セシリアは英国面   作:タカがトンビ

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些細な一言、彼女はマジギレしました

 

 

「お、お待ちください!」

 

 

 挙手し立ち上がるセシリア

 その声に反応しクラスメイト全員の目が彼女に向かう。

 

(ううっ…視線が痛いですわ)

 

 

 だがここで止まらない、何故ならパンジャンドラムは止まれば壊れるだけだからだ。

 

 

「だ、男子であるという理由だけで推薦するのは問題があると思いますわ。

 クラス対抗戦という実力が必要な舞台があるのですからそれ相応の実力者がクラス代表になるべきであると私は提案いたしますわ」

 

 

 突然の発言にクラスメイトからの痛い視線

 今そういう流れじゃないだろ

 空気読めよといった視線の痛い嵐

 

 

(くっ、やはりなにか理由を。このままでは説得力が足りない気がしますわ、あと何か、何か理由を言わなければ…くっ頭が回りませんわ、紅茶、紅茶が足りない!)

 

 

 普段どおりの彼女だったならばここで終わったかもしれない。だが彼女には紅茶が足りなかった。

 紅茶の足りない彼女はイライラしていた、そりゃもう普段言わないようなことを言ってしまうぐらいイライラしていた。

 

 

(ええい、こうなれば一度私の評価をあえて下げることで何らかの展開を…)

 

 

「そもそも私としては(紅茶が簡単に手に入らない)文化として後進的な国で暮らさなければいけないなんて自体苦痛だというのに、その上――」

 

 

「イギリスだってメシマズ国家じゃないか…」

 

 

 一夏の一言によりセシリアから目の光が消えた。

 彼女らの中にあった混乱は今の一言により完全に消え失せた。

 

 

「……皆様、先程の言葉を訂正させていただきますわ。」

 

 

「日本を馬鹿にするような発言を行い誠に申し訳ございません。

 私、クラス代表になりたいがために少し熱くなり過ぎてしまったようです。」

 

 

「重ねて深くお詫びいたしますわ」深々と頭を下げる彼女に周りのクラスメイトは「わ、私達もちょっと浮かれすぎてたかもね」「そうそう、対抗戦なんだしちゃんと実力とか考えるべきだったかもね」

 

 

 セシリアは一夏の方を向くとにっこりとした笑顔で話しかけた。

 

 

「ありがとうございますわ、貴方のおかげで冷静さを取り戻すことができまし」

 

 

「あ、ああ、こっちも悪かった」

 

 

「所で代表の決め方なのですが、ここは実力を比べるために分かりやすくISによる試合で決めてはいかがでしょうか」

 

 

「えっ、いやでも俺まだISにほとんど乗ってないんだが」

 

 

「ISは乗れば乗るほど身に付くものです。今後を考えるならば今のうちに馴れておくことも大切ですわよ。

 それに貴方を推薦した方もちゃんといらっしゃるのだから推薦に答えるためにもよろしいのではないでしょうか」

 

 

 

「そ、そうかそう言うことなら試してみるかな」

 

 

 

「ええ、それがいいですわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「せっかくですから賭けをしませんか」

 

 

 

「いや、俺初心者だから普通に負けるぞ」

 

 

 

「いえそこまで大きい賭けではありませんわ、ただ、負けた方が勝った方に食事を奢るだけの単純な賭けですよ」

 

 

「ああ、それぐらいならOKだ。」

 

 

 

「そうですか、では賭けは成立ということで」

 

 

 

「あ、メニューは勝者が決めることで」

 

 

 

「えっ」

 

 

「大丈夫です、そんなに高い料理は選びませんわ。美味しい英国料理をおみま…こほん、食べさせてあげますよ。………ウナギゼリーとか(ボソッ」

 

 

「えっ」

 

 

 

「どうやら話はついたようだな、それでは一週間後の月曜日、第3アリーナにて試合を行う。

 織斑と、オルコットはしっかりと準備をしておくように」

 

「わかりました。」

 

 

「えっ」

 

 

 一夏は今も混乱状態にあった。

 彼は気づくのだろうか、自分の些細な一言によってパンジャンドラムに火が着いたことに。

 あるいはジャンピングタンクのロケットに火が着いていることに。

 

 

 確かなことはただ一つ、彼は彼女を怒らせてしまったのだ。

 

 

 

 


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