超次元ゲイムネプテューヌ Origins Interlude   作:シモツキ

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第三十一話 少女への思い違い

平和というのは、脆く儚いもの。どんなに私達女神が尽力しても、多くの人が平和を望んで戦ったとしても、掴んだ平和は長くは続かない。それは歴史が証明している。

何故、平和は続かないのか。……その理由は至極単純。平和は過半数どころか殆どの人間が望まなければ成り立たないのに対し、混沌はそれなりの数の人間が望めば…いや、望まずとも現状に不満を持つだけで訪れてしまうものだから。平和に比べて混沌は圧倒的に成り立ち易い(混沌が成り立つってのも変な表現だけど)んだから、平和が長続きしてくれる訳がない。勿論だからって諦めたりはせず、争いが起こるならその度に、一人でも平和を望む人がいるならその人の為に、何度吹き飛ばされようと平和の花を植え続ける覚悟が私にはあるけど……それでもやっぱり、不安の種が発生するのは気分のいいものじゃないのよね…。

 

「…どうしたものかしら……」

 

朝、朝食を終えて早速仕事に取り掛かろうと執務室へ向かっていた私。その途中でうちの諜報部員から受けたのは、犯罪組織に関する報告だった。

マジェコンヌの名前を勝手に使い、女神に頼らない新たな社会の創設を目指している怪しい新興宗教の事は、暫く前にイリゼから聞いていた。イリゼが耳にしたのは監査の旅の最中で、その時点から勧誘担当の一般信者を用意出来る位には広まり始めてたみたいだけど……報告を聞く限り、犯罪組織は私の想像以上の速度で広まっている。まだ一般的には風の噂で聞くかどうか程度で、勢力も私のシェア率の足元にも及ばないレベルだけど、どうもこの宗教はキナ臭い。

 

「災いの芽は早めに積んでおくに限るけど…怪しいってだけで強制捜査なんてしたら、それはただの暴君だものね…」

 

どんなに危険な思想を持っていたとしても、悪事を働く未来が確定していたとしても、今現在で法を犯してないのなら、その証明が出来ないのなら、私や司法は手出しが出来ない。…更に言えば私の場合、つい最近疑惑があっても信じるって選択をしたばっかりだし、ね。

 

「うーん…幾ら考えたって、動向を監視する以外に取れる選択肢なんてない──」

「……お姉ちゃん、何してるの?」

「のわぁっ!?」

「えぇぇっ!?」

 

突如聞こえたユニの声に度肝を抜かれる私。ちょっ、え、ユニいつの間に!?

 

「お、驚かさないでよユニ……」

「そ、それはアタシの台詞だよ…心臓に悪いよ……」

「心臓に悪いも何も、いきなり声をかけられたら驚くわよ…」

「そんな事言われたって……廊下で立ってるお姉ちゃんに、いきなり以外でどう話しかければいいの…?」

「廊下?……あ…」

 

姉妹揃って心拍数が上がり、内心何するのよユニ…と思っていた私だったけど、言われて気付いた。自分が執務室で考え事をしていたんじゃなく、辿り着く前に足を止めてしまっていたんだと。

 

…………。

 

「…ごめんなさいユニ、勘違いで何するのよとか思っちゃって」

「え?……う、うん…」

 

勘違いだけならまだしも、心の中とはいえそれで実の妹を悪く言うなんて……これは重々反省しなきゃいえないわね…。

 

「…で、どうかしたの?」

「どう、っていうか…お姉ちゃんが廊下でぼーっとしてたから、どうしたんだろうと思って…」

「あぁ…考え事をしていただけよ、気にしないで」

 

額を軽く叩き、意識を切り替える私。犯罪組織の事は気掛かりだけど、それに振り回されるんじゃしょうがない。内政、外交、経済、環境…数ある務めの中の一つに、犯罪組織への対処が加わった…ただそれだけの事なんだから。……そう、いっぱいある仕事の内に…。

 

「…そうだった…今日は特に忙しいんだった……」

「ルウィーに行かなきゃいけないんだっけ?」

「えぇ。その前に企業の視察もあるし、帰ってからも書類仕事がどっさりよ。…我ながらちょっと仕事配分を間違えたかもしれないわ…」

「た、大変だね……えっと、もし差し支えなかったらだけど…少し仕事、手伝おうか…?」

「え?」

 

おずおずと、私の気持ちを伺うようにユニは言った。私と同じ色の瞳に、私とよく似た顔立ちを持つユニにそう言われるのは、まるで少し小さな自分自身と会話しているよう。それは凄く不思議な感覚で……同時に、少し前ケーシャにも似たような訊かれ方をしたなと思い出した。…ユニとケーシャ、かぁ……。

 

「…………」

「……や、やっぱり駄目かな?…うん、駄目だよね…」

「…いや、仕事ではないけど…ユニ、頼み事をしたらやってくれる?」

「あ…う、うん勿論!お姉ちゃんの負担を減らせるなら、アタシやるわ!」

「ふふっ、助かるわユニ。それじゃ、今日の雑務が終わってからでいいからケーシャの様子を見に行ってくれる?」

「それ位お安い御よ……え、ケーシャさんの…?」

 

頼み事に対して嫌がるどころかやる気を見せてくれたユニだったけど…頼み事の内容を聞いた途端、表情からそのやる気が消え去ってしまった。……あぁ…やっぱりまだケーシャの事を、あんまり友好的には思ってないのね…。

 

「ケーシャのよ。様子をって言ったって、単に困ってたりちゃんと生活出来てなかったりしないか確認するだけだから、苦労する事はないと思うわ」

「い、いやでも…アタシ、ケーシャさんが教会出てから殆ど顔合わせてないよ…?教会にいた時だってよく話した訳じゃないし…」

「だからちょっと様子を見てくるだけでいいのよ。流石に某太子みたいな一言言って即終了、は困るけど…」

「だとしても、相手は…その……」

 

私が難しい事ではないと言っても尚乗り気になってくれないユニ。…でも、それ位は私も予想の範囲内。ユニはスタートの時点で私よりずっとケーシャに懐疑的だったんだから、碌に関わりもしないでその印象が好転する訳がない。

だからこそ、私は機会を作ろうと思った。私の信頼するユニと、私が悪人なんかじゃないと信じてるケーシャが、友好的な関係になれる機会を、きっかけを。

 

「…大丈夫よ、ユニ。ケーシャは貴女が思っているような人間じゃないから。それに言ったでしょ?ユニは私が守ってあげるって」

「…それは…そりゃ、お姉ちゃんの事は信じてるけど…」

「……ユニ、ケーシャは人間で、銃器使いよ」

「へ……?」

「もしケーシャが悪人だったとして、戦いになったとしても…相手は人間の銃器使い。……ユニは女神の自分が、同じ銃器使いに負けると思っているの?」

 

ユニの両肩に手を置き、ユニの目を見て私は言う。喝を入れるだとか、発破をかけるだとかのつもりは毛頭ない。私はただ問いただけ。ユニの心に。ユニ自身が、自分はどう思っているかに気付けるように。…まだ幼くたって、ユニはこの私の今。ならきっと……

 

「……お姉ちゃん…」

「ユニ…」

「……銃はお姉ちゃんの使う剣と同じで色々種類があるんだから、安易に銃器使いって括られても困る…」

「え?……あ、そ、それはそうね…ごめん、ちょっと浅はかだった……」

「…けど、手伝うって言ったのはアタシだもんね…ごめんなさい、歯切れの悪いこと言っちゃって。…アタシ、ケーシャさんの所に行ってくるわ」

「…えぇ、頼むわね」

 

くるりと踵を返し、小走りで去っていくユニ。推測通りの……いや、期待通りの反応を見せてくれたユニに対して私は安堵の表情を浮かべつつ、私もまた執務室へ向かう。仕事が多い中でこれ以上ぼーっとしている訳にはいかないし、頼み事をしておいて自分は手を抜くなんて家族が相手でも失礼極まりないのだから。……私の都合で行ってもらうんだから、ルウィーから帰る時には何かお土産を買ってきてあげようかしらね。

 

 

 

 

「……え、まだ帰ってないの?」

 

企業の視察を終え、ルウィーでブランと友達ではなく『国の首脳』としての話し合いを経て、ラステイションの教会に帰ってきた私。今日ユニは私と違ってそんなに仕事がある訳じゃないから、私が帰ってくるより先にケーシャの所へ行ってる事は予想していたけど…行ったまま帰ってきていないのは驚きだった。

 

「…数十分前に教会出たばかり、とかじゃないのよね?」

「それなら帰ってきていなくても当然じゃないか」

「私が訊く前にちゃんとそこまで言ってくれていれば、確認するまでもなかったんだけどね…」

 

ケイが言うには、ユニが出たのは数時間前との事。目的地であるケーシャのマンションは徒歩でも数十分の距離なんだから、普通に考えれば1〜2時間で帰ってくる筈よね。

 

(…寄り道、してるとか?)

 

平常業務を片付ける為執務室へ入った私は、書類に目を通しながら考える。案外会話が弾んでいるのかもしれないし、ユニは真面目だから掃除なり何なりの手伝いをしてあげてるのかもしれないし、もしかしたら一緒にクエストをしてるのかもしれない。…まぁ、何れにせよ……

 

(仕事が終わる頃までには帰ってくるわよね)

 

そう思って私は仕事に集中。素早く、効率良く、でもしっかりミスがないか確認も入れて、書類の束を片付けていく。急を要するものはないから、明日に回しても問題はないけど…今日の分は今日終わらせないと気持ち悪いもの。明日に回すにしても、やれるだけはやらなくちゃ。

そうして取り掛かる事数時間。

 

「んっ…終わったぁ……」

 

最後の書類をファイルにしまい、指を絡めてぐぐっと身体を伸ばす。毎日経験していてもやっぱり仕事が終わった瞬間というのは気分が良いもので、今日みたいに忙しい日は解放感も一入というもの。あー、今日もよく仕事したわ…。

 

「……そういえば、ユニは…」

 

私が仕事をしている間、ユニが執務室に来る事はなかった。けれど帰ったら報告しろとは言ってないし、ユニの事だから私の邪魔をしないようにと気を使ってくれた可能性も十分にある。そう考えて私はまずユニの部屋に、続いて執務室に行ってみたけど…そのどちらにもユニはいなかった。

 

「…おかしいわね……」

 

教会は大きく、私やユニが『家』として使うエリアだけでも結構な広さがあるから、中々会えない事も普段から偶にあるけど……一通り探しても見つからない、なんて事はそうそうない。…じゃあ、もしかしてユニは……まだ、帰ってきてない…?

 

「…………」

 

携帯でユニに電話をかける私。…でも、ユニは出ない。自室や執務室に携帯を置き忘れていった…なんて事もなく、一向にユニは出てくれない。当たり前だけど、携帯越しじゃ出ない理由も分からなくて……私の心に、考え得る限りで最悪のパターンが浮かんでくる。

 

(……まさか…ケーシャが、ユニを…?)

 

考えたくない。ケーシャがそんな人物だったなんて。ユニを失ってしまったなんて。でも、思い浮かんでしまうものは止められない。考えないようにしたって、頭の中から消えてくれる訳じゃない。

 

「……っ…そんな訳ない…そんな事、ある訳ない…!」

 

嫌な考えを追い出そうと頭を振り、私は通話を切って走り出す。途中で会った夜間警備員に出かける事を伝え、勢いを落とさずそのまま外へ。

 

「きっと何かトラブルがあって、その対処で手が離せないだけよ。そうに決まってるわ…!」

 

自分へ言い聞かせるように別の可能性を呟く私は教会の側面に回り、人目がない事を確認して女神化。すぐに飛び上がり、凝視しなければ私だと分からない高度まで上昇してからケーシャのマンションへと猛進する。なんて事ないと口では言いながらも全力で飛ぶ姿は、端から見れば滑稽なのかもしれないけど…そんな事、どうだっていい。

徒歩数十分の距離なんて、女神が全力で飛べば十分もかからない。でもその数分が、今の私には何倍にも感じられた。

 

「着いた……っ!」

 

旋回しながら下降し着地。女神の姿のまま人とすれ違うのは不味い、けどゆっくり歩く程の余裕はない私は、妥協として人間状態でマンションの階段を駆け上がる。一歩目で階段の中程まで、二歩目で踊り場までという殆ど跳躍の登り方で一気にケーシャの部屋がある階まで登り切り、その勢いのまま部屋前へ。

 

「…お、落ち着きなさい私…まだ何が起きてるか決まってる訳じゃないわ…シュレディンガーの猫ってやつよ、シュレディンガーの…」

 

またも自分に言い聞かせる為の言葉を一つ。…誤用してる気がしないでもないけどいいのよ別に!この状況で茶々入れられたって困るっての!……こほん。

扉へ手を伸ばす私。ここを開け、中に入ればはっきりする。一体何故ユニが帰ってこないのかも、私の信じたい気持ちとまさかと思う気持ちのどっちが正しかったのかも。そう、ここを開けば、それで……

 

「…………え…?」

 

……その瞬間、微かな異臭が漂ってくる。日常的に嗅ぐ事はない、けれど戦闘を生業とする者にとっては嗅ぐ経験もあるそれは──火薬の臭い。

 

「……ッ!ユニッ!ケーシャッ!」

 

頭が真っ白になった。信じるだとか、疑うだとか、そういうものが全部吹っ飛んで、私は扉を力任せに開け放っていた。

私は叫ぶ。大切な人の名前を。信じていた人の名前を。嘘、嘘よ…そんなの嘘に決まってる!絶対そんなのあり得ない、おかしいわよ!私は信じない、そんな事信じられる訳ないじゃない!絶対絶対嘘よ!そんなの、そんなのって…私は、私は……ッ!そんなの、絶対に、嘘────

 

「…じゃあ、ボルトリリースレバーをこのメーカーに変えてみるのはどうです?」

「んー…今の銃の構成なら、LA社の方が良いかもしれません」

「成る程。なら、フラッシュサプレッサーはどれが良いと思います?」

「それならマズルブレーキに評判のあるPP社のが相性良いと思います」

「PP社ですか…あ、でもマズルブレーキならクロノメーカーって所もいいんですよ?中小企業である事を逆手に取った独自の路線が売りで……ってあれ?お姉ちゃん?」

「そうなんですか?私、中小の事はあんまり知らないので勉強になりま……え、ノワールさん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…えぇぇぇぇぇぇぇーー…………」

 

 

 

 

「ほ、ほんとにごめんなさい、お姉ちゃん……」

「いいわよ、無事だったんだから…はぁ……」

 

ユニとケーシャがトラブルに遭遇していた訳でもなく、ケーシャの本性が露わになった訳でもなく、ただ二人でガンオタトークに時間を忘れる程花を咲かせていただけだと分かってから十数分。とっくに夜になっていたのだと私が来る事でようやく知ったユニと共に、私は帰路についていた。

 

「……女の子二人がバラした銃に囲まれながら銃のマジトークって何なのよ…しかも社名をPPSE社とかDEM社とかってふざける訳でもなく、ほんとにうちにある社名出すなんて…」

「い、いやそれはその…ごめんなさい、女の子らしくない趣味で…後社名に関してはゲイムギョウ界に実在しないもの出しても会話にならないからです……」

「……あ、ごめん…今のは忘れて頂戴。別に貴女の趣味を否定したかった訳じゃないの」

「そ、そうなの…」

「えぇ…流石にちょっと懲らしめたくなって…」

「えぇ!?だ、だとしたら普通に怒ってよ!?なまじ声のトーンが低かったから本気で言ってると思っちゃったよ!?」

「……今日は、疲れてるのよ…」

「あ、それは…うん、ほんとに今後は気を付けます…」

 

夜道を歩く私とユニ。普段なら人の姿であろうと夜であろうと女神として不恰好な姿は見せたくないと考える私だけど……今日ばっかりは肩を落として歩いていた。

 

「…ねぇユニ、門限を指定するつもりはないわ。でも、遅くなるなら連絡する位はしてくれないかしら…」

「さ、最初はちょっと話してすぐ帰るつもりだったの。でもケーシャさんが思った以上に銃への造詣が深くて、アタシは周りに同じ趣味の人なんていなかったから、つい……」

「つい連絡するのも忘れちゃった、と?」

「……うん…」

「全くもう…」

 

自分達が随分と話し込んでしまっていた事、それによって私に不安感を抱かせてしまった事を知った二人は、それはもう平謝りしてきた。その時点で二人が反省しているのはよく分かったし、今もユニは申し訳なさそうな顔をしている。でも私としてはこの件でかなり心を乱された訳で…大人気ないとは分かっていても、ついネチネチと言いたくなってしまう。……けど、まぁ…

 

「…ケーシャと、仲良くなれたの?」

「え?……うん。多分まだお姉ちゃん程じゃないと思うし、知らない事はいっぱいあると思うけど…ケーシャさんが悪い人じゃないって事は、分かったかな」

「…なら、良かったわ」

 

……二人の仲が前進した事は、素直に喜ばないと、ね。

そうして私達は真っ直ぐ教会へ。数十分後、教会の屋根が見えてきて、あぁやっと忙しい日が終わる…と思った時、私の携帯が着信音を鳴らした。

 

「あら?…シアンじゃない、何かあったのかしら…」

 

着信画面でシアンの名前を確認し、電話に出る。パッセに対する依頼は…特にしてないわよね。

 

「よ、夜分に電話して悪いな」

「大丈夫よ。夜分って言ったってまだ夜遅くじゃないし」

「それもそうか。…ノワール、もし知ってるなら完全に無駄な話なんだが…ラステイションの黄金の第三勢力(ゴールドサァド)が次の支部長探しに困ってるって知ってるか?」

「あ、そうなの?」

 

時間帯を気にしてか、すぐに本題へ入るシアン。しかもその話題は意外なもの。

黄金の第三勢力(ゴールドサァド)。それは四ヶ国に存在するギルドをそれぞれ統括する支部長の別名で、当然一国につき一人の計四人が存在している。かつてはギルドそのものの別名だったそれは、時の流れと社会情勢の変化で今では支部長四人の単なる二つ名に過ぎないのだけど……って、これは今関係のない話ね。

 

「あぁ、わたしも偶々耳にしただけだがそうらしいんだ。支部長は出来るだけ国家間で代が同じになるようにする慣習があるから、現支部長も代替わりを考えているんだが……」

「職員もギルドの常連も支部長職を真面目に捉え過ぎていて、中々受け入れてくれる人がいない…って事でしょ?」

「あ、なんだ知ってたのか…」

「いや、初耳よ?…けど国民性なんて簡単には変わらないものなんだから、これ位の予想は出来るわ」

 

ラステイションの支部長が代替わりの際困る、というのは過去にもあった話。逆にプラネテューヌは勢いでやりたがる人がいるから、うちとは逆のパターンで困るというのもよく聞く話。…と言ってもこれは過去の歴史から得た情報だけどね。…シアンの言いたい事が見えてきたわ。

 

「流石女神様。…で、わたしが言いたいのは誰かいい人はいないか…って事なんだ。中小企業にとってはギルドを介した取り引きも重要だからな。代替わりで混乱されるのは困るし、出来れば信用のおける人物になってほしいんだよ」

「やっぱりそういう事なのね。…じゃ、シアンを推薦してあげようか?貴女ならしっかりやってくれるって、私は信じてるわ」

「ちょ、の、ノワール!?わたしを推薦って…む、無茶言わないでくれよ!…そりゃ、自分は何もやらないくせに他人の推薦ばっかりするのはよくないと思うが…わたしはパッセの運営と自分の仕事、それに軍部への協力だけで手一杯なんだよ…」

「冗談よ、安心しなさい。シアンが暇じゃないのは知ってるし、多忙で貴女のパフォーマンスが落ちるのは私だって避けたいわ」

「な、ならいいんだが…」

 

反応を見たくて(聞きたくて)仕掛けた冗談はさておき、どうしたものかと考える。まず大前提として、日々極力しているとはいえ政府の長である私が、民間組織であるギルドの運営にあれこれ言うのはあんまり宜しくないんだけど……提案程度なら問題ない筈。で、それなら誰を推薦するかって話だけど……

 

(ギルドのリーダーとなれば、戦闘能力は欠かせないわよね。で、私としても信用がおける人物がいいし、逆に私やユニへの信用をしてくれる人なら今の関係も続けられる。事務関連は…まぁ現支部長や周りが支えてあげれば何とかなるわよね。…後条件を上げるとすれば、日常的にラステイションにいる人物……)

 

……と、そこまで考えたところで、私はある人物が思い当たった。うちのパーティーにいても戦力となれるレベルの力があって、信用が出来て、新参者だけどその実力からギルドでも信頼を獲得しつつある、その人の事が。

 

「……その、誰かいるか?いきなりだから思い付かなくても仕方はないと思うが…」

「…そうね。一応思い付く人物はいたから、その人に聞いてみるわ。でもその人も真面目で目立ちたがりではないと思うから、あんまり期待はしないでよ?」

「勿論だ。急に頼んじゃって悪いな。…それじゃ、頼むよノワール」

 

それで会話は終了し、お互い挨拶をして通話を切る。その頃にはもう教会前に着いていて、私はなんの話だろうと興味深げにしているユニへ内容を伝えつつ教会の中へ。そして私が話をしにいこうと思っている人の名前を挙げると……ユニも賛成のようだった。

まだ他国の支部長が交代したという話は聞いていないし、シアンも小耳に挟んだだけみたいだから実際の代替わりはもう少し先の筈。でも早めに話を進めるに越した事はないし、支部長になるのを嫌がる可能性だってあるんだから……早速明日か明後日には話をしてみようかしらね。




今回のパロディ解説

・何度吹き飛ばされようと平和の花を植え続ける
機動戦士ガンダムSEED destinyの主人公の一人、キラ・ヤマトの名台詞の一つのパロディ。平和という花を植え、守り続けるのは女神全員の覚悟であり目指すものでしょう。

・PPSE社
ガンダムビルドファイターズシリーズに登場する企業の事。PPSE社の銃となると、ほぼ確実にガンプラのパーツでしょうね。何せそういう企業ですし。

・DEM社
デート・ア・ライブに登場する企業の事。DEM社はアヴニール並みに様々な開発を行ってる企業ですが、場合によっては魔力砲のパーツとかになってしまいそうですね。
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