2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第96話 教訓善意を疑え行為を使え

 

 

「うぅ…寒いいい…」

 

 メリー号は冷暖房が設備されてない。

 偉大なる航路(グランドライン)の航海ではそれはかなり致命的で。

 

「喰らえ!雪だるパンチ!」

「テメッ、何しやがるルフィ!」

「んナミすわぁん!恋の雪かき如何程に?」

「止むまで続けて」

「ぐー…ぐー…」

 

 ち、致命的?

 私の目には凍える仲間の姿は見えなかった。

 

「寒いな…ここには暖房は付いてないのか」

 

 王冠を被ったお客様Mr.9の反応が多分一番正しい。

 

「あ、あの、ナミさん?私もお手伝いしましょうか?」

「本当?でも女の子が体冷やしたらダメだから男共に任せてなさいよ、リィンもね」

「はーい喜んでー」

 

 謙虚なミス・ウェンズデーはナミさんに気に入られてるみたいで敵としての対応は無い。まァ表面は確かに素直でいい人そうだから敵対すると心痛めるよね、私余裕で切り捨てる自信あるわ。

 

「……、えっと、リィン…ちゃん」

「はい?」

「……あ、やっぱりなんでも無い、わ」

 

 さっきっからこんな感じのやり取り繰り返してるけど。

 

「と、ところでナミさん!もうそろそろ記録指針(ログポーズ)を確認した方がいいんじゃないかしら」

「ミス・ウェンズデーの言う通りだ」

「でもさっき確認したの……に………」

 

 腕につけた記録指針(ログポーズ)を確認した瞬間ナミさんは動きが止まった。

 

「ふ、船を180°旋回!」

 

「なんだ?忘れ物か?」

「向きが逆になってたのよ!」

「旋回いたすデース」

 

 波を動かして無理やり回転させるとナミさんがズンズンこっちに来て私の頭を叩いた。

 

「無理やり波を動かさないって言ってるでしょ!」

「解せぬです!」

 

 ナミさん航海術に関しては逆らえない。余計な手出し出来ないや。

 

「リィンちゃん大丈夫?」

「残念な事に叩くされるは慣れてるです…」

 

 主に七武海がな!遠慮なく私の頭をばっこんばっこん叩きやがって!絶対本気だろ!私の頭はピンポンですか?叩いて逃げてってピンポンダッシュかちくしょう!

 

「風が変わったぞ!」

「ヤベェ、氷の山!?」

「風が強すぎる!リィン調節できる!?」

「可能です!」

 

 一気に船内が慌ただしくなった。

 

 個人的にもうそろそろ酔い止め切れるから飲みたいけど無理か。

 

「ぼーっとしないで!ほら動いて!ゾロ、あんたは邪魔だから船内に居なさい!」

「Mr.9!手伝うわよ!」

「え、わ、分かったよミス・ウェンズデー!」

 

 思ったより謎の2人組が働いてくれるからちょっと感動。

 

「お2人はうぃすてーぺーくから」

「ウイスキーピーク」

「……街から岬まで来たと言う事はそれなりに航海出来るですよね!?ナミさんの指示にアドバイス頼むです」

「で、でもリィンちゃんの方がいいんじゃ…」

「残念な事に船はからっきしです!単独で避けるは可能ですが他は無理!」

「大声で宣言できるほどご立派な理由じゃないわよ!恥じらいなさい!…ところで恥じらいと言ったら思い出したんだけどローグタウンでリィンに合いそうな服を何枚か買ってきたから満面の笑みもいいけど恥じらいながら着てくれるとお姉さんの性癖的にとても嬉しくて──」

「「「「ナミ/ナミさん!指示!」」」」

「ッ、30°ズレた、取り舵!」

 

 

 

 

 

 

 ==========

 

 

 

「つ、疲れるした……」

 

 なんかもう無駄に精神力使った。

 氷山ぶち壊したり海王類撃退したり嵐から逃げたりクルクル変わる天候に嫌気がさした段階でやっと、やっとウィスキーピークの気候海域に突入したようで気候が安定しだした。

 

 そう言えば最初の航海で大体海賊の3分の2は心折られるか死ぬって言ってたな。

 

「お疲れ様」

 

 ミス・ウェンズデーさんが疲労した顔で隣に座ってきた。

 ちなみに私は後方担当。サンジ様は料理とか裏方担当でナミさんは女子部屋の前やミカンの前で全体を見てる。

 

「お疲れ様です…ウェンズデーさん」

「……。リィンちゃんはどうしてこの船に乗っているの?」

「はへ?」

「えっと、ルフィさんにウソップさんにナミさんにサンジさんにゾロさん、だったかな?海賊でしょ?」

「あー…。元々居た場所を辞めるしてこちらに来たです、成り行きですよ」

 

 潜入してます、だなんて言えるか。

 

「え、辞めちゃったの!?」

「へ?あ、はい」

「そっか……ちょっと、残念だな」

 

 キミが残念がる理由が分かりません。

 

「私の事、聞かなくていいの?例えば仕事とか」

「聞きたくないです」

 

 そっと目を伏せて呟いた。

 私は巻き込まれたくないんだ。

 

「そっか、ありがとう」

「?」

「聞かないでくれて、ありがとう。これは私の問題だから……リィンちゃんに聞かれたら答えて巻き込んじゃう」

「は、はァ」

「私、貴女にはなるべく嘘つきたくないから。聞かないでくれて、ありがとう」

 

 そ、そりゃどうも?

 

 何だか話が微妙に噛み合ってないけど…まァ巻き込まれないならいっか。

 

「私サンジさんに何か貰ってくるね」

 

 ウェンズデーさんが階段を降りて行くのを見送ると私はドテッと寝っ転がった。

 

「今日は散々ぞ……」

 

 ローグタウンから逃走してロジャー海賊団の人に会ったかと思えば怪しげな会社員。

 

 知ってるか、これたった1日で起こってるんだぜ。

 

 

 

 

 ………もうこれ以上が無いことを願う。

 精神力を半端なく使う魔法…みたいな不思議色の覇気(仮)使えないから。

 いつまで(仮)が付くのかな、もうぶっちゃけ覇気で良くない?悪魔の実って言う必要性を感じなくなったんだが……。いや、海楼石を対処される利点があるからそのままでいいか。

 

 

 

「つかれたー……」

 

 沈みかけた太陽が嘲笑ってる気がした。「てめえの災厄がこの程度で終わるわけねーだろバーカバーカ」って。うるさい黙ってろあーほ。

 

 

 

 

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 正直私の災厄って五臓六腑全てに呪いかかってる。

 嫌な予感しかしないよあの島。

 

 サボテンの島、とりあえず私はゾロさんと一緒に室内にいるけどもうね『歓迎の町』とか可笑しすぎるでしょ。リィンさん大爆笑だよ。

 

 意気揚々と名乗りをあげる為にやって来た海賊を厄介だと思わずに英雄扱いするってなんだよ。

 

 しかもウェンズデーさんに分かれる前、 『島では命に気をつけて』ってこっそり耳元で呟かれてふざけんな。

 

 

「……お前は出なくていいのか?」

「嫌です、ゾロさんと一緒に居るですから」

 

 私は男部屋のベットに腰掛けてゾロさんの頭をもふもふした。

 君が心配なんだよ無自覚方向音痴。

 

 今日の昼キミ勝手に船でてたしぎちゃんに喧嘩売られたの覚えてる?

 

「じゃあ一緒に船番だな…眠い、寝る」

「さっきまでグースカ寝るしていた癖に…。一緒にとか言うした癖に実質1人とかイジメですかね」

 

 とにかく今日は疲労がやばいから何事も起こらないでくれ。

 

 

 一応心配だから覗き見しておこう。

 

──キィ…

 

「んん゛、マーマ〜マ〜。いらっしゃい、私の名前はイガラッポイ」

 

 …………。あれれ〜、おかしいぞ〜?あの人私の過去No.1の格好(髪型のみ)に似てる気がするー、どっかの国の護衛隊隊長そっくり(な髪型)だ〜!

 

 幻覚だ幻覚。きっと夢見てんだ、私。疲れてるもんね今日。

 

 

 どうやら酒の席を設けるとか言い始めたけど怪しいよなー。

 

 

「宴だって、参加するの?」

「「「勿論!」」」

 

 甲板の男3人が肩を組んではしゃぎ出した。

 

 あ、これダメだ。こっちも放っておけないけどあっちはもっとダメだ。

 

「仕方ないわね…えっと、イガラッポイさん?船に怪我人が1()()残ってるけど気にしないで」

「それは心配だ、誰か1人くらい看病に…」

「いいのよあんな奴、勝手に放って置いて頂戴。野垂れ死にしたらその時よ」

 

 ナミさんが強くいうとイガラッポイさんは渋々引き下がった。

 

 …ナミさんは怪しいと思ってるのね。

 

 あの男3人が余計な事を口走らなかったらこの船には怪我人が1人居ることになるのか、不意をつけるし私1人見捨てて逃げれるだなんてとても素敵ね。

 

「それではご案内しましょう」

 

 

「………行ってらっしゃーい」

「…!」

 

 小声で見送るとナミさんがグルンと振り返った。え、まさかこの距離と声で気付いたとでも!?あの人人間辞めてるの!?

 

 ナミさんの恐怖はドフィさんのストーカーの恐怖と同等。

 

 

 

 

 

 

「……気の所為よね、お見送りの声が聞こえたなんてきっと気の所為…いえ、もしかしたら私とリィンは以心伝心で思ってることが幻聴として私の元に…!」

「ナミ!何言ってんだ?早く行くぞー!」

「あ、うん!」

 

 

 

 

 ==========

 

 

 

 

 

「……い、おい…」

「ん…う………びゃい」

「起き、ろ!」

「んぎっ!」

 

 ゴツンッ!と激しい痛みが脳天に響いた。

 

「はい……起きてる……」

「寝てんだろ、ほら、さっさと隠れろ」

「んほぉー?」

 

「外に敵の気配がす…──早いな」

 

 ゾロさんの言葉に意識が覚醒する。

 慌ててゾロさんの布団に入り込んだ。ここ、多分安全。

 

「……ッ!」

「……痛むですか?」

「どーってことねェ、よ。心配すんな」

 

 心配しますよ、戦力(ゾロさん)

 貴方が居ないと戦闘員の優先として私やサンジ様が選ばれるんですー。早く回復して戦力になってください。

 

 

 

──キィ…

 

「「!」」

 

 扉の開く音が聞こえて声を止める。

 

「貴方が、〝堕天使〟ですか」

 

 確信した様な呟き。

 ……認めたくないけど堕天使って私だよな?敵さんから見えてるのってゾロさんだけでしょ?

 

「もっと小柄だと思っていたが剣士…あの懸賞金も頷ける」

 

 

 

「……おいどういう事だ説明しろ堕天使(※小声)」

「……多分、写真では顔が特定不可能故だと(※小声)」

 

 ふむ、使える。

 

「頑張るて堕天使のリィンさ…いでっ(※超小声)」

 

 応援したら蹴られた。痛い。

 

「さて、死んでもらおうッ!」

 

──ガキンッ!

 

「ハッ、随分と俺が好きみたいだなァ。どうした、そんなに夜這いがしたかったか?」

 

 そのセリフはどうかと思う。

 

「そうだな、貴様の首には興味があるからな…堕天使」

「チッ…めんどくさい」

「死んでもらう…!」

 

 布団の中だと外が見えないから声だけで判断するけど所々「ぐへっ」とか「うわあ!」とかが倒れる音と共に聞こえて来るから多分ゾロさん怪我人でも余裕で勝てる。

 ……メリー号がボロボロにならないか心配だけど。

 

「ぐ…ッ!」

 

 ゾロさんの唸り声が聞こえた。

 

「……怪我人、だったな。私以外やられてしまったが」

 

 そっと布団から覗くと護衛隊長に似た人とゾロさんしか居なかった。ゾロさんは膝をついている。

 

「へへ…思い出したぜ、ずっと引っかかっていたんだが。お前らBW(バロックワークス)だろう?」

「ッ!」

「社長の司令に黙って従う秘密結社…違うか?」

 

 悪の組織みたいに言わないで欲しい。実際そうかもしれないけどさ!

 

 

「そこまで知っているとなると生かしておく事は出来ん…私の為に死んでくれ」

 

 ヤンデレかよ…ッ!

 

「待つして護衛隊長さん…!」

 

 慌てて飛び出し銃を弾こうとしたが手元が狂って箒はゾロさんの脳天に直撃した。

 

「………ご、ごめんなさいぞ」

 

「な!何故キミがゴッ…マ〜マ〜マ〜。──何故キミがこんな所にいるんだリィン君」

「あれ?思うしたより素直に吐くしますたね、いいのですか?イガラッピーさん」

「イガラムだと何度言えば分か…ッッッッ!」

 

 ハッとなってしまえば私の勝利。

 護衛隊長(仮)は護衛隊長になりましたー!やったね!

 

「は?え?は?」

 

「………………待てよ」

 

 ちょーーーーっと、考えてみよう。

 ただいま現在内乱でゴタゴタしてるアラバスタ国の護衛隊長が自国を放って怪しげな会社しかも指令制の所に入るか?しかもこの人はアラバスタラブ。

 そうしなければならない理由が、あった。自国の為に会社に入らなければならない理由が。

 

「……………読めるした………」

 

 今、内乱を生み出せる元凶となり。資金があり。アラバスタにとってかなり不利に追い込める頭脳を持ち合わせて。強い部下を抑える強さがあり。意味深な事を呟いて私を引き入れようとしてた野心の多き人物は?

 

 

「キミの強さを見込んで頼みがあ──」

「いやいやいやいやいやいや!!!!ないないないないないいい!」

「は?」

「あ、ゴメンです。私を巻き込まぬ範囲で話をどうぞ」

「無理だ、諦めてくれアラバスタの為に」

「私だって無理ですその様に厄介な厄に首を突っ込むするは!」

「それでもビビ様の幼馴染みかあんたは!早くとっとと箒に乗るなりしてビビ様助けて来なさい!」

「黙るしろ貴様!貴様に私の何が理解可能ぞ!それにこちらの島はキミ達会社の島ですよね!?直接的な危機は無き筈です!」

 

 

「はいはい、とりあえずあんた達落ち着いて」

 

 イガラムさんと言い争いをしていると女の人の声が乱入してきた。

 

「ナミ、さん?」

「ええそうよ。リィン怖いのによく頑張ったわね」

「は、はァ」

 

 数歩下がって距離をとる。

 その行動に少し残念そうな顔をしながらもナミさんは事態収束を優先してイガラムさんに向き直った。

 

「話の流れはよく分からないけど立場は分かったわ。あんたはアラバスタって言う国の兵隊さん、それでリィンの顔見知り」

「あ、アァ……確かにそうだが」

「それで、あんたはリィンに助けて欲しいと言った。そうね?」

「事実だ」

 

「10億ベリーで手を打とうじゃない」

 

 そして怪しげな笑みで最悪の提案をしてきた。

 

「まてまてまてまて、ナミさん国家予算ほぼ全て引き抜くつもりですか!?」

「そうよ、()()リィンを困らせるんだからそれくらいは当然よね?」

「ジャイアニズム!」

 

 内乱中の国にそんなお金はありません。

 

 

 って言うかさ!仕事して革命軍!国と!市民と!平和の!危機ですよーー!私が巻き込まれない内に解決してサボ!

 

「と、とにかくビビ様を早く助けて欲し」

 

──ドォンッ!

 

 突如爆発音が町の中心から発せられた。

 

「ねェイガラムさん。ビビ様って言うの、ここにいるの?」

「もちろん、キミ達と一緒に来ただろう!?」

 

「………ウェンズデー、さん…」

 

 サーッと顔が青くなる。

 もっと待って、私まさか一国の王女に無礼を働いた?

 

「安心してリィン。あの子、助けるわよ」

「大変心苦しい。海軍を辞めたであろうキミに頼むことでは無いがビビ様やアラバスタの危機なのです。頼みました……」

 

 私の顔色の変化にナミさんやイガラムさんは何を勘違いしたのか。

 私ひとっこともオーケー出してないよ?

 

 でも、知ったからには引き返せないんですよね!これがまた!ええ知ってますよ、私大将ですもの!知らないままを突き通せないんだよね!

 

「……ルフィとウソップさんとサンジさんは?」

「怪しかったからサンジくん起こして一応警戒してもらってる」

「イガラムさん、今ビビ様は何処に?」

「麦わらのルフィ君を討伐しに向かったがあの爆発音は多分その性だろう。きっとキミ達の言うサンジ君が──」

 

 状況を確認して急いで箒に飛び乗る。もちろんどこで顔が割るか分からないのでフードを被って。

 

 

「絶対に恨むぞ…そしてロリコンの噂を全世界に広めるぞ鰐ィ…ッ!」

 

 ダブル王族に危害を加えようとするアホに向かって後ろから付いてくる大人達に聞こえない様、そっと呟いた。




色々とカオス。そして回転率の早い頭の性で察する黒幕。これから苦難ですね。

ちなみに戦神の設定は今の大海賊時代で捏造した設定を過去で原作とすり合わせてもらう為に作りました。

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