2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第95話 伝説の海賊

 

 

 

 その後ルフィが『ライバルだから一周してくるまでちょっと待ってろ!そしたらまた喧嘩するぜヒャッハー!』みたいな捨て台詞吐いてラブーンの頭に落書きした。傍から見りゃ喧嘩じゃ無くてイジメだよ。

 ペンキって海水で溶けたりしないのかね、水に強かったっけ。

 

 

 単細胞で脳筋な兄を持つと超しっかり者でキレ者スペシャルプリティな妹は心配します。……サンジさんのご飯を食べながら。

 

 とても美味しゅうございました。余は満足である。

 

 

「でもなんであんなにちっこくなったんだろうなー」

 

 ルフィがでっかくなって暴れたものの数秒くらいで体力切れてちっさくなった時は本気で心配した。でっかくなったりちっさくなったり情緒不安定か。

 

「実戦で無くて良かったですな」

「それは本当にな。お前が戦えなくなったら誰が戦うと思ってんだ」

「リーだろ?」

「は?」

 

 ウソップさんが私の意見に同意するとルフィの口から予想もしなかった言葉が飛び出て思わず首を傾げる。こいつ何言ってんだ?

 

「だってリーはこの中で一番付き合い長いじゃねーか」

「んん?普通は戦力で考えませぬ?」

「じゃあリーだな」

「え?じゃあ、でなくて普通ゾロさんぞ?」

「リーも強いぞ?」

「船長の全幅の信頼が過去最大級に辛きッ!」

 

 無垢な目で見るな、頼むから。

 

「それにリーは俺のいも──」

「あぁぁぁぁ──ッッ!?」

 

 ルフィが何かを言いかけた時、ナミさんが叫び声を上げた。

 

「なんだ?どうしたんだ?」

 

 にゅ、と私を飛び越えてルフィがナミさんの元へ行く。

 

「コ、コンパスが壊れちゃったの!」

 

 私も近寄って見てみればコンパスはグルグル回ってる。なんで!?と言いながらナミさんがパニクってるけどまさかここまで予備知識無しとは。

 

「なんだ、記録指針(ログポーズ)を知らんのか」

 

 クロッカスさんが苦笑いをしながら近寄ると全員首を傾げる。

 

「この偉大なる航路(グランドライン)の島には特殊な磁気を帯びていてな。磁気を記録する記録指針(ログポーズ)が必要なんだよ」

「そ、それってどんなの?」

「丸い球体が付いた変わったコンパスだ」

「こんなやつか?」

「そうぞそれ………ってどうして持つしてる?」

 

 ルフィがポケットから記録指針(ログポーズ)を取り出した。

 あれ?本当になんで持ってるの?

 

「あの2人組から奪った」

「なるほど、ナイスよルフィ!」

 

 これは買った意味無かったな。うん。

 

「この海は常識を疑うのが常識だ。この海に多少知識がある者はいるかな?」

「あ、はい。多分私が1番長いです」

 

「そう言えばお前は出身東の海(イーストブルー)なのにどうやって海軍本部で働いて東の海(イーストブルー)まで戻って来たんだ?」

「海軍本部!?」

 

 ゾロさんの言葉を聞いてクロッカスさんが目を見開く。

 

「んあー…本部までは酔いながら船で。本部からは箒で飛ぶしたです」

 

 それを言うと『あぁそれか…』みたいな雰囲気で終わらされた。

 一応飛んでるものね。例えば海のレストラン探す時とか!

 

「ねェリィン。偉大なる航路(グランドライン)ってどんな気象があるの?」

 

「…えっと、嵐は日常茶飯事。波は多分無茶苦茶。海は突き上げるし海は割れる地震は起こるし空は割れる海賊はうじゃうじゃゴキブリかと言う程発生正直もう滅ぼすてやろうかと思う程に。海賊王志望の青年は存在するは革命軍や国の衝突は良く存在し七武海は先のミホさんの如く不良ばかりかと思えば七武海より厄介な海軍のクソ将校、あ、これはネズミ大佐やフルボディ大尉が良き例ですねそれに気候は無茶苦茶寒きですたり熱きですたり」

「まてまてまてまて長い!長すぎるわ!」

「……まだまだこれからですぞ?」

「途中から気候関係なかったよな!?」

 

 むしろ七武海とかは危険災害だから。自然に発生する嵐くらい理不尽で無茶苦茶だから。

 

 

「ハッ…理不尽が服着て歩きてる存在が災害以外なんだとでも」

「戻ってこい!目が死んでるぞ!」

 

 思わず遠い目をしたら肩を掴まれた。

 

 

 鯨に遭遇なんてイベントが可愛く思えてきたね。

 

「所でクロッカスさん、記録指針(ログポーズ)の使い方は?」

 

 無駄なものに首を突っ込まないのか かろうじて1線引いてあるのか 意図的に避けたのか分からないがナミさんが私を無視しててクロッカスさんに記録指針(ログポーズ)の使い方を教えてもらいに行った。

 

「ナミさん勉強熱心ですなー」

「お前は使い方知ってんのか?」

「当たり前ぞ、ウソップさん。記録指針(ログポーズ)偉大なる航路(グランドライン)では常識」

 

 ピースするとため息をつかれた。

 

「ならあらかじめ説明しとけよ」

「……」

 

 ごもっとも。

 

 

 

 

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 説明も終わり遅めの昼食も取るとそろそろ出航しようかと腰を上げる。

 

「あ、あの!」

 

 聞きなれない声が聞こえて振り返ると青い髪を高く上げた女の人。とりあえず服のセンスは最悪だね、なんだそのグルグル模様。

 

「はて?誰です?」

「…! うん、分かった」

 

 いや、こっちは分からないから説明下さい。

 

「私達実は船と記録指針(ログポーズ)を失ってしまって!そ、それでもしも大丈夫なら仕事の拠点にしてる島まで送ってくれませんか?」

 

 うん、だから誰?

 

「ル、ルフィーー!ヘルプ!」

「んぁ〜?あ!お前らラブーンを食べようとしてた奴!何しに来たんだ?」

 

 あの巨体を食うってどんだけ大食いですか。

 

「あの…えっと……」

「船長は彼、です。聞くならば彼に許可を」

 

 女の人は男の人を連れてルフィに聞きに行った。多分あのラブーンに居た謎の2人組だと思うけど、随分オドオドしい感じがしたな。

 まァルフィもアホじゃないから不審な相手を乗せるわけ──

 

「何だ、そういうことか。いいぞ」

 

 

 ……彼はアホだった。

 

 これからはルフィに許可求めるの最低限にしよ、私で対処出来るなら私でする。

 

「最初の航路で航海が変わってくるんだぞ?いいのか…?」

 

 クロッカスさんも不安そうにルフィを見る。

 

「いいんだ!気に入らなかったらもう1回一周すれば!」

「…そうか」

 

 ルフィの必ず一周回る自信。ハッキリとした返事にクロッカスさんは苦笑いをして説得を諦めた。

 

「航路、どこですか?」

「ウイスキーピークですって」

「んー…行った事なきですがとりあえず海軍支部は無きと思うです」

 

 ナミさんの言う街に聞き覚えがない。

 

 偉大なる航路(グランドライン)の入り口には海賊対策として支部が2個ほど置かれてるけど…、支部が無い街って事はそこまで治安良くないと思うんだけどなー。

 意気揚々と乗り込んできた海賊の最初の島だから。

 

 

 ……あの2人組の言う会社が怪しい。

 しかも本名名乗れないってどう考えてもブラックじゃん。なんだよMr.9ってもはやイジメじゃん。名前で読んでやれよ。

 

 

「よーし!野郎共!出航するぞ!」

 

「…カナエの娘」

 

 クロッカスさんが突然私に声をかけた。手招き?OK私も一味と距離が取れるのは有難い。

 

 

「何ですか?」

「いや。お前の母親の事なんだが」

「あー…インペルダウンです、一応」

「なるほど、捕まったのか」

 

 顎に手を当ててしばらく考えた後クロッカスさんは再び口を開いた。

 

「キミの父親と母親はね、ロジャーの事を愛していたんだ」

「……はァ、そうですか」

 

 それを私に伝えられてもレイさんがツンデレにしかならないんだけど。

 

「それと同時に嫌っていた」

「ほー…」

「何故か分かるか?」

「さァ」

 

「彼がお人好しで海賊らしからぬ海賊だからだよ」

「まるでウチの船長みたいですなー」

 

 海賊王がどんな人間だったかは知らないし興味も無いけど、ほんとにそれを私に話してどうなる。

 

「それなんだ」

「?」

「いずれ背負うものに耐えきれず潰れてしまうのだけは気をつけてくれ」

「……」

 

 気にしないと思うけどなー…。

 

 私の沈黙をどう取ったのか分からないがクロッカスさんは満足げに頷く。

 

「キミがカナエのお腹に居た時、実はカナエがここに来たんだ」

「ヘェ」

 

 見事に興味無いや。

 

「不思議なことを言っていたよ」

 

 

 

 

 

 

 

「『ここで生きてこれて良かった』『いつ消えるか分からないのに居場所が出来て嬉しい』……キミに尋ねるのもおかしいと思うが、彼女は一体何を抱えていると思う?インペルダウンで何がある?」

 

「………ん?」

 

 何だか言い方に違和感があるな。

 ここで生きて、これはまァいいとしよう。自分の母親の過去は知らないが『ここ』が示すものはきっと『海賊船』とかそんな感じだと思う。

 問題は『いつ消えるか』そして『インペルダウン』

 

 消えるってなんだ?死ぬとかじゃ無くて?

 

「何故、インペルダウンで何があると思うしたか推測を聞くしても?」

 

「……。『level5.5』と呟いたんだ」

「5.5?そんな場所はあらぬですよ!?」

「だからこそだ、また予知か。とにかく何か掴んでいるのなら」

「その時の様子細かく教えるしてください!」

 

 何か関係があるのかもしれない。

 あの夢の戦争で乱入したインペルダウンの囚人達と。

 

 

 

 ==========

 

 

 

 

 ──およそ15年前──

 

 

「やあやあクロッカス君」

 

 飄々と突然現れたのは昔と変わらない姿の叶夢、懐かしい仲間の姿にクロッカスは微笑んだ。

 

「久しぶりだな」

「お互い無事で何よりだよ」

 

 黒い髪を尻尾のように振りながら歩く様は昔と少しも変わらず変わっているのは何故か大きい彼女の腹だった。

 

「…………レイリーか」

「だいせいかーい、あの人シャボンディにいるから今までそこで遊んでたんだ。大体半年前に出たからご懐妊ご存知無いよー?」

「いつまで経っても遊園地大好きか!適当すぎるだろうお前は!」

 

 見た目は充分父親と娘だが同年代。ケラケラと笑う叶夢にクロッカスは苦笑いした。

 

「しがない岬だが泊まっていくか?」

「んー?いや、このまま凪の帯(カームベルト)横切って東の海(イーストブルー)に行くよ」

「……お前の小舟なら可能だが、わざわざ此処による意味はあるのか?」

「クロッカス君に会うためー」

「は?」

 

 ピリッと空気が変わる。覇王色の様な覇気を叶夢は纏った。

 

「私、ここで生きて良かった」

「お、おい…どうしたんだ……一体」

「いつ消えるか分からないのに、こんな不安定な存在の私に居場所が出来てとっても嬉しかった」

「カナエ?」

「………ありがとうクロッカス君、私しばらく身を消す」

「待て!本当にどうした!おかしいぞ!いつものアホみたいなお前はどうした!」

 

 思わず肩をつかみ揺さぶると叶夢は泣いた様に笑っている。

 

「ひっどいなークロッカス君。アホって」

 

 もう随分と大きくなったラブーンに1度目を向けると叶夢が一歩下がる。

 

「私には今夢があってね」

「……。」

「ロジャーの子供を守ること」

「……お前の、子供はどうするんだ」

「んー…イレギュラーな子だからなー。なんとかなるでしょ、私には予知出来ないな」

 

 1度お腹を擦り目を閉じる。

 

「いやー、ここに来る前にシャンクスの所寄ったけどアイツ絶対私が妊娠してること知らないだろうなー」

「空気をぶち壊すなアホ」

「アッハッハー!いいのいいの、お気楽なのが私でしょー?」

 

 思わずクロッカスはため息をついた。そうだ、こいつは天性のアホだった、と。

 

「昔っから決めててね!うんうん、どこまで変えられるか分かんないけどいい影響になれば良し!」

「は?」

「そもそももう何十年も前だから細かく覚えてなくってさー…大海賊時代とか言われてる動乱の時代だけど下手に首突っ込んで変えちゃったら困るところあるし」

「お前は私に話す気があるのか無いのかハッキリしろ」

 

「うん、やっぱり変わんない。私この子を産んだらインペルダウンに行く。どーせどっちみち先は短いんだ」

「どうしてそうなる!?お前まで自首するつもりか!?」

「ううん、普通に捕まってみる」

「もっと意味がわからん!」

「level5.5だったはず、うん、多分生きていけれる、まァその後戦闘力の低い私が生き残れるかわっかんないけど」

 

 ボソボソブツブツと言っている思考は全読めない。何故自ら捕まるような事にしたのか、そこに至った経緯が分からない。

 

「フェヒターとかバンは見つかんなかったけど入り口であり始まりのクロッカス君に会えてとりあえず一安心」

「入り口で始まり?なんだそれは………。それにしてもギャバンか、あいつも東にいるらしいが居場所は到底わからん」

「お?ホント?じゃあトラジディー王国にもいなかったフェヒターだけだなー、あの失踪男…」

 

「それで、どうしてインペルダウンになんか入るつもりだ」

 

 

 

「……。だから、ロジャーの子供を守る為」

「お前は予知で何を見た」

「…………私が1番大っ嫌いな予知だよ。命を懸けてでも変えたい未来、()()()()()()だからじゃ無くて()()()()()()として」

 

 叶夢はそのまま後ろを向き、船に向かった。

 

「あ、そうだ。麦わら帽子の()()が羊に乗ってきたら協力してあげてねー、念の為言っておく」

 

「お前は!何を企んでいるんだ!」

 

「聖地巡礼!そして原作改変!かな!」

「まっっっったく意味が分からん!他人に理解出来るように喋れと何度も言ってるだろ!」

「ハーッハッハッハー!」

 

 崖から飛び降りながら高笑いする声がクロッカスの耳に残った。

 

 

 

 ==========

 

 

 

「と、いう訳で出てきた時には1度くらいぶん殴ろうと思ってな」

「………私のお母さんって…ッ!なんだろう伝説って…ッ!」

 

 伝説の海賊団は私の中でカッコイイイメージはもう無い。

 

「麦わら帽子の少年と羊はキミ達だろう?」

「でしょうな、あの帽子はシャンクスさんからですから」

 

 それにしても…バン、東にいるバン、ギャバン、か…。

 つい数時間前に会った気がするのは気の所為だと信じたい。

 

 ……バンさん、か。ラーメン屋兼情報…。

 

「無理!同一人物としか思えぬぅううッ!」

「と、突然なんだ!」

「あぁ…フェヒ爺に殺すされる、あんな写真渡すで無かった」

「フェヒ爺?」

「本名フェヒター」

「………。」

「ちなみにルフィもご存知、10年ほど前より」

 

 クロッカスさんの深いため息にとても共感できた。

 私も知った時驚いたけど同時にため息吐いたもん。仕方ない。

 

「リー!早く行くぞー!」

「あいあいサー!」

 

 

 クルッ、と振り返りクロッカスさんに礼をする。

 

「参考になりますた、ありがとうですクロッカスさん」

「キミ達の道が、恵まれてることを願う」

「経験則それは不可能に等しいですね!」

 

 災厄舐めんな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鯨の影が小さくなった頃に思い出す。

 

「ラブーンって…ブルックさんでは無きですか……!」

 

 遅かった。だがとりあえずヨミヨミの実で蘇ったとしても50歳+α歳食ってる事になるから流石に死んでるか。

 肉体は滅ぶものだもん、0歳からやり直し、とか肉体が老化しない、でなければ。

 

 




「誰?」という言葉で、『ここは初対面として乗り切ろうよ!』と深読みしてしまった空色の髪の女の人。知り合いがいるからウェンズデーじゃ無くて素対応。ある意味良かったが後からかかる胃の負担を考えると酷い。
だいたい8割型戦神の素性暴露。細かい事は頂上戦争当たりで。出しゃばりすぎという意見は分かってます、とても。

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