2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第134話 人間吹っ切れると怖い

 

 黄金を探す一行は現在、大蛇(うわばみ)のせいでバラバラに過ごしていた。ナミが望む黄金があるだろう場所、髑髏の右目を目指し。

 

「はぁ、まさかあんなに大きな蛇が現れるだなんて。これも空島特有の気候のせいかしら」

「お姫様、そこ、気をつけてね」

「えぇ、ありがとう」

 

 お互いの居場所が分からない中、そばにいた仲間と協力し目標地点まで進む。

 

「サンジさんとウソップさんとナミさんが船にいてくれてるのよね」

「えぇ。でも残りの船長さん達と離ればなれ、迷子になったみたい。私達がはぐれたのか、逆か、両方か」

「カルー…無事だと良いんだけど」

「ふふ、あの鳥さんは強いわ、安心して」

「……うん」

 

 ビビはロビンと進んでいた。

 そんな時。

 

「ほっほほう!へそ!」

 

 どこからとも無く声が聞こえたのは。

 

「だ、誰!?」

「ようこそ…───玉の試練へ」

 

 スカイピア神官 〝森のサトリ〟。

 突然彼女達に立ち塞がったのは──

 

「随分…ヘビーな体型ね…」

「やかましいぞ青海人!」

 

 ロビンの手によりデブとして認識された。

 

「分かるわ」

 

 何故かビビも同調していた。

 

「玉の試練、と言ったわね。この周りの白い雲、貴方の体型そっくりだわ……」

「続けて!緊張感を!」

 

 サトリは玉の上で地団駄を踏む。

 当の本人、ロビンはと言うと冷静に辺りを観察し、状況の整理に務めていた。

 

「どうやら、神の手下の様ね。しかも玉の試練…。ということは他の試練もあるってことよね。お姫様、気を付けて」

「うん…。でも、聞いてオールサンデー」

「どうしたの?」

「あの玉……固形物よね?」

 

 雲と言えどもサトリが乗っているのだ。

 ビビはそう判断し、地面にある小石を一番近い玉に向かって投げる。すると中から蛇が現れた。

 

「──どう?私も役に立つかしら」

「あの玉に無闇に触れればろくなこと無いって訳ね……。もちろんそれは、あの神官とやらも」

「サトリの話を聞いてほしいッッ!!!」

 

 再び地団駄を踏み始める。ビビの言いたい事が伝わったロビンが、その隙にびっくり雲と呼ばれる玉に手を生やす。

 

一輪咲き(ウノフルール)〝スラップ〟」

 

 言わば平手打ち。玉は弾かれ、サトリの方に飛んでいく。

 

「うわぁぁぁ………なんてな」

 

 ほほーう!と言いながらサトリが楽々避けるとロビンは珍しく嫌そうな顔をする。

 

「なんて………───動けるデブなの」

「そこかよ!!!!」

「貴方は分かってないわ。私がこのプロポーションを保つ為にどれだけ努力してきたか…、闇の世界で生きる私には動ける事が一番だった」

「あの…オールサンデー?」

 

 何やら雲行きが怪しい。

 それを察してなのかビビがロビンの様子を見た。

 

「私もその気持ち、分かるわ」

 

 違った。やはりただの天然産であった。

 

「やりましょうお姫様、今こそ女の意地を見せる時。──反省したって、許さない」

「もっと別の所で使って欲しかった!俺を巻き込まないで欲しかった!この青海人話聞かない!」

「オールサンデー!私も戦う!足でまといにだけはなりたくないの!」

「そのセリフも別の場所で聞きたかった!」

 

 

 

 

 心網(マントラ)を使っても、女の意地には勝てない。女性は怒らすと怖い。

 そう心に刻みながらサトリは意識を失ったという。

 

 

 

 ==========

 

 

 

 

 

 深夜、夜会が終わり一段落ついた辺りで今日の報告と明日の行動予定を話し合うために協力者が一室に集まることになった。

 

 が、しかし。

 

「なんで…いるんですかね……」

「気にしないで」

「そうそう、私達の事は特に気にするな」

「娯ら…傍観者だ」

 

 ピンクと赤と青と緑の頭、ジェルマの王族が私の隣に連なるように座っていた。

 今傍観者じゃなくて娯楽って言いかけたな。ニジ様。

 

「どうも、ジェルマのヴィンスモーク。私は長女のレイジュよ、宜しくね?サン様、だったかしら?」

「同じく。長男、俺はイチジだ」

「ニジ、用があるのは先生だけだから気にするな」

「私はヨンジという。改めて挨拶を」

 

 このジェルマは自由が過ぎる気がする。

 

「1、2、……4、ジ?え、は、ま、え?いち、に、さん、よん…。ジ?ちょ、ちょっと、あ、は?」

「ぇ、ええぇ…?1…2……3…4…」

「ま、まさか」

 

 アラバスタ組も含め、リオ様除き協力者が私を凝視する。

 あ、名前の羅列で察しましたか?

 

 私はそっと目をそらした。

 

「俺はリオンだ。一応非公式の場なんでね、そう呼んでくれ。にしても…ジェルマの王族とリアスティーンが繋がっていたとは…。ああ、もちろん詮索は無しな」

「私、一言も言ってませぬが」

「流石に気付く。これ位は勘弁してくれ」

 

 そりゃそうだ。

 リオ様の言葉に思わず頷く。むしろ察せられなかったらそれはそれで無能過ぎるだろう。

 

「所で先生って…?」

 

 サボが首を傾げるとジェルマンが一斉に私に向かって指さした。どうも先生です、感情指導の。

 

「母さんでもいいんだがそれは却下された」

「そりゃあ…私は貴方達より歳ぞ下です故に」

「昔は恋愛感情に近いものを抱いていたんだがな…」

「ゴブフッ!」

 

 遠い目をしたニジ様の発言に思わず吹き出す。

 

「あ?気付いて無かったか」

「いえ…流石に。無礼ですけど気付くておりますたが」

 

 予想もしなかった展開に黙り込む周囲。私は思わず苦い顔をしながら答えた。

 

 閉鎖的な空間で過ごす中、歳の近い異性の他人。どうしても興味的な意味が強く反映される。

 思春期辺りだったか…顔見る度に赤くされてりゃ流石に気付く。だがな、うっそりと笑う姿がどんな状況下か考えてみろ。

 

 不敬罪で死ぬるわ。

 

 喜び?嬉しさ?そんな幸せな感情は首に対する恐怖を前に吹き飛んだわ畜生。

 

「好みも似ていたモンだから幼い俺たちにゃ頭を悩ませたなァ。うん、大変だった」

「しかし、現実はあまりにも無情だった。そう、哀を知らない俺たちの様に……」

「私達は夢を見ていただけなんだ」

 

 ジェルマンは口を揃えて言った。

 

「「「──成長しねぇんだから」」」

「どこの事ですぞどこの…ッ!」

 

 王族だって事を忘れて怒り狂うぞテメェら。

 いいか、貧乳はステータス何です!巨乳が多いこの世界、貧乳はレアモンなんだよ!

 私は!痩せ型!モデル体型なんです!

 ………でも最近サンジ様のご飯美味しくてお代わりしてたら腹にお肉がストーカーしてきた。ぷにって、ぷにって言ったんだ。頭は使ってもなんだかんだ体動かしてないからね、茶汲み時代みたいにミホさんに筋肉痛まで(しご)かれてないから。

 

 カムバック筋肉!脂肪は胸以外要りません!

 

 

 

 痩せよ。

 

「あー…じゃあ報告するな」

「敵が味方…。お兄様大好き」

「はいはい。──で、夜会の方だが」

 

 サボが気を引き締め直して口頭で何が起こったか粗方の流れと様子を説明する。

 

「最後にやらかした…つーか嵌めたご令嬢はモザブーコ家って名乗ってたな。よく知らないが退場の際血縁者らしき人から殺気が飛んできた」

「やはり気付くぞね…。娘が貶めるされるて怒り仰天限界突破ぞ致すたか」

「どうでもいいけどサンもリアスティーンも素と猫被りのキャラが驚く程違うな…驚いた」

「あんたが言うなリオン…さん」

「リオンでいいさ!どうせここには王など居ない!」

 

 ううーん、庶民的思考の王様って楽だなぁ。

 豪快に笑うリオ様を眺めるとコアラさんが真剣な顔で手を上げて発言した。

 

「でもモザブーコ家で間違いないと思うよ」

「コ…じゃなくて。アラは売人(バイヤー)の追跡だったな。その様子だと掴めたのか」

「うん、バッチリ。途中民家に入って地下を通ったみたいだけど見聞色の範囲内だったからストーカー出来た」

 

 コアラさんが笑顔で親指を立てた。

 見聞色が便利すぎて辛い…私も欲しい……。どうにもコツが掴めないんだよ。

 

「出入りしてた家はモザブーコ家だから、間違いないよ」

 

 よっしゃターゲット確定。諺でもミンクの子はミンクって言うもん。

 私の隣に座るリオ様は追跡の仕方や通路を納得したのか顎に手を置いて呟く。

 

「秘密通路か…。なるほどな」

「最初気配が地面から来てビックリしたんだけど、よ〜〜く考えれば地下から室内へ入り込むなんて方法どこにでも有るし」

 

 この部屋にも外に繋がる地下通路があるからね。その発言を濁したのは恐らくジェルマという部外者が居るからだろう。

 

「1回忍び込んだんだけどね…。夜中だからかな、人の数が多い気がするんだ。多分、敢えて昼間に堂々と入り込む方が安全だと思う」

 

 プロの台詞だ、それならコアラさんの判断に従った方がいいだろう。とはいえど入り込むのもコアラさんの仕事だけどさ。

 

「とりあえず、取引してた物は持って帰ってきたよ。はいこれ現物!」

「は!?」

「追い剥ぎしちゃった〜」

 

 あっけらかんとコアラさんが言い放ち丸い玉を取り出した。サボは思った以上の収穫と大胆な行動に、文字通り開いた口が塞がらない状態に陥っていた。

 

「これは…見るからに…」

「……飴玉?」

「だなぁ」

 

 リオ様、ハックさん、サボの順に言葉を漏らす。

 

「見せて」

 

 そこへレイジュ様が割り込んで奪い去った。

 

「あ、おい」

「うーん。甘い匂いの中に、毒の香り…」

 

 流石にこの行動にはペルさんが黙っていなかった。他国の王族を危ない目に合わせるわけにはいかないものね、アラバスタ兵士も。アラバスタコンビがここにいるのは私たちの『信憑性の協力』と『監視』まで含まれている。

 アラバスタの評判を落とさない為に彼らがいるんだ。

 

「危険です、おやめ下さい」

「アラちゃん、だったかな。いただいても?」

「だ、ダメですよ!それっ、麻薬!」

「聞き方を変えるわ。この飴玉が消えてしまっても計画に支障はある?」

「な、無いと思うけど…」

「そう」

 

 そう言うとペルさんの静止の声も虚しく、飴玉は半分ガリッと砕かれレイジュ様の胃の中へ消えていった。

 

「ッ、リィ…ー君、どうして止めない!」

「好物を食べる王族ぞ止めるのもなぁ、と」

「好物…?」

 

「ご馳走様。これ、凝ってるわね」

「あー…やはり食べるた事ありますたか。どれですた?」

「政府が海賊によく使う薬そっくり。禁断症状は酷いものよ?中毒はもちろん身の回りにあるもの全てが化け物に見える幻覚つき。恐らく大元はオカの葉が元のオカインね」

 

 ふむ、オカインか。前世に似たような名前の麻薬があった気がしたがオカは間違いなく植物性。政府施設で栽培されてたから毒薬実験の時食べさせられた事がある。

 あれの味は覚えてる。

 

「いただくても?」

「もちろん」

 

 レイジュ様から残りの飴玉をいただいて口に含む。ほんのりの甘さ。ハッピーターンの粉みたいな美味しい薬なのに毒なんだから世の中って怖いよねー。

 

「バカッ、吐け!」

「ぐぇっ!苦しい、苦しいぞ」

「まぁまぁお兄さん落ち着いて。私たちに毒は効かないから、もちろん麻薬にも耐性が出来てる」

「……は?」

 

 知らないよなぁ。毒薬実験なんて。

 元々東の海(イーストブルー)の毒薬を体に浴びてちょっとした耐性出来てたけど、徐々に投与される毒薬で耐性が更に出来てたんだよ。

 

 シーザーめ、サラダにするぞ。お蔭さまで毒には効かないので毒殺の心配がないからナイスガッツだよく頑張った。ただし『いずれテメェを毒殺してやるからなぁ!』なんて負けフラグを建設しないで欲しかった。だからか、私のおかしな体質の主治医だった癖に賞金首になりやがったのは。

 

 災厄って凄い。出来ればベガパンクに頼みたかった。

 

「後の祭りって怖いぞなぁ」

 

 まてよ……。政府のよく使う麻薬、だと…?

 

「では私の方も報告しておこう。結論はこちらもバッチリだ、取引場所と時間を手に入れた」

「アラさんもハクさんも働く過ぎるて凄い…」

「ハハッ…救世主に褒められるなら頑張ったかいがある」

 

 ハックさんの報告に拍手を送りたい。裏に潜む情報を取れたことはとてもありがたかった。

 

「ブローカーの、恐らく手下。彼女はアラくらいだと思われる。見た目は黒髪で何故かわからないがメイド服。次の取り引き場所は明日の夜12時、南の港の赤い屋根の小屋の中だ」

「女の子?」

「あぁ。銃声が聞こえたから恐らく武器を携帯しているだろう。気を付けておくべきだ」

「アラくらいの手下がいる闇のブローカー、か……。さて、割り出せないか…」

「あの…」

 

 サボが顎に手を当てて考える素振りをみせる。私は自信ないけど手をそっと上げた。

 

「闇のブローカー、私はご存知微量ながら。恐らく察するた」

「本当か!?」

「うむん…」

 

 本当に、情報屋らしく無いくらい少ないけど。記憶にある情報の中に一つ大きく重なる条件が有った。

 

「──ジョーカー」

「ッ、ドフラミンゴか!」

 

 シーザーの事を考えて思い出した。シーザーは元政府職員だしドフィさんと繋がりだってある。何らかの条件の代わりに薬を提供したとしてもおかしくない。

 もし、もしも酔い止めが切れたらドフィさんに土下座してでも頼むつもりではある。シーザーしか作れない。私は奴の居場所を知らない。助けてドフィえもん。

 

 そしてコアラさんくらいの女の人が銃を持つしかもメイド服という戦闘着…なんて限られる。ベビー5(イブ)はブキブキの実の能力者でドフィさんの手下だ。

 私の中では気持ち悪いくらいに条件が揃ってる。可能性の話では最有力候補だろう。

 

「参った、今この戦力じゃ手が出せない」

「でも。止めることなれば可能」

「……本当か?」

「私がここに存在する。手下は恐らくイブ、自称親友らしき。知らない相手よりやり易きぞ」

 

 イブには決定的な弱点もあるしね。

 

「じゃあ明日からの事だけど…──」

 

 コアラさんがある程度の予想と役割を振っていく。

 

 

 

 

 時計の針が12時を指す頃、ようやく報告会が終了し各部屋で休む事になった。もちろんお互いを信頼し切ってないので私もアラバスタコンビも革命トリオも別の部屋。

 

「リー君」

「はい、ペルさん?」

「私は、いや私達はもうキミの正体に勘づいている」

 

 部屋に向かう途中、ペルさんに呼び止められた。

 

「………ビビ様を、頼みました」

 

 なるほど。

 こう頼めば私は何が何でも守りきらないといけなくなるというわけか。畜生考えたな。しかも頼みはペルさんからと言う。国からという依頼にもなるし個人的な頼みにもなりうる。

 

 正直、チャカさんから言われても頷けない。彼らは普段から私に近付かないし話さないからね。

 ペルさんはアラバスタ王家に仕える兵士。けどチャカさんはコブラ王に仕える兵士。だからチャカさんは私に近寄らないし私も近寄らない。コブラ王が絆される心配をしていなくとも。

 

 2人は立派な守護者だねぇ。

 

「もちろんですよ、公私混同で頑張るます」

 

 決して守りきるとは言わない。それだけスパイという立場は大変だと向こうだって分かってるから。

 

 

「はぁーい、じゃあリアを借りてくわね〜」

「ほら用はあるって言っただろ、先生」

「久しぶりなんだ、絵本の解説をして欲しい」

 

 ヨンジ様は比較的大人しいけど上3人は強引さがある。引きずられる様に部屋を出ていくハメになった。

 

 あ、お願いだからそんな『やっぱり災厄に好かれてるんだな』みたいな視線はやめてくださいサボお兄様。

 

 

 

 ==========

 

 

 

 

「……さて」

「はい…」

 

 ジェルマの部屋に連れてこられて、出版してないから原文しかないけどワニちゃんの絵本でも読み聞かせして解説でもするかと思ったが空気が予想してたより重たいです。い、一体なんのお話でしょう。

 

「リィン」

「何事でしょうレイジュ様…」

「貴女のお兄様達が弟の名前で反応した理由を教えてもらいたいんだけど」

 

 やっぱりか。と肩を落とす。

 あれだけの動揺があれば察する事くらい出来ますよね、何様俺様有能ジェルマ様だもん。

 

「私、ただいまある海賊団に潜入中です」

「えぇ。堕天使リィン…だったわよね」

「は、早いですなぁ」

 

 まだ手配書が配布されてから一月くらいしか経ってない様な気がするんですけど。しかも顔ありはほんの数日前。

 

「麦わらの一味、に。コックが居るます」

「………ヘェ」

 

「名前はサンジ。黄色い髪のフェミニスト、ヴィンスモーク・サンジ様。ジェルマの王子、です」

「「「良くやった先生!」」」

 

 ジェルマンが私の発言に万歳をし始めた。

 お、おう、喜んでもらえて何よりだ…。だがな、その改造人間が全力で肩を叩くと私が壊れる。

 ううーん…ほかの人間は自分達の作りと少々違うので手加減を覚えましょう、を入れておくべきだったか。

 

「定期的に、連絡を、頂戴」

「わ、わかるますてございますです…」

「さぁ、夜は長い。正直に言うと朝まで待ちきれないので今話してもらおうじゃないか。なぁ先生」

「もういっそ妃にして語り尽くしてもらったら?出来の悪い弟に結婚相手が出来て私も妹が出来る、得しかないけど」

「「「それはちょっと…」」」

「イチ、ニ、ヨンジ様!私泣くですぞ!?」

 

 サンジ様はデリケートな話題を回避するなりオブラートに包むなりしてくれるフェミニストなのに!同じ兄弟でも環境と出会いが違うと扱いにこうも違いが出るのか!ビックリする程違うな畜生!教育の仕方を間違えたのか!?私は保護者じゃないぞ!?

 

「先生、お願いする、です」

「ニジ様…慣れぬ敬語は使わぬ方がよろしくかと思うぞです」

「慣れない言葉は使わない方が身のためだと思うがな。先生」

「イチジ様はフォローすてないですからね、後これは癖です故に。標準語はバッチリですぞ」

「なら使った方がいいのでは?私達は一応王族だが」

 

 ヨンジ様が少し困惑気味に聞いてくる。

 ほう…?

 

「分かりました、貴公らがそう仰るのであれば私はその指示に従うことに致しましょう。数々のご無礼を平にご容赦下さいませ」

「やめて」

「やめてくれ」

「やめろ」

「やめて欲しい」

 

 ほらな、何度試そうと胃がキリキリする扱いは止めさせてくれないのがアンタらだろうが。

 

「そう言えば何故ジェルマの皆さんはヴェズネ王国に?私、てっきりこの様なことには参加せぬ国と思うしてますた故に」

「ついでよ、ついで。私達は戦争国だから、ある人のご依頼で武器を運んでいたの」

「…………………武器?」

 

 そう言えば、コアラさんが言ってたけどアラバスタで港に武器商船が突っ込んでしまい危うく反乱を起こさせる所だったと言っていたけど…。

 

「顧客情報は漏らせないけど、国くらいなら教えられる。もちろん、察してるだろうけどアラバスタ。先払いで良かったわ」

「oh.no!!」

 

 ジェルマの船だったんですね!!!胃が痛くなっちまうぜ!ビビ様の周囲に何国絡むんだよ!

 

「待つして、まさか私徹夜です…?」

「……」

 

 ニッコリ笑うイチジ様が王族じゃなかったらぶん殴ってた。畜生…畜生……。

 




長くなっちゃった…。
ビビとロビン玉の試練
リィンジェルマに捕まる
の二本立てでした。

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