2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第126話 後悔は先に立たずとは言うけれど

 

 

 どうもこんばんは。主観的に見れば悲劇でも喜劇にするのが役目の皆の愛されアイドルリィンさんです。

 

「まー…護衛隊長さん生きてて良かったですな〜」

「気が抜ける」

「途中で存在忘れてますたよ」

「忘れんでくれ」

 

 イガラムさんが無事生きて再会。

 そして3日間眠り続けたルフィが目覚めて夕飯をご馳走になった。

 

「風呂か〜、いいな〜、でっかい風呂欲しいなぁ」

 

 ルフィが能天気に歩く。

 当然男湯と女湯に別れて入るのでビビ様とナミさんと一緒だ。ナミさんの視線が怖い。

 

 革命軍はコブラ様とヴェズネ王国のリオ様の間接的な依頼を受けて準備する為にこの国をさっさと去っていった。

 リオ様に2つ『お願い』と、サボに『下準備』を頼んでおいたから準備が出来次第、革命軍とチャカペルコンビと合流する事になるはずだ。概要の紙を見たけど面倒臭い事になってるから気合い入れないとなぁ。

 

「メリー号のお風呂は少し手狭だから広いお風呂って開放的ね!」

「そうね…ここは宮殿自慢の大浴場なの。本来は雨期にしか使わないんだけど……特別にね」

 

 浴室は広々とした空間に龍の口から温水が流れる大浴場だった。湯気で視界が悪いけど海軍の大浴場とは全然違うな。比べるのも失礼か。

 

「ッ、リィンその傷」

「あ、あぁ」

 

 背中を向けた瞬間にナミさんが声を上げた。

 

「昔の傷です」

「……よく見るとリィンの肌って傷だらけね」

「生傷絶えぬ人生ですたからね」

 

 治りきらない傷跡なんて幾つもあるし縫った事も何度だってある。生傷だって月1で必ず付ける。

 それでも私の傷の頻度は他の人に比べると少ない方だろう。顔に大きな縫い傷が無いのがいい例だ。

 

「リィンこっち来なさい、洗ってあげるから」

「あ、お断りします」

「なんでよ!」

 

 だってほら、ナミさんだから。

 

 

 

 

 

 

 

「ババンババンバンバ〜〜」

 

 何それ、とナミさんが笑う。

 

 いい湯だなと浸かりながら背中を洗いあいっこする2人を眺める。くそぅ、胸に脂肪がいかぬでござる。

 

「こんな広いお風呂が付いた船って無いかしら」

「どこかにはあると思うわ」

「そうね……世界は広いもの」

「ここの半分程なれば見た経験有りですがね」

「え!誰の船!?」

「四皇っ!」

 

 その言葉にナミさんは息を吐いた。

 そして壁に視線を向けるとナミさんは叫ぶ。

 

「あっ、ちょっと皆何してるの!?」

「あんた王様!!」

 

 立場も忘れて覗きをしてる男共にツッコミを入れる。

 壁には頭がいくつかにょきにょき生えていた。

 

「あいつら……幸せパンチ」

「「「ぐあっ!」」」

「──1人十万よ」

 

 えげつない。覗きにサービスしておいて金とるのか。

 

 そんな幸せパンチにも動じない野生児が1人、ルフィは壁に登ったままじっと私を凝視していた。

 

「背中の傷、痛むか?」

 

 oh......そうだった。

 そうでしたそうでしたこの傷ルフィを庇ってできた傷だったね。ルフィに見せちゃダメなやつ。

 

「痛まぬぞ、ルフィ」

「折角のリーの綺麗な肌に傷付けちまった」

「…………ルフィは天然タワシですた?」

「タワシ?タラシじゃない?」

「それですた」

 

 ナミさんの訂正に従う。

 今どきそんな口説き文句は使えないよ。

 

「ルフィ、背中より心が痛き」

「なんかあったのか?」

「心と胃…」

 

 主にキミの暴走癖のせいでなぁあ!

 

 ふえぇんっ、リー、怖いよう。

 

 このまま爆走してどこかの曲がり道でスリップしそう。

 いや、こいつなら絶対する。

 

「とりあえず」

「ん?」

「早く戻るしろ」

 

──ガコンっ!

 

「ゲブっ」

 

 タライを投げたら見事命中した。

 そしてそのまま男湯に沈んでいった。

 

「いい加減しつこき」

 

 溺れてようがなんだろうが関係ないからね。

 

「失礼っ」

 

 ナミさんとビビ様が私を挟むように湯船に浸かる。

 わざわざ隣に来なくても…って思うんだ。こんなに広いんだからさ。

 

「リィンは傷跡があったから勧める服を着なかったのね…納得したわ。普通に肌を見せたくないだけかと思った」

「若い頃は出すして幾らかです。出さねば損とは思うですが……。ま、ルフィに見るされるとダメです故」

「それを言うなら『出してなんぼ』でしょう?……話から察してたけど、やっぱりルフィが一因?」

「んー…どうでしょう」

 

 首を傾げる。

 元々は海賊に捕まった私が始まりだったし、保護者の立場に居た実力者フェヒ爺が動けなかったのも大きいし…。運が悪かった、としか言いようが無い。

 

 そのお陰で徐々に毒耐性が出来たからある意味あって正解の出来事だったかも。

 

 

 ……でも、なんで海賊王の船員ともあろうフェヒ爺が動けなかったんだろう。雑魚の拘束?いや、でもその程度なら拘束にもならないだろうしなぁ。

 

「あっ!そう、リィンちゃん!あの放送は一体何?」

「あ〜…勝手に名前使うしてごめんなさい」

「あ、やっぱり捏造だったんだ……良かった」

 

 そう言えば国内大暴露放送後から(後始末やら革命軍との打ち合わせやらで)忙しくて会ってなかったんだったか。逃げてたわけじゃない、決して。

 

「ちなみに聞くけど…あれは嘘よね?」

「一言たりとも嘘は言うして無き、しかしながら国民の方ぞどのような考えになるかは知りませぬ」

「最近どんどん面の皮が厚くなってきてるわね」

「Mr.2とは誰ですかね〜!!」

 

 ナミさんがため息を吐く。

 失礼な…私は全力で報復を楽しんだだけなのに…。

 

 私の胃の痛みはこの程度じゃ報われないけど!

 

 いいかい?誤解してほしい所には決定打を伝えず、伝わる度に誤解が酷くなっていくように仕向けるのが演説ってものでしょうよ!!!

 

「鬼畜ね…牢獄から出ない方が幸せかもしれないわ」

 

 今後の事を思うと涙が出てくるよ…笑いすぎて!

 精神的に来る方が質が悪いの知ってるからね。ドフィさんの精神攻撃とミホさんの物理攻撃、ドフィさんの方が圧倒的に嫌いです。

 

「女の子の可愛らしい悪戯です」

「その可愛らしい悪戯に関係者全員が絶句したのを忘れないで頂戴ね…? 可愛いけど!可愛いから私は許しちゃうけど!」

「ナミさんは今宵も安定した残念ですな〜…」

 

 少しは、ほんと少しだけでもまともになったと思った私が馬鹿でございました。

 

「そう言えば後から聞いたんだけどリィンちゃんってクロコダイルと知り合──」

「うわっ!」

 

──ボチャンッ…!

 

「え、ちょっとリィンちゃん!?大丈夫!?」

 

 ……堕天使の顔を再び見ることになるかと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ==========

 

 

 

 

「船はこちらに停泊すてるです」

 

 Mr.2に教えてもらった岩場に隠れてある船を指す。夜中、城を抜け出してサンドラ河に向かった。超カルガモ部隊に送ってもらったんだが1匹足りなくて…私だけ自腹です。箒に乗らせていただきました!

 箒だと酔わないからいいんだけど。

 最近酔い止め薬少なくなってきたからな…、節約したい。もう開発者─名前はシーザー─は居ないと言うか犯罪者だからね、現在の居場所すら分からない。

 

「これからの予定は…」

「ビビの返事を待つこと、ただそれだけよ」

 

 黒檻部隊という捕縛トップレベルの軍隊がいる中で時間をズラさず明日の12時、ぴったりに東の港に寄る。

 ビビ様が乗るなら1度きりのチャンス。そこで拾う、という話になっている。

 

 まぁ……私の予想だけど海賊にはならないだろうなぁ。彼女はアラバスタの為に海賊を相手にした愛国家。そして王女という立場は想像以上に重い。

 

 

 それにな、外聞的にも悪いんだよ。

 一度海賊になった王女は恐らく『傷物』扱い。嫁ぎ先を探すのも苦労し……無いかも、民間人だけどリーダーという人間が居た。

 

「……いい、リィン。もし海戦になったらリィンの能力が勝負を分けるからね」

「不参加ダメ?」

「ダメよ」

 

 ほんの少しの期待と願望を込めて聞けば即答で却下されてしまう。ヒナさん相手は辛いなぁ。

 ……ヒナさんだと多分黒槍っていう方法で来るだろうし、私が渡したこの船の情報と船員の戦闘方法に合わせて陣形も厄介なので来るだろうし。

 

「リー…、頼んだ」

「…うっ、分かるした」

 

 ルフィの信頼が1番怖いな……。

 

「そう言えばリィンちゃん、あのオカマ野郎はどうしたんだい?」

「口車に乗せるて軍艦放り込むました。今頃元同期に雑用としてコキ使うしてるのでは?」

 

 荷物を船に入れるサンジ様からの疑問にあらかじめ準備していた答えを言う。サンジ様は苦笑いをしてたけど。

 

『構わないわよーう!大将だろうがなんだろうがリィンは心友!ドゥーでもいいってモンよこのスットコドッコイ』って言ってたから多分大丈夫だとは思う。ミス・ゴールデンウィークは知らない、感情表現が乏しいけど読めないわけじゃないからまぁ何とかなるでしょ。

 先に本部に着いてるMr.5辺りに任せるよ、彼らの事は。雑用って楽しかったんだね…、お掃除したいよ、ただ窓を拭くだけの簡単なお仕事。

 

 

「いでっ、リィン!考え事しながら物を浮かせるな」

「ごめんぞハナップさん」

「色々違う!」

 

 重い荷物の運搬係は私です。

 色々考え事してたらウソップさんにぶつかってたみたいで謝罪する。

 

 この一味もだいぶ私の能力に慣れてきたなぁ。

 

 

 

 ==========

 

 

 

『少しだけ──冒険をしました』

 

 遠くでビビ様の声が聞こえる。

 

 あぁ、やっぱり彼女は国を選んだのか。

 

「うりゃぁ!」

 

 目立った行動は出来ないから軍艦の海流を少しずらして鉄の槍を減らしていたりするけどメリー号の船底にドスドスと槍が刺さる。

 

『──それは暗い海を渡る〝絶望〟を探す旅でした。国を離れて見る海はとても広く、そこにあるのは信じ難く力強い島々』

 

「リー!何とかできないか!?」

「ルフィとゾロさんは左右に別れるして…!それぞれ戦うフリぞしておいて下されです!」

「分かった…!」

「とても集中力入るますが…槍ぞ止める」

 

 8隻の船から放たれる槍は容赦ない。

 (スパイ)が居ても沈めることに容赦なし、か。まぁ私が空を飛べるという事を知ってる限り、船を沈めるのがノーリスク・ハイリターンだろう。

 とりあえず、(スパイ)は軍艦に手を出せない。出せれることは出せれるけど出さない方がいい。しかし、船長命令が下ったなら反抗せざるを得ない理由になる。

 

『暗い暗い嵐の中で1隻の小さな船に出会いました』

 

「次来るぞ!」

「……今、止まるしろ!」

 

 ルフィやチョッパー君の拳に、ゾロさんの刀に、サンジ様の足に、ナミさんの棍棒やウソップさんのパチンコに合わせて槍を空中で一時止める。すると槍は船に刺さること無く海へ落ちた。

 

「成功!」

「凄いわリィン!」

「リー!俺とゾロとサンジは1本くらいなら対応できる!」

「任すた……頭痛い……」

 

『船は私の背中を押してこう言います』

 

「勝機はある!ビビを迎えにいくんだ!」

 

 光を見ろとばかりのルフィの声に鼓舞される。

 頭痛いけどやるしかないかぁぁあ!

 

「ウソップ!東の方角を潰せるか!?」

「む、無茶言うなよゾロ!」

「リィン、潰れたら動かしてくれ」

 

『闇にあって決して進路を失わないその不思議な船は、踊るように大きな波を越えて行きます』

 

──ドォンッ!

 

 ウソップさんの狙撃が見事マストに当たる。

 

「ウソップ、船底を狙って!」

 

『──そして指を差します』

 

「行くます!どこかに掴まるして!」

 

 グンッと船が流れる。

 ごめんヒナさん!今回は私の勝ちでお願い!組織的には負けだけど!

 

「東の港はすぐだ!リー、急げ!」

「分かるっっっ!」

 

『「見ろ、光があった」──歴史はやがてこれを幻と言うけれど、私にはそれだけが真実』

 

 東の港タマリスク。

 目を凝らして見てみるが人影は無い。

 

「やっぱり…来ないのかな」

「いいや!来る!来るんだ!」

「どっちもちげぇよ…チョッパー、ルフィ」

 

 ゾロさんは港を見て一言言った。

 

「もう来てるんだ」

 

 

「───みんなァ!!」

 

 海岸で手を振っていたのはビビ様とカルーだった。

 

「来たァ!」

「なんで分かったんだ!?すげぇなゾロ!」

「何となく気配が…」

 

 ビビ様はカルーの背中に有る電伝虫を手に取る。

 

 

 ……麦わらの一味の別れは近い。

 

 

 

 

 

 

『私は、ずっとその小さな背中を見ていました』

 

 ……………はい?

 

『彼女は世界を見ていました。幼い私には、彼女はとても大きく見えて劣等感と、そして憧れが芽生えました』

 

 遠くで軍艦が見え始める。

 もう追いついたのか。

 

『私は問いました、「どうして強いの?」と』

 

 嫌な記憶がじわじわと蘇る。

 

 ──………。ねぇ、リィンちゃんはどうしてそんなに強いの?

 

 初めて行った世界会議で、緊張して殴られそうになって心が疲れた時。そんなことを聞かれた気がする。

 

 ハハハ、やだな、なんだか嫌な予感がスルヨ?

 

『彼女は言いました。「信念、出会い、そして守りたいと思うもの」だと──』

 

 死んでたまるかという信念、非常に強い権力者や実力者との出会い、それと自分の命を守りたいと思う事ね!

 

『私は、この国を守りたい!彼女みたいに強くなって、彼女みたいに大きくなって!……だって私は──この国を愛してるから!』

 

 ビビ様は大きく息を吸って、言葉を放った。

 それは私にとって砲弾の様な言葉を。

 

『だから行ってきます!もう一度この国に帰ってきた時…──アラバスタ王国が誇る王女になれるように!』

 

 

 

 

 

 

 嘘だと言ってよお姫様…。

 

 




これを避けることができないのは第3章『海軍編下』第54話初めての世界会議 から避けられない運命だった。

これにてアラバスタ編終了です!
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