2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第267話 クレイジーとは失礼な

 

 

「船が乗り込んできた時はおもわず正気を目を疑ったが?」

「いや、うん、だって子供達乗せたまま航海技術がない私が長期間航海とか無理ですぞり」

「うーん耳も疑う」

 

 今日は定期検診。

 ベガパンクの元にセラフィム達を連れて空を飛んできた。セラフィム達は別の場所に案内され、私とベガパンクはモニタールームで待機している。

 

 後半の海は本当に荒れているので着水する自信が無いんです。

 

「空って飛べるっけ……?」

「この前もセンゴクさんと飛ぶしますたよ。それに今回は燃料が居たので」

「燃料」

「金獅子のシキっていう」

「金獅子のシキ」

「はいです」

「燃料」

「燃料」

 

 まぁまぁ、それは一旦置いておこう。

 

 カタカタとパソコンらしきものをいじっているベガパンクに私は報告書を取り出した。

 

「これ、セラフィム達の実戦結果ですぞ」

「ほう!道力!このように可視化出来る方法があったか!これは確か政府が利用してた単位ではなかったか……いやほんとに何者?……しかも1週間で飛躍的に数値が伸びている。おぉ、耐久力も申し分無いな、お、これは炎が燃えてる時と燃えてない時の差か」

 

 セラフィム達とはのんびり過ごしているように見えてちゃんと訓練を組ませている。

 空組が主に実力をはかるメーター係。フクロウ、ほんとにありがとう。何回気絶しただろうね。

 

 やはり世界でも最高峰の実力者達と戦わせていたらお互いに数値が伸びて行く。殺しができる武器としても、パラメータとしても、性格的な問題はさておきいい拾い物だと再認識した。

 

「でもベガパンク。一つ問題ぞありますて」

「なんだね?」

「──海水が効く」

「それは盲点!」

 

 悪魔の実を組み込んだから、当たり前と言えば当たり前だけど。作成データ読み込んでみてもベガパンクは海水に対する対処はしてなかったから、計算外だったんだろうなぁ。

 

「オリジナルの悪魔の実の能力者については私の方で伝手が存在する故に、悪魔の実の使用に関しては任せていただければ嬉しきです」

「ほんとに何者……?」

「海軍雑用ですぞ!」

「お前のような雑用がいてたまるか!あっお前って言っちゃったごめんね許してクエーサー」

 

 あ、ベガパンクにいくつか用事があったのを忘れるところだった。

 

「ジャッジ様から伝言です」

「え゛、やな予感する」

「『早くくたばれクソジジイ』だそうです」

「ほーらー!やだもー、あいつほんとヤダー。昔はシーザーとかクイーンと一緒に『No.2は俺だ!』とかって言い合ってたのにー!急にヘイト向けてくるだもんー!もー!」

 

 別室にいるセラフィム達の調整のためにパソコンをピッピッピッピッ触りながらベガパンクが文句をたれる。

 仕方ないじゃん。厄介な国って割と私に回されがちだからヴィンスモーク家全面私担当だったんだもん。電伝虫の番号渡さなきゃだったから、仕方ないじゃん。

 

「『お前がくたばれクソジジイ』って言っといて」

「国王に言えと?無理ですが?」

「天才科学者には言えるのに?」

「はい」

「はい、て」

 

 ここに来るまでに調べたんだけど、ジャッジ様はシーザーは元々ベガパンクと共にMADSという科学組織を作っていたようだ。

 そして危険視されたベガパンク達を政府が引き抜いて、海軍の科学班としてその頭脳を奮っている、と。

 

 つまり境遇はうちの部下達とそこまで変わらないというわけだ。

 

 天才とは言えど、未来のビジョンは私と変わらない。この世界を基準にして言えばかなり高次元なことをしているのだけども、それこそ次元が変わるレベルの転生経験者の私としては……普通。

 カナエ、戻ってこーい。お前の知識が1番活用出来るぞ。

 

「それと麦わらの一味の改造人間がベガパンクの故郷の研究施設?で色々手を出してるですが、大丈夫です?」

「バルジモア?あぁ、あそこにはあんまいいの残ってないぞ。ガラクタしか置いてなかったはずだから……」

「あとパンクハザードの無機物悪魔の実捕食第1号ぶち壊すすたです」

「え、壊してくれたの?助かる〜〜〜〜〜〜!正常に働かない作用の物は破壊するに限るんじゃ!」

 

 この完璧主義者め。

 カタカタなるタイピングの音が数秒ほど空間を支配した。

 

「……それで、セラフィム達の様子はどうじゃ?」

 

 ちゃんとした報告書を出したと言うのに、ベガパンクは同じことを聞いている。はいはい、分かってますよ。

 

「ホークは甘い物が好きです。その代わり片付けが苦手。シャークが片付けを良くやるですが、図体の大きさから小回りの効かぬ場所をスネークがやるです」

「ほほう」

「スネークは甘い物よりは辛いものが好きで、シャークは酸味のある海藻料理やフルーツが好きです。ベアは魚…特にサーモンが気に入るすたようで。あとははちみつ」

「熊にはちみつ!なんと可愛い事だ」

「本人も好きだったかと思うです。あぁ、本人と違うと言えば、ミンゴはバーベキューが気に入るすたようで、ドンキホーテ張本人は苦手なのですけど、トラウマから嫌いになった形なので差が出ますたね」

「性質は同じだが記憶は違う、ということの証明になったようじゃな。クロコダイルのセラフィム……イルだったか、その子はどう──なぜそんな苦虫を噛み潰したような顔をする」

「イルはトマトが好きです」

「ほう!」

「………………私は嫌いですぞ、トマト」

 

 哀れみの目で肩をポンポンと叩かれてしまった。食卓に毎日並ぶトマト。自家菜園をし始めるトマト。クソ、トマト愛がすごい。

 

「イルのトマト、美味しいみたいで」

「うん」

「本物がよく来る…………」

「あぁ…………」

「挙句の果てにトマトだけ奪うすて帰って行く……。一つ言いたい。──お前!私を!愛してるのでは!!無いのか!トマトの方が!!!好きなのか!!!何事ぞトマト目当てって!!!」

 

 なんか振られた感じになってるのがすごく嫌。

 トマトだけ奪って帰っていく。ゲリラトマト野郎、ほんとになんなんだ。今度来た時トマトぶつけてやろう。

 

「なんか……大変じゃな」

「トマトを装填可能な銃、作るすてくれませぬ???」

「それ意味あるのか?」

 

 無いと思う。

 はぁー、とため息を吐いて机にうつ伏せになった。

 アラバスタで膝を着かせたからその事で対価を要求されるんじゃないかと結構怯えてたんだけど、なんも無いし。いやもし要求されてもアラバスタはお前が蒔いた種だろ、って突っ撥ねる気満々だったけどさ。

 

 企んでいることが分からない……。全ての海賊の悪巧みが分かったらいいのにな。

 

「黒ひげが未だに静かなのも怖いですし、情報にかすりもしないですし、七武海は相変わらずフリーダムですし、定期的に見回りせねばなりませぬし、海賊狩りも、軽率に命狙うすてくる部下も、変態さんも、もう疲れるすた……」

 

 ベガパンクも色々と危ういと思うけど、私に責任が無いので他人事だ。

 

「でもまぁ、データはこの期間で考えれば充分じゃ。壊すんじゃあないよ、あの、軍艦100隻くらいは飛ぶからな?」

「実戦出すのはまだ怖きですね……。ほんとはミホさんの刀とかクロさんの砂とか試すしたいのですが……」

「エッ、ちょっとそれはまだ困る……まだもうちょっと段階踏ませてクエーサー」

 

 まぁ死にかねない物に関しては避けるよ。でもあの、怪我に関しては避けられないから。

 

「部下の育成も兼ねるすてますから。あぁ、私の部下は海軍特有の勤勉さじゃなくて、海賊系とか出身者が多くてかなり我が強い故に、セラフィム達にいい影響を与えるが可能かと」

 

 実際、元BW組はかなりの影響力を与えている。喜怒哀楽の表現もお巫山戯も悲鳴もある。

 まぁ強いて言うならセラフィムより弱いことかな……。

 

 よし、あいつらはどんどん鍛えよう。私は肉体労働も修行も勘弁して欲しい所だけど、人に強要するのはタダだ。

 

「あそーじゃ。女狐大将、リンゴ端末いるか?」

「んぇー、リンゴ端末って何事で…………。リンゴ!?アンテナ!?携帯!?」

 

 ベガパンクの頭のリンゴはエッグヘッドに置いた脳みそと通信するためのアンテナだと言った。そんなモチーフになっているリンゴに端末の名前が付く、だと?

 

「女狐大将のアイディアじゃもん。お試しで。なんか意見があったら言ってクエーサー!」

「何が出来るです!?」

「電伝虫の代わりに私と連絡が取れる!なんと伝言も入れることが出来るのじゃ」

「留守電……?」

「そう留守電、いい名前じゃ採用。……お前さんネーミングセンスすごいの?ピッタリなんじゃが?」

 

 ズルを使ってますから。別にずるくはないんだけど、感覚的に。

 

「それと私の脳みそにアクセス出来るんじゃ。ここの虫眼鏡マークを押して言葉に出せば調べることが出来るんじゃ」

「『悪魔の実』…うわ!」

「お……、上手くいった!」

「情報量が多すぎるです!データパンクというより思考回路が文字として流れ込んでる感じですぞこれ」

「もっと簡潔にして欲しい、と?」

「そうですね。辞書のように広義の部分と詳細部分で分ける必要あると思うです。……これ私からいじれます?」

「無理じゃ!」

「ですぞね〜……。人手が足りぬです。ベガパンクが腕を増すことが可能なればいいのに」

「出来なくはないが」

 

 出来なくはないんだ。

 

「手だけ(・・)を増やすだけじゃ現実的に無理じゃな」

 

 さすがのベガパンクも無理か。

 ベガパンクのセラフィムを作って脳みそだけ共有させたらいいのに。アンテナが可能なら出来るって。

 あ、でもミンゴの例があるもんね。持ちうる性質が同じでも生まれた環境や経験が違う事で違う結果が生まれる。

 育ち形が違うって感じなのかな。戦争を知らない子供と平和を知らない子供の違い、みたいな。

 

 要するにセラフィムはオリジナルと同じにはならない、って訳だ。

 

「女狐大将、自分のセラフィムいるか?」

「……ちょっと惹かれるですけど、敵対したく無き故に却下で」

 

 ある程度の性格は既に一緒なのだ。私が私に依存することはないから囲いづらいし仮に敵対してきたら死ぬほど厄介だよ。

 私が今海軍にいることも、海兵として海軍を守ろうとしてるのも奇跡と言っていいくらいなのに。10年かけて得たものなのに。

 

 あとまぁ、私が必要なのは白髪褐色のセラフィムじゃなくて、私としても女狐としても演じれるコピーなので。ベンサムがいる限り要らない。

 

「そうかー、試してみたかったんだが」

「試す?」

「女狐大将は悪魔の実の能力者じゃあ無いじゃろ?」

 

 …………は?

 

「あ、これ言っちゃまずかった?」

「いや、え、なん、別に」

 

 勘違いさせてるだけだから隠しては無いし、青キジさんにはバレてるし。

 ……あ、でもセンゴクさんには伝えてないな。

 

「何故、分かるすたです?」

「血統因子」

「っかーーーーー!!これだからよぉ!」

「女狐大将の戦い方を知らんのだが、一般的には能力者だと思われとるんじゃろ?あの箒で飛ぶ技とか」

「まぁ、そうですぞねぇ」

 

 箒どころかイメージがあればある程度操れるってのは言わないでおこう。うん。そうしよう。

 

「おし、調節が出来たぞ。セラフィム達もすぐここに来る様に指示を出した」

「はーい」

 

 悪魔の実、食べるべきかな。いや海水が効かないのってかなりの利点だと思ってるし。やっぱり要らないや。

 

「ベガパンク」

「んー?」

歴史の石(ポーネグリフ)は読めますよね?」

 

 1人で500年の技術進化をさせた男。彼は間違いなく天才だ。だから、考古学者が、ロビンさんが。そして私が読み解けた文字をこの男が読めないはずが無い。

 

「トラジティー帝国をご存知ですか?」

「若いのに、よく知っておるな」

「あの国は、──悪魔の実の能力者によって土地が盛り上がった国です」

 

 私はにっこり微笑んだ。

 

「ちゃーんと、救ってくださいね」

 

 

 

「──ママ!ただいま!」

「おかえりなさい」

「ママ、舵輪のおじさんにお土産って必要かな?」

「あれは海賊だから別にいいですぞ」

「……なんで海賊が海軍の船に乗ってるんだぞ?」

「あれは燃料」

「燃料かぁ」

 

 セラフィム達が帰ってきた。私の元に駆け寄って来たので、頭を小さく撫でていく。

 

「ベガパンク、次はいつここに向かう手筈です?」

「1ヶ月後、かな?」

「承知しますた。さ、船に乗る」

「「「「「はーい!」」」」」

 

 ベアとイルは頷いただけだったが、ほかは口々に返事をしてふわふわ飛んでいく。

 やっぱりあの足、便利だよなあ。

 

 

 ==========

 

 

 1人残されたベガパンクはぺぺぺ、と小さくひきつり笑いをする。

 

「──あぁ、海兵でよかった」

 

 彼女が海賊じゃなくて。敵じゃなくて良かった。

 

 

 今となっては王国だが、かつて帝国だったトラジティー帝国は人為的に『沈まないよう』土地が押し上げられた。

 

「よかった、本当によかった」

 

 私は天才ではあるが、腹芸が出来る訳では無い。

 

 万物を知ることが出来ても万物を解決する事は出来ない。

 

「……良かった」

 

 

 

 日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す。

 

 

 東から西へ。

 沈みいく世界に、ひとつの光が差し込んだ。

 

 

 ==========

 

 

 

「クレェエイジィィちゃあぁあん?」

「あ、シキさん。船番お疲れ様です」

「うん、うん、何から言えばいいのか分かんないがな。挨拶するのはすごくいいことだな、うん」

 

 

 本日の燃料役、金獅子のシキご乱心である。

 

 

 

 さて、何が起こったか簡単に説明するとですね。

 ふと思ったわけですよ。『そうだ、シキに戦闘の仕方を教えてもらおう』と。

 

 シキは体術のセンスもいいし、計画性もある。そして私と似通っているフワフワの実を使った空中戦術の使い手。刀剣も使うし無機物の利用方法など勉強になる。

 ロジャー処刑の際に無茶な特攻をしなければ、今頃四皇の一角としてシャンクスさんを抑え込んでいただろう。

 

 

 何よりこの世で誰より暇してる。働け。

 

『センゴクさん!金獅子を指南役として飼ってもいい!?』

『ゴフッ』

 

 というわけでセンゴクさんに提案した瞬間、机に突っ伏したよね。胃痛で苦しめたっぽい。ごめんって。

 

 そして突撃インペルダウンだ。名目は海軍で新兵器セラフィムの戦闘経験を積ませること、そして悪魔の実の能力者によるセラフィム耐久の実験。まぁ許可は出るだろう。

 一応女狐の格好して行ったよ。新所長としてハンニャバルさんが、副所長としてマゼランさんが出迎えてくれた。

 

 シキの驚いた顔には笑っちゃったな。

 

『暇、してるでしょ?ちょっとさ、飼われてみぬ?』

『クレイジーちゃん……まじで何者?』

『んー。女狐の影武者、ってところぞ。本物はご存知でしょ?』

 

 あくまでも真女狐(エース)が居て、本物と実力が合わないから鍛えたいのだ、という旨を伝えた。

 

 なんやかんや言い争ったけど、見事私勝利。船の燃料役として今日は来てもらったのだ。儲けものである。

 

 

 

 閑話休題。

 

 シキはひとつしか残ってない手で頭をワシワシとかいた。

 

「色々!ほんとに色々ツッコミどころがあるんだが!」

 

 この七武海に似たやつはなんだ、とか。

 影武者ってなんだ、とか。

 本物の女狐は誰なんだ、とか。

 影武者であろうと女狐ならなんで戦争前にインペルダウンにいた、とか。

 海軍は何考えてんだ、とか。

 ベガパンクの居場所を教えても良かったのか、とか。

 そもそも俺を出しちゃダメだろ、とか。

 出して何を企んでるんだ、とか。

 

 シキは指折り数えて(片手だから5本しか指ないけど)ブツブツと疑問を口に出していた。しかし私をビシッと指さした。

 

「──仮にも海兵ならインペルダウンで大活躍するんじゃねぇよ!!!!!可哀想だろ!!!」

「いやぁ……」

「いやぁ、じゃねぇ!!!!!」

 

 そっちなんだ。

 

「だって、インペルダウンは海軍じゃ無きですし」

「っかーーーーー!!これだからよぉ!」

 

 シキはザクザクと地団駄を踏み始めてしまった。

 軍艦が傷付くから率直に言ってやめて欲しい。

 

「あのシラヌイ・カナエの娘を影武者とは言え登用して良かったのか海軍……!?」

「4歳から海軍にいるでーす」

「あぁ、手遅れだ……」

 

 シキは顔を手で覆った。失敬な。

 

「……もしかして、海賊側からのスパイだとか言うんじゃねぇだろうな」

「ところでそろそろ出発しましょう?ほら、能力ぞ能力」

「都合のいい耳してんなクレイジーちゃん」

 

 ふわり。軍艦がシキの力によって浮かぶ。

 メルヴィユで島を幾つも浮かばせていたシキの力だ。軍艦1隻くらいわけないだろう。

 高いところは苦手だけど、海を使わないから航海術が要らないのがいい。

 

「ちらっと説明はしますたが、私がシキに求めるのは戦闘能力の伝授、または行使です」

「まさかとは思うがアレの?」

 

 セラフィム達を指さしてシキは呆れた顔をした。

 

「も、です。あの子たちと……私」

 

 伝説の海賊。金獅子のシキ。

 ロジャーの自由と対比するように、彼はこの海を支配しようとした。

 

交渉(パーレイ)としましょう。シキさん」

「お得意のやつだな」

「あなたへの首輪の代わりに、なんの対価が欲しいです?」

 

 海軍へ従事し、私にその能力を捧げろ。簡潔にそう伝えるとシキはその支配人嫌な顔をひとつ。

 

「そうだなぁ、クレイジーちゃん。ロジャーの遺物を、全て殺してくれるか?」

 

 目の奥にからかいの色が見えた。

 

「なら、真っ先に死ぬのは私ですぞね」

「おいおい……随分な自信じゃねぇか?冥王と戦神の娘」

 

 非常に残念なことを言うと、ロジャーのマブでありロジャーの息子の由来でもあるんだ。

 

「私は海賊王の息子の義兄妹。つまりロジャーの娘も同然です」

「いやそれとこれとは違うだろ」

 

 そう簡単に譲らないからね、火拳のエース。

 

「あぁ、そうだった……」

「ん?」

 

 ひとつ交渉材料が見つかった。

 この人が執着するのは、ロジャーだけじゃない。

 

「幻に会いたくなきですか?」

「……!そういや言ってたなぁ?」

「はい、もちろん伝手は持ち合わせてるですぞ!私もロジャー海賊団の関係者故」

 

 シキと初めて会った時の会話は火拳のエースだと思っていたけど、インペルダウンで感じた違和感。

 センゴクさんもロジャー海賊団……特にロジャーと幻に執着している節があると判断していたし、釣り餌としては間違いないだろう。

 

「いいや少ねぇな」

「むっ」

「クレイジーちゃん、俺を一体誰だと思ってるんだ?かつてロジャーと渡り合った海賊、金獅子のシキだ。この俺が、縛られる?インペルダウンの脱獄に続きいい度胸だ」

「シキこそ、私を誰だと思うすてるです?」

 

 舐めてもらっては困る。

 私は自分に手を当ててシキを見上げた。

 

「冥王と戦神の娘で、英雄ガープと孫であり、センゴク元帥の娘。話題の問題児麦わらの一味のナンバー2で、海軍の最高戦力」

「……ネームバリューも立場もやばいよな」

「七武海の担当で、最悪の世代も担当。海軍の新兵器パシフィスタも私。……そして現在のロジャー海賊団のクルーも、幻のエースも、私の担当」

 

 ロジャー海賊団は別に担当ってわけじゃないけど、まぁ大きく言って海賊側はわたしが介入出来る範囲が大きいだろう。

 

「白ひげや赤髪といった四皇、各国の王族とのコンタクトも取れ、五老星とも会える引く手あまたな私が。あなたに首輪を嵌めるんです」

 

 

 にっこり笑みを浮かべて、私はシキを口説き落とした。

 

「『私の師匠のポジション』は、この世で極上の対価だと思いませぬ?」

 

 私の広げた伝手と、交流の広さ。

 私の交渉カードは14年間で作り上げた最強のカードだ。

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