「うん、確実に熱中症だな」
岩陰でサボの診察をしてくれたチョッパー君が迷いなく判断を下す。よかった…!ちゃんと人間だった!
「お前それ本人に聞かれたら殺されるぞ」
「口に出すしてた?」
「めちゃくちゃな」
ゾロさんが私の頭を軽く叩く。
「残念だったなゾロさんや」
「あ?」
「私普段の態度で十分すぎる程殺すされる。今現在緊急事態と私に鍵があるという理由のみです生き残るしておりますピース」
「大丈夫じゃなかったな」
ハハハー…この戦争が終わると私の命がどうなるか分からん。多分ボコられる。
「あー…リィンちゃん」
「コ、コアラさん何事?」
「聞きたいことはたっっっくさんあるの」
「は、はひッ」
「おう、俺も多分革命軍の姉ちゃんと同じこと考えてるよい…。聞かせてもらうが拒否権はねぇよい?だがな」
「でもね───」
「………………。」
「………………。」
「……それより前に、リィン。アイツら何とかしてくれよい」
「えー…」
「──お願いリィンちゃん、この空気は耐え難い!」
マルコさんとコアラさんが手を合わせてお願いしてくる。ちらりと向けた視線の先には地面を見ているエースと体育座りで顔を隠してるルフィ。
「はぁ」
仕方ない、黙ってる私にも非はあるし。
「エース…ルフィ……」
「サボって奴はな」
話しかけるとエースが口を開いた。
「サボは、俺達のもう1人の兄妹だったんだ」
後ろでコアラさんが息を呑んだ。
この人だって頭が良い。今までの事や初対面でのやり取りと総合すれば簡単に察することが出来たのだろう。
私は無言で首を振る。まだ、言っちゃダメ。
「天竜人ってのに殺されちまったけど」
「天竜、人」
「この世界で…一番の権力保有者です。人を人と思わぬ仕打ちをする事ぞ有名でマリージョアに住むです」
海を知らない一味達に情報を追加する。
ただビビ様は知っていたみたいで唇を噛んだ。
「10年前、までかな。一緒に暮らしてたんだ」
「そう言えばルフィ達全員家名が違うけど」
「義兄妹だ。本当の兄妹みたいに過ごしてた」
「本当の兄妹みたいと言うなれば私に孕めなど言うは禁──「黙ってろよい糞ガキ」」
シリアス破壊の気配を察してかマルコさんが私の口を塞いだ。うん、利口な判断だけど個人的にはふざけるな案件かな。キミが四皇の懐刀じゃなかったら殴ってた。
「俺と同い年でしっかりしてる奴だった。強いし見聞色の覇気は子供ながら使えてたし。ただ、………俺たちを一番に考えて貴族の家戻ってったのは気に食わねぇけど」
「初耳だよい…そんな出来た兄妹がいたんだねい」
「おう、自慢の兄妹だ」
力なくへにゃりと笑うエース。
ジュワッと肉が焼ける音がしてルフィが顔を上げた。
「元気が無い時は飯を食べるが一番だ。ルフィ、お前の自慢のクルーの料理はどれほどいるんだ?」
タバコの煙を吐きながらサンジ様がフライパン片手にニヤリと笑った。ナイス話題変換&機嫌回復!サンジ様が仲間で良かったと唯一思う所はその料理の腕前だね!!!他の要素は要らん。特に国とか国とか。
「もちろん沢山だ!」
ルフィはその言葉に元気よく答える。
三時のオヤツ代わりにサンジ様のお昼ご飯?遅めだから軽くセーブして食べないと。
「ん……ぅ……」
倒れていたサボが小さめの唸り声を出した。咄嗟に声をかけたのはビビ様。そして医者のチョッパー君だ。
「参謀総長さん…大丈夫?」
「ん…悪いな姫さん、足止めて。すぐに出発しよう」
「お、おい、参謀総長。どこか痛むか?」
「平気だ」
上半身を起こして軽くサボが言う。
しかしチョッパー君はその返事に不機嫌になる。サボが不思議そうに見るとチョッパー君がポツリと呟いた。
「俺はこう見えても医者だ。丸め込まれないぞ」
「は…」
「ガマン出来るか出来ないかじゃない。痛むか痛まないか、だ」
「……………………少し、痛む」
チョッパー君が睨むとサボは降参したように手を上げる。わぁ、医者って強いなぁ。
「タヌキ君凄い…あの仕事人間のサッ、んぼう総長君を黙らせるだなんて……革命軍に欲しいかも」
その気持ちはとても分かる。でもあげないからな、私のいざって時の簡易盾兼非常食。
「革命軍のにーさんよ、丁度飯にするつもりではあるんだ。ルフィは化け物の胃袋を持ってるからな」
「ん、すまない。その間は全力で休む」
サンジ様の気遣いに気付いて素直に休むことを宣言した。くそ、私には塩対応なのに何でこんなに優しいのかねこの人は。
ちょいちょいっと手で私が呼ばれたので行ってみる。
「膝、借りる」
「重い、やだ」
「普通そこは従えよ」
いい、と言ってないのに勝手に膝を使い始めた。
んんー、仕方ない人選っちゃ人選か。
「リィンちゃんは信用されてるのね」
ビビ様がそっと呟く。
サボの顔や名前を知っているのは私とコアラさん。マルコさんは気付いてるだろうけど。
膝枕=身動きが取れない。という状況で私かコアラさんの選択だとどう考えても敵の私だろう。
私が革命軍を殺せないと判断して、身の危険は少ないから押さえられてる。そしてその間コアラさんは何かあった時に逃げれる様に。
ヤダヤダ、素直に甘えてるって選択が出てこない辺り私も大分荒んでるよなぁ。
「信用してくれぞ、サボ」
こっそり呟いたはずなのにマルコさんにだけは聞こえてたみたいだ。ギョッとして目を見開かれた。
「チッ、やっぱりな。嫌な事だけ当たるよい……」
「すまぬですマルコさん」
「なんかあるんだろい?」
「それなりに」
私が翻弄される側に立つ様な頭の持ち主は嫌いだけどアウトとセーフを見極めれる頭のいい人は好きです。
「なぁリー」
もぎゅもぎゅと肉を頬張りながらルフィが声をかける。なんだなんだ?
「なんでかくめーぐんって奴らと知り合いなんだ?」
「へ?」
「緊急会議でもちょっと出モガっ」
「ルフィストップ」
ルフィの口をナミさんが慌てて塞ぐ。緊急会議ってなんぞや。私の知らん間に何が起こったんだ?
「まぁ、私もサボの1件で思う事が多々ありてね」
ふぅーっとため息を吐く。
私、超頑張った。まさかサボがいる所が革命軍だとは思わなくて吃驚したけど。
「サボを探すが為にコンタクトを」
「また雑用が危ない事を……………」
マルコさんが冷ややかな目で見る。
うん、そこは雑用じゃなくて大将がって言いたいんだね!分かってるよ!自分若かったんだ!2、3年前だけど!
「心配せずとも、最終手段は持ち合わす」
「まさか物理じゃないよな」
「残念ウソップさん外れ。正解は情報」
「なんのだ?」
首を傾げるルフィに答える。
「ルフィの父親」
「え!?」
使ったね、結構。
そのお陰でコンタクト取れたんだから有難いけど。
「革命軍にいるよ、ルフィの父親」
「あ〜〜〜〜……あの時の…」
コアラさんが遠い目をする。
「そっかそっか、キミだったか。うん、それもそうだね。家名が一緒」
「……知ってんのか?」
「うん、よーく知ってるよ」
ルフィ、会ったことあるんだけどね!
「リーって昔から本当に無茶するよな」
「風評被害!」
エースの言葉に思わず反論する。
「だって虎を追い払ったり」
「あれは命の危機!普通考えるして!?エースが背負うした私は何をする可能と!?」
「じじいに挑んだり」
「なんとかしろと言われたぞ!?嘘泣きせねば潰れるしたはエースとサボ!」
「あの料理は個性的だったけど」
「んぎゃぁあ!下手な励ましはポイ!」
どんどん私の黒歴史が発掘されてる気がする。ルフィは自分がいなかった頃の話だと察してか興味津々でナミさんと話を聞いてる。
「怪我が治ってからも無茶して」
「お前らが連行した故ですよね!?」
「ワニ相手にルフィとお前だけで戦ってただろ」
「筋力家出の私とルフィを置いてけぼりしたはにいにぞ!?解せぬ!」
「あー!それ俺も覚えてる!途中で野鳥も襲ってきてあっぶなかったなぁー!」
「危ないのレベルでは無き!」
「エースとサボが間に合ってよかった!」
「ですな!私連れ去られる一歩前!」
めちゃくちゃ怖かった。あれは怖かった。
あの後サボが『お前との決着は今度つけてやる!』という有難くもないお言葉を野鳥(ハゲ)に言いつけてワニを倒したんだったか。
「そ、それでどうなったんだよ」
「2匹とも美味しく頂くました!」
ウソップさんの言葉に嘆く。
私、よく生きてた……褒めるよ。
「頑張ったね」
「当時4歳の私はろくに能力も使えず…サボ、サボだけが頼りですたのに…貴族、貴族の気まぐれ…天竜人……うううううう!まじ、ふざけるな!サボが消えねば私は海軍になぞ入ることには…ハハハーーー!!!王族嫌い!不利益になる権力者嫌い!」
「うん、全部繋がった。ごめんねリィンちゃん」
「謝罪、不要。早めの革命、依頼」
「おっし!任せて」
コアラさんの元気な笑顔は癒される。
握り拳を作って意気込んだ。
「おいこらリィン、お前何を依頼してんだよい。元海軍の、お前が、革命軍に、革命を、依頼?」
「どうどう…」
「馬かよい!」
バコンッと頭を叩かれる。マルコさんはパイナップルでも、私の頭はクイズ番組の早押しボタンじゃないからな!?
「私がこの世で最も厄介と思う人種、それはストーカー………。私物にビブルカードが混ざるしてた時は恐怖を覚えるした、あいつ絶対楽しんでやがるぜ」
「あっ、なんか読めた。本部に居てもコンタクトが取れて国ってアイツしか居ねぇよい。察しのいい自分が嫌」
マルコさんは胃を押さえだした。私、もはやドフィさんに関しては悟りの境地入ってるから。
……今会ったらストレスで禿げそう。吐血しそう。
「お前本当にどこを目指してるんだよい……」
「ハハハー…三大勢力攻略すてやらぁ!!」
「やけくそだねい!?」
察しのいいマルコさん大好きー!
「つーかお前の場合父親居れば余裕だろい」
「せやな………」
寿命が一番の敵、シルバーズ・レイリー。それが私の頭がおかしい父親です。
「うぎゃ」
ガシッと顔面を掴まれた。膝の上に寝てる男に。
「────…知ってるか?」
「知ってる!知ってるぞ!人間の頭蓋骨はリンゴの如し!すまぬ!すまぬううう!」
くっっっっそ低い声と頭を握る手に力が込められる。辞めてください死んでしまいます。
「ん、楽になった。出発しよう」
足を止めされて済まなかった、とサボが頭を下げる。しかしふと気付いたのか視線をナミさんやビビ様の後ろに向けた。
「……そのラクダは?」
「「「「あ…」」」」
サボが倒れたやらなんやらでバタバタしてて忘れてた。トカゲに追いかけられてたラクダ。
「…………非常食?」
「「「やめんかアホ!」」」
なんでもかんでも食べ物を中心に考えるなと長男トリオ(マルコさん エース サボ)に怒られた。
解せぬでござる。
ビブルカードは距離の掴めないGPS