸せ…だなんて言う気は無いけど、恋愛なんてやろうと思って出来る様なものじゃないから、今の機会を全部捨ててる様なあの子はちょっと心配だわ。うちの社員で誰かもらってくれないかしら』」

「やっぱりそれうちの親父とお袋だろ!え、なんでそんな事聞いてるんだよ!?そして二人共そんな事思ってたのか!?」

「因みにそれを聞いてた社員さんからは『社長は可愛いから嫁に欲しい』って声が上がってたよ、冗談混じりにだけど」

「そ、そんな情報いるか!うぅ……」

 

ひとしきり突っ込んだ後赤くなった頬を隠す様に顔に手を当てるシアン。今回の目的から考えると、最後のやつは不要だったかな…?

 

「さ、じゃあ次はケイさんです」

「ぼ、僕の両親にまで質問を……?」

「いえ、聞いたのは職員さんです」

「そうか、ならば安心……」

「『ケイ様ですか?良い上司です、えぇ。…え、本音?本気で良い上司だと思ってますよ?……ほ、ほんとですって。我々と違って仕事に一切妥協も早期の切り上げもしないから有給を取り辛いとかないですからね?』」

「うっ……」

「『そうですね…あ、これ匿名ですか?万が一の時、ノワール様とイリゼ様がフォローしてくれるんですか?では……教祖様としては全く文句ないのですが、仕事外での好みや趣味がまるで分からないので、ちょっと近寄り難いってのはありますね…』」

「そ、そんな印象を持たれていたのか…」

「多分他国の教祖も妙な印象持たれてるでしょうしそこは大丈夫よ、ケイ」

「それはそうだろうが…くっ、まさかこんな手を打たれるとは…」

 

やられた、とケイさんはがっくりと肩を落とす。それを見て、私がノワールにウインクをすると彼女は頬を緩ませてアイコンタクトで「グッジョブ」と返してくれた。いやー、いい仕事したなぁ私。若干というかかなり卑怯な手を使った感もあるけど。

 

「そういう訳よ、二人共。勿論ご両親の心配や部下の気苦労を無下にするもしないも貴女達次第だけど、ね」

「悪どい…悪ど過ぎるぞノワール…」

「あら、これ訊いてきたのはイリゼよ?」

「ちょっと、訊いてきてって言ったのはノワールだよね?」

「そうだけど、どういう切り口で訊くかとか、どの回答をここで言うかとかは貴女に一任してたわよねぇ?」

「そこも含めて、ノワールは私に任せたんだよねぇ?」

「駄目だ、僕は二人が悪女に見えてきたよ…」

 

ちょっと相手を挑発する様な、意地の悪い顔で笑い合う私とノワール。気分は正に越後屋と悪代官だった。

 

「…こほん。で、どうするのかしら?」

「どうもこうも、僕達に選択肢はないに等しいじゃないか…」

「流石に心配かけるのは不本意だしな…」

「それじゃあ、着てもらおっかノワール」

 

私の言葉にノワールがこくり、と頷くと、二人は観念した様子で箱の中からノワールプレゼンの服を取り出す。

なんだかんだ言っても二人も女の子。可愛らしい服に抵抗はあるらしいものの、どこか楽しそうに服を見つめ……

 

『…ってこれ、露出度がおかしくないか(い)!?』

 

てなかった。顔を赤くして二人同時に猛反発を再開、それを見た私達は首を傾げる。

 

『そうでもないと思うけど……』

「そうでもあるから言ってるんだよ…これなんて背中開き過ぎじゃないか…!」

「うーん、ノワールの服もそれ位開いてますよ?」

「ミニスカは別は別にいい、けどこれじゃ脚の露出度高過ぎるだろ!?」

「それを言ったらロングブーツやニーハイじゃないイリゼの方が脚の露出多いわよ?」

「じゃあほら、なんでわたしの服もケイ様の服も狙ったかの様に肩を露出させてるんだよ!?」

『私達は肩どころか脇まで見える服装だけど?』

「……君達女神はそういう趣味があるのかい…?」

 

何をそこまで慌ててるんだろう…と思ってノワールと二人で反論していると、ケイさんに物凄い事を言われてしまった。…い、いやそんな訳ないよね?だってベールやブランも肌色成分まぁまぁあるし?もっと言っちゃえばプロセッサユニットなんて普段着以上に扇情的だし?

…………。

 

「…違うよねノワール?」

「えぇ違う、違う筈よ。だから深く考えちゃ駄目、私も気にしない事にするから…」

「そ、そうだね…世の中気付かなくていい事ってあるよね…」

 

とある答えに辿り着きそうだった思考を強制撤退させ、思考放棄の形をとる私達。シアンとケイさんは、いつの間にか同情的な視線で私達を見ていた。…そ、そんな目で見ないでっ!

 

「と、とにかく!二人にはそれ着てもらうからね!」

「そうそう!じゃないと何故か服選びのセンスがいいノワールに代わってセンスあるか謎の私が服選んでくるよ!」

「うん?イリゼ、君はノワールの趣味について知らないのかい?」

「へ?ノワールに何かセンスに関わる趣味が「ケイ、言ったらもっと露出の多いの選んでくるわよ?」「分かった、僕の口から語る事は何もないよ」…え、え?」

 

勝手に話が進んでしまい、しかもそれが私にとって不利益な形だったせいで私は暫しぽかーんとしてしまう。同じくよく分からなかったらしいシアンもぽかーんとしていた。…そう言えば前にコスプレ云々の話が出たけど…あれは違うよね?正体を隠す為の嘘だった訳だし。

と、なんだかんだで中々進まなかったものの、遂に腹を決めてくれたという事で一度部屋を出る私とノワール。

 

「周りの人からの言葉聞いておいて正解だったね」

「そうね、ほんと協力してくれて助かったわ」

「礼には及ばないよ。それより、窓から逃走したりしないかな?」

「大丈夫よ、この段階になって逃げてもその場凌ぎにしかならない事はよく分かってる筈だもの」

 

二人は一体どれだけ印象が変わるのかと想像しながら待つ事数分。部屋の中から入っていいというケイさんの声が聞こえてきた。

目配せし、何となく深呼吸する私達。そして、一拍おいてノワールが扉を開き、私達は部屋へと再び入る。するとそこには……

 

「うぅ…ほ、ほら着たぞ…?」

「ど、どう…だろうか……」

 

--------顔を赤らめ、落ち着かない様子でスカートを引っ張っている可愛い二人の少女がいた。

少女らしさなど感じさせず、中性的…或いは男性寄りですらあった二人。それが…なんという事でしょう。技術者シアンは肩の開いたカットソーとミニスカートにより、元来の快活さを残しながらも幼馴染やクラスメイトの様な親近感の湧く少女へと変貌し、教祖ケイはワンピースとブレスレットにより、元々の静かな印象とも相まってまるで深窓の令嬢の様な姿となったのです。これぞ正に……

 

「…仰天チェンジ……」

「な、何をまじまじと見ているんだ君達は!」

「し、仕方ないじゃない…イリゼ、こういうのがギャップ萌えって言うのね…」

「うん、これは協力して正解だった…」

「反応がおかしくない!?」

 

元が良いからきっと可愛くなるだろうとは思っていたものの…これは予想外だった。もうなんか……眼福です。

 

「やっぱこの二人ちょっとヤバいんじゃ…」

「こうなる事なら逃げるべきだった…ちゃんと着たんだ、もう解放してくれ…」

「え、何言ってるの?貴女達には今からその格好で私達と出かけてもらうのよ?」

『え"……?』

「あ、ノワール伝えてなかったんだ…酷いなぁ…」

「だって言ったら、ねぇ?」

 

さも当然かの様に言ってのけたノワールに、シアンとケイさんは喉の変な所から出てるんじゃないかと思う様な声を出す。

私は当然知っていたけど…どうやら二人には隠していた様だった。……ほんとノワールって意地悪いところあるよね、こんな作戦に乗ってあまつさえ途中から楽しみ始めてる私も大概意地が悪いけど。

 

「こ、こんな格好で出かける?ノワール、冗談だろ…?」

「冗談じゃないわよ?着てもらうだけじゃまだ目的達成には弱いもの」

「だが、普段こんな服を着ない僕等が出歩いて他人に見られたら…そ、そりゃこの服が可愛いのは分かる。ワンピースは僕も嫌いじゃないし、こういう服装も出来るならばしてみ……」

『してみ…?』

「な、なんでもない……」

 

何やら言いかけるケイさん。それに私とノワールが反応すると、ケイさんは一層恥ずかしそうにそっぽを向いてしまう。……今の服装に思うところあるのかなぁ。

 

「ま、そういう事だから行こうよ。実際着ただけじゃ個人的に特別な体験したってだけにしかならないでしょ?」

「僕はそれで十分だ…シアン、協力してくれ」

「は、はい。こうなればもう逃げる事に躊躇いは……」

「あら、女神二人から逃げる気?」

『そうだった……』

 

にこぉ、と再び悪い笑みを浮かべる私とノワールに、シアンとケイさんは項垂れ「もう好きな様にして下さい…」といった感じの雰囲気を醸し出す。

そして、私達四人は外に出てウィンドウショッピングらしき事をしました。それについてシアンとケイさんは、なんだかんだで悪くなかったとか。……因みに、これ以降この二人はちょっと私的な付き合いを始めたらしい…。

 

 

 

 

「仕事で来たのに、色々と付き合わせちゃって悪かったわね」

 

ラステイション訪問最後の日、また次の国へと向かう私をノワールとユニ、それにケイさんが見送りに来てくれた。

 

「いいよ別に、主な目的は監査だったけど…皆に会う事も大事な目的だったからね」

「お世話になりましたイリゼさん。…ほんと、色々話させちゃってすいません…」

「姉妹揃ってお見送りで謝罪とは…そんなに気にしなくていいのに…」

「なまじ真面目なのが原因だろうね」

「…それ、自分に対しても言ってます?」

「さぁ…それはどうやら……」

 

姉女神と妹女神だけじゃなく、教祖すらも似てるなぁ…とつい苦笑いしてしまう私。苦笑いの理由は分かったのか、ノワール達も軽く肩を竦めている。

 

「次来る時…っていうか監査以外の目的で来る時はちゃんと連絡頂戴ね?やっぱりいきなり来られるのは困るもの」

「分かってるよ、それは流石に常識の域だし」

「ま、そうね。……ねぇイリゼ、監査が終わったらうちの職員になるつもりない?貴女なら名実共に文句ないし、もしなる気があるならいつでも歓迎するわよ?勿論、好待遇でね」

「それは魅力的だね、でも……暫くはいいかな。だって…」

 

そこで一拍おく私。私はもう一度苦笑いを浮かべ…考えている事を口にする。

 

「ネプテューヌの事が不安だし、その関係でネプギアやイストワールさんの事まで心配になっちゃうからね。それに…プラネテューヌには私と同じくもう一人の私に生み出されたイストワールさんや、もう一人の私を感じられるあの場所があるから。だから、私はプラネテューヌにもう暫くは居を構えてたいんだ」

「…そう。だったら、仕方ないわね。監査頑張りなさいよ」

 

ノワールの言葉に私はうん、と返して歩き出す。そし十数歩歩いたところで振り返り、私を見送ってくれている三人に軽く頭を下げて教会から去る。

そんなに長い期間じゃなかったけど、ラステイションでも色々あった。やっぱり友達に会うのっていいよね。

さてと…次の監査も頑張らなきゃ!

そんな思いを胸にしながら、私は歩みを進めるのだった。




今回のパロディ解説

・プリティリズム
女の子をメイン対象とする、アーケードゲームの事。キャラに衣装のカードを使って着せ替えするゲームってまぁまぁありますよね。…皆さんやった事あります?

・アイカツ
上記と同じく女の子をメイン対象とするアーケードゲーム及びそのシリーズのパロディ。ケイは実は乙女的な面もあるらしいのでこのパロを使ってみたのです、はい。

・「〜〜なんという事でしょう〜〜」
大改造!!劇的ビフォーアフターにおけるナレーションのパロディ。きっとこのシーン、イリゼの頭の中ではあの独特な感じで説明がなされていたんでしょうね。

・仰天チェンジ
ザ!世界仰天ニュース内の一つのコーナーのパロディ。別にシアンもケイも太ってないし身体ではなく服を変えたのですから、実際の仰天チェンジとは展開が違いますね。
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