ここに来てどれ位たったかな。
私ももうすぐ5歳です。
そんな私は今。
「ごめん…ね…………。私、夢を見られない…皆の夢……先行くね………」
「ありが……とう…─────」
「たかが風邪如きで何死にゼリフ言ってんだい、そんな事いう暇あったらさっさと寝な糞ガキ」
「ダダン〜〜〜っ!」
風邪を引いてグダってます。
原因はあいつだ。ルフィだ。
傷も大分良くなったし家出した筋肉を取り戻そうという名のイジメをフェヒ爺より受けている時。なんと言いますか。
飛んできた腕が私をはじき飛ばした。
まさか兄に殺されかけるとは思わなかったよ。飛んできた拳は私の傷付きの背中にクリティカルヒット。意識を失った私はそのままどんぶらこどんぶらこと川に流された模様です。腕飛んできた辺りから記憶無いや。
私はエースとサボがさっさと救出してくれたみたいです。
フェヒ爺には悪魔の実の能力(仮)を使える──私自身食べた記憶ないから疑ってるけど──事を教えて無いから水に濡れてアウトだって事を知ってたエースが飛び込んだんだって。あ、そう言えばルフィにも言ってなかったな。
どっちにせよ助かった。
「ズビッ……」
風邪は引いたけど。
「熱もうそろそろ測れたんじゃ二ーのか?」
「んー……」
モゾモゾと脇に挟んである体温計を取り出す。
「なっ!……38.9!?」
辛いはずだよちくしょう。
「リーーーーッ!し、し、死ぬなぁァァ!」
「ル゛、フィ。ゔるざぃ……」
最近ルフィは私を「リー」と呼んでくる。
自分だけ「リィン」って呼ぶのは仲間はずれみたいで嫌だったんだろうね。どうでもいいけど。
「おでの…せいで傷、傷作っ、おれ゛…っ!熱!リーーーッ!!」
まだ過去にポルシェーミのせいで傷を付けたこと根に持ってるのか。
まあ深く付いちゃったのか半年くらい経ったけど傷跡がずっと残ってるんだよなぁ。
参ったなぁ、めんどくさいなぁ、お嫁に行けねぇ。あ、別に行かなくていいや。
独り身万歳!孤独万歳!
あー…私すっごいダレてる。
「ルフィ、リーが休めないから行くぞ」
「でもっ、でもぉ!!」
「いい加減にしろよテメェ!うるせぇ!泣きやめ!」
エース、キミの声も煩い。
「リーーーッ!死ぬなぁぁぁあ!」
ルフィ、やっぱりキミ絶対休ませる気ないだろ。
「ゔ、るざいっ!!」
休ませろ!!
「ほら行くぞ」
ズルズル引きずって連れ去られるルフィ。『リーーーーッ!』って声が遠くから聞こえるけど気にしない気にしない。
アレでも責任感じるんだな。失礼。
「ゔーー…ゔー……」
優しさが半分で出来ている薬ください。
私の風邪はどこから?
私悪運から
そんな私にはトイレのベンザ
なんか違うね。うん。
「じぬ…………」
「そう簡単に死にゃしないからさっさと寝な。…あの3人が薬買ってきてくれてるからさ」
「にーにが…」
「…フッ、あんたがその言葉使うたァ相当弱ってんだね。安心しておやすみ」
やだ、ダダンかっこいい。
「…………………お腹空いた」
「あんたこの状況でも食欲あんのかい…。普段あのバカ3人程食わないのに」
「…あれは獣ぞ。私とは違う胃袋ぞり。私なるは1人前ぞ」
「うん、正論だね。マグラ!飯作ってやんな!粥!」
額に冷たい何かが乗った。
「気持ちイーか?熱高いから無茶すんじゃ二ーぞ」
ドグラマグラがナイス過ぎる。
「感謝感激荒らされる…」
「ちょっとどころかだいぶ違うね」
「あり、がど…う」
「そうそう、お礼は〝感謝〟じゃなくて〝ありがとう〟な」
「めんぼくちゃい……」
「面目ない、じゃ二ーのか?」
「それでごぞりた」
「うん、もうリー黙ってろ」
それからご飯食べて寝た。多分。
途中で薬も飲んだんだと思う。多分。
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「………サボ…」
「あ、おはよう」
翌朝、私の隣に座るサボと目が合った。
「熱は…っと、38.2……まだ下がらないなァ…」
よしよしと私の頭に手を乗せて撫でる。サボの手冷たいから気持いい。
「あ、そうだ」
私の額から手をのけてポケットをこぞこぞ探り始めた。
「これ、やるよ。リーは綺麗な金色の髪をしてるからきっと似合うと思って」
サボが手にしたものは。青いリボンが2つ。
「り、ぼ……」
「うん。リボン」
「サボとお揃いの………」
サボも金色の髪に青い服を着ている。似合ってるなってずっと思ってた。
「え、あ、ホントだ。俺とお揃い」
ニカッて笑う顔。照れてるのか少し顔を赤くして私に笑いかけてくる。
心が軽くなった。その笑顔好きだなァ。
「にぃ…に、ありが、とう……」
私の好きなお兄ちゃん。何もわからないのに、一生懸命育ててくれた。気にかけてくれた。大事な私の家族。
ストンと何かが収まった。
ああ。私は家族が好きなんだ。
大事にしたい。死んで欲しくない。離れたくないって思うくらいには情が湧いてたんだね。
私の目標は────。
「まだ、わかん、無いけど…死なせ、無い………」
「何が?」
私が一番大切だけど、家族もそのくらい大切だ。
「えへ」
守りたい、って思う程の事じゃないかもしれない。どうせ3人の方が強いから。あ、いや、ルフィは除く。あの子自滅するから。
この笑顔は失いたくないな。
「なにごとも、そんざいしにーぞ」
「何でもない、だろ」
そう言って笑うサボは陽だまりみたいに暖かかった。
ああ堕天使様。私の運命はどうしてこうも呪われてるのですか。
私の家族を返して下さい。歯を食いしばって正座しやがれテメェこの野郎馬鹿野郎。