朝、心地のよい日差しと鳥の鳴く声と共に私は目が覚めた。
私は大きなあくびをしてから布団から抜け出し、寝癖を直し、いつもと同じような朝食を取った。
時刻は朝7時。いつもと変わらない時間だ。
このように特に何も変わらない生活を前までは続けていたが、
「おーい!ひーなー!」
「何よ?にとり?」
最近はこのにとりと呼ばれる少女に振り回されている。
「実はね、今日も実験だ...手伝って欲しい事があるんだけど...」
「今実験台って言い掛けなかった?...」
にとりは私の数少ない友人の一人だ。私の友達がほとんどいないのは、私の能力のせいである。
私の能力というのは、「厄を溜め込む程度の能力」と言うものだ。
だから私を無視しなければならない事や、話題に出してはいけない等のルールがある(他にもたくさんある)。
それらのルールを破ったりするとすぐに厄まみれになってしまう。
「...おーい。雛、聞いてる?」
「...え?...あぁ...聞いてるわよ。...で...何の話だっけ?」
「...ホントに聞いてたのかな...まぁいいや。新しい発明の実験台に雛がなってもらおうって話。」
二度目は訂正する気が無いようだ。
「...何で私なの?」
「だってこの発明は雛の為に作ったんだからさ!!」
「...私の...為...?」
ますますよく分からない。にとりが私の為だなんて。
「...ちなみにそれはどういう発明なの?」
「ふふふ...その質問、待ってたよ お嬢ちゃん。
その機械はね、[周りの人間から厄を吸いとる機械。]なんだよ!」
「...厄を...吸いとる?」
「そうさ!雛はいつもわざわざこっそり人里にいって厄を集めていたけど、その機械が一家に一台あるだけで厄をすぐに、安心安全に集めれるんだ!」
確かに便利だと思う。私はいつもわざわざ人里に溜まった厄を見つからないように体内に取り込んでいるけど、これがあ れば安心して厄を集めれるしね...。もし人里で見つかると元も子もないからね...。
...でもにとりのこの口振り、最後にお金取られるやつだ...。
「そしてこれをなんと破格の3万円で売ろうと思うんだ!」
不安的中。しかも高い。
「でも雛は私の盟友だから半額の1万5000円でいいや。」
あ、タダにはならないんだ。結局高いし。
「...まぁ...とりあえずその実験は安全なのよね?」
「うん!十中八九大丈夫だよ!」
「...それじゃ一割二割は大丈夫じゃ無いじゃない...。」
「ははは、大丈夫だって。」と友人は笑っていたが、不思議と断る気にはならなかった。
「...その実験はいつするの?」
「実験台になってくれるの!?」
「やってあげるけど安全だったらの話だからね!」
「はーい!」
そうしてしばらく雑談をして、にとりと一旦別れた。実験は午後かららしい。
_____________午後_____________
「...にとりー。来たわよー。」
「いらっしゃーい、雛!
そしてようこそ!私達河童の研究施設へ!」
とても広い空間に見たこともないような機械がたくさんだった。
「ふふふ、雛、準備はもうバッチリだよ。実験室の壁はとても丈夫に出来てるよ。厚さなんと50cm!!!
しかも密閉空間だからね、これじゃあサンタナだって逃げられないよ。どこかのドイツ軍人シュ[自主規制]とは違うんだよ!」
にとりの言っている事は相変わらずよく分からなかったが、凄く安全なのはわかった。
「おーい。にとりさーん。準備OKだよー。」
「はーい! じゃあ雛、あっちの部屋へ。」
私は奥の密閉空間で実験台になるらしい。
「もし、失敗して体がバラバラになっても安心して!河童の科学力で機械人間にしてシュ[自主規制]と同じようにしてあげるから!」
え、失敗したら体がバラバラになるの?っていうかさっきからシュ[自主規制]って誰?
早くも私は後悔した。
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「ひなー、心の準備はー?」
出来るわけない。
「心の準備はー?」
「...だ...大丈夫...。始めて...」
「いくよー! 5、4、3、2、1、ゼロ!」
----ポチッ----
「キャァァァァァァァァ!?」
凄まじい悲鳴とともに大量の厄が空間に溢れだした。
(......やっぱり...止めておけばよかった...)
私は消え行く意識の中、そう後悔した。
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「キャァァァァァァァァ!?」
私の目の前の空間が雛の悲鳴とともに厄に埋め尽くされた。
「に、ニトリハイム少佐!な、何も見えません!」
「誰がニトリハイムだ!シャワーで洗い流せ!」
特殊なシャワーが空間内を洗い流し、徐々に視界が確保されていく。
そこには、いるはずの雛の姿がどこにもなかった。
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「に、ニトリハイム少佐...私はちょいと目を離したのです...あなたも見ていました!」
カタカタカタ
「飲んどる場合かッ!!!」
「わ、私が目を離した一瞬の隙に彼女は忽然として姿を消してしまいました!!私の視力は1.5です!」
「ひなー!? ひなー!? 居るなら返事して!」
私の叫びは悲鳴に近かった。
「雛...どこ...?」
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「...ここは...?」
明らかに実験室ではない真っ暗な空間に私はいた。
「実験に失敗したのかしら...。
まあ体バラバラになってないだけマシかしら...はは...。」
一人で自虐的に笑ってみても笑えない。
(ひなー!雛!)
「...にとり!?」
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「雛!?気がついたの!?」
気がついたら最初の実験室に私はいた。
「...あれ...私は...?」
「ごめんなさい!」
にとりが泣きながら私に謝っている。
「ごめんなさい、私のせいで...」
「...別にいいわよ...気にしないで、にとり。あなたは私の為にやってくれたんだから。」
確かに酷い目に合ったがにとりはよかれと思って私の為にやってくれたんだからそれを咎める事は私には出来ない。
にとりが泣き止むまで私は寝転んだままにとりの頭をなで続けていた。
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「今日はホントにごめんね...もう大丈夫?」
「うん。もう今日の事は気にしないで。」
「う、うん。じゃあね。」
「また明日ね、にとり。」
今日は散々な目に合ったがにとりを恨んだりは出来ない。
にとりがいなかった時と比べると、今日は[楽しかった]から。
「さて、明日は何しようかしら。」
最後まで読んでいただきありがとうございます。続きます。続かせます。