2度目の人生はワンピースで   作:恋音

229 / 278
第214話 同窓会って黒歴史発掘調査兵団だよね

 

 

「「「どういう事だ!」」」

 

 私の素性に関する意見が綺麗なまでに食い違った3人の船長に詰め寄られる。

 

 私は顔を覆った。

 そしてため息を吐き、死んだ目で3船長を見る。

 

「いいこと思いついた」

「忘れてくれ」

 

 前頭葉をアイテムボックスに収納すればいいんだ!そうすれば完璧さ!ウソップさんツッコミが少し早すぎるかな!

 

「いや、もう無理だって、ダメだって、天竜人そこにいるって、矛盾点の塊みたいな人達が同窓会のごとく揃いも揃うしてなんだよ暇人ですか?」

「言ってること無茶苦茶じゃねーか」

 

 私の涙腺が火を噴きそう。なんでキッドさん私を呼び寄せたかな。このままだったらルフィがガチギレしてロズワード聖を殴ってくれそうだったのに。完全に毒気抜かれて視点が私に向いてんじゃん。どうしてくれるのさ。予定が完璧狂った。問題起こして欲しい時に起こしてくれない海賊なんてポイズン(物理)しちゃうぞ★

 

「よぉし逃げるぞリー。今海軍大将相手はさすがにきつい」

「待ってルフィ私海楼石!」

「あ?お前海楼石抜け出せねぇのか?」

 

 ゾロさんに抱え込まれ運搬される。私は怒る天竜人の叫び声をBGMに外へと連れ出された。そして外には海兵が武器を構えて居た。ワオ、タイミングが果てしなくバッチリかよ。

 

「ええええ、どう、どうしよう」

 

 天竜人が怒って海軍に救援出せばいいな、というのは希望的観測。ロズワード聖、当時雑用だった私を渡さなかった海軍嫌いだからどうだろうなぁ。殴られたらさすがにチャルロス聖辺りが通報すると思ったんだけど。

 

 早く海軍の戦力を呼んでくれ、という意味の『どうしよう』だったがローさんは何を思ったのか少し考え能力を展開した。

 

「〝ROOM〟」

「…………あれ?」

 

 ブオンという膜が広がり半球の空間が生まれる。わぁ、見覚えのある能力だ。具体的に言うと青い鳥(ブルーバード)のスットコドッコイピエロ。

 

「すぐ済む、気を楽にしろ」

 

 刀身を抜いたローさんが私に向かって刃を振る……ってなんでだよ!

 

──ブン

 

 刃が風を切る音。

 白刃の延長線上に居た海兵と、これまた延長線上にある入口に居た奴隷の首が切れた。

 

 ……。何しとんじゃい。

 

「何故避けた」

「避けますわい!……って、あれ?その奴隷、死ぬしてない?」

 

 奴隷の生首をつかんだローさんは首輪を適当な場所に放り投げてまた奴隷に首を繋いだ。

 つまり無傷のまま首輪をイリュージョンで外したわけだが。

 

「──分かったか」

「了解しますたお願い致します!」

 

 素直に両手と首を差し出した。

 ここで海楼石から逃げ出そうとしなかったら能力者失格だからね。知ってる。

 

 

 がちゃんと首輪と海楼石が外される。

 

 

 ローさん、シーナの知り合いだったよね。やっぱあのピエロの能力そっくりだ。このROOMって空間は凪の空間によく似ている。模倣か?

 

「キッド、まさか堕天使と知り合いか?」

「キャプテン、フレバンスの時の女の子だよな?」

 

 殺戮武人がキッドさんに聞き、クマのミンクがローさんに聞く。

 2人の船長はその質問に頷く。

 

 HAHAHA、胃が、胃が死にそう。

 

「……まぁリィンだからね」

「確かに」

「それは言えてる」

「もうなんも言えねぇな」

「おいこら麦わらの一味!」

 

 理解力があってありがとう!でも多少なりとも心配とかはして欲しいかな!

 

「……お前もついてこい」

「いいのか?」

「構わねぇ。戦力はあるに越したことはない」

 

 ローさんは奴隷に声を掛けると、彼は嬉しそうに笑った。

 

「こんにちはキャプテン・ジャンバーりゅ」

「噛んだ」

「噛んだな」

「噛みましたねェ」

「…………大丈夫か?」

「……ロズワード聖の苦労者同士仲良くしましょうぞね」

 

 その優しさに涙が飛び出そうだ。

 

「おいコラ糞ガキ!」

「……なんですかキッドさん」

「さっきの!どういう事だ!」

 

 あァ、3船長の言葉が食い違った件か。

 

「とりあえず──これ、蹴散らしてからでよろしきですか?」

 

 パン、と手を叩くというモーションを植え付けていつもの箒ではなく棍棒を取り出す。早いとこ新しい箒見つけないと。

 

「お、最近サボってた手拍子」

「……ウソップさぁん」

「別に手ぇ叩かなくても取り出せるんだろ?」

 

 ゴツンとその棍棒で隣にいたウソップさんの頭を思いっきり叩いた。フルスイングだ。

 ちくしょう、モーションの刷り込みは無駄に終わったか……!

 

「いいぜ、俺がまとめて片付けてやるよ」

「あ、ほんとですか。よろしく」

「背中はお前な」

「なんっっっでだよ!その言葉にキレる船長が2人も居ながら何故私チョイスぞ!」

「1回共闘したことあんだからに決まってるだろ」

 

 ならお前のクルーとやれよ!片付けてやると言った瞬間『あ?』って不機嫌そうな声を上げたルフィとローさんとやりたくないなら!クルーとやれよ!!!

 さも当然とばかりのバカバカしい表情に私はキレた。

 

「これだから童貞は……」

「童貞じゃねェわ!」

「うっそ卒業おめでとう!?本当!?真実!?」

「なんでテメェはそんなに上から目線でしかも意外そうなんだよッ!」

「だってラブホに泊まる程度で顔真っ赤にしてた童貞さんが……卒業とか信じられぬ……」

「……てめぇで卒業して欲しかったか?」

「へぇ、ヤれるの?」

 

 煽られたと分かったので喧嘩を売ってみる。にっこり笑ってみせればキッドさんは押し黙ったあと顔に手を当てて別の方向を向いた。小声で絶対無理って呟いてる。聞こえたよ、ちゃんと。ギロチンしてやろうか眉無し。

 

「ファーッファッファッ!キッドやられたな!」

「……!キラー!」

「あと私に手を出すと各方面が黙るしないので個人的にすごくオススメしないです。胃が、胃が痛い……」

「何か知らねェがどんまい!って、これ前もやったな」

「箒でグロッキーになるした童貞さんのバーカ!空き家狙うしたせいで私の胃は結構簡単に死ぬしたのですよアーホ!」

「ざまぁみろ」

 

 いーー!と歯を見せて威嚇する。

 この同期というか世代の船長共性格がクソオブドブで苦労が絶えない予感を察知。世代に特徴が渋滞してる。

 

 この世界のお巡りさん何してんの?あ〜私だったぁ〜。

 

 …………そうだせかいをほろぼそう。

 

 

「──どうでもいいので!そういうのどうでもいいので!童貞だろうと生娘だろうと知ったこっちゃないので遊んでないで手伝ってもらってもいいですかね!?」

 

 シャチの帽子を被ったハートの海賊団クルーが叫ぶ。海兵に押され気味で応戦していた。

 

「ローさん」

「あァ?なんだ革命屋妹」

「だからその言い方……。私貴方のクルーあまり知らぬですけどあのシャチ頭吹っ飛ばしていいですか?」

「名前はシャチであってる。兄様って呼んでくれたら後でバラしてやるよ」

 

「ルフィにぃに〜!」

「リーは俺の妹だって信じてた!」

 

 盃の絆を舐めるなと抱きしめ合う。注目すべきは麦わらの一味のこれでもかとスルーしている顔だ。

 でも絶対後で説明は求められると思う。

 

 冒険があればパン食い競走のように食いつくルフィだけど悪事はそこまでなので私の胃は治癒力の方が勝つ。とんでも発想力はお手上げですけども!

 

「リー、騒ぎは起こさない方がいいんだよな?」

「はいです。でもここまで騒ぎが起るすれば……海兵はやって来るでしょうね」

「そうなると俺たちはそーきゅーに魚人島に向かわなきゃいけなくなる!シャボンディ土産買ってない!」

「そこか」

 

 グルンとルフィは私を海兵の方角へ向かせた。んん?嫌な予感がするぞお?

 

「なんとかなんねぇかな?」

 

 何を抜かしてんだろうこの兄は。

 

「天竜人に危害は加えるしてない故に恐らく大将は来ないと思うですけど」

 

 これは本当。まだ奴隷としての私を奪った段階だからね。

 後乱戦を予想される外にわざわざ天竜人を出すなんて真似はしないだろうから外に出た今、天竜人に危害を加える、という期待は出来ないだろう。

 

 でも絶対投入させなければならない。海軍への言い訳として天竜人への危害を考えてたんだけどなぁ!

 

「あー、ルフィ。リィンちゃん。見知った気配が2つこっちに近付いてくる」

 

 サンジ様の忠告に私は首を傾げる。

 レイさんとフェヒ爺かな?いや、でもあの2人が素人の見聞色の範囲で気付かれる程時間の猶予を持つだろうか?

 

 とりあえず私はやれる事をやってみる。

 

「……海賊です道ぞ開けてください!」

「なんでそれで空けてもらえると思ったんだ」

「1周回るして開けてもらえるかな、と」

 

「──天使だ!道を開けろ!」

「俺たちの天使が帰ってきた!」

「捕縛したらインペルダウンだぞ!道を開けろ!」

 

 

「………。」

「………うそやん」

「……お前、お前まじか。引くわ」

 

 一部の人間が蜘蛛の子をつつく様に散り散りになって道を空けていった。これには私もドン引き。ついでにスルー出来なかった私大好きコンビ以外の麦わらの一味もドン引きした。

 他の海賊はもちろん絶句真っ最中だ。

 

「あァそうか……シャボンディ諸島の海兵って……本部からの派遣海兵……」

 

 10年という根深きファンクラブは本部の人間、元雑用が特に多いよね。しかも10年雑用してきたのは月組だけだから他の部屋の雑用ってどんどん出世していってるし。

 

 

 ……。

 ちゃんと仕事しようよ、海兵。

 

 

 

「雑用ゥ!またおまえか!」

「まてドレーク、他の海賊もいる」

「海賊なら海賊の道理ってモノがあるだろうが!そこ天竜人がいるだろ!迷惑をかけるな!」

「リィンさんがキレるやめろ」

 

 突然2つの声がして、その方角にいた海兵が吹っ飛び遊ばされた。

 

「な、何故来たんですかドレークさんホーキンスさん!?」

 

 そこに居たのはグランテゾーロで出会った北出身の海賊2名。シャボンディ諸島ではまだ再会してなかったけど、これで正真正銘フルコンプ。凄い、流石私!クソくらえ!

 

「麦わらの一味が余計な事しないかの監視だ!なんでお前ら海兵は捕縛せずに言いなりになってんだ!ちゃんと捕まえろ!」

「どっちの味方ですか貴方……」

 

 緊張感とか見事に雲散したわ。

 

「どーもこんにちはー、堕ちた将校殿!」

「元気そうで何よりだ、堕ちた天使殿」

「……。」

「…………。」

 

 やめよう、胃が痛くなってくる。

 

 

 

「──なにやってんだお前ら」

 

 ぞくりと背筋が凍り膝から崩れ落ちる。

 たらりと流れる冷や汗。

 

 でも声は聞いた事あるから、なんだか不思議な感じだ。

 

「ヘェ、今の海賊はこれを耐えられるのか。意外だな」

 

 バタバタと泡を吹く海兵達。

 私はそれに眉をひそめた。

 

「何これ……震えが止まらない……」

「すげぇプレッシャーだな……。まさかこんなところで伝説の海賊に出会えるとは」

 

「……とりあえず天竜人のそばに居るのはまずいだろ。話は後だ、GR(グローブ)移動するぞ、小僧、小娘」

「「はーい!」」

 

 私とルフィが同時に声を揃えたら麦わらの一味以外は仰天していた。

 

「分かる分かる。俺もさっきまであんなだった。運が悪かったな、こんなのに当たって」

「深く考えれば頭痛くなるだけだぜ、同期共」

「……海兵共、相手とタイミングがすこぶる悪かったなぁ」

 

 ウソップさん、ゾロさん、サンジ様。

 喧嘩売ってる??

 

 

 

 ==========

 

 

 

 

 

「「「「剣帝の弟子ィ!?」」」」

 

 同窓会のメンツが口を揃える。

 12番GR(グローブ)まで移動した私たちはシャボンディ諸島の根の上で座り込んでいた。

 

 理由は覇王色の覇気を使えない筈のフェヒ爺が発した何かしらの技なんだけど、うちの女衆が膝をついて限界を迎えたのだ。

 

「──ということなのでこの栗色どぐされ畜生は一応味方です」

「言い草が全体的に酷い」

 

 ウソップさんのツッコミを華麗にスルーする。

 酸素と一緒にストレスも吸うこのストレス社会では多少のツッコミに気を使う必要性が感じられない、私は図太く生きる。

 

「んで糞ガキ、海兵の娘がなんで海賊なんてやってやがる」

「あァ確かに、気になっては居た。何故大物の娘でありながらお前たちは海賊に転じたんだ。占っても仕方ないので直接聞くが、リィンさんとドレーク」

「俺は海軍に嫌気がさしてただけだ。雑用の方は知らん」

「はァ?何を言ってるんだお前たちは。革命屋の妹の方となんの関係が」

「だーかーらー!リーの兄ちゃんはお!れ!」

 

 大型ルーキー船長5匹が噛み合ってるようで全く微塵も噛み合ってない会話をする。いや、唯一噛み合ってるのはドレークさんとホーキンスさんか。

 

「……こいつらの呼吸器官全部釘でぶち抜こうかな」

 

 ストレスすら吸えなくしてやろうか。私の黒歴史の生き証人。

 それに死なば諸共、巻き添えに出来るネタは一応持ってる。死人に口なしだよ。

 

 それにしても本当にどうしよう。

 天竜人に手を出すことなく現場から離れてしまった。途中からこれはやばいと思ってマントの下で電伝虫繋いでいたけど、センゴクさんの応用力に賭けるしかない。そしてそれに計画性もなく乗っかる私の火事場のクソ演技力とね。

 

「小娘、そろそろ説明してやれ。俺が現れたことよりお前の素性の方が気になってやがるぞルーキー共」

「デスヨネ」

 

 頭を掻きながら胡座をかく。

 女の子がそんな格好をしない、って感じでドレークさんが叱ってくるけどスルーした。

 

 それにマントの中で電伝虫がセンゴクさんに話を届けているから下手な事は言えないしね。簡単にだけ説明しよう。

 

「まずキッドさんの言う『私のお父さん』ですが」

南の海(サウス)の、テッドって大佐な」

「あれ、完全に嘘です。むしろキッドさんと会った時が完全に初対面ですしそれ以降会ってないです」

「はァ!?あんだけ仲良さげに会話しといて!?」

 

「リィンってこういうとこあるよな」

「周りを振り回す事に関しては天才的だし」

「リィンって残虐非道って言うんだよね」

 

 驚くキッドさんの横で麦わらの一味が訳知り顔みたいな感じに語ってる。あァ、慣れてきたんだな。

 

「麦わらの一味の反応は年下で年頃の思春期女子に対する反応だと思えばちょっとどうかと思う。ところでウソップさん辞世の句の用意は出来てる?」

「一息で死の覚悟を問うな」

 

 やだなぁ、ジョークが伝わんないなぁ!

 ニッコニコ笑えばウソップさんは怪訝な顔をした。ゴホンっ。

 

「えーっと、確かラーメンっていう名の書類配達でしたよね。私四歳の頃から海軍の能力者として雑用すていた故に、本部にいる親代わりからの依頼で飛びました」

 

 そこで私はドレークさんとホーキンスさん、そして麦わらの一味に視線を向ける。

 

「その親代わりが2人の言う『海兵の親』、です。だから親代わりが一緒のドレークさんはある意味兄妹分である感じですね」

 

 海賊として関係を表すならシャンクスさんとバギーといった感じ。兄妹弟子ってわけじゃないし、血縁も盃も間にあるわけじゃない関係性。

 

「それで次にローさん」

「……嫌な予感がするが」

「私は休日に革命軍に予定ぞあり向かった時の事でした」

「内容は聞いたらダメか」

「旧友の生存確認です、噂ぞ聞いたので。まぁそれが、ローさんの言う『私の兄』……つまるところ参謀総長だったのですけど」

 

「参謀総長ってアラバスタにいたマントのヤツ」

「……あァなるほどな、半分正解って訳か」

「つまりあの総長さんとは革命軍に入る以前からの知り合いだったってわけね」

 

 そういう事か、と納得したローさんは顎に手を当てて記憶を思い返していた。

 

「じゃあド……七武海の話は?」

「アレはただの真実ですよ」

「当時聞き忘れていたが、何故革命屋……あー、妹屋が知っていた?」

「私がところ構うなく妹ポジションで媚び安売り中みたいな呼び方やめるしてくれません?」

「兄様と呼んでくれても」

「い、や、で、す」

 

 全力拒否すると兄であるルフィと兄的なドレークさんが口を挟んだ。

 

「リーは七武海と仲良いんだぞ!」

「主な雑用が七武海の茶汲みだったな、皆がやりたがらなかったから幼子に押し付けたというエピソードがあったはずだ」

「ルフィ、ルフィ、吐き気がするのでやめてくれませぬ?」

 

 ただの精神攻撃だった。

 

「七武海程度の茶も注げぬとか当時の雑用クソほど情けないですよね。それがこの諸島にいる海兵と恐らく同期ですぞ」

「そりゃ、険悪な間柄に進んで入りたがる者なんか居ないだろ」

 

「は?」

「ん?」

「へ?」

「え?」

 

 ドレークさんのため息混じりの指摘に素っ頓狂な声を上げたのは当然麦わらの一味。

 フェヒ爺ですら、麦わらの一味の反応に驚いていた。つまりこの中で異質な反応は麦わらの一味だけ。

 

「いや七武海ってかなり仲良いよな?」

「え、えぇ、ボスはドフラミンゴとよく呑む中だったわ。時々ミホークもワインを片手にアラバスタに来てたけど……」

 

 ウソップの疑問にニコ・ロビンが答える。クロさんと長く居たのはこの人だから、当然関わりがあるよね。

 

「現存七武海ではモリア以外仲良しですよ。魚人のジンベエさんも迫害されてませぬし」

「あ、あーーーっ!リィンがアーロン相手に引かなかったし魚人怖がってないのって七武海に魚人がいるからなの!?」

「え、常識では?だってナミさんもココヤシ村で説明聞きますたよね?『ジンベエが七武海に加入する代わりにアーロン釈放』って」

「聞いたけど、魚人だった、のね、そうよね、冷静に考えればそうよね」

 

 ゾロさんの知り合いで賞金稼ぎ仲間である2人組にそう説明されたはず。

 

「貴女が入隊当時から七武海って仲良いわけじゃないのよね?貴女、影響力だけは1人前だから」

 

 ニコ・ロビンの棘のある言い方にイラッとしながらも七武海の初対面を思い返す。

 

「クロさんがロリコン……あ、違う、違わぬけど」

「お前の頭かち割って脳内調べてみてぇわ、なんだその記憶」

 

「あ、鬼徹で絡まれるした」

 

 ゾロさんがコレ?と言いたげに刀を見せてきて、フェヒ爺はスススと視線を外す。

 

「今は亡きヘイヴとくまさんがマイペースで仲良しで、グラッジがキャンキャンと他の七武海に絡む……。あ、ヘイヴというのは過去ドフラミンゴが七武海入りする時に殺すされた七武海で、グラッジというのは海難事故ぞ起こした今は亡き七武海」

「ッ、ハーッハッハッハ!ざまぁみろグラッジッ!」

「……で、そこで大笑いぞしてるはグラッジの双子の兄。本名ディグティター・グラッタ」

「ハッハッハッ!…──さりげなく素性をバラすんじゃねェよ」

「ジジから教えられた瞬間ルフィの所に精神回復に向かった私の胃の仇討ちがこの態度で終わると思うなぞ」

 

 ディグティター家は私が潰す。

 顔面をがしりと掴まれた私は、指の隙間からフェヒ爺を睨んだ。

 

「つまり七武海って昔から愉快ぞいだだだだだだだだ!」

 

 指!指に力入れないでください!顔面が!パキュッて!なっちゃいけない音が鳴る!ごめんなさいフェヒ爺!

 

「で、痛みに悶えてる小娘の代わりに説明するが、そこの小僧と小娘は盃を交わした兄妹。ま、子供の真似事だけどな」

「俺達は真似事の盃なんて交わしてねーぞフェヒ爺!」

「あーあー、んな事わかってるよ」

「ウソップさん私の顔いつも通りですか!?鼻もげるぽろんしたり変な所から骨出てませぬ!?」

「発想が怖ーよ。いつも通りだ」

 

 顔潰れるかと思った。よかった、私の顔は結構有効な武器だから。まぁ私の力を最大限に使う的な顔である女狐は顔を全力で隠してるんですけどね。

 

 やっぱり自分に課せられた設定が多すぎるしキツすぎるよね。伝説の海賊の娘で七武海の癒しポジションで最高戦力で……あ、ダメ、これ以上考えたら胃が死ぬ。

 

「…………ッ」

「そういえばフェヒ爺、貴方覇王色の素質は未所持と昔言う経験ぞあっ…──」

「下がれ小娘ッ!」

 

 フードを引っ張られフェヒ爺に物凄い勢いでルフィの方向へ弾き飛ばされた。

 

──ドガァアアンッ!

 

 シャボンディ諸島の木屑が宙を舞う。塵の中から現れたのは3つの物陰だった。

 

「おぉ、丁度いい具合に揃ってるな、大型ルーキー………っと、カトラス・フェヒター、貴様もいるのか」

 

 私はぺたりと腰を落とした。

 

「うそ、なんで……なんでこんな所に……」

「天竜人が居て、ルーキーが多くいて、尚且つ貴様らが居るなら、面倒を見た責任として片をつけんと政府に顔向け出来んだろうが。リィン……──いや、海の屑共」

 

 私は唇が震え、手も足も震えた。

 耳に自分の歯がガクガクと噛み合わせて鳴っているのが聞こえた。ひきつる喉で、『屑』と言った男の名を叫ぶ。

 

「センゴクさんッ」

 

 海軍元帥が、七武海と海軍大将を引き連れてやってきた。

 ちなみに七武海はくまさんで…──

 

「め、女狐がなんでここに!?」

 

 ルフィがそう叫ぶ。

 

 

 …──海軍大将とは、白い服装を身にまとい狐の面を被った、女狐だ。




後書き浮かばなかった

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。