2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第264話 七武海は敵だと言うことを再認識した

 

「カーネイ、明日と明後日は来なくていいぞ。給仕は『鶴』が入るから」

「よっしゃオラァ!」

 

 潜入先の王様にそう言われたので、私はひさしぶりに休暇を満喫するために家でゴロゴロすることになった。

 

 

 

 

 

「ママ、ご飯出来たよ」

「ん。ありがとうスネーク……」

 

 この1.2週間は忙しかった。『三つ巴』でほとんど過ごしたと言っても過言では無い。ほとんどの幹部と顔合わせをして、まぁ性格的にもある程度把握し始めた。そんな最中の初休暇だ。

 

 海賊稼業と含め、随分久しぶりな気持ち。過去から帰った直後も休暇は貰っていたけど、実質働いてたしな……。

 

 起きたらご飯が出来ていて、春島の穏やかな気候。

 職場からは遠く離れた場所でちょっと遅めのモーニング。

 

「ぐりとぐらのパンケーキを作ってみたんだ」

 

 今日の朝ごはんの当番はスネークとバット。表面は少し焦げているけど、スキレットで作ったそれは完璧に近い。

 

「バッカに電力装置取り付けてもらって助かるすたわー……」

 

 水は貯水。電気は発電機。

 完璧なくらしである。女狐隊の発明担当バッカ、どうもありがとう。

 

「ママの料理は毒じゃからな」

「確かに、的を射ている。でも食べられるから大丈夫、ママの料理も時々食べたい」

「ママ〜。昨日来たルッチがやった戦闘テスト満点だったぜ〜!」

「ママ、生クリーム足してもいい?」

「なぁママ。今日は何をするんだ?決まってないならママと戦ってみたい」

 

 ちょっとこの歳で『ママ』と呼ばれることに抵抗がない訳では無いけど、これも未来の為だ。彼らにとって庇護対象というか保護対象になればとても嬉しい。

 そのために喜怒哀楽を急ぎ覚えさせた。ふっ、ありがとうジェルマの方々。経験が生きたよ。

 

 ……あぁ、もうちょっと成長したらジェルマの王族に合わせてみるのもアリかもしれないな。

 

「今日はそうぞね……ひとまず購入してきた服で好きな物ぞ選んで……。夕方はバーベキューでもしてみるかな……」

 

 仕事の隙間隙間でセラフィム達の服を購入していた。サイズとか好きな柄とか、複数の選択肢の中から自分にもっともいい物を選択させて、それで羽の部分だけ修正して着替えでもしようかな。

 

 そんなことを考えているとだ。

 

「……!」

 

 生クリームを頬張っていたホークが顔を上げた。

 

 

──ピンポーン

 

 家のベルが鳴る。

 女狐隊の誰かかな……?今日は私が休暇だからブルーノに連れてこなくていいって言ってたんだけど、急用か……?

 

「はいはーい」

 

 

 

 そして扉を開けた。この世で1番、後悔をした瞬間だった。

 

 

 

 

「来ちゃった♡」

「来たぞ」

「新築祝いだ、受け取れ」

 

 上からドンキホーテ・ドフラミンゴ、ジュラキュール・ミホーク、サー・クロコダイルだ。

 

 

──バタン。ガチャ。

 

 

 

 

 

「何故居る!?何故いる!???!!?教えてなき!!!!!」

「秘密♡」

「ふざけんなぞーーーーーーっ!!!」

 

 速攻扉を閉めて叫んだ。

 ゴンゴンゴンゴンと扉をノックしている音とは思えない重低音が鳴り響いた。

 くそ、くそ、ほんとにくそ。これだから、これだから七武海は!!!!

 

 

 さよなら、穏やかな休暇。こんにちは、胃痛。

 

 

 いつか世間的に知られることになる存在だけどそれはそれとして私に質問が一気に来てしまう今バレて欲しいわけじゃねーんだよ!!!

 

「…………マ」

 

 スネークが声をかけようとしてガバッとミンゴが口を塞いだ。

 おお、私が何も言わなくても『今自分たちの存在がバレたらまずいんだ』ってことを自覚してる。偉い。更に言うなら隠れて欲しかった!いや無理か!

 

「お願いクロさん、その2人返すすて!」

「こういう時に限って俺に頼むんだよなお前ってやつは」

「だってクロさんが!1番!私に弱い!」

「……知ってるよな、リィン。この右手は、乾きを与える」

「ヤバ……っ!」

 

 咄嗟に扉から手を離して巻き込まれないように距離をとる。扉が中心から一瞬にして砂に変わった。

 くっそぉ!海水で撃退して中がバレないように──!

 

「──っっ!」

 

──ガキィィィィィン……ッッ!

 

 対応しようとした私の背後から飛び出して行ったのはホークだった。扉を破壊したクロさんに飛びかかろうとしていた。

 だけど、それを咄嗟に受け止めたのはミホさんだ。驚きの表情が目に浮かぶ。

 

「は……!?」

「っ!」

「ガキ!?」

「きゃあ!わらわ、こわい!」

 

 スネークが悲鳴を上げて、うるうると3人を見上げた。

 

 あ、それはまずい。

 ボア・ハンコックと同じ悪魔の実の能力を使うつもりだ。

 

「スネーク、ホーク。大丈夫」

 

 そこまで手を晒すのはまずいので、私は咄嗟にスネークを抱き締めて口封じをし、ホークの首根っこを捕まえて引っ張った。

 

 

 

「リィン、聞いていいか?」

「可能ならば、聞くなかれ、です」

「いや無理だろ」

 

 ……ですよね。

 

「えっと、うーんと、えーーーっと。──認知、すて?」

 

 

 

 

──説明

 

 

 

「くまのパシフィスタが前例……つまりは俺たちの代用兵士って事か」

「まぁそうですね」

 

 悪魔の実の能力や戦闘能力ではなく、人造人間であるという点に重点を置いて設定をする羽目になった。

 

「はぁ、頭と胃が痛きですよ」

 

 仕方がないから家に招いてお茶を振る舞う。

 嫌がらせのごとくにっっがい緑茶だ。慣れたもんだとばかりにのんでる七武海が今は憎い。嫌がらせにもなりゃしない。くそう。

 

「いつの間にデータ取ったんだよベガパンク」

「私も知らぬです。私も取るされてる」

「リィンもなのか」

「私の毒耐性が7人の中に組み込まれるすてます」

 

 ダイニングではなくリビングで七武海を睨みつけながらも小説を回し読みしていたセラフィムが少し嬉しそうな反応をしていた。

 

「懐かれてんなぁ……」

「えぇ、まぁ」

「なぁリィンちゃん?俺モデルのパシフィスタって名前あんの?」

「正式なのはちょっと諸事情により不明ですけど、ありますぞ。ミンゴです」

「…………リィンちゃんってまじでセンスねぇよな」

 

 失敬!皆して私のネーミングセンスをバカにしてくる!カナエやレイリーよりマシだと思うんですけど!

 

「俺は?」

「ミホさんモデルはホークです。正式名称ぞ」

「なんか安心した」

「俺はどうなんだ?」

「イルです」

「………………お前なぁ」

 

 忘れたい過去を思い出したからかクロさんはすごく嫌そうな顔をしていた。

 

「色々聞きたいことあったのに俺らの子で全部話題吹っ飛んじまったじゃねぇかよ……」

「ちなみに彼らの最近のブームは『ボケとツッコミを極め漫才をすること』ですぞ」

「情報量で畳みかけて来るんじゃねぇよ」

「大丈夫、この情報量は体に害ぞ無きです」

 

 普通に入れたお茶を私は飲む。

 新居祝いで買ってきてくれたお菓子をテーブルに広げて、私はお高いお菓子を口に入れる。うーんデリシャス。

 

 ホークと視線があったので呼び寄せて口に放り投げる。

 

「……!……!」

 

 甘党だなぁほんと。

 嬉しそうなホークの姿をじーっと眺めていな七武海の3人だったが、ミホさんと見比べたりして観察していた。

 

「ミポリンそっくり」

「ふ……流石俺の子、センスがいいな」

「この場合『俺』なのか『俺の子』なのか微妙だがな」

 

 3人は口々に感想を述べる。楽しそうだな、七武海。私は微塵も楽しくないって言うのに。

 

「今日は色々休暇をこの子達と楽しむ予定故に、帰ってくれませぬ?」

「「「嫌だが?」」」

「何故!」

「海賊稼業やってて全然遊べて無かっただろ〜?たまには俺たちと遊べよ」

「もとより遊ぶすた覚えは無きですが!?」

 

 ドフィさんが私の体に体重を預けている。重たい重たい。

 重たい体を押しのけて、コンコンと注意点を言おうと思う。バレてしまったのは仕方ない、早く帰って欲しい。

 

「あのですね、一応この子達トップシークレットなのですぞ?そしてここは海軍の私有地。七武海がそう気軽に遊びに来るすていい場所じゃ──」

「──俺のガキンチョパシフィスタ。お前も俺ならどうせリィンちゃん気に入ってんだろ。リィンちゃんのちっちゃい頃の写真いるヤツー」

「……!いる!」

「おいこらドンキホーテ・ドフィラムンゴ!」

「リィン、貴様まだドフラミンゴの名前呼べんのか」

 

 ドフィさんが1番子供慣れしてるからか、大きな体躯を折って視線をなるべく近くに寄せてセラフィム達を釣っていた。

 標準語もある程度喋れるようになりましたけどそれはそれとして舌が回るか回らないかは別問題だよミホさん。

 

「はぁ…………。もういいや。麦わらの一味にはバラさぬようによろしくですー」

 

 頭痛くなってきた。

 机に頭を打ち付けて脱力するとミホさんもセラフィムのところに遊びに行った。懐にしまっていた秘蔵のお菓子をホークに振舞っている。まぁ、味の好みは同じだろうし、楽しいんだろう。

 

「でかい子供ができたな」

「はい……」

 

 テーブルに残ったクロさんの言葉に小さく声を漏らす。あぁ、胃がキリキリするよ。

 私が痛みにお腹を押えていると、上からクックックッ、と笑いをこらえる様な音が聞こえた。クロさんのいじめっ子。これから先センゴクさんに怒られる私を見て可哀想だと思わないの?思わないんだろうな、海賊だし。

 

 数十秒くらいだろう。しばらく無言の時間が過ぎると、クロさんが淡々とした声で問いかけた。

 

「……お前にとって、センゴクは敵か?味方か?」

「味方ですぞー、今も昔も変わらず」

「そうか。ならいい」

 

 違和感があって顔を見あげると、相変わらず凶悪そうな顔が視界に入った。

 素直に信じた、だと?

 私の疑問が手に取るように分かったのかクロさんは肩肘をついたままニヤリと口角を上げる。

 

「意外か?」

「すごく。だってクロさんって『この世のものは全て疑ってかかれ。あぁそうだニコ・ロビン俺は誰も信じちゃいなかったよ』みたいな孤独こそ生きる道ですみたいなこと言いそ顔面からパキュッてなっちゃいけない音ぞするうううううういいいいいい!!!!」

 

 イラッとしたら顔面を掴む文化だけは本当にやめてくれません?いい歳したおっさんが幼女の顔面を握らないで欲しいです!

 

「俺はこれでもお前の判断能力を信頼してるんだ。それにお前が影武者の立場だろうと影武者を作る立場だろうと、どっちにしたって変わらねぇだろ。──あわよくばお前が海軍に裏切られて海賊側に完全に堕ちて来いとは思ってるが」

「ビークールビークール!まずは私の顔面から手ぞ離すすてから会話を試みるところから始めませぬ!?」

 

 ギチギチ変な音がなってるから!クロさん聞いてる!?

 

 私がモゴモゴと訴えたら、仕方ねぇなと言わんばかりにようやく解放された。これだから七武海。

 

 恨むようにクロさんを見上げると、爽やかな笑顔で牽制された。お前ほんとに覚えてろ。けっちょんけっちょんにするからな、セラフィムが。

 

「それより麦わらの一味、どうすんだ?」

「2年後まで私は麦わらの一味について考えたく無きです」

 

 思わず耳を塞いだ。やめてよ、海軍本部に女狐隊にセラフィム(五老星とベガパンク付き)、挙句海賊狩りグループにロジャー海賊団。私の脳みそはもうパンクしそうなんだよ。

 更に七武海にローさんが加わったことにより革命軍とのコンタクトを増やさなきゃいけないし、くまさんは革命軍に無断でパシフィスタ計画進めてたみたいだし、問い合わせが私に……。それに追随して実は情報屋としても噂広めに動かなきゃいけないんだよ!?もう、無理。キャパオーバーです。

 

「お願いします……七武海だけは、せめて七武海だけは問題起こすなかれ……。せめて麦わらの一味だけは静かに待機すてて……」

 

 冗談抜きで死にそうになるから。

 しかも2年後世界会議(レヴェリー)まであるんだよ?もう今からしんどい。

 

 何故か七武海会議に参加してない問題児とも言えるモリアが1番まともに見えてくるって不思議。

 

「リィンが首を突っ込まなきゃ問題にはならないが?」

「……死んで欲しき」

「お前になら殺されてやるよ」

「それは嫌。人殺しを合理化させたく無き故に」

「ハッ、いい子ちゃんのセリフだなぁ?」

「クロさんこそ。人のために死ぬだなんて、随分タチが良くおなりで──ぐぇっ」

 

 クロさんに右手でほっぺたを思いっきり挟まれた。煽るくせに煽られるとキレるのは大人としてどうかと思います。

 

「にゃにおう」

「お前……なんか、急に度胸ついてねぇか?」

「んえあ?」

 

 ジロジロと観察されている事に気付いて心の中で冷や汗をドバっと流す。

 

「フッフッフッ。ちょっと分かるなぁ。リィンちゃんって俺ら相手でも雑魚ガキって感じでイキるけど逃げることメインで考えてんのに」

「余程海賊稼業がいい影響を与えたらしいな」

 

 セラフィムをポンポンお手玉にしながらドフィさんが言うと、ミホさんも同意し始めた。

 

「……んー、いや、それもあるだろうが。なんかこう……仮面でも増やしたか?」

「…………言われて見りゃ、そうとも取れるな」

「……ほう、確かに」

 

 思わず息を飲む。

 海賊王のクルーとして過ごしたのは約半年。過去に渡航したのはソレを含めて合計1年。たった1年だというのに、不思議語も戻ってきたってのに、七武海はこの違和感に気付いたのか。

 

 え、ストーカー?

 

「なんでドン引きてんだよ枯らすぞ」

「いやぁ……流石はロビンさんの元上司だなぁ……と」

 

 変態は変態を呼ぶと言うか。

 変態(ロビン)さんの上司も変態。

 

「まぁ私今もうひとつ潜入先作ってる故に、そのせいですね」

「またかよ」

「なんと、モデル戦神」

「実の親をモデルに使うな気まずさはねぇよかよ」

 

 そんな遠慮がちな生存本能じゃ大荒れ模様の偉大なる航路(グランドライン)を渡れねぇんだよ!

 私は!生きたい!そのためなら結構色々倫理観なくても利用したい!

 

「それにまぁ、成長期ですし」

「(成長はしてないだろって顔)」

「あ、それよりミホさんクロさん。ゾロさんとビビ様はどんな感じです?」

 

 麦わらの一味のことは考えたくはないが、様子は把握しておきたいので口を開いた。

 

「ロロノアは元々覇気をある程度纏めていたのだな。成長速度は目覚しい。もう少し育てば、俺が直々に剣を教えてもいいと思っている」

「おぉ!」

「これを渡しておく。ビブルカードだ。だいたい島に居るから、時折遊びに来い。ロロノア達も喜ぶ」

 

 口ぶりからミホさんの島にはゾロさんだけじゃなくてもう1人子供がいるみたいだ。

 ミホさんのビブルカードゲットだぜ。誰が誰のか分からなくなるから、名前書いておこう。

 

「ビビ王女は、まぁうちの新会社で部下と経営面でこき使っている。本人の希望で戦闘訓練もな。……だがなぁリィン。あれ、なんか変じゃねぇか」

「はい、変(態)ですぞ。王族なんてそんなモンです。ほら、ドフィさんとか典型的じゃなきですか」

「……。納得しちまった」

「俺に失礼!!!!」

 

 ビビ様、頑張って腐女子バレしないようにね。

 

永久指針(エターナルポース)を今度預けておく」

 

 多分行くことはないだろうけど、攻める時に便利なのでありがたく頂戴しますね。

 

「フッフッフッ、喜べリィンちゃん、俺のビブルカードもあげよう」

「えっ、やったぁ!」

「おーおー、喜んでやがる。いや素直に喜ばれるとそれはそれで怖ぇな」

 

 ドフラミンゴ失脚は私の中で覆らないので、喜んで利用させてもらおう!居場所がわかるのって、便利だ。

 

「ところでリィンちゃん。お前、電伝虫どうした?」

「あ゛っっ!!」

 

 忘れていた。

 過去に転移した際、電伝虫が死んじゃったんだった。

 

 新しいやつの手配と、電伝虫の番号をこれまで渡してきた人達に配り直さないと。

 頭の中のやることリストにひとつ加える。これは、世界的に訪問しなきゃいけないやつだな。

 

「あぁ……頭痛き…………」

 

 麦わらの一味に対する質問が全て私に来るやつ。

 ……アラバスタにも謝罪と説明に行かなきゃだな。え、これ速攻行かなきゃじゃん。

 

 チラリ。横を見ると、アラバスタを崩壊させようと目論んだ極悪犯。

 

 

「クロさん」

「ん?なんだ」

「…………泊めさせてあげる故に明日1日付き合うすて」

「…………断っていいか?」

 

 危機察知能力だけはいっちょ前だなクソ海賊。




はい。すぐさまバラしたよね。七武海の執筆楽しい〜〜!!
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