「兄妹盃?」
「あぁ、知ってるか?盃を交わすと兄妹になれるんだ」
ダダンの愛用のお酒を開けながらエースはニヤリと笑った。
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あ、おはようございます。リィンさん目が覚めて2日経ちました、が。傷のせいなのか熱がずーっとあります。
ちなみに今私はサボの背中の上。家で盃を交わすのはダダンにバレるらしいので森の中に行くらしいです。
正直森のちょっとした高低差で体が揺れる度ピキーンと凄まじい痛みが走りますので正直引きこもりたい。
「大丈夫か?」
「うう…ん……」
頭がものすごくクラクラします。
どうやら私は2週間ほどぶっ倒れてたらしく。筋肉が家出をしました。カムバーク!私の筋肉ー!!
「着いた!ここでいいだろ!」
エースの後ろをルフィで、その後ろをサボ+私が付いていくと少し開けた場所に出た。
傷が無ければ野原に寝っ転がってお昼寝したい。
──キュポン
エースが器用にコルクを開けるとルフィが持ってきたおちょこみたいなやつに注ぐ。
あれ、ひょっとしなくてもお酒ですよね?
未成年…呑んでいいの?
「リー、降ろすぞ」
「直ちに了解したぞり」
「辛くないか?帰りは俺が背負ってやるからな」
「う、うん」
「エースずるいぞ。俺が背負うんだよな?」
「う、うん?」
なんだろう…2人の様子がおかしい。
起きてから異様に絡むというか、なんというか、例えばツンデレにデレ期が現れた感じ……。
何があった?
いや、何をしたルフィ?
様子が変わらないのはルフィだけで私が寝てる間に何かをしたに違いない。
ルフィの破天荒さに当てられたかな?
そういえば、私はエース達とルフィが会った状態を知らないけど仲良くしてるみたいでお姉さん一安心だよ。エースとサボも友達欲しかったのかな?いや、でも今から兄妹盃を交わすんなら弟になるのかな?
まぁいいや。特にエースの人見知りが発動しなくてよかった。あの子グレイ・ターミナルの人と関わる時眉間に凄いしわ寄せて話すんだもん。フェヒ爺は除くけど。
まぁ何にせよルフィパワー凄いな。
「「で、どっちがいいんだリー!」」
「お腹空いたなぁ………ん?何事か申したか?」
「「………何でもない」」
はぁ、そうですか。心なしかガッカリして見えるけど。
「…!…!…っ!!」
「「笑うなルフィ!!」」
声に出さない声で笑い転げるルフィをエースとサボが同時に叱る。
ほんとに仲良くなったなちくしょう。ちょっと羨ましいぞこの野郎。
「良きものじょ…私にはブルックさんぞ存在するもん……」
ボソリと狭間で手に入れた友人の名を呟く。堕天使の言う事にはあの人アフロなのかな…。時代が違うっていつくらいの人だろう……。
「「「誰だそいつ?」」」
わざわざ声揃えんでも。っていうか聞こえてたのか。
「眠ってる時にぞ手に入れた友人ぞり」
そういえばエース達は顔を見合わせた後、私の肩に手を置いた。
「そっか…安心しろ。兄ちゃん達はお前が頭おかしくなっても兄ちゃんで居てやるからな…」
まて、エース、サボ、ルフィ、お前らなんだその目は。あれか?妄想だとでも思っているのか?ねぇちょっと?
「………」
じとりと睨めば不自然に目をそらす奴ら。おい待てコラ。
「さぁーて盃盃〜」
「俺初めてだ」
「いやー今日は暑いなぁー」
「不自然ぞ馬鹿兄共!」
それを言えばサボは心底悲しそうな顔をした。
「にぃにって呼んでくれないのか?」
「デマぞ。常識外ぞ!」
あの思い出が蘇る。
『にぃにぞ心配申し上げたぞ』
『にぃに?』
『エースとサボとぞ名前じょり』
『ぎゃはははっ!おま、可愛いところあるじゃねェか!にぃにだってよ!』
『おいヤソップそこまでにしておけ──』
『おい止めんなよ頭ァ』
『──リィンが憤慨してるぞ』
『は?』
『滅亡いたせぇええええ!!』
クマさんに後々聞いたらあまり言わないそうだ。騙しやがってこの野郎。サボこの野郎。
「すっげェ殺気を感じる……虎に睨まれた時みたいだ…」
「きのせーじょ」
「「「……」」」
じんじんしてきたな…早いこと終わらせたい。
よく考えたら兄妹盃って私必要かな?元々エースとサボは兄としての関係だしルフィは多分義理だけど兄だし。
バックれても良くない?
「やらぬのか?」
「やらないの?だけどな」
「やらにぃのだけどな…?」
「お前ドグラの口調地味に影響されてないか…?」
それは嫌だなぁ。あ、ちなみにドグラとはダダンとよくいるちっさいおチビちゃんの背が低い人だ。
「え!やらないのか!?」
「ルフィ騙されるな。そして早く慣れてくれリィン語に」
「失敬ぞ!」
まるで私が悪いみたいじゃないか!
「ほら、リー」
エースが盃を渡してくれる。
「いいかお前ら、俺たちはどこで何をしようとどんな立場だろうと〝兄妹の絆〟は切れねぇ」
「俺達は今日から兄妹だっ!」
――カンッ
酒が零れる勢いで四つの盃が今繋がった。
兄妹。
正直に口に出すのは気に食わないから心の中で言わせてもらいます。
────大好きだよ。私の頼りになるお兄さん達。
言葉を飲み込むように口にお酒を含んで呑み込んだ。
「ゲホッ!」
身体が一気に暑くなって…暑くて熱い。暑い……。
──ドサッ
やっぱり嫌いだ。絶対度がきついお酒用意しただろ…。
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「……」
布団の上で顔を赤くして汗をかくリィン。それを見守るのはエースサボルフィの馬鹿兄貴共だ。
「参ったな…また寝ちまった」
「いや、仕方ないよ。流石にお酒を呑んだんだから」
こっそりダダンの酒を呑んだことはリィンがこの調子で匂いもしたのですぐにバレた。頭には3人仲良くたんこぶが出来てしまった。
「水…かければ熱引くかな?」
「「アホかァ!」」
ルフィのアホな発言に2人は思わずツッコむ。
「ひまだなァ…やる事も終わったし、フェヒ爺との約束まで時間あるし…どうする?」
「…リーには悪いけど美味しい物食べに行くか?」
サボが提案するとルフィが怒られしょげていた顔をバッ、と上げた。食欲は無敵らしい。
「んぎゅう……………」
リィンが唸った。食欲は無敵だ。
「…美味しい物って……?」
ゴクリと喉がなる。
「ま、食い逃げだ…リーが付いて来出して暫くの間は行かなかったけど…久しぶりにな」
「行く!おれも行くぞ!」
ルフィは嬉しそうに笑顔を見せた。
「うーん…うーん…さんにんのばかァ……」
熱で
この時期まだルフィがダダンのあじとにやって来て1ヶ月しか経っていません。
リィンに影響されて、そして同じ状況になったルフィに共感して、リィンを共に助けたという名のシスコンを同類(言い方)とみなし原作よりも自然と受け入れられた、と解釈してください。