2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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今までで!一番の!出来です!


第125話 雨が降ったら嵐になった

 

 

 アラバスタ王国に起こった反乱は今朝仕組まれた事だと発表されました。午後丁度に関係者から事情説明があると聞いて雨の中広場に沢山の人が集まっているッス。

 

 自分は日刊アラバスタ新聞社の新米記者!今回の件、一言たりとも逃してたまるか…!

 

『…──……─………──こんにちは』

 

 ジジっというノイズの後に1人の女の子の声が響いたッス。はて、女の子?

 

『私は、旅の作家です。第三者からの目線という事で説明役に抜擢されました……』

 

 なるほど、作家さんだったッスか。

 俺は早速メモを取った。

 

『今回、反乱が起こった原因。…──…それは一人の男の狂った愛が引き起こしました』

 

 ノイズの音に紛れて上ずった声が聞こえました。

 一人の男とは一体誰だろうか。気になるッス。

 

『その男の名は…クロコダイル。この国の英雄です』

 

 こ、これは大スクープ間違いないッスね、しかし俺達の英雄が何故反乱の原因になったのか不明ッス。

 周りを見渡せば動揺してる人たちが沢山いました。

 

 その動揺を読んでいたのか作家さんの声がしばらく止まりました。ふぅ、自分も動揺を落ち着かせる事が出来て話に集中出来ます。

 

『この国には、BWという内密な組織がいました。その組織は国の乗っ取りを企む組織で、国内へダンスパウダーを仕入れたりして国王コブラ様の信用を無くす手段に手をつけました』

 

 その言葉に更に動揺が走る。

 ど、どういうことッスか。じゃあ国王は無実でBWってのが捏造してたって事ッスかねー!?

 

『そのBWのボス……影で操っていたのは──クロコダイルさんだったのです』

 

 

 な、何だって〜〜〜ッッ!!!???

 

 

 こ、これは大大大大スクープじゃないッスか!

 

『しかし!ここからが皆さんに聞いていただきたい事なのです…! ここから先のお話は、クロコダイルさん本人と今回の件に関わった海兵さんに聞いたお話を元に考察しました。軍に関わる方にお話した所、否定の言葉は出なかったのです』

 

「どういう事だ…」「ク、クロコダイルさんが…!?」「国王は無実だった…!やった!」

 

 周囲からいろんな声が飛び交います。

 

 聞き漏らさない様に黙っていますが俺だって叫びたい、あのクロコダイルさんがどうして!!それに軍って海軍の事ッスかね、海軍公認の話って事じゃ無いッスか!

 

『クロコダイルさんは数年前からこの国に居ます。そしてこの国を乗っ取ると決めた事とそれは関係していたのです。何故そうなってしまったのか、私は考えました…』

 

 ザワザワとした声が聞こえなくなりました。恐らくここから先が本題だと皆気付いたのでしょう。

 英雄と言われたクロコダイルさんがどうして国を乗っ取る事になってしまったのか、皆その本意を聞きたいみたいッス。

 

『クロコダイルさんは、この国に来たその日。────なんと、ビビ王女に恋をしてしまったのです!!』

 

 

 な、何だって〜〜〜ッッ!!!???(2回目)

 

 

 ど、どどど、ど、どういう事ッスか、クロコダイルさんがビビ様に恋!?だって、クロコダイルさんがこの国に現れたのは数年も前の話でその当時はビビ様子供だったッスよね!?

 

 どこかで吹き出す音がしました。

 アレは……海兵さんッスかね。

 

「あの、海兵さん大丈夫ッスか?」

「ゲホッ、ゲホッ、だ、大丈夫だ。すまないな」

「い、いえ。その、ビックリするニュースだったので当たり前かなって思ったッス」

「あ、あー……うん…似てるけど……違うんだよなぁ……イル君不憫な奴め……」

 

 何故かブツブツ言い始めたので放って置いて大丈夫ッスかね、今はひとまずこの放送を聞き逃さない様にしないと!

 

『皆さんも察する事が出来たでしょう…──そう!ロリコダ、クロコダイルさんは!ロリコ…少女愛好家だったのです!』

 

「ゴぼフッ!!!」

「あの、大丈夫ッスか?今喉から出ちゃならない変な音が聞こえたッスけど……」

 

 思わず海兵さんの様子に心配してしまうッス。

 

「ごっ、めんっ、ゴホッゴホッ、ゲホッ、大丈夫、大丈夫だから心配しないで放って置いてくれ…ゲホッ」

 

『クロコダイルさんは恋をして以来、夢見たのでしょう。嗚呼、一緒になるにはどうしたら…と!!そして追い詰められた彼は思いついてしまったのです!国を乗っ取り、傍にいる事を!』

 

「何だってそんな事を…!」「クロコダイルさん……いや、兄貴と呼ばせてくれ…!」「そんなにこの国のお姫様を愛して……っ!」

 

 くぅ、辛い運命ッス。王族と海賊じゃ立場は圧倒的に違うッス……!そんな中悩み苦しんだんッスね!

 

『皆さんだって愛はあるでしょう……?その愛は真っ直ぐです。しかし彼の場合違ってしまった!お互いの障害物の性で歪んでしまったのです!』

 

 皆が持ってる愛。愛なら仕方ない、愛っていうのはそれは凶器にもなってしまうんッスね…学びました。しかし流石作家さんッスね、上手い言葉回しに皆うんうんと頷いていました。

 横にいた海兵さんを除いて。

 

「可哀想なクロコダイル……」

 

 あ、違ったッス。

 普通に同情してたッス。

 

 やっぱり海兵さんでもそう思うッスよね!!!うんうん、年の差や身分の差がフルセットで襲ってくるこんな愛は悲しすぎるッスから!!

 

『そしてクロコダイルの狂気に気付いてしまったビビ王女は海へ逃げ出しました、歪みを直すために…そして国を助けて貰う為に』

 

「ビビ様……」

 

 ビビ様はどうやらクロコダイルさんを正気に戻したかったみたいッスね、それで行方不明になってたんッスか。

 

『秘密裏に動いていた海軍と、そしてたまたま出会った気の良い海賊に頼み…』

 

 海軍の皆さんは気付いてたんッスか。

 でも海賊が出てくるとは思っても見なかったッスけどなんでッスかね。

 

『なんやかんやあってクロコダイルは倒されました。心の広い海兵。そしてある一味の力の元に!!私は問いました!何故気付いたのですか、と!この国に居合わせた最高なる戦力の女性に!』

 

「最高なる戦力…まさか大将か!?」

「ゲフッ!」

 

 しかも女性という事は大将女狐……!海軍、何とも恐ろしい情報収集能力…!でもそんな方々が自分達の為に!

 驚くとまた海兵さんが変な音を出したみたいッス。

 

『守りたい人がいるから。そう語って居たように思います』

 

「………無理やり過ぎるだろ…これ…」

 

 なんていったか聞こえづらいッスけどこれはしばらく話題に上がるッスね!記者の勘が告げているッス!

 

 

『そして雨が降りました。この空はまるで振られたクロコダイルの涙の様に!』

 

「あ、振られた」

 

 隣の海兵さんが何か言ってる様ッスが関係ない!俺は今猛烈に感動してるッス!

 報われてくださいクロコダイルさん!

 

 あ、でもうちのお姫様に手は出さないで下さいッス。

 

『私はこの雨を〝王女の奇跡〟と呼ぶ事にしました』

 

 なるほど、作られた王の奇跡に対抗した清らかな雨って事ッスね……。尊い!この雨が尊いッス!!

 

『一言だけ、クロコダイルの言葉があります』

 

 な、何!?クロコダイルさん御本人の登場ッスか!?

 

「は、え、おい……スモーカーさんは…。え、どうして、イル君が外に…?」

 

 なんか分かんないッスけどイル君ってどこかの迷子の名前ッスかね?海兵さんも大変そうッス……でも俺の黄金の右手が動くことを止めない!一文字一句逃してたまるか!

 

『…──…─…クロコダイルだ』

 

「お、俺クロコダイルさんの声聞いたことあるッス!間違いなくこの声クロコダイルさんッス!」

「な、本当にクロコダイルさんが…!」

 

 俺の声に周囲が動揺する。

 スゲェっ。ロリコ…少女愛好家と言われても尚人前に声だけでも出せるクロコダイルさんのメンタルが凄いッス…。

 

 どこからか兄貴!とか言ってる声が聞こえます。

 いえすろりしょたのーたっち、ってなんの呪文ッスかね…、滅びの呪文?

 

『今回、俺の無茶な行動に振り回してしまいすまなかった。許して欲しいとは言わない、ただ認めてほしい。俺が愛していたと』

『─ゲボッ…─!』

『─大丈…──か?─…──まぁ、そういう訳だ』

 

 作家さんのまるで動揺した様な不思議な声が聞こえた気がしたッスがなんでッスかね…?

 疑問ばかりが浮かびます。……後で海兵さんに聞いてみるッスか。

 

「こんな素直なイル君気持ち悪い…何をしたあの天使の皮かぶった悪魔……」

 

 天使の皮かぶった悪魔??誰のことッスかね…更にちょっとした疑問は湧きますが今はクロコダイルさんの事ッス!

 

『安心してほしい、踏ん切りは付いた』

 

 あ、そうッスか。

 

『……以上です。ご清聴ありがとうございました。なお、海兵の方々は皆さんが快適にこれからを過ごせるよう後始末に追われているので質問は勘弁してあげてください』

 

 その声を最後に放送はブツリと切れた。

 ぐぬぬ…忙しいのであれば仕方無いッスね、諦めるとしますか…。それでも充分過ぎるほどの情報と驚きッスから大丈夫でしょう!

 

 

 

 

 明日の見出しは【すれ違った愛 悲しき立場と奇跡の雨】に決まりッスね!!

 

 

 

 

 

 ==========

 

 

 

「リィン…それは流石に酷いわ」

「それは無い」

「クロコダイルが可哀想」

「それはちょっと…」

「お前は男の尊厳を踏みにじった!」

「無い、無いわ」

「哀れだな」

「すまんな、否定出来ん」

 

 放送を終えてスッキリした私とMr.2の前に現れた協力者達が酷い目を向けていた。

 

 解せぬ。




これの恐ろしい所は一言たりとも嘘を言ってないって事。




解説

>作家
予定かもしれない
>軍に関わる方
海軍とは言ってない。革命軍かもしれないし反乱軍かもしれないし国王軍かもしれない。
>否定の言葉は出なかった
つまり肯定の言葉も出なかった
>ビビ様に恋を
『私は考えました』という個人の思考
>ロリコ…少女愛好家
嘘ではない
>恋をして以来、夢見た
(((誰をとは言ってない)))
>最高なる戦力
女狐と公言してないし『(がめつさが)最高なる(麦わらの一味の)戦力(ナミさん)』かも知れない。
>そう語って居たように
思うだけ。

声のクロコダイルはもしかしたらあくどい誰かに騙されて本人だと思い込んでるだけ、かもしれない。

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