2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第253話 鬼に金棒

 

 

 かつてインペルダウンを大脱走した時に最下層のレベル6で目撃した男が目の前にいます。

 

 

「ちぎ……れ…耳……」

 

 

 あのクロさんがこいつだけはやめとけと言わんばかりに関わり合いを拒否させた人物。

 

 私はこいつの正体を知らない。インペルダウンで見た時も思ったけど、素人目に見てもやばいくらい強そうだった。

 そして過去である今も、私より遥かに強いだろう。

 

「おい聞こえねぇのか、どけ」

 

 時間転移をして現在、海に落ちるかと思いきや私は小舟の上にいたこのちぎれ耳の上に落ちたのだった。

 そして周りは一面海。そして近くに大きな船がある。恐らくそこから逃げてきたのだろう。船はガヤガヤと騒がしいから恐らくあと数分で……。

 

 ちぎれ耳は大きな手で私を吹き飛ばそうと悪意の無い攻撃をしようとした。

 ……私はまず負けるので搦手を使う。

 

「さっさと消え──」

 

 

 

「──へぇ。お前、なかなか好みじゃねぇか」

 

 

 

 相手の頭を働かせないこと──っっ!

 

「…………………………は?」

 

 理解の範疇外の事が起これば人間は自然と理解に時間をかけようとする。

 むしろ理解をせずに動く人間はほんとーーーに稀だ。例えそれが0.1秒であったとしてもまず認識して理解しようとする。

 

 それに結論が出なかったとしても、だ。

 

「肉付きもいい、瞬発力もありそうだ。いや、どっちかって言うと持久力か。そそるなあ、これだけ上玉の男は久々に見た」

 

 う、唸れ私のBL知識(輸入先は秘匿しますがV様としておきます)!

 

「…………? は、お、お前何言っ──」

 

 これで稼げた時間は10数秒。でもこれで!

 

「──てんめぇええー!! まぁた俺の船から逃げ出そうとしてんな!?」

 

 ズドン。

 小舟に大男が降ってきた。

 

 ちぎれ耳と比べて小柄ではあるけれど、とに比べるとだいぶ大きい。

 

 小舟の近くに大きな船があったって事はそこから出てきたってことだろうし騒がしかったからすぐ気付く可能性の方が高い。私はそのための時間を、ほんの数秒稼げたらセーフだった!

 

 ミッションクリア、私の命は矛先を変えるという手段で守られ

 

「バレット! 今度という今度は許さねぇからな! 無断で俺の船を降りんな! よーしそうだそうしよう、俺の仲間にな」

「なるか!」

「どわっ!」

 

 ちぎれ耳の上に乗っかってた私は、ちぎれ耳が上半身を起こす勢いにすっ飛ばされ小舟の上をゴロリと一回転した。

 

 いったぁ……後頭部打った……。

 私の体重がいくら軽いからって存在を忘れるな平均身長激高世界……。

 

「ん?」

「はぁ……なんで軽い体に生まれたんだ…………か……」

 

 小舟に降りてきた男と目が合った。

 

「…………お前」

 

 鼻の下というか最早鼻から生えてるんじゃないかと思うくらい長い髭。パッチリとしたつり目。見るからにThe海賊とアピールしている帽子とコート。

 

 その小柄な大男はがばりと私の脇に手を伸ばした。

 

「──エースぅうう!!! エースだろお前ぇ!」

「お前……ま、まさか」

 

 私はわなわな震える唇で自分をエースと(そう)呼ぶ男の名前を予想して叫んだ。

 

「ロジャーかよ!!!」

 

 おぉ、神よ。

 ちぎれ耳が海賊王一味とは聞いてねぇぞ(なぜおまえはいつもそうなんだ)

 

 

 

 

 ==========

 

 

 

 

「それじゃあ聞いてくれ! こいつが、カナエにめちゃくちゃそっくりでめちゃくちゃ強くて失踪してたエースだ!」

「………………よぉ」

 

 ここはロジャー海賊団の船の上。

 私はすごく不服そうな顔をしながら、ちぎれ耳と一生に並んで座っている。

 

「まじでカナエに似てんだけど」

「これが噂のエースか」

「思ってたより怖くないよな……?」

 

 ザワザワと船内が喧騒に溢れる。言っているのは恐らく初期以外の海賊団員。ロジャーお前、何を言い回ってたんだ。

 

 それより、いやそんなことより注目すべきことはですね。

 

「(ニコニコ)」

 

 悲しき運命を背負った親子2代に渡りお世話になった調教用の副船長の鞭(現役の姿)に、ちょっとお世話されそうな現状なんですよね。

 

 え、もっとわかりやすく?

 

 シルバーズ・レイリーに鞭で拷問受けそうです。

 

 

「さて、エース君。君に聞きたいことはいくつかある」

「スリーサイズか? 大胆だなこんな所できくなんてよ」

 

──ドゴンッ!

 

 ……これは振るった鞭で甲板に穴が空いた音。

 

「おま、鞭でこの威力は馬鹿だろ……」

「やろうと思えば切れるぞ」

 

 嘘でしょ。

 

「本題に入ろう。エース、君はなぜあの時消えた? そして何故姿が変わってない?」

「消えてねぇな。正確に言うと眠った、だ」

 

 さぁ、頼むぞ私の口八丁!

 今こそ真女狐の能力を確立させる時だ!

 

「人生で2度も同じ人間に遭うとは思っても見なかったからな……。まず言っとくが、俺は悪魔の実の能力者だ」

「なるほどな、道理で」

「まて、悪魔の実の名前を思い出す……。あー、なんだっけ」

 

 そんくらい覚えろ、とツッコミが飛ぶ。

 

「あっ思い出した。イデアだイデア。イデイデの実のイデア人間」

「いであにんげん……?」

「内容はどうでもいいだろ。お前が知りたいのは。俺の能力は特殊でな、ある程度一定の時間が経つと長い冬眠に入るんだ」

 

 そこからは私の一人語りだった。

 

「もう数えるのも億劫になるくらい昔から生きてる」

 

「いつ眠りについて起きるのかは不明だ」

 

「数日しか起きれなかったり、数十年も起き続けたり、眠るのも何時間か何年か」

 

「睡眠と冬眠は全くの別物」

 

「眠ってる間は姿は見えず海に浮いて漂ってるようなもん」

 

 ざっと説明をした私。

 ロジャーは首を傾げていたけど、レイリーは納得した様子。ああいいさ、長生きするのはお前の方だ。

 

「ちょっとそこ避けて〜! よいっしょっと、あ、ほんとにエースだ! フェヒター、本物だよ!」

「ほんとにあのクソ意味深女顔野郎が生きてんのか!?」

 

 人混み掻き分けて現れたのは今の私と同じ顔。そしてやや若めだけど見慣れた顔。

 

「カナエ……と……」

「あ? ん、だ、ょ……俺を見ん……いや、ま、僕……えーっと……」

「何まごついてるの?」

「うるせぇな! 生きてるとは思ってなかったんだよこっちは!」

 

 見慣れた栗色の頭。

 口調は荒いけども、(わたし)は分かった。

 

「まさか……カトラス・フェヒター……?」

「(ビクッ)」

 

 私の指摘にめちゃくちゃ嫌そうな顔をして顔を背け、何も触れてくれるなと言わんばかりのオーラを発している。

 

 そうかそうか。

 

 俺 は 面 白 い 事 が 好 き だ

 

「おま、なんだその口調〜〜〜〜! ギャハハハ! おうおう可愛いじゃねぇか、僕僕言ってた幸薄少年がまさかお前」

「やめっ、」

「俺の真似でもしてんのか〜!!!!! アッハッハッハッハッ! そんなに憧れてたかそうかそうか」

「ちげーーーーーよこの、死に損ない…っ!」

 

 カトラス・フェヒター。

 本名ディグティター・グラッタ。であった当初は線の細い美少年と言っても過言ではなく、一人称も『僕』で気高い感じがあった王族だ。

 それが今となっては口調も荒く、そう、まるで俺の真似をしているよう。

 

 ……まあ私が最初フェヒ爺の真似した口調してたから卵が先が鶏が先かちょっと複雑な問題になっては来ますけども。

 

 エース(おれ)は間違いなくからかって笑うでしょう。

 

「再会ってのもわりかし面白いもんだな!」

 

 キャラを守りながら周辺を観察する。

 

 ロジャー海賊団は随分人数が増えていた。

 今までいた面々とか顔の把握出来てないし、なんだかんだ言って把握出来てるの初期4人組くらいだし。

 

 ただまぁ、隣にムスッとした顔で座っている私のせいで脱走に失敗したちぎれ耳は覚えたよね、生命の危機が危ない。ベリベリ危ない。

 

「にしても、やっぱカナエとエースって似てるよなあ」

「後ろ姿は……同じくらいか。より一層めんどくさいな」

「うるせぇな……」

 

 ロジャーとレイリーの文句。

 めんどくさいけどそれはそう。私は仕方なくフードを被った。

 

 これで見間違えることは無いだろ、と視線で訴える。

 白いフード付きのコートだ。女狐っぽくていいでしょう。

 

「俺達はお前を認めてねぇからな!」

 

 子供の声が私の耳まで届いた。

 

「いくら船長が認めたからって、よく分からねぇ存在を認めねぇからな! ね、ギャバンさん!」

「いや俺はエース知ってっから」

「えーーーー!! 裏切り者ーーーー!!」

 

 やんややんやと騒ぐ少年達は赤い髪に麦わら帽子。そして青い髪に赤っ鼻だった。

 そうだと騒ぐ情けない大人達もいるけれど、私はそれを知っている。

 

 赤髪のシャンクスとなんたらかんたらのバギーだ!!!、

 

「(ニッコー!!!!)」

「「なっ、なんだよ」」

 

 満面の笑みに2人はビクッと肩を震わせた。

 

「よろしく頼むな、見習い♡」

 

 クックックッ、弱点探してやる。

 レイリーとかカナエとかフェヒターはほんとに進んで絡めないから。この船に捕まってしまった以上、未来でリィンと絡まない相手となるべくいたいけど、それってロジャーなんですよね。

 

 嫌に決まってんじゃん。海賊王だよ?

 

「んで、ロジャー。こいつは?」

「ん? バレットか?」

 

 ちぎれ耳はバレットと言うらしい。

 

「こいつはダグラス・バレットだ。俺の仲間!」

「ちげぇよ!」

「バレット、こいつはエースだ! こいつも仲間」

「果てしなく違ぇな。俺はな、ロジャーに誘拐されたんだよ。俺はただの通行人A」

 

 ロジャーの言葉を押しやる。

 逃げなくてもいいセンゴクさんから逃げた結果海賊船に乗っちゃった哀れなエース君(本名ション)だよ。

 

 そうだよ、あくまでも通行人Aのことをエースって呼んでるだけでこの俺にはションって名前があるんだよ。

 

 

 しっかしまぁ。

 

「…………なんだ」

 

 バレットがこちらを見下ろして顔を歪める。

 

「惜しいことにロジャーは見る目しかねぇからな」

 

 知らんけど。

 知らんけども、未来で成果をあげている海賊団。その一員の肩書きは大きい。

 

 それに将来インペルダウンの最下部でクロコダイルに「こいつはダメだ」って言わせるような大物になるんでしょ。

 くぅ、クロさんの弱点になりうるかもしれないじゃん!

 

 過去って、最強……!

 探っても未来のことだから痛くないもん!

 

 

 嫌そうな顔をするバレットに深堀して質問しようとした瞬間。

 

──むぎゅ

 

 足元を何かが掴んだ。

 

「……は?」

 

 それは元気な赤ん坊だった。

 えー、子供の年齢なんてわかんないけど3歳? 4歳? え、わかんないけどようやく歩けましたレベルな子供がくっついてた。

 

 なんで、

 

 なんでエキセントリック海賊王の人員は癖しかないんだよ!!!

 

「モモの助」

 

 野太い男の声が、恐らくその子供の名前を呼んだ。

 声の主をたどると、なんかお盆を乗せたかのような髪型をした和服の大男がいた。

 

 サイズ感はバレットの方が大きいけど。

 

「ちちうえ!」

「侍がいんのかよ」

 

 あの、あれですよね。ワノ国。

 政府非加盟国、噂だけでやべぇと言われる。

 

 女狐(うち)の部下にもワノ国出身者いるけど、頭ウルトラハッピーサボり魔自由野郎だから。

 青い鳥(うち)もワノ国に手を伸ばさないといけないかな……。いやでも鎖国国家だし交流が難しいんだよなぁ。

 

「これは面妖な。確かにカナエとそっくりだ」

「引きこもりの国から出てきた侍がいるとはな」

「おれの国を知ってんのか! いやはや、海は広いな!」

 

 侍は腰に手を当てて豪快ににかりと笑った。

 

「俺は光月おでんだ! その子は俺の子のモモの助、そんであっちにいるのが俺の嫁のトキと日和だ!」

「おっ、べっぴんさんじゃねぇか。お姉さん、今夜どう?」

「「「人妻だど阿呆!!」」」

「俺の嫁を口説くとはいい度胸だな! 見る目がある! やらん!!」

 

 それよりモモの助って子供が私の足から離れないんですが。

 歩いても取れない……!

 

「……ふん」

 

 足を思いっきり振り上げて振り下ろしてを繰り返してもキャッキャと笑うだけで振り剥がせないのなんなの。接着剤でもついてる?

 

 おでん、と言っていた侍に視線で訴えても無視された。お前の息子だろ。

 

 

 

「あ、ところでよエース」

 

 ロジャーがニッコリ笑顔で言い放った。

 

「この非常時にバレットとっ捕まえてくれてありがとな。ここで逃がしたら絶対逃げられるからよ」

 

 ぐらりと船が大きく揺れた。

 

 

 

「細かい自己紹介は後だ! さぁ、行くぞ野郎共!! ──空島だあ!」

 

 ゴオオオオオ、と大きな音を立て続けた海は、垂直だった。

 麦わらの一味で空島回避したのにまさかロジャー海賊団で空島に行くとか聞いてな──!!!

 

 

「……ッッ!!!」

 

 

 気絶入ります。3、2、1。

 

 

 

 

 高いところはためだっつってんだろ世界。

 




6周年〜〜〜〜!(細かく言うと3/20なので昨日〜!)

はい。入りました。
出てきましたよ。
ダグラス・バレット、こいつは本来この時空にはいないんですけども、リィンが脱走邪魔しちゃったので脱走タイミングがズレると思ってください。
そして出会いましたよ、ワノ国!
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