「なんだか厄日ぞ」
『人の夢はお笑いだァ!』だとか何とか言ったチェリーパイ男に絡まれ、ニコ・ロビンの持ってきた地図の場所へ行こうとすると人類のなり損ないみたいなオラウータンに絡まれて、船は壊れるわ急いで逃げるわてんやわんや。
目的地に辿り着いてもハリボテの家しか無くて脱力している。
ほんと、空島に行くためだけにどんだけ体力を浪費しているんだか…。諦めた方が早いと思う。
「見て、少し古いけど絵本が有ったわ」
ビビ様が切り株に置いてある絵本を手に取った。
【うそつきノーランド】?どこの絵本だ?
「ヘェ、懐かしい」
「サンジ君知ってるの?…──でもこれ
ビビ様から絵本を受け取ったナミさんが後ろを見て言う。ヒィッ、ツッコマナイデ、ツッコマナイデください。
「まぁ、俺は
「初耳だ、俺はてっきりお前も
「ハハハ…っ」
サンジ様は苦笑いで吹き飛ばす。
しかしそれに首を傾げるのはビビ様だった。
「でも
「……」
思わぬ質問にサンジ様が固まってしまった。
さすが腐っても王族、見解が鋭い。
「まぁ、私も良く越えますし」
「リィンちゃんのは越えると言うか…」
「五つの海ぞ練り飛ぶは私、小旅行気分ぞ?」
「お前は伝説を作り出してくからな」
「私、一般常識人。伝説良くなき」
「何をいまさら」
「ま、どうでもいいさ。とりあえずこの絵本は
家の中に勝手に入っていったルフィすらも視線を私に向けてくる。おい、なんだその目は。
男性陣全員が冷たい視線を向けてくる。いや、サンジ様は苦笑いだけど。女性陣は笑顔だったり面白そうなものを見る目だったりそっと視線をそらしたり。
「な、中身気になるぞ〜!ナミさん読み聞かせすて!」
「リィンったら仕方ないわね!お姉さんが読んであげるわ!膝の上に来なさい!」
「あ、それは勘弁すて」
「………【むかしむかしの物語】」
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むかしむかしの物語
それは今から400年も昔のお話
北の海のある国に
モンブラン・ノーランドという男がいました
探検家のノーランドの話は
いつも嘘の様な大冒険の話
だけど村の人には
嘘か本当かも分かりませんでした
ある時ノーランドは旅から帰ってきて
王様に報告しました
「私は偉大なる海のある島で山のような黄金を見ました」
勇気ある王様はそれを確かめるため
2000人の兵士を連れて
偉大なる海へと船を出しました
大きな嵐や怪獣との戦いを乗り越えて
その島にやっと辿り着いたのは
王様とノーランド
それとたった100人の兵士達
しかしそこで王様が見たのは
ㅤ何も無いジャングル
ノーランドはうそつきの罪で死刑になりました
ノーランドの最後の言葉はこうです
「そうだ!山のような黄金は海に沈んだんだ!」
王様達は呆れてしまいました
もう誰もノーランドを信じたりはしません
ノーランドは死ぬ時まで
嘘をつくことを止めなかったのです
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「さて、この絵本には何かしらの真実が隠されて…」
「ウソップさぁん?」
読み終わった瞬間間髪入れずに発言したウソップさんにジトっとした視線を送る。
「これを史実だと鵜呑みに出来やしねぇさ」
「…だな」
「実在した話だとしても絶対歪められてるよな」
うんうんと頷くそこ男3人!どういう意味ですかそこになおれやゴルァ!
「クエッ、クエー」
「なんで北の海の絵本がこんな所にあるんだろう…、だってさ。カルーはよく気付くなぁ」
「クエ〜…」
獣コンビが仲いい。
にしても本当にカルーが人間より鋭いってどういう事よ。
最近キミ達が私の本性に気が付き始めて私は肩身が狭いですわ。……私は常識人になりたい。
「ぎゃああっ!!」
バシャンっ!という音と共にルフィの姿が消える。
ナミさんやビビ様が驚いた声を上げウソップさんは非難の声を上げた。そうすると海から人が上がってくる。
お前らどんだけ上がりたいんだ。その気持ちがあれば空島へだって行けるさ…頑張っていってこい。
「──狙いは金だな、死ぬがいい」
泥棒と勘違いされた様なので訂正をしよう。
「金で情報が手に入るのか馬鹿野郎!世の中にはなぁ!金でも動かされるすてくれぬ人種が沢山いるのぞ!?」
「あ、はい」
「第一!ウチの兄はどうぞ!現金よりも肉を欲し冒険を望む大馬鹿野郎が多いから困るのぞ!いい加減にすて!?」
「それは俺の関係する所ではないと思って…」
「黙る!!!」
困らせるな、とゾロさんに叩かれると栗頭の人が倒れた。ま、まさか覇王色の覇気が開花したとでも──
「とりあえず家の中に!多分、潜水病だ!」
──チョッパー先生が今日も先生してた。
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「あ」
「どうしたぞゾロさ…──まさか誰か」
「多分あの2人だ」
ゾロさんの声で全員が警戒する。
見聞色の覇気ってやっぱり便利だよなぁぁあ!
「「おやっさん無事かぁ!」」
膝の上に乗せたチョッパー君を盾に使う。ギャーギャー喚いているが知るか、簡易盾なんだ。
「行ってらっしゃい!!」
「ぎゃぁああぁああッ!」
盾って、投げるものでしょう?
友達はボール、その言葉通りチョッパー君は人類なり損ないコンビに向かって飛んでいった。
「「「鬼!」」」
私、ちょっと耳だけ老朽化したみたい。
場は混乱状態に陥ったものも、栗頭さんが起きてくれたので全員一旦落ち着いた。
「猿山連合軍、ね」
「迷惑かけたな、お前ら」
「潜水病はアンタが原因かもしれねぇが実際迷惑かけたのはこの金髪馬鹿の方だから気にするな」
「ゾロさんが辛辣ぅ」
この人はこういう生物だって割り切ろう。
「で、空島に行きたい、だったか」
「私単独でなれば行く可能ですが、個人的に嫌ですので。いい方法が存在するなれば教えるて欲しいです」
お願いするとルフィが驚いた顔をした。
「え、リー行けるのか!?」
「……………ルフィは馬鹿ですよね」
「バカデス、ゴメンナサイ」
蔑む視線を送るとルフィは頭を下げる。
上舵って言ったのはキミだよね?私空飛べるよね?むしろそれを前提として言ってないんだったら自分の妹がどんだけチートだと思ってんの?私はチートになり損なった偽物チートだよ?
上っ面しか整えず姑息な手段しか用いれない様な雑魚に何を期待してるんですかね〜。……自分で言ってて悲しくなって来た。止めよう。
「ハッハッハッ!空島、信じてるのかお前ら」
「あるかないかは聞きませぬ。行けるか行けぬかの可能性を聞いてるです。私の船長は、行くと決めるした」
私は行きたくないから行かないけど!
その言葉を心の中で叫びつつ返答を待つと栗頭さんはルフィを一瞬見た後うっすら笑い言った。あると言っていた男を知っている、そいつは伝説的な大嘘つきとして一族を笑いものにした、と。
「うそつきノーランド」
このジャヤが絵本の舞台らしく、栗頭さんは彼の子孫だそうだ。きょ、興味ねぇ〜〜!!
地殻変動の海底沈没説を訴えたけど
「見ず知らずの他人から罵声をあびる
名誉の為に頑張っているのか、とビビ様が聞けばそう怒鳴る。王族、王族ですからやめて上げてください。
するとウソップさんが真剣な顔で肩を叩いて私を呼んだ。
「──いいか、お前もうそつきノーランドの作者と同じような立場なんだぞ。クロコダイルの子孫は永遠と笑いものにされていくんだぞ!?」
「私のは美談ですー!むしろ永遠と崇めるされる立場になるのですー!これは、ぜ、ん、い!それに、名前は一言たりとも出すてませぬ!」
「……お前らなぁ。人が話してる最中にそっちの話題で盛り上がるんじゃねェよ!」
栗頭さんが呆れた声を出す。
おいウソップさんお前のせいだぞ。
「大体同じ事してるしコイツ」
「全く違うーー!」
「なんだ、嬢ちゃんは絵本作家かなんかか?」
首を傾げながら聞かれる。
答えてあげましょう私の正体を!
そう、私は!
「美少女作──」
「只の悪魔」
「堕天使の名に相応しい」
「鬼」
「鬼畜」
「私の天使ね」
──麦わらの一味なんて大っ嫌いだ!!!
とりあえず人類なり損ないコンビが絵本のファンだと言われたので私にもファンが出来るといいなぁ!!
……ところで、栗頭さんの名前って何?
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「まずお前らに知っている事を話す」
「はい先生!私諦めるした方がよろしくですか!」
「まず聞け」
外でチョッパー君を膝に抱き正座をしながら話を聞く。
ゾロさんは居眠り中でサンジ様とビビ様はご飯を作っている最中だ。呑気な。
「この辺りの海では真昼間だってのにいきなり〝夜〟に変わる現象が起こる」
「あ、あったぞ、それ!」
「おおう!あれはびっくりした…!巨人みてぇなでっかいのも現れてよ!巨人ってあんなにでかいのか?」
「俺たちに比べりゃデカイが、巨人はもっと小さい。まぁ、巨人の事は置いとけ。それよりもその雲の正体だ」
「何万年と変わらぬ姿で漂うぞ雲です?」
「答えを言うなよ答えをよ」
ズバリと言ってみせると栗頭さんは肩を落とした。
ルフィはキラキラした目で見てくる。
「そいつの名前は積帝雲。〝雲の化石〟と呼ばれる極度に組み重ねられた雲の影だ」
「クエーー!クエッ、クェ…?」
「空島は雲の海が広がってるって聞いた、もしかしてそれがそうなのか?だってさ」
「あるとしたならそこだろうな」
「スゲェっ!行くぞ空島!」
「行き方が分かんないって言ってんでしょうが!存在することはリィン情報で分かってんの!」
ナミさんが盛り上がったルフィを殴り飛ばす。
この人武装色身につけてんじゃねぇの?
栗頭さんが呆れた目で一味を見つつここからが本題だと話し始めた。命をかけられるか?と。
「〝
「なんて馬鹿な」
簡潔に終わらせた言葉に遠い目をする。あの海流を利用する方法が一番確実なのかもしれないけど船が木っ端微塵になりますよ。
「残念無念また来世!ルフィ〜、
「待って待って、
その存在を知らないナミさんが手を上げ質問する。
「そうだな…簡単に言えば災害だ。おめェらの考えているような爽やかな空の旅とは行かんだろ。時間にして約1分間、天に突き上げる真っ直ぐで巨大な大爆発が起こるってわけだ」
原理は調べられていないが多分空洞の中に海水が流れ込み、熱せられ爆発するとか。
「大渦の後、数秒の静かな波が存在するです。そこからドーンッと天国の旅。あれは海王類でも死ぬですね」
「え、見たことあるの?」
「近き名前を持つ海流なれば務めるすていた場所の傍にありますた故。ジャヤ産は見たことありませぬ、存在不明ぞ」
海軍本部マリンフォードからシャボンディ諸島の直線上にその縮小版が存在している。あれは山なりに伸びる海流だったからそこまで危険じゃないが後半の海ドレスローザ付近であった10本位連続して起こる
海坂という斜めの海とその波から垂直に飛び上がる
斜め45度に飛んでいったよ。それも雲を突き抜けて。
「とりあえず無理は無理ですね。あの海流に耐える可能の船が無い、そして積帝雲に重なるタイミング、はたして積帝雲ぞ上空にてまことに空島が存在するかも不明」
「だ、だよな…無理だよな!」
「
勝った。
思わず心の中でコロンビアポーズを取る。
空島の決行は無理なのだ。探して、探して、死力を尽くした上で決行不可能だと言われてしまえばルフィだって諦めるさ。
「ルフィ、たった一度の無茶で仲間を失うつもりです?私は、まだ生きるたい。死にたく無い。ルフィ…生きるして」
諭すように言う。
ごめんねルフィ!超残念だけど!諦めてくれ!逃げ道は全て塞いだから!最終判断を下してくれ!(サムズアップ)
「──船の修理はマシラとショウジョウに任せておけば大丈夫だし積帝雲と海流が被るのは明日の昼だ。準備しとけよ」
「余計な真似を畜生ッッッ!!!!」
ルフィの望みを叶える世界が憎い。
『人の夢は終わらねぇ』いつの間にか笑われる事になってた。空耳ってすぎょい。
ひし形のおっさん(モンブランクリケット)の自己紹介って実はないんですね。
次回 絶対に、許さない。(精神的な意味で)