2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第145話 記憶の忘れ物

 

 

「よぉし!それじゃあ今から作戦を説明する!リィンが!」

「やっぱり私か…」

 

 夜中、湾内の入江に船を泊めてカルーを除いた全員が顔を突き合わせる。

 私達麦わらの一味はこれからの事を対策する為に、だ。

 

 昼間は隠れながら扉を破壊したり集合場所探したり色々したんだよ。ちなみに砲弾も火薬も無かったから私が全力で不思議色を使った、凄い頭痛い。そして、ビビ様と小説作りも。いやぁ、そこは楽しかった!!!とっても!!!誰かと誰かの絆を犠牲にビビ様との絆が深まったね!!!

 

「まずいくつかに班を分けるしようぞ」

 

 麦わらの一味から説明された事も踏まえて、指を3つ立てる。

 

「一つ、黄金奪還班。二つ、カルー捜索班。三つ、ウェイバー回収班。ちなみに、ルフィが含まれる班には、アルセーミ?ぶち殺し班が強制的にログインするです」

「ポルシェーミな、ポルシェーミ」

 

 ルフィの訂正を聞きながら全員の能力を考える。

 ウェイバーがなんなのか分からないが大事なものらしいので捨てられないとか。

 

「まず、チョッパー君は強制的にカルー捜索班へお願いするです」

「俺の鼻だな!任せろ!……でも強いヤツと一緒がいいです」

「それとナミさんがウェイバー回収。それ、操作可能なのがナミさんだけなのですよね?」

「えぇ!」

 

 あと残りをどうするか。

 ジョナさんの事だから罠は沢山用意してあるだろうし、頭を使える(意訳)の私かニコ・ロビンがルフィに付くのがいいんだろうけど。……正直あの護衛やイディエットとは『アラバスタ貴族のリアスティーン』と顔を合わせているからバレる危険性が無きにしも非ず。

 

「ううーん…」

「珍しく迷ってんな」

「まぁ、状況把握が微妙故に」

 

 地図は無い。私が上から描いた地形の見取り図くらいだ。だから黄金の保管場所が絞れないんだ。保管庫、とかを私たちが知っているんだったらそこに罠を仕掛けるって分かるんだけど。

 

「見聞色で宝の位置が分かるわけがありませぬし、それぞ使用して建物内で他人と合流と高度な技をゾロさんが使う可能なわけがありませぬ」

「さり気ない流れで喧嘩を売るな」

「残念なるが事実ぞ」

 

 スパンッと音を鳴らしてハリセンが頭に思いっきり叩き込まれた。

 いつの間にこの一味はハリセン常備になったんだ…?

 後ね、剣士がハリセンを持つと初動どころかハリセン自体見えなくなるからやめよ??

 

「では、ビビ様とサンジさんがカルー捜索班。ゾロさんはナミさんと一緒でお願いするです」

「その心は?」

「正直、ビビ様とチョッパー君ではこの基地内では不安。故にサンジさんを。サンジさんは足技使い故に──証拠が残らぬです」

「言い方」

「そしてお互い合流する為に、方角さえ理解するが可能なればナミさんがゾロさんを連れるしてくれるので」

 

 見聞色の覇気とチョッパー君の鼻を使って黄金奪還班に合流してもらえれば集合に関して問題が無くなる。

 

「探し物は器用貧乏の私とウソップさん、そして目を咲く可能なロビンさん。それと、戦力でルフィが妥当かと。反対意見が無い様なればこれでいいです?」

「ちょっと待って」

 

 そっとニコ・ロビンが手を上げる。

 

「はい?どうぞ」

「あなたの作戦には『メリー号の守り』が無いように思えるわ。そして足が動くという前提付き、どういう事?」

 

 純粋に分からないのか、彼女は首を傾げる。

 そう言えば一味にも彼女にも具体的に説明してなかったな。何となくで察してくれているであろうけど。ここまでくると隠す必要もないな。

 

「私、亜空間へ物質を収納可能な能力なのです。もちろん数、大きさに限りはあるですよ」

 

 せいぜいメリー号とちょっと位かな〜、と嘘を言えば一味からやっぱりという視線を頂いた。

 

「本当に何の能力なんだよお前は」

 

 驚く、もしくは納得する中ゾロさんだけは呆れていたけどね!本当に何の能力だろう!

 

「後は各班の行動か」

「具体的には黄金奪還班ですね、どこから手をつけるべきか…」

 

 やばい。頭が回らない。

 頭を抱えてうんうん唸るだけで何も出てこなくて焦る。そんな中、ルフィが呟いた。

 

「要塞のおっさんか白い奴に聞けば分かるかな…」

 

 何を言ってんだバカと非難の声が上がる中、私はルフィの手を思いっきりとった。

 

「採用!」

「「「「は?」」」」

 

 分からなければ、聞けばいい!

 

 

 

 ==========

 

 

 

「ふふふ…女狐大将と勝負か」

 

 チェスの駒を掴む。

 ジョナサンはニヤリと口を歪めた。

 

「あと足りないのは…1人、いや」

 

 バキリッ。

 

「──1匹か…」

 

 

 ==========

 

 

 

「で、私が変装するのね」

「女狐は神出鬼没と噂で聞きますた。そして皆さんの情報から身長はロビンさんほど。そして白い仮面とマント」

「まぁ…即席で作った物で、多分間違ってはないと思うけれど」

「私では身長も足りませぬし、何より口調が…」

「……それもそうね」

 

 白い衣装に身を包んだロビンさんが死んだ目をする。大丈夫、女狐本人とはエンカウントしないし!女狐はもう現れないから化け放題だよ!

 

 着々と準備をして完成したのはニコ・ロビンin女狐だ。

 

 服装は私が特徴を聞きながら縫って、ウソップさんが仮面を作った。ナンチャッテ女狐大将。

 

「何より私は女狐の事知りませぬ故に、口調諸々分からぬのです。頼みますた」

「はぁ……仕方ないわね」

 

 ため息混じりだが了承してくれたので私=女狐みたいな印象は抱かれないだろう。女狐大将に化けるだなんて元海兵として恐ろしいよぉ…リー出来ないもん…!!!!(力いっぱい)

 

「一番厄介はMC(マリンコード)ですねぇ。確認として求められるした場合…女狐は能力把握済み故…『ニコ・ロビンが聞くしているかも知れぬ、危険ぞ、言うなかれ』みたいに」

「そうね、『………悪魔の子の能力、危険。口を出すな』って感じかしら。どう、長鼻くん?」

「そんな感じじゃねぇかな〜?」

「いよーし!んじゃ黄金の行方を聞き込みしに行くぞ!」

「誰に?一番偉い人?」

「いや…御しやすそうな少佐だろ。ドレイク少佐だったな」

「へぇ〜」

 

 納得の声を出しながら心の中で謝罪する。ごめんねドレイク少佐、大人しく利用されてくれ。

 

「堂々と歩いている方がいいわね。長鼻くん…じゃなくて堕天使ちゃんの方がいいわね。捕まえた事にしておくからおいで」

「えっ、嫌ですけど?」

「貴女がここに居る唯一のONLY(オンリー) ALIVE(アライブ)だからよ」

 

 まぁ、海賊として納得せざるを得ないチョイス。命を取ってはダメ系の賞金首が居たら即殺は無いだろうし、そういう厄介な奴を捕まえてこそ大将だから疑われにくくなるだろうし、カルーが居ない─そもそもペット扱いになるかもしれない─から人数に誤魔化しは効くけど。

 

 

 ……ジョナさんには効かないんだよなぁ、その作戦。女狐=堕天使って分かっているから。

 

「いざとなるするなれば私の首が危ないって事ですね」

「よくご存知で。バレたら人質にするわ」

 

 生け捕りのみ、の私は政府か海軍で存在価値のある人間。殺してしまうのはアチラさん(せいふ)にとって痛手でもある。想像の上でだけど、特に私の存在はね。

 

「はぁ…分かりますたよ」

 

 ニコ・ロビン(女狐)に捕まっているフリをして、ウソップさんがルフィの首根っこ捕まえて隠れる。

 後はドレイク少佐の出番を待つだけだ。もしくは探す。

 

 でも、私は忘れていた。

 

 

 

 

 

 私に染み付いている『災厄』という存在を。

 

 

 

「ッ!?女狐!?」

 

 何よりも先に出会ったのは護衛とイディエット、『リアスティーン』と関わった2人でした。

 

 やばい以外出てこない。

 

「っクソ、ポルシェーミ!」

「無理に決まっているだろ!」

 

 ちょっと落ち着いて私。リアスティーンの知られているイメージを整理しよう。特徴は『貴族』『過剰な防衛論』『謎のプライド』『アラバスタ』だ。繋がりそうなキーワードは『飴玉』『麻薬』『ヴェズネ王国』辺り。

 

「堕天使ちゃん、少し震えているわよ」

 

 小声で忠告があった。

 私の手を後ろで固定してあるのはニコ・ロビン。彼女に警戒されないように、怪しまれない様に誤魔化すにはどうしたらいい。ヘタレっぷりを暴露する?敵でしか無い女に?

 どうしよう。

 

「ポルシェーミッッッ!」

 

 影から飛び出したルフィが護衛の方を殴り飛ばした。

 

「!?」

 

 能力を使わずにだが殴られた護衛は壁にぶつかって気絶をする。イディエットが目を白黒させているのが当たり前の反応。

 

「起きろよ…!」

 

 胸ぐらを掴んだルフィは空中にぶら下げてそのまま地面に落とす。どうやら護衛はその衝撃で目が覚めたらしい。

 ルフィが思った以上に過激な行動と見るからに怒りを抱いていて私のSAN値チェックは失敗です。コンティニューも不可の模様。

 

「ゲホッ、ゴホッ」

「忘れたとは言わせねェからな、お前ッ」

「だ、……れだ」

「ル、ルフィさーん…知り合いですかー…」

 

 ウソップさんが控えめに質問をすると、ルフィは瞳孔開いた視線を逸らさずに返答した。

 

「因縁の相手」

 

 ルフィさん、返答になってません。

 

「船長さんをあれだけ怒らすって…何者かしら」

 

 因縁って何があるのか。考えてみるが思い浮かばない。護衛の奴はサボの逆鱗にもルフィの逆鱗にも触れているって事だよね?

 

 麦わらの一味も知らない、ルフィとサボの因縁の相手。多分兄妹と過ごしている内に出会ったのが正解なんだと思うけど。私が知らない。恐らく、ゴア王国の高町とかそこら辺で会ったのが再有候補。

 貴族辺りなら腐った性根してても間違いは無いし、偉大なる航路(グランドライン)に行けるかもしれない。

 

「お前は…! 俺達の宝を傷付けた!」

 

 ……益々確信に近付いたな。

 ルフィ達は海賊貯金をしていた。それを奪われそうになっていた可能性だって。

 

 

 

 

 うん???宝は傷付かないよ???

 

 傷付く宝、と言ったら『麦わら帽子』とかだけど……それだったら所有者を『俺達』って言わないモンな。うん。

 

「お前に分かるか!?初めての友達、妹を目の前で連れ去られて!エース達に頼ることしか出来なかった俺の悔しさ!」

「……エー、ス?待て…その名前聞いた事が」

「結局ッ、俺何も出来なくて、挙げ句にリーに庇われて! 血があんなに怖いって思ったの初めてだった! 山賊に斬られそうになった時よりずっとずっと怖かった!」

「は…ははは…!思い出したぜェ…お前はあの時の麦わらの小僧か!」

 

 

 うんん??事態把握出来てないの私だけ???妹???ルフィの妹って他に居たっけ???あの時ってどの時??

 

「こんな所で会うとは思わなかったが…そっちの捕まっている小娘は残念語の」

「あ゛ぁ゛???喧嘩売るしてる??」

「あの時の傷は治ったかァ? 毒付きだったがまさか生きているとはなァ?」

 

 ニヤニヤと笑う護衛()と、怒るルフィ。

 

 思い出したよーー。ハイハイ、思い出したよ。うん。多分何かの逆怨みかうっかりかドジか人攫いか迷子か何かで捕まって売られかけてシャンクスさんに助けてもらってフェヒ爺に刀渡そうと思ったけど無理で…──絶対記憶が違う。シャンクスさんは多分出てきてなかった。そっち山賊。

 

 正直に言います。覚えていません。

 

 毒付きと傷って事は背中をやった本人なんだと思うけど…ごめんねポルシェーミ?さん。

 

 

 私の経歴舐めんなよ。約10年程前の記憶、そして東の海(イーストブルー)というイージー地区での雑魚海賊なんて私が覚えていると思うか。お前さんは海軍将校ですか?七武海ですか?四皇ですか?伝説の海賊ですか?シャボンディに生き残る賞金首ですか?

 ごめんなさいね、私の周囲がキャラ濃すぎて。

 

 因縁っぽくカッコつけている所、本っっ当にゴメンね!

 

 

「ありがとうございます」

 

 まぁ、利用させていただきますけど。

 

「リー…?」

「貴方には多大に感謝をするのですよ」

 

 ニッコリと笑って近付く。しゃがみ込んで視線を合わせるのを忘れずに。

 困惑気味のルフィを無視して、穏やかな声を意識しもう一度感謝した。

 

「貴方の毒のお陰様で私は毒殺という恐怖が無くなるしました。毒に勝利すたのですよ、えぇ、暗殺も防ぐしますた」

 

 本部の医者曰く逆恨みで殺されかけていたらしい。そして主治医の阿呆にも毒薬投与で殺される事はなかった。

 

「貴方の付けた傷のお陰様で私は強大な伝を入手すたのです。例えば七武海、そしてそれに関連して四皇も。実力をつけるしたエースが四皇の隊長故に」

 

 エースは七武海に欲しかったのだが、まぁ白ひげさんの所と繋がりが強くなった。

 

「友達も出来ますた、父親も見つけるしますた、懐かしき人と再会もしますた」

 

 お陰で、『毒傷』という災厄のお陰で伝を沢山作れたんだ。私という主人公の物語を始めさせたのは、確実に貴方だ。

 

「故に、親しき人に紹介すておきますね!生死の境をさ迷うして堕天使(クソジジイ)と再会して幽霊じみた人と知り合えた位程度の傷を負わせるしてくれた事!まことにありがとう!」

 

 ありがとう、と言葉と共に蹴りを鳩尾に入れる。たったそれだけでボロボロのポルシェーミは白目を向いた。ついでに、とイディエットに恨みをぶつけて気絶させる。お前が面倒を起こすから私は奔走したんだぞ泣いても許してやるかテメェが一番の敵だ畜生!!!

 

「はい、ロビンさん。コイツら私の代わりに持つして。捕まえるした事にすて下さい」

 

 平穏無事に生きられると思うなよ。全てはヴェズネ王国の1件口封じだ。イディエットと共に。

 

「辛くないの?」

「(コイツ居たなとかは覚えてないけど)辛いですよ(どこからとも無く湧いてきたゴキブリ処理は)。ですがさっき言った事は(伝や同情を誘うには役に立つから)事実ですし、何より海軍に入るし(て物理的にも精神的にも伝や繋がり的にも力を付け)た故にルフィの(船に潜入する)力になれる可能です」

 

 そう言うとニコ・ロビンは横を向いて呟いた。

 

「健気過ぎて直視できない……」

 

 

 なんでや。




黒い世界で育った悪魔の子は、表面上真っ白ピュアな堕天使を直視出来なかった。騙されるな、そいつは性格堕ちているぞ。

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