2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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次回決着が付くと言ったな。あれは嘘だ。


第162話 賭け金は4億7100万

 リィンの首を31億で取り引きする。

 その期限である0時まで残り3時間を切った時、話し合いや準備を行っていた麦わらの一味の船メリー号にてトラブルが起こった。

 

 それは1人の男の発言だ。

 

「300万程度の小娘、捨て置けば被害は被らん」

 

 ドレークだった。

 

 

 

 

──ドガァンッ!

 

 港の壁にぶつかった音。乱闘の始まりに周囲の人々は混乱し、悲鳴を上げる。

 

「……もう1回言ってみろ」

「何度でも言ってやる麦わらの一味。あの雑用は放って置く方が賢い選択だ!」

 

 ルフィの怒り任せの拳を受けてドレークは痛みに眉を顰めた。しかし残酷な事をハッキリと言い放つ。その言葉にルフィがブチ切れた。

 

「ドレークッッ!!」

 

 怒りで血行が巡る。その熱で蒸気を発生させながらルフィはメリー号の甲板から跳躍した。

 咄嗟にドレークは体を変化させる。

 

 恐竜。世にも珍しい動物(ゾオン)系の能力だ。

 腕だけが濃い緑の鱗に囲われる。

 

「冷静になれ麦わら!あの少女は世に存在してはならない!その結果がONLY(オンリー) ALIVE(アライブ)!悪用される事だってある、それをお前達が守り抜けるか!」

「出来る出来ねぇじゃねぇ!するんだ!」

「だったら……何故テゾーロに負けているッ!海賊王になる!?ふざけたことを言うな…!なら何故お前達は仲間1人に執着して命を落とそうと進むんだ!見ただろ実力差を!」

「俺は……絶対に諦めねぇ!」

「だから…──ふざけるなと言っているんだ!」

 

 殴り合い、蹴り合い。怒りのままに突進するルフィをドレークはあしらう。反撃する間もない攻撃に叫んだ。

 

「お前は船の船長だろ!残りのクルーと1人のクルー!どちらの命が重たいか、どちらを捨てればいいか、命に終わりがあることを学べ!将たるもの冷静さを見失うな!」

 

 ドレークの重い一撃がルフィを襲う。

 しかしルフィは唸りながら頭で受け止めた。

 

「きかねぇ…───ゴムだから!」

「ッ、能力者だとは思っていたが打撃無効系か」

 

 ルフィはドレークを殴ろうと拳を固めた。しかも特大、ギア〝3(サード)〟だ。

 

「船長さん…!」

「ッ!(おい、このセリフは煽り過ぎだろ)」

 

 心の中で悪態をつきながらドレークは守りの体制に入る。しかし衝撃は来なかった。

 

「………いい加減にしろ」

 

 ドレークとルフィの間に立っていたのはホーキンス。

 

「お前、魔術師!なんで庇った!」

「勘違いをするなド…赤旗。庇ったのは俺じゃない──」

 

 ぎゃあああ!と悲鳴がどこからか上がる。

 

「多分あそこの男」

「何やってんだ阿呆か!?」

 

 ホーキンスの腕から藁人形が3個ボロボロと落ちた。その数にサッと顔色を青くするが元々顔色が悪いのもあって誰にも気付かれなかった。

 どうやらホーキンスは誰かを犠牲にしてルフィの攻撃を受け止めた様だ。

 

「………冗談は嫌いだ」

「麦わらの一味、俺達は勝算の低い勝負をするつもりは無い。降りさせてもらう」

 

 ロビンが腕を咲かせて止めるが反動で小さくなってもなおルフィは止まらない。しかし体格差というものがある。ルフィは背を向ける2人に向かって思いっきり叫んだ。

 

「俺は例え誰だろうと見捨てねぇ!見捨てたくないから、仲間だろ!命を賭けてでも助ける!」

 

 その言葉に、ロビンがグッと息を飲んだ。

 

 

 

 

 

 

「悪魔の子絶対許さん」

「……ガチだったアレはガチだった麦わら怖い」

「クッソ、ホーキンスが演技出来ないだろうからって俺に煽り担当任せやがって!」

「……3体、3体も一気にやられた」

「完璧防戦一方だったじゃないか…!」

「作戦成功率が1%という過去最低記録にも関わらずなんで決行するんだ頭がおかしい」

「腹が立つ…絶対にテゾーロぶん殴る」

「そうだ、テゾーロを呪えばいい。…আমি আমার ডেস্ক আমার সামান্য আঙ্গুল ছিটান এবং মারা」

「おい待てなんだそのガチっぽいの」

「机の角に小指をぶつけて死ぬ呪いを」

「地味に辛い」

 

 ──さて、堕天使奪還作戦を開始しようか。

 

 

 

 ==========

 

 

 

「いや、あれ嘘だからな」

 

 サンジの発した言葉にルフィがキョトンと首を傾げる。

 

「うそ、嘘、uso……っぷ?」

「いやなんで俺だよ」

 

 タワーの天辺にある金庫を目指して職員専用連絡通路を用いこれから大暴れするぞ、というタイミングでネタバラシをする。しかしルフィはその言葉では理解出来なかった様だ。

 見回して確認するも驚いているのは自分だけと分かったのか大人しくなった。

 

「よ、良かった〜〜〜…。リィンの友達が酷いやつだと思いたくなかったから良かった…」

「ドレークは特に元海兵らしいし、リィンちゃんの事見捨てないって」

 

 ここにリィンがいたら『海賊の方が優しいってアルンダヨ!海兵簡単にミステルヨ!』と訴えた所だろうが彼女はただ今金まみれだ。

 

「じゃあ、決行前に作戦のおさらいでもしましょうか」

 

 ロビンの言葉に全員耳を傾ける。

 

「ここは職員専用連絡通路。目的地はVIPルームの更に上の金庫。ここまでは大丈夫ね?」

「おう」

「この道ならタナカさんのチェックを使わずに上に行けるって事だよな…シーナには感謝だ」

「えぇ、彼が居てくれて良かったわ。そして私達一味は全力で目立ちながらお金を手に入れる」

「シンプルだな〜」

「とってもシンプルで分かりやすいでしょ?」

 

 柔らかく微笑みながらロビンは扉を見る。

 

「この先に、テゾーロの手下が何人もいるわ。ここから螺旋階段を登っていく方が目立つかも」

「んじゃ行くか」

「お金を手に入れれば解決するわね」

 

 とってもシンプルで分かりやすい。彼女の言った通り。ルフィはニンマリと笑みを浮かべて扉を開けた。

 

「野郎共!目標、金庫!」

「「「「おう!」」」」

 

 投げ飛ばすように暴れる一味。

 連絡を取る敵を無視しながら歯向かう敵のみ蹴散らす。

 

 

 

「──あぁ、(かね)の位置を隣に移動させる」

 

 

 

 麦わらの一味は螺旋階段を登る。

 自慢の技で金に衝撃を与えながら、『俺達はここにいる』と訴えながら。

 

 

 

「──さぁ出よう。ショーの最終演目だ」

 

 

 

 彼等は知らない。

 立ち向かう敵がどれほどの実力差を持っているのか。

 

 

 

「──これぞまさに、エンターテインメント…」

 

 

 

 敵が誰なのか。

 フィナーレで嗤うのが誰か。

 

 

 

「お金が無い…!」

「そんな、いつ」

「ようこそ麦わらの一味」

 

 扉を開けるとそこには、天空劇場というものが広がっていた。しかし劇場と言えども客の姿は無い。

 

 

「ギルド・テゾーロ…」

「お前ッ、リーを返せ!」

 

 劇場には幹部全員が揃っている。テゾーロ、タナカ、シーナ、バカラ、ダイズ。ロビンが心の中で勝利を確信する。

 

「(幹部が集められているという事は……地下の特別製の牢屋の警備はザルね)」

 

───ガラララララ…ガシャンッ!

 

「!?」

 

 上から金の檻が降り、麦わらの一味は全員簡単に捕えられた。

 

「残念だったな。あの2人と喧嘩別れをしたのは大間違いだった様だ」

 

 テゾーロは笑う。間違いなく勝利は我らの物だ、と。

 

「鍵も無いのに金庫を狙うとは思わなかったが、どうやらシーナの物が盗られていたか。言い訳を聞こうシーナ」

「いやー…素直に落としました」

「フン、お前とは相容れない。ミスが多すぎる」

「ごめんなさいねェ…」

 

 自己保身に逃げたか、それとも隙を伺うのか。

 細められた語尾にテゾーロは不機嫌そうに鼻を鳴らす。テゾーロが背を向けるとシーナはズボンの隠しポケットに手を突っ込んだ。

 

「ねェテゾーロさん。ギャンブルという定義を作るのに必要な事って何?」

 

 ナミが高い声で問いかける。

 

「……賭け、だろう。だからこそ人々は狂う」

「私もそう思うわ」

 

 要領を得ない語りにテゾーロは困惑した表情を見せる。時刻は0時少し前、そろそろだろう。

 

「私達も今回賭けをしたの。なんと言ってもここはギャンブルの国、当たり前よね」

 

 楽しいわ、と言ってロビンが笑う。

 

「賭けた金額は4億と7100万ベリー!」

 

 その言葉に動揺が走る。

 周辺を固めるテゾーロの部下は焦り顔を浮かべていた。

 

「上手く動いてくれたなぁ」

 

 シーナが仮面の下でコッソリ言葉を漏らす。隠れて見えない口角は上がっていた。

 

「まさか!」

 

 テゾーロはバッとシーナを見る。

 シーナは思いっきりピースを作っていた。

 

「悪いわね。私達の仲間にはもっとえげつない事を考える堕ちた天使ちゃんがいるの」

「そう!私の!天使!」

「航海士さん少しだけ黙ってもらえるかしら」

 

 声の大きい変態さんの叫びをなだめながらロビンが腕を組み笑った。

 

「金って、軟らかくて加工しやすいんだけど耐久性が無いから昔から俺の国では合金として医療器具を作っていたんだ」

「だから、俺でも簡単に──」

 

 チョッパーの言葉に続けたゾロが最前列で横一線に刀を抜いた。すると金の檻はそこから簡単に崩れる。

 

「──斬れるってわけだ」

 

 武装色を使っているわけでも無い。打撃に強い物質だということには変わりないが一点集中、刀のように当たる面積が小さいと壊れやすい。

 

 剣士を捕えなくて間違いだったな、とゾロは不敵に笑う。

 

「リィンさえ取り戻せば枷なんてほとんど無い!」

「悪かったなぁテゾーロ」

「──この勝負、俺達の勝ちだ!」

 

 

 

 

 

 ==========

 

 

 

 期限1時間前。

 電伝虫が睡眠を要する微かな時間を狙い2時間も掛け地下へと辿り着いた。入り組んだ建物の内部はホーキンスの占い任せだ。

 

「さて…あの扉の向こうか」

 

 頑丈そうな扉の前には見張りが2人。他には居ない模様だ。

 陽動兼囮の麦わらの一味と違ってこちらは目立つわけにもいかず、ドレークは顎に手を当てて考え込んでいた。重要なのはこの先、リィンの解放と海水を用いた枷の破壊だ。

 

「帰る」

「早い早い早い早い。諦めるのが早い」

「帰りたい」

 

 短気のホーキンスがムッとした表情で引き返そうとするのをドレークが必死に止める。

 

「……要はあの見張り2人を手を出さずに倒せばいいんだろ。よし、ドレーク、今から俺を2回くらい殺すつもりで攻撃しろ」

「は…!?」

「そしたらアイツら2人にダメージが行く。『攻撃』成功率…99%。大丈夫だ」

「その残り1%が俺に振りかからない様にしてくれればいいが」

「中には範囲が届かない筈だから多分いける。さぁ来い」

「お前って極端だな……」

 

 ドレークは斧でホーキンスを斬りつけた。

 

「「ぐあっ」」

 

 成功だ。

 

「……お前のそれグロい」

「5体も無駄にしたが、仕込みはまだある」

 

 腕から出る藁人形に引いた顔をしながらもドレークは見張りを踏み倒し扉の鍵を開けた。

 

 

 

「……暗っ」

「リィンさん居るか」

「雑用どこだ」

 

 扉から入り込んだ光に黄金が反射する。

 

「あ…御二方。何故こちらに」

「随分疲れているな、待ってろ、今解放する。というか自分では無理なのか?」

 

 リィンはドレークの質問に首を横に振る。

 ドレークは海楼石の部分を触らない様にしながら鍵で黄金を溶かそうとした。

 

「少しでも溶けるするとテゾーロに伝わるです。あー…何よりお腹空くですよ」

「なんで余裕があるんだ」

「ドライフルーツなれば食べますたから…喉渇くした…」

 

 呆れながらもドレークはリィンと目を合わせる。…よく見ると震えていた。

 ふう、とため息を吐いて武器を構えた。

 

「んん??ドレーク少将??何事??」

「ぶった斬る」

「脳筋ですたかね!?」

「がんばれがんばれ」

「ホーキンスさんは普通に助けるして!?」

 

 やれる事は無いと判断したホーキンスはそのまま近くで占いをし始める。

 

「えっ、これ私の胴体真っ二つしません?」

「大丈夫だ、問題(しか)ない」

「少将ぅ!?」

 

 あ、これ味方に殺されるパターンだ。

 リィンの目がただひたすらに死を迎えた。

 

 

 

 その時事態が動いた。

 

「「「ッ!?」」」

 

 地面が大きく揺れた。唐突な出来事にバランスを崩しかけ、目を見開く。そして光が差し込む上を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────なんてな」

 

 怪物が笑った。

 

 




若干のネタバレ注意。
映画のゾロは金を斬れませんでした。

呪いの部分に付いてはグーグル先生に頼った。多分違う。

マイナスイオン系読者様よ!オラに力をわけてくれ!そして訓練された心配しないプラスイオン系読者様を倒すんだ!(ネーミングセンスなし)

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