2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第221話 やつの名はチョロイン

 

 level3。

 激戦区level4から続く階段をかけ登る途中背後から異様なプレッシャーを感じた。それは多分全員が気付いた事だろう。

 

 マゼランが殿にたどり着いたということ。

 想定していた事ではあるけど、脱獄組は背後からの攻撃に弱い編成だ。むしろ前方組が過剰戦力すぎる。

 

 level3は解放組も手馴れて来た+突然解放のスピードが上がった。

 迫り来るマゼランという強敵に焦りを見せたのか鍵以外の手段を増やしたのだ。

 

 殿の後方組だったイナズマさんのハサミとMr.3と呼ばれる蝋の能力者の解放スピードアップ。もちろん殿に抜けられるのは困るので、Mr.3と共に同じく解放された元バロックワークス軍。Mr.4ペアやMr.1ペアという人達がクロさんの指示で後方組へと回された。

 

 

 ……それでも足りない。

 level2とlevel1の囚人を解放する為の時間が。

 マゼランを食い止める必要性があることを。

 

 

 恐らくlevel1には覚醒の能力者である獄卒獣やサディ獄卒長がリフトで移動してあるだろう。動物系覚醒者の回復能力はえげつないというかえぐい。

 

 level3である程度の戦力は獲られたからこのまま脱出してもいいけど……。

 

 

 うん?

 

 

「いやこのままlevel1.2無視すて脱獄する方が良きでは無いですか?」

 

 はっ、と口に出して呟いた。

 正直インペルダウンの看守程度ならシキの参加でオーバーキル。問題は役職持ちの職員だけど、名前知ってる人達に重傷者も居ないし余裕がある。無駄なリスク踏むより確実に軽傷で脱獄出来る方がメリットとしてはいいんじゃないかな。

 

 前方組が私に視線を寄せる。元々頭を使う役職の方々は一理あるな、と呟いた。

 

「だが、どうやって?」

 

 シキが首を傾げた時、私はこの人の思考回路に勝ったことを知ってドヤ顔になる。頭叩かれた。痛い。

 

「てれー、シャボンコーティング!」

「「あっ」」

 

 懐から取り出した珊瑚に魚人の2匹が同時に声を揃えた。

 存在は知っていても用途を理解できない大多数。ただし魚人達はまさか、といいたげな表情をした。

 

「リー、それなんだ?」

「魚人島の生活必需品の1つ。シャボンコーティングというのレイさんに頼むしたでしょう?」

「おう!」

「え、レイさんってレッ──モガッ! むーーんーーんー!」

 

 シキが唯一使える手で恩人さんの口を塞いだ。

 

 ……。

 私はルフィに向き直る。

 

「そのシャボンと同じ成分で、とにかく、海の中で何かをシャボンで包むが可能! まぁ浮力はニートですけどそれに関してルフィに説明しだすと日が暮れる」

 

 私はつまり、と言いながらlevel2に向かう為の階段前で壁を見た。

 

「全員シャボンに入るし、そこからシキと私で壁ぞ壊し海流を生む」

「インペルダウン沈まないか?」

「やだなぁ! ……出たら壁ぞ蝋で塗り固めるすれば良いのです」

 

 まぁここは気温が高いからすぐ溶けるだろうけどlevel2なら固まるだろう。蝋で作る理由だけど、すぐに出来るからなんだよね。更に『火で炙れば海に泳ぎ出てすぐ追えるが海水が流れ込んできて能力者に不利』。でも逃がすよりは良いだろうね。

 だけど、それを選べば海上戦が得意な魚人2匹に能力者でもない人間はすぐ落ちるだろう。戦線?いや、命が。迷うだろうなぁ。

 マゼラン署長は悩むだろうなぁ。自分は能力者だから海に出れないけど、己の部下を魚人数匹相手にさせるという無謀を指示しないといけなくなるんだから。でも壁を溶かさなければ追い付けないだろうね。

 

「それまさか親父の……」

「そうですマルコさん」

 

 予知夢であった白ひげさんの乗り込み方法。

 予知夢を知っているマルコさんがハッと思い出して私を見た。真顔で肯定する。互いに余計なことを言わない方が良いと思っているので記憶を掘り出しつつ可能性を吟味しているんだろう。

 

「ん! んーー!」

 

 カナん゛んッ。

 恩人さんが口を塞がれながらも何かしらを訴えて来た。

 

 シキが私にどうするか視線で聞いてくる。

 

 間違いなく……いやそうじゃなくて、えっと、確実に……じゃなくて──断定するな私。よし、恐らく、多分、キット。シキにとって私と恩人さんだったら恩人さんの方が付き合いが長いはず。今日出会ったばかりの態度じゃないんだから。

 そんな付き合いが長い相手に関して、シキが付き合いの浅い私にヘルプを向けてくるということは相当色々持て余す人なんだろうなぁ。

 

 

 主に戦場で自由にさせてはいけな……オット戦場限定じゃないない。うんうん。

 

 私は頷いて『いいよ!』と返事をした。

 

「ぶはっ、あー、えっとさ。海底進む方法はいいと思う。でもlevel2とかlevel1にも暴動が……ん? 起こってない……? あれ? ちょっと待って、ルフィ君どうやって下までたどり着いた?」

「頑張った!」

「おおう……そうか頑張ったか。そうじゃなくてボンちゃんとか……あれ3君も殿にいる!? そう言えばバギーも下にいた!? あれぇ!? ど、どうなってんの!?」

 

 そんな難しい事じゃ無いだろうに大混乱を極めている恩人さん。ルフィが単独で下までたどり着いたんなら鍵とか開ける技能無いし、そこまでおかしなこと起きてないよね?

 ボンちゃんが誰か分からないけど、バギーはアレでも億超えだしlevel6は妥当で。

 

「原ッ、予知と違いすぎる!」

 

──パァンッ!

 

 恩人さんの発言に対して被せ気味に大きな音。

 

「……お前それ耳痛まねぇ?」

「キーンてするぞり。正直鼓膜破損の思考する程痛い」

 

 読唇術でマルコさんの発言聞き取ったけど耳がキーンてする。さっきの音は私が耳を全力で塞いだ音だった。

 

「え? リィン?……一体どうしたの?」

「……余計な虫が飛ぶしていた」

「そ、そっか」

 

 恩人さんが首を傾げる。理由に関しては微妙に納得してないみたい。

 シキとマルコさんとクロさんが同時に哀れみの目を送ってくる。ごめん、ちょっと空気読んで黙っててね。

 

 まだ知りたくないし覚悟は出来てない。

 

「そもそも今シャバってどうなってんの?あたしが入ってからどんな感じになった?」

「俺に聞くんじゃねェよ……。俺だって20年は空の上だ」

 

 あっ、耳直ってきた。

 耳鳴りが小さくなって来た時恩人さんがルフィに質問を投げかける。

 

 もちろん階段上の看守はちぎっては投げちぎってはぶん投げしてるけど。

 

「ルフィ君海賊楽しい? なんか変わったことあった?」

「楽しい! すっげー敵がうじゃうじゃ居てよ! あっ、でも俺七武海嫌いだなー。特に鰐とミンゴはキライだ!」

「ミンゴォ!? なんで!? どっから出てきたドフラミンゴ!」

 

 後半の海で拠点を構えているドフィさんが前半の海で航海をしてるルフィとどう鉢合わせるのかっていう点が疑問なんだろう。あの人バッサバッサ空飛んで世界巡ってるからなァ。うんうん。

 

「変わったことなー。んー、ぜーんぶ変わってるからなぁ。リー、どう思う?」

「私の中でトンチキ出来事ナンバーワンはメリー号ですけど、理解出来ない存在としてはルフィの生命力ですね」

「分かる」

 

 粘り負けしたらしいクロさんがこれでもかと全力で頷いた。

 

「……別に変わったことは無いか」

 

 ボソッと恩人さんが呟く。残念ながら聞こえた。聞こえないふりするけども。

 

「メリー号ってあの羊船だろい?」

「そうそう、マルコさん達と革命軍が鉢合わせた船です」

「はい!? なんで!? どっから出てきた革命軍!」

 

 恩人さんが突然大声を出して仰天した。革命軍は結構世界中至る所に湧いて出てくるよ。あの組織は情報屋紛いなことしてるからね。

 

 ルフィは仰天してる恩人さんに興味は向けず思い返すように言葉を続けた。

 

「なんだっけ、フランキーとこのおっさんの人達に調べてもらって大丈夫だったんだけどさ、政府のあそこに助けに来てくれたメリーが壊れちゃってよぉ。あ、メリーがオキャクサマだったよいよい達とも話したいって言ってたぞ!」

「リィン、解読」

「ウォーターセブンで仲間のフランキーさんの兄貴分の部下であり、私の元同期であるカクさんに船の査定ぞ依頼。その結果大丈夫ですたが、エニエス・ロビーに乗り込む脱出という意味不明時、高波対策で繋ぐしていたメリー号が何故かその場に現れる。無茶が祟るし、破損。──そしてメリー号がマルコさん達にも会いたいと」

 

「全部だけど最後が1番よく分かんねェよい」

「そこは私も皆目検討も付かぬ故に不明です。あっ、メリー号懸賞金出ますたよ。シャバでどうぞご確認を」

 

 そもそも言語解読必要な不思議語使ってる私がルフィ語を解読するってなんだかとてもおかしな話なんだけども。まぁ大分慣れてきてるだろうしな、私の言い方の癖とかも。

 少しずつ少しずつ不思議語の癖を弱くしていってるのも要因の一つか。

 

「なんかもう全部がよく分からない。カクがリィンの元同期? えぇ? リィンはCP9だった?」

「は?」

「あっ」

 

 私が突然転がり込んできた情報を聞き返せばルフィが不味ったという顔をして私の耳を塞ぎにかかった。

 

「私、CP9なんかじゃないです」

「わー!!!! わーー! リー! これなんだろうなー!」

「壁ですね」

「すっげー! 壁って言うのかー!」

 

 誤魔化し方が雑の極み。

 

 これは、ほんとに。それすら恩人さんに知られてるのか、という驚きもあるが。それ以上に予想外のところで『カクがCP9である』という事実確認が取れた事への喜び。諦めかけてたこの事実。

 ほんと、なんでこんなところでゲット出来たんだか。

 

「あ、そう言えばリー! フェヒ爺大丈夫かな?」

「……いいでしょう今は乗ってあげるです。フェヒ爺なら大丈夫と思うですよ。コルボ山でじじと鉢合わせた時もなんだかんだ生き延びてますし」

 

「フェヒ爺ってまさかフェヒターッ! アイツあたしがどっっっれだけ探したと思ってんだ! 寄りにも撚っててトラジディー王国の同盟国かよ!」

「どらですーってフェヒ爺の国?」

「えっめっちゃ可愛くない? これホントにあたしとレイリーの娘……?」

 

──パァンッ!

 

「下手に首突っ込んでる変えるの怖かったからインペルダウンに入ったけどこの変わりようってインペルダウン入り損……? 絶対1人のイレギュラーで起こる範囲じゃ…──んーーーっ! むー!」

「……お前、クレイジーちゃんの耳が死ぬ前に黙ってた方がいいと思うぜ」

 

 耳が、痛いです。

 

 シキがこれ以上引っ掻き回されてたまるかと言わんばかりに全力で口を塞ぎにかかった。片手しか自由が効かない右手を躊躇うことなく恩人さんの言動を封じ込める事に使う辺りその本気度が分かる。うっわー、シキ世代ほんと全体的にしんどいわー。

 

 そんな同情を寄せながらlevel2に到達する寸前、私は足を止めた。

 

 スーハー、と息を吸って吐いて呼吸を整える。本当はしたくないけど、逃げ出したいけど。階下を見た。

 

「マゼランは私が止めます」

 

 私はそれだけ言うと前方組に指示を出し始めた。

 

 ルフィはそのまま真っ直ぐに。マルコさんは解放組(特に実力者や能力者)を優先的に誘導。クロさんは敵を蹴散らす係。恩人さんはもう黙ってシキに着いてろ。

 

「あたしの扱いが酷い気がする」

「妥当だろ」

「妥当だろい」

「それでシキさん」

 

 シキは私を見下ろした。

 

「インペルダウンの扉2つ、アレをクロさんと協力すて外して小船型に抉りとって2つ船の様な物を作るしておいてください」

「飛ばすのか」

「はい、ひとつはシキさん。もうひとつは私が分担するですけど、合流するまでは1人で」

 

 時計を確認する。

 現在時刻は11時。エース処刑まで4時間だ。若干余裕があるからこそキツイというか、スピード勝負に出られないというか。

 

 

「──1時間です。頑張って封じ込めるです。ですから、それまでに脱獄を完了しておいて下さい」

「かなりのスピードだな」

「蝋の能力者の能力はlevel2から熱の関係でもちます。なので脱獄スピードも上がるですが、それ以上にlevel2からは見捨てるしてもらって構うません」

 

 今まで1フロアで大体1時間使ってきた。だからあと2フロアを1時間で脱獄というのは完全に厳しいだろう。

 

「それと」

 

 どこの顔も見ずに私は頭を下げた。

 

「……お願いします」

 

 ルフィのことを。そして恩人さん、の事も。

 

「──任せな下位互換ちゃん」

「よろしく、上位互換さん」

 

 

 私はシキが初めてかっこよく見えた。シキ世代、やっぱり純粋に怖いわ。

 

 

 ==========

 

 

 

「わがままガール! ヴァナータ何故後方組に!?」

 

 イワンコフさんの声に私は後方を睨みながら階段を降りきった。

 ここまでマルコさんの背に乗ったりだとかして体力温存して来たんだ。飴玉を口に放り投げて糖分を補給しながら後方組に目を向ける。

 

「シキが脱獄準備ぞしています。恐らく直接乗り込む船は無いです」

「どういうことなの!?」

「バロックワークス、殿ご苦労です。──上でボスがお待ちですよ。チェンジ」

 

 前方組に比べて戦力の乏しい後方組は怪我も多い。マゼラン署長の攻撃を耐えていただけある消耗具合。

 Mr.1とMr.4ペアが私の言葉に目を見開いた。

 

「そもそも貴女何者?」

「……?」

「いや、麦わらの一味……。特に『堕天使』の登場からボスが着目してたのよ。だからオフィサーエージェントにも情報共有されてたわ。決して悟られない様にって司令だったけど」

「そりゃ新米賞金首の私に目をつける輩が居るなれば確実に私は七武海と結ぶますたからね。あなた達がボスの正体ぞ知らずとも」

 

 ミス・ダブルフィンガーだったかな。確か。

 彼女の質問に答え、私は屈伸を繰り返し運動の準備をする。

 

「Mr.1、貴方はこの階段落とせますよね。私取り残すして崩してください」

「そうなるとあんたの足が無くなるが」

「……私はシキ直々に下位互換の称号ぞ得ますた。シキはフワフワの実、大体察すて下さい」

 

 毒の竜が角から顔を出した。

 禍々しい毒の色。これ、いけるかなぁ。私の毒耐性がマゼラン署長の毒に勝てるのかちょっと不安になってきた。前言撤回したい。

 

 うん、でも、他のメンツ考えても1番マシな渡り合い出来るのって私くらいしか居ないんだよね。

 

「さっさと行くして、どこまで持つか分かりませぬ」

「けどガール、ヴァナタ勝算は!?」

 

「68%」

 

「……やけに微妙な辺りがリアルじゃナッシブル」

 

 私1人に任せるのが不安なんだろう。まぁそりゃそうだ。

 

「勘違いしてませぬ? 先程の数字は『勝算』です。時間稼ぎや引き分けですたら──100%ですよ」

 

 私は真剣な表情をして告げた。

 そこまで言えば私の覚悟がわかったのか後方組も私を置いて階段を駆け上がる。Mr.1が階段を破壊しながら……誰も階段で登れないように。

 

 

 

「時間稼ぎのつもりか? 元海軍雑用、堕天使リィン」

「無理です」

 

 即答した。

 

「………………は?」

 

 聞き返された。

 

「時間稼ぎが1時間可能である確率って一体何%だと思うです?」

「俺はお前の実力を知らない。だが確実に100ではない事は確かだ」

「そうです。大体体力のない子供が格上相手に1時間も渡り合うとか無理だと思いませぬ?」

「いや、うん、まぁ確かにそうだな。自分で言うか」

 

 ただひとつその可能性の算術に組み込まなければならない『設定』がある。私は壁を指さして空中を掴むと、引っ張る動きをする。紐を引っ掛けて引き剥がすようなイメージを元に、壁は破壊された。

 

 凪の帯(カームベルト)の海水が流れ込んでくる。

 

 

「──私は今、最強なんですよね」

 

 海軍に裏切られた『堕天使リィン』は海軍への影響やら何やらを心配しなくていいということ。むしろ政府側を困らせても責任が『堕天使リィン』だけに向かうこと。そして堕天使リィンは海賊だ。責任なんてあってなきが如し!

 

「イカれてる……! 能力者がわざわざ海水を呼び寄せるか……!」

 

 今まで女狐だった私は正義側に気を遣わなければならなかった。ただ、今はもういい。なるべく大々的に動きたくはないけど監獄は物理的にも水面下での騒ぎで閉鎖的空間の出来事。躊躇う理由が見当たらない。

 

 

 例えばどこかで『堕天使リィンは女狐の仮の姿だ』という情報が漏れ、センゴクさんに文句が行くとしよう。

 その時センゴクさんはこう言い訳が取れるのだ。

 

『あァそうだ。ただしここだけの話だが、アレは女狐の調節のために使っていた影武者で海軍が切り捨てた冥王の子だ』

 

 と。

 

 更に言うならもしも『それでも海軍の所属だった女狐だったということに違いはないうんぬんかんぬん』と文句を言われたとしよう。

 多分センゴクさんならすっとぼけた顔をして。

 

『いや、普通に考えて幼子を大それた地位に着かせるわけが無いだろ? 本人は子供ということもあり教育次第でそういうものだと認識させることに成功させたが、どう考えても周囲への言外手段だろ(意訳:女狐が偽物だと言うように伝えたつもりだがまさか子供の大将を信じるほど馬鹿だったのか?)』

 

 と。

 

 ……いや有り得そうで怖いわ。

 大丈夫? 私騙されてない? あっ、騙し討ちでインペルダウン行きになったのは私でした。

 

 だって普通に考えて有り得ない可能性(子供大将)が現実なんだよ? ほんとに現実か疑いたくなるけど。

 

「1時間の時間稼ぎ可能の確率は精々20%。そこまで私の体力ぞ持ちません」

 

 流れ込んでくる海水に足が浸る。生憎、海水の水圧で流されるほどやわな鍛え方はしてないので普通に立っていられます。

 うん、能力者でもないので力も抜けない。

 

 海水は地下へと突き進む。インペルダウン全体を海水で浸らせる事は流石に無理だ。そこまでの時間は無い。

 そもそもlevel3でさえこんなに暑いのに、もっと熱いlevel4で海水が蒸発してしまうかもしれない。

 水分は空気中に移動するから無くなることは無いんだけど。

 

 ……このまま流れて黒ひげが溺れてくれないかな。

 

「そこまで確率が低いのに何故無謀にも残った」

「だって勝率が80%以上あるから」

 

 あっけらかんと言い放てばマゼランは顔から毒を垂らしながらも目を丸くした。

 

「今、軍艦は周囲に無いんでしょう?」

「……。」

「素直ですねぇ。無言は肯定ですよ」

「……あァ、1隻もない。だがそちらにはシキが居る」

「ええそうです。シキと──私がいる」

 

 私はパンと手を叩いてモーションを植え付け、アイテムボックスから棍棒を取り出した。

 

「聞かせてくださいインペルダウン」

「……死にゆく貴様に何を教える」

 

 マゼラン署長は海軍本部で言うセンゴク元帥と同じ立場。そう考えるとこうやって1対1で睨み合いをしてる私は成長してると思うけど、胃が痛くなるかならないかで言えば別口。

 

 頼むぞセンゴクさん。もしも責任が海軍に行ったらごめんだけどその時は潔く『元女狐堕天使リィン』を切り捨てて『真女狐』は守ってね。

 ……私が本当に裏切られてなかったら、だけど。

 

「私は昔、歴史なんて興味なかった」

 

 毒の竜が私目掛けて噛み付いてくる。何とか避けきったり、棍棒に風を纏わせ毒自体を弾き飛ばしたりして回避をした。

 

「本当に、微塵も興味なかった。けど、今は知らなきゃならない。私の生まれた、この世界は、おかしすぎる」

 

 足元の海水を操り水球をマゼラン署長に向ける。彼は毒をだし盾がわりにボンボンと破裂する海水を避けていた。

 

「どうして──世界は私を助けてくれないんですか!」

 

 毒の竜をコピーするように海水の竜が作り出された。私は同じ姿形でも能力により生成された物なら海水というアドバンテージがあれば押し勝てると知っている。

 

「私は世界を助けてきた!」

 

 私の竜は資材が枯渇することない。

 対してマゼラン署長は体から生成される毒物だ。

 

 私は怒りを糧に思いっきり竜をぶつけている。それでも致命傷を与えられないのは、攻撃が入らないのは、経験の差だ。

 

「指令なら! どんなこともしてきた!」

 

 埒が明かない。

 私は海水を槍のように細長く保つとそれを鞭のようにしならせて羽飾りの近くを狙う。

 

「世界の為に! 正義を掲げる彼らの為に! ッ、良かれと思って、思っていたのに……」

 

 そこまで言うと私は言葉が紡げなくなった。

 パクパクと口を開いて何を言うべきなのか分からず途方に暮れる。だから言葉の代わりに心に生まれる復讐心を、怒りを、全て。

 

 ──世界の為に一体お前が何をした昆虫食い!

 

 あ、すっげーイラッとする。

 一体何をした? 昆虫食い?

 

「……私だって頑張ってきた。ここまでやってきた」

 

 棍棒を手にし、刺突の構えを取ると私は海水の力を一切使わず駆け足になった。心からの恨みを。

 ──世界を恨め。

 

「私はッ! 何年も世界に、海軍に! 時を! 自由を捧げてきたのに!」

 

 自暴自棄になり、毒の中へ特攻する。

 意味のわからない自殺行為な動きにマゼランは見るからに体の動きを止めた。

 

 涙を流しながら毒の中へ。

 

 私の体を覆うような巨大な手が私の目前に迫っていた。

 ……届かなかった。

 

「どうして、私を……世界が助けてくれないのですか……」

 

 度々口から溢れ出る疑問。それが唯一の謎。世界の、狂った愛おしい世界への疑問だ。

 中枢にいる彼らなら、この男なら答えを見つけてくれやしないだろうか。

 

 がしりと毒の手で体を掴まれた。

 私の()()()()()()()棍棒はあともう少しのところで届かず、手に力を入れる気力もない私は棍棒を手放してしまった。

 カラン、と棍棒が落ちる音。

 

 じゅわっと肌に毒が染み込む。

 

「……聞かせてくれ。貴様は、何故海軍から海賊へと身を転じた」

「転じてなど……なかったのです……そんなことないはずです……なかったはずなのに……!」

「…………スパイだった、というのか」

「そうですよ! ッ、正しいことぞしてきた! 情報流し、足ぞ引っ張り、内部崩壊、ニコ・ロビンの捕縛協力。なんだってした!」

 

 ボロボロと私の目から大粒の涙が溢れ出てくる。

 私を掴む手の力が段々緩んで来た。

 

 何を信じたらいい。何を演じればいい。私は誰に騙されていて、誰を騙していて。

 もうわからない。わからない中でわかるただ1つ。

 

「それ以前だってッ、海軍の裏切り者や海賊。どんな相手だってセンゴクさんが望むなら牙を向いた。噛み付いてきた」

 

 恨みを、妬みを、怨みを。

 センゴクさんに切り捨てられた、その虚しさを。

 

「良い事だと思っていたのに、それが悪かったとでも言うんですか?」

「……ッ」

「私が冥王の子だから? 会ったことも無い父親よりセンゴクさんを父と慕って来たのに? 良かれと思ってしてきた事は、私の存在の罪で帳消しなのですか? これだけ、10年も、全てを捧げてきたのに?」

 

 私は疑問をただひたすらに投げかける。壊れてしまいそうなほど、喉が痛む程。叫んで叫んで、裏切られた私はこの世の理不尽さに心からの悲鳴を上げ続けた。

 

「その、血筋だったのか」

 

 ボソリとマゼラン署長が呟いた言葉に私はカッとなって怒り狂う。

 

「致し方なしとでも言いたいんですか! 私は何も罪を犯してなかった! エースとは違う! 海賊になったつもりなんて、ッこれっぽっちもなかっ…──あァ……そうか……」

 

 気付いてしまった。気付いてしまった。

 私はついに脱力して絶望を目に宿した。

 

「──そっかァ。本当は私を体良く片付けたかったんだぁ。毒薬実験だって、耐え切ったのに。それも私を殺したかったんだ」

 

 嗚咽すら漏らさずただ涙を流していたら、マゼラン署長は毒の体で私を抱き締めてくれた。辛かっただろうと何度も呟きながら。

 

 真実に、残酷なシナリオに気付いてしまった私を。強く。

 

 

 

 

 ……チョッッッッロ。

 

 え、いや、ちょろすぎてびっくりだ。

 『海軍に裏切られた子供』に同情を寄せてくれてありがとう。

 

 海軍から切れたりしたら『リィン』は完全にこちら側に寄りますね。いろーんな組織でどっちつかずの地位に立ってどこかの仮面が捨てられたら他の仮面で『私自身』を守れるようにしておく。それは昔っからの目的だ。

 居場所、大事。そこに関してはブレないぞ。潰しが効く私流石。

 

 

 もしも本当に、万が一。真女狐の役目が私じゃなくて、私自身が海軍から排除されたら。旧女狐のリィンをインペルダウン所属にさせる。転がり込む。

 

 だって、拷問とかめっちゃ楽しそうやってみたい……。生かさず殺さず地獄行き。絶対楽しい。

 あとそういう設定を大々的に掲げながら海軍からの命令でインペルダウンに潜り込むこともこれで簡単になったわけだ。本当は政府にスパイしにこんにちはしたいけどね

 

 

「良かったらだが、俺の側近に。いや、養子にならないか」

 

 チョッッッッロ(2回目)

 

「へ? あれ? 殺す、殺すされてなき……?」

「ここまで生き長らえているということは俺の毒に完全に対処出来ている事だ」

「……毒は、政府の毒薬実験で耐性が」

「だから傍において置きたい。俺の傍に居ても死ぬ事が無い。これ程、俺の求めていた人材は居ない……!」

 

 この人、多分幼い頃から能力者だったんだろうな。

 自分の毒を制御出来ずに何かを殺したのかもしれないし、きっと孤独だったんだろう。

 

 私の毒耐性はあまりにも都合が良すぎる。

 

「私の毒薬投与は、貴方の傍に居られる様にって、神様が仕組んだのかも」

 

 神様絶対そんなこと考えてないだろうけど。

 そんな心優しい神様だったらもうちょっと人生イージーモードにしてくれてもいいと思う。

 

「なら!」

「……でも私、今は『正義』を信じられない」

 

 穴の空いた壁が水流と水圧でさらに範囲を広げた。

 ……まぁ私の不思議色で壁を更に壊しただけなんだけどもね。見せかけただけだ、ただの脱出口拡大だよ。

 

「父って何、親って何! ……まだ、海賊の親子盃の方が信頼出来る。私はとことん親に裏切られた。冥王は私を知らなかった、戦神は私を捨てた。センゴクさんは、センゴクさんは……」

 

 唇を噛み締めてマゼラン署長を見る。涙を溜めた瞳は視界を歪ませた。

 

「……私がここを出て、脱獄の手助けをして、海軍に牙を向いたとして。それで、貴方は、まだ私を養子にしたいだなんて言うのですか。世界の仕組みを、憎む、私を」

 

 マゼラン署長はそれを聞いて言葉を詰まらせた。脱出口へ。海水の元へ。私は歩を進める。

 

「私、もうどんな行動が間違ってるか分かりませぬ。言われるがままに口調を直して、それがセンゴクさんの言うことだから正しいって。偉い人こそ正しいのだ、と」

「……そうだな」

「意外ですぞ。そこで肯定されるだなんて」

 

 マゼラン署長は自嘲気味に鼻で笑った。

 

「この監獄では、俺が正義だ」

「……自覚済み、なのですね」

「あァそうだ。己が正義だ、と言うことはだ」

 

 私はその言葉の続きを予想して目を伏せる。

 袖の中に隠れた手でこっそり珊瑚を取り出した。シャボンを吐き出せる魚人島の物を。

 

「俺がキミを養子にすると言えば、最低この監獄内では正しいことになる。キミが外でどんなことをしようと、親が誰であろうと。俺が、法だ」

 

 とても嬉しい言葉だ。

 多分、私が何も知らない頃に出会っていたならこの人を親としていただろう。

 

 ただ、マゼラン署長とこうして対峙してみた感想としては。どうにも、二流という感じがする。

 人の上に立つ人物としてはそれなりに完成されているのかもしれないが、こう、なんて言うんだろう。まだルフィの方がカリスマ性があるしセンゴクさんの方が人をまとめる。言葉に色彩があるんだ。

 

 どうしても薄っぺらく見えてしまう。いや、周りが濃いだけなんだけど。

 

「誰も、一般常識なんて教えてくれなかった。知らないの、正しい事も悪い事も。私の倫理観でしかない。それすら、世界にとっては異端だろうけど」

 

 速攻でシャボンを生み出し中に入る。海水の流れを逆流させ、壁の外。凪の帯(カームベルト)へ。

 

 

 ==========

 

 

 

 不信感。

 

 不信感。不信感。

 

「はーー……はーー……」

 

 インペルダウンの壊した壁を氷と瓦礫で固め、精神安定の為に私の周囲も氷で覆った。凪の帯(カームベルト)の海王類は牙を向けない。周りを覆う氷は海水だから認識をずらす事が出来る。流石に毒を無力化出来たとしても殴られれば痛いから全力で避けていた為体力も消耗している。少し海の中で回復しなければならない。息が荒れる。でもそれは多分、精神的な意味で。

 

 不信感、不信感。

 

 

 ずっと気になってた。それは生まれた頃からずっと。

 彼女は私には出来ないことをしていた。私を庇い、自分はインペルダウンという監獄へ。

 

 お礼を言いたかった、会ってみたかった。

 

 でもそれは海に出る前の考えだ。

 海軍に入り、特に麦わらの一味に所属した段階から少しずつ認識が変わっていた。

 

 何よりそれを決定付けたのはクロッカスさんに聞いた時だ。

 

『うん、やっぱり変わんない。私この子を産んだらインペルダウンに行く。どーせどっちみち先は短いんだ』

『どうしてそうなる!?お前まで自首するつもりか!?』

『ううん、普通に捕まってみる』

『もっと意味がわからん!』

 

『それで、どうしてインペルダウンになんか入るつもりだ』

『ロジャーの子供を守る為』

 

『…………あたしが1番大っ嫌いな予知だよ。命を懸けてでも変えたい未来、()()()()()()だからじゃなくて、()()()()()()として』

 

 彼女の予知がなんなのか知らない。それがどんな原理で予知として働くのか知らない。どれほど細かく未来を見れて、どんな未来だったのかも分からない。

 

 でも、でもだよ。

 

 カナエさんの優先事項って、私じゃなくてエースな事は確かだよね。私を捨てて、ロジャーの子供のエースを守る為に、インペルダウンに入ったって。

 

 

 不信感。

 

 不信感。

 

 血の気が引いていくのがわかっていく。考える度に考える度に血の気が引く。

 

「わけが、分からないよセンゴクさん……」

 

 正直な話、シラヌイ・カナエに関してはどうでもいい。

 私の思考を占めている大半はセンゴクさんの事だった。センゴクさんへの思考を払拭する為に考えていたけど、やっぱり無駄だった。

 

 不信感。

 

 牢獄で考えていた事だった。休暇という名目でインペルダウンに入れられたのは私。海賊である、堕天使リィン。つまり旧女狐だ。

 

 私の疑問はこれに尽きる。

 真女狐に成る者は本当に私なのか……?

 

 だって、だって。

 ……だっておかしいじゃない! センゴクさんはどうやって海賊〝堕天使〟という名目で入れられた私をインペルダウンから取り出すつもりなの!?

 処刑はされないのかもしれない! でも、ルフィが来なければ脱獄なんて出来なかったよね!

 脱獄出来る出来ないの問題じゃない、センゴクさんが釈放させる気があるかないかの問題だった。だって、こんなの、まるで。建前が本音と同じような対応にしか見えないじゃん。出れないなら出れないでいいんだ。そう言ってくれれば望み通り飲んでた。でも、騙し討ちみたいだこんなの。

 

 海軍は私を殺した場合のメリットは少ない。ガチ勢、とまではいかないけどそれなりに伝手もあれば交流もあるし反発だってあるだろう。秘密裏でない限り。センゴクさんだって生かして外交カードに使いたい筈だ。特に世界貴族に最も近い王族、アラバスタとの繋がりは無視出来ない。

 敵対組織である革命軍との繋がりもある。そこだって無視出来ない。

 

 生かすメリットなんてこれまで作って作って、たくさん得た。だから殺されないと思っていた。

 

 でもなんで、監獄に入れる必要があったの。

 どうやって『海賊』を外に出すつもりだったの。

 

 たまたまルフィが脱獄騒ぎを起こしてくれたおかげで外部に不思議に思われることなく監獄を出られた。そんなのは時の運。

 これは流石に想定外だったよね。それすら想定してたのならお手上げだ。

 

 不信感。

 

 『それは女狐だから出してくれ』って言うの?それは旧女狐と真女狐という括りを作った今、インペルダウンに漏らすのはただの障害でしょう。

 

 ほんとに出してくれるつもりだったの?

 だって真女狐の事全然決まってないんだよ。誰に情報共有するとか全く未来のことが決まってないんだよ。それなのに、こんな、ちょっと先を想像するだけで詰むような。

 

 なんでこんなことをしたのか。

 もしかしたら本当に、シャボンディ諸島で言ったことが海賊に対する建前ではなく、私にそう見せ掛けた紛れもない本音だとしたら。

 

『そもそもだ剣帝。……リィンは冥王、ひいては戦神の娘だろう。海賊の血は、海賊王の一味の血は絶やさなければならない』

 

 その一連の流れ自体が『私を穏便に無力化させる』為の作戦だったとしたら。

 

『お勤めご苦労、女狐』

 

 だって私は、我ながらトリッキーな能力。

 騙して無力化させるのが1番。

 

 不信感。

 

 考えたくない。これ以上、裏切られたという確信を持ちたくない。どうしてという疑問だけで済ませておきたい。

 

 

「違う! 違う違う違う違う!」

 

 

 考えろ! 私よりセンゴクさんの方が賢いんだ! 1+1の答えは2しか知らないけど、ほんとはいくつもある! それを知ってるのがセンゴクさんだ!

 センゴクさんを信じてるなら考えろ! 考えない事自体が信じてない!

 

 センゴクさんは私より上手なんだから、私が思いつかなくても私を監獄から穏便に出す方法も策もある。絶対そうだ。

 思いつかなくて詰んでるように見えるのは私がまだまだ未熟だから! 視野が狭いだけだから! だからセンゴクさんには策が浮かんでるんだ! 一体どれほどの経験差があると思ってるんだ女狐リィン!

 

 

 …──引っ張られるな、『裏切られた私』の演技に引きずり込まれるな。そっちは私じゃない。センゴクさんを信じる私が、本来の私だ。何も信じない信じられない悲劇のヒロインは私じゃない。ただの演技だ。

 ソレが本当だと思い込むな。疑心暗鬼になるな。

 

「ゔ……ェッ」

 

 喉の奥がツンと痛み、途端に気道が狭くなる。込み上げてくる気持ち悪さ。生理的な涙がボロッと落ちた。

 

 

「別に、信じて裏切られた、とか。そういう経験はしてないですけどねェ……」

 

 心拍数を戻す為にとりあえず頭を空っぽにしてみる。海水の中というのは危険だが、私にとってはとても安心できる。海の氷に囲まれていたら海王類は気付かないんだから。

 

 トラウマはない。のに、心が拒否反応を起こしている。記憶をほじくり返しても何も心当たりがなかった。

 もうあると言ったら前世くらいだ。覚えてないけど。

 

 

 信じるって決めたんだ。私の存在自体を罪だと言う案に難色を示したセンゴクさんを。

 ……それが、彼の望む通りの展開を私が提案したのだとしたら。

 

 

 あァダメだなぁ。ほんとに信じきれてない。

 苦しい。

 センゴクさんに会いたい。会って、言葉を聞きたい。私だけで考えても泥沼化するんだから。

 

 

 まぁその前に戦争、その前にキャラが噎せる程濃い奴ら、だけど。病みそう。

 思考回路を止める。ただ考えるのは技で引き起こされるイメージだけだ。

 

「〝海流一本背負い〟……──」

 

 

 ────笑え。

 




誰かを混乱させてパニックにさせているシーンが1番筆のノリがいいんです。やっさんの大混乱極めてるシーンしかり、最後しかり。

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